サーチコンソールで合計クリック数の意味を正しく理解する方法

目次

はじめに

本書の目的

このドキュメントは、Google Search Console(以下、サーチコンソール)の「合計クリック数」について分かりやすく解説することを目的としています。指標の意味や計測の仕組み、表示上のズレが生じる原因、確認方法や活用のポイントまで順を追って説明します。

誰に向けているか

サイト運営者、コンテンツ担当者、SEOを学び始めた方に向けた内容です。専門用語は最小限にとどめ、具体例を交えて説明しますので、初心者でも理解しやすい構成にしています。

本書の構成と読み方

全6章で構成します。第2章で合計クリック数の定義、第3章で確認場所、第4章で関連指標との違い、第5章で合計にズレが出る理由、第6章でサーチコンソールとアナリティクスの差について扱います。まずはこの章で全体像をつかんでください。

第1章 サーチコンソールの「合計クリック数」とは何か

1-1. 合計クリック数の定義

サーチコンソールの「合計クリック数」は、指定した期間中にGoogleの検索結果から自分のサイトへのリンクがユーザーにクリックされた回数の合計を指します。ポイントは次のとおりです。

  • 対象はGoogle検索の結果だけです。他の検索エンジン(Yahoo、Bingなど)は含みません。
  • 1回のクリックを1として数えます。同じユーザーが同じページを何度クリックしても、その回数だけ加算されます。
  • これはサイト全体の訪問数ではなく、あくまでGoogle検索からの流入回数を示す指標です。

具体例:ある記事が検索で表示され、朝に1人がクリックし、昼に同じ人が別の検索からもう一度クリックした場合、合計クリック数は2となります。

1-2. セッション・アクセス数との違い

合計クリック数と、サイトのアクセス数(例:Googleアナリティクスのセッション)は意味が異なります。違いを分かりやすくまとめます。

  • カウントの単位が異なる:合計クリック数は「検索結果でのクリック回数」、セッションは「一定時間内の訪問行動のまとまり」です。
  • 同一ユーザーの扱い:同じ人が複数回検索ページからクリックすると、サーチコンソールはその都度カウントします。アナリティクスでは、短時間に訪問を繰り返すと1セッションとして扱われる場合があります。
  • 計測条件の違い:クリックはユーザーの行動そのものを基準に数えますが、アナリティクスはサイト上でのタグやクッキーに基づきます。そのため、ページが正しく読み込まれなかった場合、アナリティクス側で計測されないことがあります。

例:検索結果でリンクをクリックしたがページ読み込み中に離脱した場合、サーチコンソールはクリックを記録する一方で、アナリティクスはページビューやセッションを記録しないことがあります。

第2章 合計クリック数はどこで確認できるか

2-1. サイト全体の合計クリック数の確認手順

  1. Search Consoleにログインし、該当するプロパティ(サイト)を選びます。
  2. 左側メニューの「検索パフォーマンス」を開き、「検索結果」をクリックします。
  3. 画面上部の指標で「合計クリック数」をオンにします。グラフと数値が表示され、指定期間の合計クリック数がわかります。
  4. 日付範囲を調整すると、特定期間の増減を確認できます。例えば過去3か月に絞ると、季節変動や施策の効果が見やすくなります。

2-2. クエリ別・ページ別のクリック数

  • 画面下部のタブで「クエリ」「ページ」などを切り替えられます。「クエリ」タブは検索キーワードごとのクリック数を示します。例:ある記事に来たユーザーがどの検索語を使ったかが分かります。
  • 「ページ」タブはページ単位のクリック数を表示します。記事やカテゴリ別に効果を比較できます。
  • ページを選択した状態で「クエリ」タブを見ると、そのページに対するキーワード別のクリック数を確認できます。特定ページを改善する際に便利です。
  • 補足:フィルタで国やデバイスを絞り込めます。データはエクスポートも可能で、CSVで分析に使えます。

第3章 クリック数と表示回数・CTRの違い

3-1 表示回数とは

表示回数は、ページがGoogleの検索結果に表示された回数です。ユーザーが実際にクリックしなくてもカウントされます。たとえば検索結果の1ページ目が表示されると、上位1位から10位までのそれぞれのサイトの表示回数が1回ずつ増えます。検索画面に出た回数=”見られるチャンス”と考えると分かりやすいです。

