はじめに
「RustでHeadless CMSを開発するって、実際には何を作るの?」
「なぜNode.jsやPHPではなく、Rustが選ばれているの?」
そんなふうに調べてみても、専門用語が多くて、どんな仕組みなのかイメージしにくいと感じていませんか。
Headless CMSは、記事を保存するデータベース、記事を取得するAPI、管理画面などを組み合わせて動く仕組みです。ただ、「どこをRustで作るのか」「何を先に用意すればいいのか」が分からないまま進めると、途中で迷いやすくなってしまいます。
また、Rustが選ばれているのは、処理が速いからだけではありません。
アクセスが増えても動作が安定しやすく、不具合も起きにくいため、Headless CMSのバックエンドと相性がよいと言われています。
この記事では、RustでHeadless CMSを開発するときに必要な構成と、Rustが選ばれている理由を、順を追ってやさしく整理していきます。
なぜRustでHeadless CMSを作るのか

Headless CMSをRustで作ると言われても、まず「Headless CMSが何をする仕組みなのか」が分からないと、なぜRustを使うのかもイメージしにくいですよね。
実際、Headless CMSは記事や画像を保存するだけではなく、Webサイトやアプリに必要なデータをAPIで渡す役割を持っています。そして、その裏側を支えるプログラムにRustを使うことで、表示速度や安定性を保ちやすくなります。
まずは、Headless CMSがどんな役割を持つものなのかを整理したうえで、なぜその開発にRustが選ばれているのかを順番に見ていきましょう。
Headless CMSとは?
Headless CMSは、記事・画像・カテゴリ・公開日時などのデータを管理し、その内容をWebサイトやアプリに渡すための仕組みです。
管理画面で記事タイトルや本文を入力すると、その内容はデータベースに保存され、画面そのものは作らずにAPI経由で外部へ渡します。
たとえば、Webサイト側が「記事一覧を取得したい」とAPIへアクセスすると、Headless CMSは記事タイトル、本文、サムネイル画像、公開日をJSON形式で返します。
Webサイトやスマホアプリは、その返ってきたデータを使って画面を表示します。
つまり、Headless CMSが行うのは「記事を書く画面を用意すること」と「保存した内容をAPIで返すこと」の2つです。
HTMLの見た目やボタン配置、ページデザインはHeadless CMS側では作らず、受け取った側のWebサイトやアプリ側で作成します。
そのため、1つの記事データをWebサイト、iPhoneアプリ、Androidアプリの3つに同時に使える状態になります。
なぜRustが選ばれるのか
Rustが選ばれる理由は、Headless CMSで必要になる「大量のAPIアクセスを速く処理すること」と「長時間動かしても落ちにくいこと」を同時に満たしやすいためです。
Headless CMSは、記事一覧取得、記事詳細取得、画像情報取得などのAPIに対して、1秒間に数十〜数百回のアクセスが発生します。
Rustはコンパイル時にメモリの使い方を確認するため、実行中にメモリ不足や不正アクセスで停止しにくく、24時間動かし続けるサーバーでも安定しやすいです。
また、Rustは実行速度が速く、同じ処理内容でもメモリ使用量を数十MB単位まで抑えやすいため、VPSや小規模サーバーでも動かしやすいです。
記事データをデータベースから取得し、JSONに変換して返す処理も、待ち時間を100〜300ミリ秒程度に抑えやすくなります。
そのため、Headless CMSを自分で作る場合に、「軽く動かしたい」「落ちにくくしたい」という条件があると、Rustが選ばれやすくなります。
RustでHeadless CMSを作るときの基本構成

