はじめに
調査の目的
本調査は、ホームページ制作にかかる費用の“見通し”を分かりやすく示すことを目的としています。規模別やページ数別、依頼先ごとの違いを整理し、実際に予算を決める際の参考にしていただけます。
調査の範囲
対象は個人事業主や中小企業、店舗のコーポレートサイトや簡易なECサイトなど、実務でよくあるケースです。デザインの複雑さやCMS導入、運用費など多面的に費用要素を扱います。
想定する読者
これから制作を依頼する方、予算を見直す担当者、見積もりを比較したい方が主な読者です。専門知識がなくても理解できるよう、具体例を交えて説明します。
本書の使い方
各章は独立して読みやすく構成しました。まず第2章の相場を確認し、続けて自分のサイトに近い章を参照すると予算感がつかめます。
ホームページ制作費用の相場【2025年最新版】
概観
ホームページ制作費は、規模やデザイン、機能、依頼先で大きく変わります。ここでは一般的な目安を示します。個人向けは10万円〜30万円、中小企業向けは30万円〜100万円、大規模サイトは100万円以上が目安です。
規模別の目安
- 個人・小規模（名刺代わりのサイト、1〜5ページ）: 10万円〜30万円。テンプレートを使い、簡単な問い合わせフォームを含みます。
- 中小企業（コーポレート、採用情報、10〜20ページ）: 30万円〜100万円。オリジナルデザインやCMS導入が一般的です。
- 大規模（会員機能やEC、多言語対応）: 100万円以上。設計や開発に時間がかかり、外部連携も増えます。
費用に影響する主な要素
デザインの複雑さ、ページ数、CMSの有無、ECや会員機能、独自システム開発、写真や文章作成などが挙げられます。例えば、撮影やライティングを依頼すれば数万円〜数十万円が追加になります。
見積り時のポイント
複数社から見積りを取り、項目ごとに内訳を確認してください。納期や保守費用、追加作業の単価を明確にしておくと、後で費用が膨らむのを防げます。
規模別の費用相場
個人向けサイト（目安：10万円〜30万円）
- 想定：シンプルな構成（トップページ、プロフィール、ブログ、問い合わせフォーム）
- 特徴：テンプレート利用やデザイン簡易化で費用を抑えられます。例：ポートフォリオ、個人ブログ、フリーランスの紹介ページ。
中小企業向けサイト（目安：30万円〜100万円、機能ありは60万〜100万円）
- 想定：会社概要、サービス紹介、採用、問い合わせフォーム、SSLや簡単なSEO対策
- ECや会員機能がある場合：決済・商品管理・会員管理の構築で費用が上がり、60万〜100万円が目安です。例：小売店のオンライン販売、中小事業者の会員向けサービス。
大規模サイト（目安：100万円〜300万円以上）
- 想定：多機能、システム連携、専用CMS、カスタム開発、大量のコンテンツやユーザー管理
- 特徴：外部システムとの連携（在庫管理、基幹システム、API連携）や専任のセキュリティ対策で費用が高くなります。例：大規模EC、会員制サービス、大手企業のコーポレートサイト。
費用が変わる主な要因
- 機能の数と複雑さ：決済、会員、検索、API連携などはコスト増
- デザイン：オリジナルデザインは高め、テンプレートは安価
- コンテンツ量：ページ数や画像、動画の準備に工数がかかる
- 保守・運用：月次の更新やバックアップ、セキュリティ対応で継続費用が発生
依頼時のポイント
- まず必要な機能を明確にして見積りを取る
- 段階的に機能を追加する計画を立てると初期費用を抑えられます
- 複数社の見積りを比較し、納期やサポート内容も確認してください。
ページ数別の費用目安
基本の目安
ページ数ごとの一般的な費用目安は次の通りです。具体的な内訳は後述します。
– 5ページ：30万円〜50万円（例：トップ、会社案内、サービス、事例、お問い合わせ）
– 10ページ：50万円〜70万円（例：上記＋ブログ／詳細サービスページ）
– 20ページ：70万円〜100万円（例：サービスごとの詳細、FAQ、採用情報など）
– 50ページ以上：100万円以上（商品一覧や多くのコンテンツを含むサイト）
なぜページ数で費用が変わるのか
ページが増えると、単純に作業量が増えます。原稿作成やデザイン調整、画像加工、内部リンク設計が増え、SEO対策もページごとに手を入れる必要があります。また、テンプレート化できない細かなレイアウトが多いと工数が跳ね上がります。
コストを左右する具体的要素
- 原稿の有無：原稿を用意すればライティング費用が減ります。
- 画像・動画：撮影や素材購入があると追加費用になります。
- 機能：フォーム、会員機能、予約などがあると高くなります。
- レスポンシブ対応：スマホ最適化は必須で、ページ数に比例して工数が増えます。