3-2 クリック数との違い

クリック数はユーザーがリンクを実際に押した回数です。表示回数が多くてもクリックされなければ訪問にはつながりません。表示回数は”露出の量”、クリック数は”訪問の量”を示します。たとえば表示回数が100回でクリック数が5回なら、5人が実際にサイトに来たことになります。

3-3 CTRとの関係

CTR(クリック率)は「クリック数 ÷ 表示回数」で求めます。先ほどの例なら5 ÷ 100 = 5%です。表示は多いのにCTRが低い場合は、タイトルやディスクリプション、検索順位、スニペットの見せ方に改善余地があります。改善策としては、魅力的なタイトル作成、要点を伝える説明文、構造化データでリッチスニペットを狙うなどがあります。簡単なABテストで効果を確かめると良いです。

第4章 「合計クリック数」とクエリ別・ページ別合計が合わない理由

4-1. Search Consoleの仕様による非表示データ

Search Consoleはすべてのクエリを一覧で表示するわけではありません。セキュリティや個人情報保護の観点から、極端に少ない検索語や機密性の高いワードは省略・集約されます。例として、画面上の合計クリック数が100件でも、クエリ一覧の合計は90件になることがあります。上段は総計、下段は表示対象のみの合計と考えてください。

4-2. フィルタリングやサンプル処理の影響

日付・ページ・デバイスなどのフィルタを変えると合計が変動します。また内部処理で極小データを「その他」にまとめたり、表示件数の上限で一覧に出ない行があるため、一覧の合計が小さく見えます。例:30日分の合計を表示したときは全件集計でも、特定ページで絞ると一部が非表示になります。

4-3. 結論:合計が合わないのは仕様

上段の合計クリック数と下段の一覧合計が一致しないのは、Search Consoleの設計によるものです。異常表示とは限りません。対策としては、同じフィルタ条件で比較する、CSVやAPIでデータを出力して確認する、期間を広げて確認すると原因が分かりやすくなります。

第5章 サーチコンソールとアナリティクスで数字が合わない理由

はじめに

Search ConsoleとGoogleアナリティクス(以下アナリティクス)は目的が違うため、同じサイトでも数字が一致しないことがよくあります。ここでは主な違いと実務で確認すべき点をやさしく説明します。

5-1 計測対象の違い

Search ConsoleはGoogle検索からのクリックだけを数えます。例えば、検索結果から来た訪問だけが対象です。一方、アナリティクスは直接訪問、SNS、広告、他の検索エンジンなどすべてのチャネルのセッションを計測します。このため、Search Consoleのクリック数とアナリティクスのセッション数が一致しないことが多いです。

5-2 計測方法の違い

Search Consoleは検索クリックをサーバー側で集計しますが、アナリティクスはページ上のJavaScriptが動いたときに計測します。例として、ユーザーがブラウザでJavaScriptを無効にしていると、アナリティクスには記録されませんがSearch Consoleには残ることがあります。

5-3 タイミングと集計の違い

日付の扱いや処理遅延で差が出ます。Search ConsoleはUTCで集計される場合があり、アナリティクスはプロパティ設定によってタイムゾーンが違います。これで同じ日の数字がずれることがあります。

5-4 トラッキングのブロックや参照元の違い

広告ブロックやブラウザの追跡防止、リダイレクトやリンクに付くUTMパラメータの有無でも差が出ます。たとえば検索結果のクリックで途中にリダイレクトが入ると、アナリティクスで参照元が失われる場合があります。

5-5 実務での確認ポイント

・比較する指標を合わせる(Search Consoleのページ別クリックとGAのランディングページを比べる)
・タイムゾーンと期間を同じにする
・UTMやリダイレクトの設定を確認する
・サンプルとして具体的なURLで差を追う

このように、計測対象と方法が異なるため数字が合わないのは自然なことです。違いを理解して、比較のルールを決めると原因が分かりやすくなります。

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