RustでHeadless CMSを作るときは、最初から1つの大きなプログラムを作ろうとするのではなく、役割ごとに分けて考えると全体が見えやすくなります。
実際には、記事データを受け渡しするAPIサーバー、記事や画像を保存するデータベース、投稿や編集を行う管理画面、記事を表示するWebサイトやアプリが、それぞれ別の役割を持ちながら動いています。
ここでは、RustでHeadless CMSを作るときに必要になる基本的な構成を、どの部分を作ればよいのかが分かるように順番に整理していきます。
APIサーバーを作る
APIサーバーを作る役割は、保存されている記事データを外部から取得できる形で返すことです。
Headless CMSでは管理画面で入力した記事タイトル、本文、公開日、カテゴリなどをデータベースに保存し、その内容をWebサイトやアプリが使えるようにHTTP通信で返します。
たとえば「/posts」にアクセスされたときは記事一覧を返し、「/posts/1」にアクセスされたときは記事IDが1の記事詳細を返す、という形でURLごとに処理を分けます。
返すデータの形式はHTMLではなくJSONです。APIサーバーはデータベースから記事情報を取得し、タイトル、本文、サムネイル画像URL、公開日時などをJSONに変換して返します。
これによって、受け取る側はそのデータをそのまま一覧ページや詳細ページの表示に使えます。
つまりAPIサーバーは、記事を保存して終わりではなく、その記事を外部から呼び出せる状態にするために作ります。
データベースと記事データを管理する
データベースでは、記事ごとの情報を1件ずつ保存します。保存する内容は、記事ID、タイトル、本文、公開日時、更新日時、カテゴリ、アイキャッチ画像URLなどです。
たとえば記事を1件追加すると、「id=1」「title=RustでCMSを作る方法」「body=本文」「published_at=2026-04-16 10:00:00」のような形でデータベースに登録されます。
Headless CMSでは、この記事データを一覧取得と詳細取得の両方で使うため、タイトルや本文だけでなく、公開状態やカテゴリも一緒に管理します。
公開前の記事は「draft」、公開済みの記事は「published」のように状態を保存しておけば、APIサーバー側で公開済みの記事だけを返せます。
また、カテゴリIDや記事IDを使って検索できるようにしておくことで、「お知らせの記事だけ表示する」「記事IDが5の記事だけ取得する」といった処理ができるようになります。
管理画面とフロント側を分ける
管理画面とフロント側を分けるのは、記事を登録する場所と、記事を表示する場所を別々にするためです。
管理画面では、記事タイトル、本文、公開日時、カテゴリを入力し、保存ボタンを押してデータベースへ登録します。
一方で、実際にユーザーが見るWebサイトやアプリは、管理画面を表示せず、APIから取得した記事データだけを使って画面を作ります。
たとえば、管理画面は「cms.example.com」、公開サイトは「example.com」のように分けます。
記事を修正した場合も、管理画面側で保存すると、公開サイト側は次回APIを取得した時点で新しい内容を表示します。
そのため、管理画面のデザインや入力項目を変更しても、公開サイトの見た目には影響しません。逆に、公開サイト側のデザインを変更しても、記事を登録する管理画面の操作方法はそのまま使えます。
RustでHeadless CMSを作るときによく使う技術

RustでHeadless CMSを作るときは、Rustだけですべてを書くというよりも、役割に合ったライブラリやデータベースを組み合わせて作っていく形になります。
とくに、記事データを返すAPI部分にはどのフレームワークを使うか、記事や画像の情報をどこに保存するかによって、作りやすさや動かしやすさが変わってきます。
ここでは、Rust製のHeadless CMSでよく使われている代表的な技術を取り上げながら、それぞれがどの部分で使われるのかをやさしく整理していきます。
AxumやActix WebでAPIを作る
APIを作るときは、Rust用のWebフレームワークとしてAxumやActix Webがよく使われます。
どちらも「/posts」「/posts/:id」のようなURLごとの処理を作るための仕組みを持っており、記事一覧取得や記事詳細取得のAPIを数十行程度で作れます。
Axum は、URLと処理を対応させるルーティングや、JSONを返す機能が最初から用意されています。
そのため、「/posts」にアクセスされたら記事一覧を返し、「/posts/1」にアクセスされたら記事IDが1の記事を返す、という処理をそのまま書けます。
Actix Web は、1秒間に大量のアクセスが来るAPIでも処理速度を維持しやすく、記事一覧や画像情報を同時に取得するような処理でも動かしやすいです。
どちらもJSON形式でデータを返せるため、Headless CMSのAPIサーバーを作るときによく使われます。
PostgreSQLやSQLiteでデータを保存する
記事データを保存するときは、PostgreSQL や SQLite がよく使われます。
どちらも、記事ID、タイトル、本文、公開日時、カテゴリ、公開状態を表形式で保存できます。
SQLite は、1つのファイルだけで動くため、開発中や個人制作のHeadless CMSで使いやすいです。
たとえば「cms.db」という1つのファイルを作るだけで、記事データを保存できます。サーバーを別に立てる必要がないため、ローカル環境でもすぐに動かせます。
一方で、公開後に記事数が数千件以上になったり、同時に複数人が記事を編集したりする場合は、PostgreSQL が使われます。
記事検索、カテゴリごとの一覧取得、公開日時順の並び替えを行っても処理が遅くなりにくく、複数のAPIアクセスが同時に来ても安定して保存と取得を続けられます。
なぜRust製Headless CMSが注目されているのか

