はじめに
イントロダクション
ホームページで使うフォントは、見た目以上に大切です。読み手が内容を理解しやすいか、サイト全体の印象が伝わるか、表示が安定するか、の三つを意識すると選びやすくなります。
3つの基本ポイント
- 読みやすさ：本文は長く読めることを最優先にします。文字の形がはっきりしていて、行間や字間と相性が良いフォントを選びます。
- サイトの印象：ブランドや雰囲気に合わせて見出しやロゴで個性を出します。目立たせたい部分は太めや装飾のある書体を使うとメリハリがつきます。
- 表示の安定性：Webフォントは魅力的ですが、読み込み時間や環境差に注意します。代替フォントの指定も必須です。
本文と見出しの使い分け
本文は読みやすいシンプルな書体、見出しやボタンはやや太めや個性的な書体を組み合わせてください。こうすると視線が自然に誘導されます。
次に
この章は全体の案内です。続く章で具体的な選び方や組み合わせ、技術的な注意点を順に説明します。
基本の考え方
読みやすさを最優先に
本文は読みやすさを第一に考えて、ゴシック体（サンセリフ）を使うのが無難です。例として「游ゴシック」「メイリオ」などがあります。線が安定していて視認性が高く、長い文章でも疲れにくいのが利点です。専門用語は避け、誰でも読める文字を選びます。
見せたい部分は強調する
見出しやロゴ、強調したい箇所には太めや個性のあるフォントを使うとメリハリがつきます。本文と差をつけることで視線が自然に集まり、情報の優先順位が明確になります。あまり多くのフォントを混ぜず、2〜3種に抑えるとまとまりが出ます。
文字の重さ・サイズ・行間のバランス
文字は重さ（太さ）、サイズ、行間の三つで読みやすさが決まります。本文は大きすぎず小さすぎないサイズにし、行間はややゆとりを持たせると読みやすくなります。長い段落は行長（1行の文字数）を適度に保つと視線移動が楽になります。
色とコントラストに気をつける
文字色と背景色の差が小さいと読みづらくなります。特に小さい文字や細い線のフォントではコントラストを強めにします。装飾色はアクセントに留め、本文の可読性を損なわないようにします。
実践の簡単な例
・本文：游ゴシック（標準的な読みやすさ）
・見出し：太めのゴシックや個性的なフォント（視線を引く）
・ロゴ：さらに個性を出すフォントや手描き風を検討
このように、本文は読みやすさ重視、見せる部分は個性重視で使い分けると、全体の印象が整います。
フォント選びのポイント
サイトの目的と雰囲気に合わせる
まず目的を決めます。ビジネス系や公式な印象には明朝寄りで細めの落ち着いた書体（例：游明朝、Noto Serif JP）を選びます。カジュアルや子ども向けは丸ゴシックや太めのゴシック（例：Rounded M+, Noto Sans JP）を使うと親しみやすくなります。
本文と見出しの扱い
本文は読みやすさ重視で16px以上を目安にします。行間は1.4〜1.8倍が読みやすいです。見出しは太さとサイズで強弱をつけ、本文とは別系統のフォントを組み合わせるとメリハリが出ます。
フォントの数と組み合わせ
サイト全体で使う書体は2〜3種類に抑えます。見出し＋本文＋アクセントの組み合わせがおすすめです。相性を見るときは文字の太さと字間、印象（硬い／柔らかい）を合わせます。
装飾フォントと可読性
装飾的なフォントは見出しやロゴに限定します。本文で多用すると読みにくくなります。小さな画面でも読みやすいか必ず確認してください。
実践のチェックポイント
・コントラストが十分か
・太字や大文字で潰れないか
・日本語と英語の混在で違和感がないか
これらを確認して最終決定してください。
実務でよくある組み合わせ
概要
実務では日本語本文に游ゴシックやメイリオ、英数字にNoto SansやRobotoを組み合わせることが多いです。見出しには太めのゴシックや丸ゴシック、英語見出しにはMontserratやPoppinsがよく使われます。
基本の組み合わせ例
- 本文（日本語）: 游ゴシック／メイリオ
本文（英数字）: Noto Sans／Roboto
見出し: 太めのゴシック、またはMontserrat
用途別の実例