費用を抑える実務的な工夫
- 共通テンプレートを作りページを量産する
- 優先度の高いページから制作する（最小構成で公開）
- 原稿と素材を自社で用意する
見積りを依頼する際の確認ポイント
- 「何ページ」をどう定義しているか（一覧ページは1ページか複数か）
- 含まれる作業範囲（デザイン、コーディング、画像加工、SEO）
- 納期と修正回数
これらを明確にすると、無駄な費用を抑えて適正な見積りを得られます。
サイト種別による費用相場
概要
サイトの目的や機能によって費用は大きく変わります。ここでは代表的なサイト種別ごとの相場と、費用に影響する主な要因を分かりやすく説明します。
各サイトの相場と特徴
- 企業・コーポレートサイト：30〜150万円
- 会社情報や採用情報、簡単な問い合わせフォームが中心です。デザインを凝ると費用が上がります。
- 店舗・サービス紹介サイト：30〜150万円
- メニューや予約機能を追加すると費用増。写真撮影や地図連携も別途費用がかかる場合があります。
- ランディングページ（LP）：20〜50万円
- 単一ページで訴求するため比較的安価です。フォームやA/Bテスト、アニメーションを加えると費用が上がります。
- ECサイト：50〜300万円
- 商品数や決済・在庫管理の有無で幅が大きくなります。カート機能、配送設定、会員機能で費用増。
- オウンドメディア：30〜100万円
- 記事投稿やカテゴリ管理が必要な場合、CMS導入で費用が上がります。検索や表示速度対策も影響します。
- ポータルサイト：50〜300万円
- 多数のユーザーや掲載情報を扱うためシステム設計が複雑になり、費用が高くなる傾向です。
費用を左右する主な要因
- デザインの凝り具合、ページ数、独自機能の有無
- CMS導入、決済連携、会員管理、外部サービス連携
- 制作会社の規模や専門性、保守契約の有無
コストを抑えるコツ
- 必要な機能を優先順位付けして段階導入する
- テンプレートを活用しデザイン費を削減する
- 複数社から見積りを取り比較する
目的に合った機能を明確にすると、無駄な費用を避けやすくなります。
依頼先別の費用相場
概要
依頼先によって費用は大きく変わります。目安は以下の通りです。
目安（税込・概算）
- フリーランス・個人：10万円〜30万円
- 低価格帯制作会社：30万円〜100万円
- 中堅〜大手制作会社：100万円〜300万円
- 自作（CMSテンプレ・独自構築含む）：約3万円〜
自作の金額にはサーバー代、ドメイン代、有料テーマやプラグインの費用を含みます。
価格を左右する主な要素
- デザインの細かさ（テンプレか完全オリジナルか）
- 機能（お問い合わせフォーム、会員制、ECなど）
- ページ数・コンテンツ制作（文章・写真）
- 納期の短さや修正回数
- 保守・運用の有無
依頼先ごとの特徴と選び方
- フリーランス：柔軟で費用を抑えやすい。実績やコミュニケーション力を確認してください。
- 低価格会社：制作の手順が確立しており短納期が多い。テンプレ利用が中心になります。
- 中堅〜大手：要件定義やデザイン、運用体制が整っています。信頼性とサポート重視の方向けです。
- 自作：コスト最小だが手間がかかります。更新やセキュリティは自分で管理してください。
依頼時のチェック項目
- 見積の内訳（デザイン、コーディング、CMS、保守）
- 過去の制作事例とレビュー
- 納期と修正回数のルール
- 保守費用の有無と範囲
これらを比較して、自分の目的と予算に合った依頼先を選んでください。
デザイン別の費用相場
概要
デザインの違いで費用は大きく変わります。一般的な相場は次の通りです。
- テンプレート利用：5〜50万円（そのまま使うか、簡単な色・写真差替え）
- テンプレートカスタム：30〜180万円（レイアウト調整や一部オリジナル要素追加）
- オリジナルデザイン：50〜100万円（フルカスタムのビジュアルと設計）
- ECサイト（デザイン含む）：50〜100万円（商品点数や機能で増減）
費用が上がる主な要因
- ページ数やコンテンツ量が多い
- レスポンシブ対応や複雑なアニメーション
- オリジナルイラストや写真撮影を行う場合
- ブランド設計や詳細なデザインガイド作成
- 修正回数やミーティングが多い
例えば、テンプレートでも多数のページをカスタムすると費用はテンプレートカスタムの範囲に入ります。したがって最初に望む範囲を明確にしてください。
依頼時のチェックポイント
- どの範囲までデザインするか（トップのみ／全ページ）
- スマホ表示の優先度
- 納品物（デザインデータ、スタイルガイド、素材）
コストを抑える方法
- テンプレートをベースに色・写真を調整する
- 優先ページだけオリジナルにする