Rust製のHeadless CMSが注目されているのは、「新しい言語だから」という理由だけではありません。
記事数やアクセス数が増えても動作が重くなりにくく、長く運用しても不具合が起きにくいことから、少しずつ採用する人が増えています。
とくに、CMSを1台のサーバーで安定して動かしたい場合や、将来的にアクセスが増えることを考えている場合は、処理の速さや安全性が大きな安心につながります。
ここでは、Rust製Headless CMSが選ばれている理由を、「軽く動くこと」と「長く安心して使いやすいこと」の2つに分けて見ていきましょう。
高速でメモリ使用量が少ない
Rust製のHeadless CMSが注目される理由の1つは、記事データを返す処理が速く、サーバーのメモリ使用量も少ないためです。
Headless CMSでは、記事一覧、記事詳細、カテゴリ一覧などのAPIに対して、1回のアクセスごとにデータベースから情報を取得し、JSONに変換して返します。
Rustはこの処理を少ないメモリで実行できるため、1GB〜2GB程度の小さなVPSでも動かしやすいです。
また、記事数が数千件になった場合でも、一覧取得や検索処理の待ち時間を100〜300ミリ秒程度に抑えやすく、同時に数十件のアクセスが来ても動作が重くなりにくいです。
メモリ使用量も、起動直後で数十MB〜100MB前後に収まることが多いため、Node.jsやPHPで作ったCMSよりも、小さいサーバーで動かしやすいという理由で選ばれています。
安全性が高く長期運用しやすい
Rust製のHeadless CMSが長期運用しやすい理由は、実行中ではなく、プログラムを作る段階で不具合を見つけやすいためです。
Headless CMSでは、記事データの取得、保存、更新を24時間続けるため、1回でもサーバーが停止すると、記事一覧や詳細ページが表示できなくなります。
Rustは、存在しない記事データを参照する処理や、同じデータを複数の処理が同時に書き換える処理を、コンパイル時にエラーとして止めます。
そのため、公開後に「数日動かしたらメモリ不足で落ちた」「記事更新と一覧取得が重なった瞬間にエラーになった」といった状態が起こりにくくなります。
実際には、1回ビルドして公開したあと、数週間から数か月そのまま動かし続ける構成でも、再起動やメモリ解放を繰り返さずに運用しやすいです。
そのため、記事数やアクセス数が増えても、長期間同じサーバーで動かし続けやすいという理由で注目されています。
実際に作られているRust製Headless CMS

RustでHeadless CMSを作るイメージがついてきても、「実際に使われているものはあるの?」「どんな場面で使われているの?」と気になる方も多いかもしれません。
実際には、Rustを使って作られたHeadless CMSはすでに登場しており、ブログやコーポレートサイトだけでなく、複数のWebサイトやアプリに同じ記事データを配信したい場面でも使われています。
ここでは、実際に公開されている Hiwrite のような事例を見ながら、どのような用途で使われているのかを順番に整理していきます。
Hiwriteのような事例
Hi WRITE は、Rustで作られたHeadless CMSの事例です。
記事や画像を管理画面で登録し、その内容をAPI経由で返す構成になっており、Webサイトやアプリ側は取得したJSONを使って画面を表示します。
管理画面と表示側を分ける、というHeadless CMSの基本構成をそのままRustで実装しています。
また、Hi WRITE は、実行ファイルをダウンロードして起動するだけで使える構成になっており、記事管理、API公開、データベース接続までを1つにまとめています。
Rustの並列処理を使って、記事一覧取得や記事更新が同時に行われても処理が止まりにくく、Node.jsやPHP製のCMSよりも少ないサーバー構成で動かせることを目的に作られています。
どんな用途で使われているか
Rust製のHeadless CMSは、企業サイトやオウンドメディアの記事管理で使われています。
管理画面で記事タイトル、本文、画像を登録し、その内容をAPI経由でWebサイトへ渡す構成にすることで、公開サイト側は自由なデザインで表示できます。
そのため、コーポレートサイト、ニュース一覧、ブログ、採用ページを1つのCMSでまとめて管理する用途で使われています。
また、同じ記事データをWebサイトとスマホアプリの両方で使う用途でも使われています。
1回記事を登録すれば、Webサイトには一覧ページとして表示し、iPhoneアプリやAndroidアプリにはアプリ内ニュースとして同じ内容を表示できます。
管理画面と表示側を分けているため、Webサイトのデザインを変更しても、記事データはそのまま使い続けられます。
さらに、アクセス数が多いサービスや、記事数が数千件以上あるサイトでも使われています。
Rust製のHeadless CMSは、記事検索、カテゴリごとの一覧取得、画像付きの記事一覧を同時に処理しても、待ち時間を短く保ちやすいためです。
そのため、更新頻度が高いニュースサイトや、記事数が多いメディアで使われています。
まとめ
RustでHeadless CMSを開発する場合は、記事データを保存するデータベース、記事をJSONで返すAPIサーバー、記事を登録する管理画面、記事を表示するWebサイトやアプリを、それぞれ分けて作る形になります。
Rustは、その中でもAPIサーバーやデータ処理の部分に使われることが多く、記事一覧や詳細情報を速く返しながら、少ないメモリで安定して動かせることが特徴です。
また、Rustが選ばれている理由は、処理速度だけではありません。記事数やアクセス数が増えても動作が重くなりにくく、公開後も長期間止まりにくいため、「あとからアクセスが増えても安心して使えるCMSを作りたい」という場合と相性がよいです。
特に、1つの記事データをWebサイト、iPhoneアプリ、Androidアプリにまとめて配信したい場合は、Rust製Headless CMSの構成が活かしやすくなります。
最初は、「APIサーバー」「データベース」「管理画面」を一度に全部作ろうとせず、まずは記事一覧を返すAPIを1つ作り、そこに記事データを保存できるようにするところから始めると、Headless CMS全体の流れが見えやすくなります。
少しずつ構成を増やしていけば、RustでHeadless CMSを作る仕組みも、無理なく整理できるようになります。











