はじめに
ご挨拶
本書を手に取っていただき、ありがとうございます。本ドキュメントは、CMS（コンテンツ管理システム）について基礎からわかりやすく解説することを目的としています。
本ドキュメントの目的
CMSの意味や仕組み、主な機能を理解し、自分の用途に合った選び方ができるように構成しています。たとえば、ブログ運営、会社のコーポレートサイト、商品を並べる簡単なネットショップなど、実際の利用シーンを想定して説明します。
誰に向けているか
技術者でない方、初めてCMSに触れる方、中小企業の担当者やフリーランスの制作担当者など、幅広い読者を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
本書で扱うこと
全体は4章構成です。第1章は本書の導入、第2章でCMSの基本、第3章で代表的な製品例、第4章で種類と特徴を解説します。各章で実際の使い方や選び方のヒントも示します。
読み方のポイント
まず全体をざっと読み、気になる章を詳しく読むと効率的です。実際にサイトを作る場面では、目的（情報発信、販売、会員管理など）を明確にしてから該当章に進んでください。
第1章 CMSとは何か？基本の意味と仕組み
概要
CMS（コンテンツ管理システム）は、Webページや記事を専門知識がなくても作成・編集・公開できる仕組みです。管理画面で文字や画像を配置し、公開日時を設定できます。ブログや企業サイト、ニュースサイトでよく使われます。
仕組み（簡単に）
CMSは「コンテンツ（文章や画像）」と「デザイン（テンプレート）」を分けて管理します。内容はデータベースやファイルに保存され、表示時にテンプレートと組み合わせてページを作ります。そのため、デザインを変えても本文はそのまま使えます。
主な機能
- 記事編集：エディタで文章を作れます。
- メディア管理：画像やファイルをアップロードして管理できます。
- 公開管理：公開日時や非公開設定ができます。
- ユーザー権限：編集者や管理者など役割を分けられます。
- 拡張性：プラグインやテーマで機能を追加できます。
導入のメリット
更新作業が簡単になり、情報発信のスピードが上がります。外部の人に編集を任せやすく、運用コストを下げられます。小さなサイトから大規模サイトまで柔軟に使えます。
第2章 代表的なCMSの例（日本・世界でよく使われるもの）
はじめに
代表的なCMSを実例で紹介します。用途や運用体制に合わせて選べるよう、特徴を分かりやすくまとめました。
WordPress（世界的に普及）
世界シェアNo.1のオープンソースCMSです。ブログから企業サイト、ECまで幅広く使えます。テーマとプラグインが豊富で、デザインや機能を手軽に追加できます。コミュニティが活発で情報も多く、初心者にも始めやすいです。
国産CMS（Movable Type、PowerCMS、ShareWithなど）
日本語対応や企業向けのサポートが強みです。企業サイトや高いセキュリティが求められる場面で選ばれることが多いです。運用サポートやカスタマイズ窓口があるため、社内に専門家がいない場合も安心です。
クラウド型CMS（Blue Monkey、Jimdoなど）
サーバー管理が不要で、短期間で公開できます。テンプレート中心の手軽さが魅力で、小規模ビジネスや個人に向きます。自由度はやや低い反面、運用コストや保守負担を抑えられます。
商用・SaaS型（HubSpot CMS、Shopifyなど）
マーケティング機能やCRM連携、決済機能が組み込まれている点が特徴です。サポートが充実し、導入後の運用がスムーズです。費用は高めですが、ビジネス用途での効率化に向きます。
ノーコード／ヘッドレス（microCMS、Studioなど）
APIでコンテンツを配信するため、アプリや複数サイトへ同じデータを使えます。ノーコードで編集できるサービスも増え、デザイナーや非エンジニアが扱いやすいです。フロント部分を自由に作り込める点が魅力です。
選び方のポイント
目的（ブログ、企業、EC）、予算、運用体制、技術力、将来の拡張性を基準に比較してください。試用版やデモを使って操作感を確かめることをおすすめします。
第3章 CMSの主な種類と特徴（オープンソース／商用／クラウド／ヘッドレス）
はじめに
ここでは代表的な4つのタイプをわかりやすく解説します。目的や運用体制に合わせた選び方のポイントも示します。
オープンソース型CMS
特徴：ソースコードが公開され、無償または低コストで利用できます。代表例はWordPressやDrupalなど。
長所：初期費用を抑えられ、拡張やカスタマイズがしやすいです。コミュニティのプラグインが豊富で学習資料も多いです。
短所：保守やセキュリティ対策を自分で行う必要があります。技術者の手配が必要になる場合があります。
向くケース：小〜中規模サイト、柔軟なデザインや機能追加を重視する場合。
商用CMS
特徴：企業が提供する有料のCMSです。サポートや保証が付くことが多いです。
長所：導入支援や定期的なセキュリティ対応、運用サポートが受けられます。
短所：ライセンス費用やカスタマイズ費用がかかりやすいです。
向くケース：運用体制を整えたい企業、ミッション重要なサイト。
クラウド型CMS
特徴：インターネット経由で使うSaaS型です。サーバ管理が不要で、短期間で導入できます。
長所：スケーラビリティに優れ、運用負担が小さいです。
短所：継続的な利用料と、サービスに依存する制約があります。
向くケース：初めてCMSを導入する団体や、運用リソースを抑えたい場合。
ヘッドレスCMS
特徴：コンテンツ管理（バックエンド）と表示（フロントエンド）を分離し、APIで配信します。
長所：スマホアプリやIoTなど多様な端末へ同じコンテンツを配信しやすく、表示の自由度が高いです。
短所：フロント開発が別途必要で、導入に技術力を要します。
向くケース：複数チャネルでコンテンツを使う大規模なプロジェクト。
選び方のポイント
- 予算と維持コスト
- 運用体制（社内で保守できるか）
- 必要な柔軟性や拡張性
- 他システムとの連携の有無
目的を明確にすると適したタイプが見えてきます。