- ストック素材を活用する
デザインは見た目だけでなく工数が直結します。目的と予算を明確にして、必要な範囲に投資してください。
CMS導入時の費用
概要
WordPressなどのCMSを導入する際の初期費用は、目安として30万円〜150万円です。デザインのカスタマイズや機能追加、データ移行が多いほど費用は上がります。運用や記事制作も継続費用として発生します。
初期構築の内訳（主な項目）
- 要件定義・設計：サイト構成や管理権限の設計。数万円〜数十万円。
- デザイン実装：テンプレートの流用は安く、フルカスタムは高くなります（テンプレートカスタマイズで数十万円、フルデザインで100万円前後のことも）。
- 開発・機能実装：プラグイン導入やカスタム機能（会員管理、決済、検索など）。数万円〜数十万円。
- データ移行・テスト：既存サイトからの移行や多機種テスト。数万円〜数十万円。
- ライセンス・外部サービス費用：有料プラグインやAPIの利用料。
維持・運用費（目安）
- サーバー・ホスティング：月500円〜数万円（共有〜専用・クラウド）
- 保守・セキュリティ更新：月1万円〜5万円程度（更新頻度やサポート範囲で変動）
- コンテンツ作成・更新：記事1本あたり5,000円〜30,000円など。
- バックアップ・監視：別途月額費用がかかる場合があります。
カスタマイズと追加機能の費用例
- 多言語対応：20万円〜（翻訳費用は別）
- EC機能（小規模）：30万円〜（決済連携や受注管理含む）
- API連携・会員制：50万円〜
見積り時のチェックポイント
- 更新頻度と担当者数を伝える（運用負荷で費用が変わります）
- 必要な機能を優先順位で整理する
- 将来的な拡張性（追加ページ・機能）を確認する
価格帯の目安
- 小規模サイト：30万円〜60万円（テンプレート寄り、簡単なカスタム）
- 中規模サイト：60万円〜120万円（デザイン調整・複数機能）
- 大規模サイト：120万円〜150万円（複雑な機能・高い保守性）
要件次第で差が出ます。依頼前に目的と更新体制を明確にすると、適切な見積りを受けやすくなります。
運用・保守費用
概要
ホームページの運用・保守費用は、サーバー代・ドメイン代・保守費に分かれます。目安はサーバー月額1,000〜5,000円、ドメイン年額1,000〜3,000円、保守費月額1万〜5万円。年間では約10万〜50万円が一般的です。
内訳と何に使うか
- サーバー代：サイト公開のための家賃に相当します。アクセス量やバックアップ自動化で差が出ます。
- ドメイン代：サイトの住所に当たる費用。種類（.com/.jp等）で変動します。
- 保守費：更新作業、セキュリティ対策、CMSやプラグインの定期アップデート、簡単な修正対応などを含みます。
費用に影響するポイント
- トラフィック量や画像・動画の多さでサーバー料金が上がります。
- 電子決済や会員機能などのあるサイトは保守範囲が広く、費用も高めになります。
- SLA（稼働保証）や対応時間帯（24時間対応かどうか）で料金が変わります。
コスト削減の工夫
- 不要な高スペックを避け、アクセス実績に合わせてプランを選ぶ。
- 自社で簡単な更新を行えるように運用ルールやマニュアルを整備する。
- 小規模なら共有サーバー＋年次チェックで十分な場合もあります。
予算の立て方とチェックリスト（例）
- 月次：サーバー代、保守費、定例レポート
- 年次：ドメイン更新、SSL更新、年1回の総点検
- 緊急費用：障害対応用に予備1〜2ヶ月分を確保してください。
例（目安）
- 小規模サイト：年間10万前後（共有サーバー＋最低限の保守）
- 成長中サイト：年間20〜40万（専用プランや頻繁な更新対応）
運用費は長期視点で見ると重要な投資です。定期的な見直しで無駄を減らし、必要な安全対策を維持してください。
テンプレート利用時の費用
料金体系
テンプレートには主に「月額タイプ」と「買い切りタイプ」があります。月額は1,000円〜5,000円が一般的で、買い切りは1万円〜3万円が多いです。月額は更新やサポート込みのものが多く、買い切りは初期費用だけで長く使えます。
選び方のポイント
- 予算重視なら買い切りが有利です。例えば1万円のテンプレなら、3年で使えば月額より割安になります。
- 定期的に機能追加やサポートが必要なら月額がおすすめです。月1000円でも年で見るとサポート代になります。
導入の流れ（簡単）
- デザインを選ぶ
- 購入または契約する
- コンテンツを入れて公開する
注意点
- テンプレートはカスタマイズ性に差があります。独自性を求める場合は改修費用が別にかかります。
- ライセンス条件を確認してください。商用利用や複数サイトでの利用制限がある場合があります。