- Webサイト: 本文に游ゴシック（line-height 1.6程度）、英数字はNoto Sans。見出しにMontserrat Boldで強調します。
- 印刷物: 本文にメイリオ（可読性重視）、見出しは丸ゴシックで柔らかくします。
- プレゼン: 見やすさ優先で本文は游ゴシック、見出しはPoppinsやMontserratで視線を集めます。
- UI: 英数字中心ならRoboto、和文と混在するならNoto Sans JPを本文に使います。
実務上の注意点
- コントラスト: 見出しは本文より太さやサイズで明確に差をつけます。
- 英数字の見た目: 英数字が細く見える場合はフォントを英字用に切り替えると整います。
- ライセンス: 商用利用の際はフォントライセンスを確認してください。
具体的な組合せはプロジェクトの目的・雰囲気で調整してください。
技術的な注意点
フォントの読み込みと表示方式
フォントは読み込み中に画面が変わらないように設定するとユーザー体験がよくなります。CSSのfont-displayを使い、まずは代替フォントで表示しておき、Webフォントが来たら差し替える（例: font-display: swap）とスムーズです。
ファイル形式とサイズ
可能な限りwoff2を使うとサイズが小さく高速です。日本語のように文字数が多い場合はサブセット化で不要な文字を削ぎ落としてください。可変フォント（variable fonts）はウェイトを多く使う場面でファイル数を減らせます。
フォールバックとスタック
必ずフォントスタックを用意し、汎用ファミリー（serif, sans-serif）を最後に置きます。例: font-family: “Noto Sans JP”, “Helvetica Neue”, Arial, sans-serif;
パフォーマンス改善の実践
・使用するフォントは本文用1種＋見出し用1種に絞る。
・必要ならやpreconnectで先読みを活用する。
配布とライセンス
Webフォントはライセンスを確認してから配布・ホスティングしてください。自前で配る場合はCORSヘッダー（Access-Control-Allow-Origin）を設定します。
アクセシビリティと可読性
小さすぎるウェイトや詰めすぎのトラッキングは可読性を下げます。行間やサイズを調整し、実機で確認してください。
もし具体的に決めたい場合
まず教えてください
業種（例：美容室、士業、ネットショップ）、ターゲット（例：20代女性、ビジネス層）、出したいイメージ（例：落ち着いた、ポップ、高級感）を教えてください。情報があるほど適切な候補を提示できます。
決め方の手順（簡単）
- まず用途を決める（ロゴ、見出し、本文、ボタンなど）。
- 見出しは個性を出すフォント、本文は読みやすさ重視のフォントを選ぶ。見出しと本文で対照を作ると安定します。
- 色や行間と合わせて確認する。実際の画面や印刷でテストしてください。
目的別のおすすめ例
- 美容室／20代女性／ポップ：見出し＝M PLUS Rounded 1c（丸みで親しみやすく）、本文＝Noto Sans JP（読みやすさ重視）。見出しは太め、本文は通常で統一。
- 美容室／30〜40代女性／落ち着いた：見出し＝Hiragino Mincho系（上品な明朝）、本文＝Yu Gothic（やわらかいゴシック）。行間を広めにすると落ち着いて見えます。
- 士業／ビジネス層／信頼感：見出し＝Noto Serif JP（しっかりした明朝）、本文＝Noto Sans JPまたはヒラギノ系。本文は小さめサイズで読みやすく。
- ネットショップ／若年層向け／カジュアル：見出し＝Kosugi MaruやPoppins（英字含む場合）、本文＝M PLUS 1p。ボタンは太めのゴシックで目立たせます。
- ネットショップ／高級感：見出し＝Playfair Displayや明朝系（大文字・太め）、本文＝Noto Sans JPの細め。余白を広く取ると高級に見えます。
実装時の注意
- Webではライセンスを確認し、必要なら代替フォントを用意してください。
- サイズ差、太さ、行間で調整し、複数デバイスで必ず確認してください。
気になる業種・ターゲット・イメージを教えていただければ、具体的なフォント名と使い方をさらに絞ってご提案します。
