はじめに
概要
本記事はGoogleアナリティクス4(GA4)で使われる「直帰率」について、基礎から実務で役立つ確認・改善方法までを分かりやすく解説します。全8章で、定義・計算・従来版との違い・確認手順・原因と改善・離脱率との違い・平均目安までカバーします。
読者想定
- ウェブサイト運営者
- マーケティング担当者
- GA4の見方を学びたい方
専門的な前提は不要で、初めての方でも理解できるよう説明します。
本章の目的
この「はじめに」では、まず本シリーズの目的と読み進め方を示します。以降の章で具体例や画面操作を示し、実務で使える知識を提供します。
直帰率を学ぶ意義
直帰率はユーザーが最初のページだけ見て離脱した割合を示す指標で、サイトの導線やコンテンツの魅力を評価する上で有効です。GA4では指標の扱いが変わるため、正しく理解することが重要です。
読み方の目安
各章は短く実践的にまとめます。まずは第2章でGA4における直帰率の定義を確認してください。
GA4における直帰率の定義
概念
GA4では「直帰率」は、エンゲージメントが発生しなかったセッションの割合と定義します。単に1ページだけ見て離脱したかどうかではなく、利用者の行動を総合的に見ます。
エンゲージメントセッションの条件
エンゲージメントがあったとみなす条件は次のいずれかです。
– 滞在時間が10秒以上
– 2ページ以上を閲覧
– コンバージョン(目標とするイベント)が発生
これらの条件を満たさないセッションが直帰にあたります。
具体例
- 1ページだけ見て5秒で離脱:直帰
- 1ページでボタンを押してコンバージョン成立:直帰ではない
- 記事をじっくり読んで12秒滞在:直帰ではない
実務でのポイント
この定義は、短時間でも重要な操作があれば直帰としない点が特徴です。したがって、単純なページビュー数だけで評価せず、目的に合わせたイベント計測を整えることが大切です。
GA4の直帰率の計算方法
概要
GA4の直帰率は、意味のある行動がなかったセッションの割合を示します。分析ではエンゲージメントの有無を基準にしており、単にページが開かれただけのセッションを識別できます。
計算式
直帰率(%) = エンゲージメントが発生しなかったセッション数 ÷ セッション総数 × 100
エンゲージメント率(%)と逆数の関係にあり、直帰率(%) = 100% − エンゲージメント率(%)です。
具体例
セッション総数が12,000で、エンゲージメントなしのセッションが4,500の場合。
直帰率 = 4,500 ÷ 12,000 × 100 = 37.5%
何がわかるか
この計算により、ユーザーが意味のある行動を取った割合が分かり、コンテンツや導線の改善点が見えます。
注意点
GA4では「エンゲージメント」をどのイベントで判定するか設定により変わります。設定を確認してから数値を比較してください。
UA(従来版)とGA4の直帰率の違い
定義の違い
- UA:直帰率は「セッション中に1ページしか見なかった割合」です。ページビュー中心の指標です。
- GA4:直帰率は「エンゲージメントが発生しなかったセッションの割合」に置き換わります。滞在時間や複数ページ閲覧、イベントやコンバージョンを基に評価します。
評価軸の違い
UAはページの閲覧数でサイトの評価を行います。一方GA4はユーザーの行動を重視します。具体的には滞在時間(一定秒以上)、スクロール、クリックなどの行動が「エンゲージメント」としてカウントされます。
実務での影響(具体例)
- 情報ブログ:目次で十分に目的が達成される場合、UAでは直帰率が高く出ますがGA4では滞在時間やスクロールで評価が改善する可能性があります。
- ECサイト:購入に至らず複数ページを見ればUAの直帰率は下がりますが、GA4はコンバージョンやイベントを重視するため行動の質を示せます。
運用上の注意点
- 両指標を直接比較しないでください。測り方が異なるため数値は一致しません。
- 移行時はエンゲージメントの定義を確認し、必要なイベントを設定してください。そのため分析軸を目的に合わせて見直すことをおすすめします。
GA4での直帰率の確認方法
はじめに
GA4の標準レポートには直帰率がすぐに表示されません。確認するには「探索」機能を使うか、レポートをカスタマイズして指標を追加します。ここでは手順を分かりやすく説明します。
探索(Explore)での確認手順
- 左メニューの「探索」を開き、「空白の探索」を作成します。
- 右側のパネルで「指標」をクリックし、「セッション」と「直帰率」をインポートします。
- 「ディメンション」から「デフォルトチャネルグループ」「ページパス」「ランディングページ」など分析したい軸を追加します。
- ディメンションを行(Rows)に、直帰率を値(Values)にドラッグします。表示形式を「表」にします。
- 期間やセグメントで絞り込み、チャネル別やページ別の直帰率を確認します。
具体例:チャネル別にすると「Organic Search」「Direct」「Referral」ごとの直帰率が見られます。ランディングページ軸にすれば、どのページで離脱が多いかが分かります。
レポートのカスタマイズで追加する方法
- 左メニューの「レポート」から対象のレポートを開き、右上の「編集レポート」または「レポートをカスタマイズ」を選びます。
- 「指標を追加」や「編集」で直帰率を選び、保存します。
- 保存したカスタムレポートで同様にチャネルやページごとの直帰率を確認できます。
※手順はGA4のバージョンや権限で表示が多少異なる場合があります。
確認時の注意点
- サンプル数が少ないと直帰率が変動しやすいので、十分な期間で確認してください。
- ページに自動イベント(スクロールや測定タグ)が入ると直帰率は下がります。計測設定を理解した上で比較してください。
- 指標名や日本語訳が変更されることがあるので、見つからない場合は英語表記(bounce_rate)を探すと見つかることがあります。
直帰率が高い場合の主な原因と改善策
はじめに
直帰率が高いときは、訪問者がページで目的を果たせていない可能性があります。以下に主な原因と具体的な改善策を分かりやすく説明します。
主な原因
- ページ内容が期待と異なる
- 広告や検索結果の説明と実際の内容がずれているとすぐ離脱します(例:商品説明が薄い)。
- 表示速度が遅い
- 大きな画像や余分なスクリプトで読み込みが遅れると待てずに離脱します。
- モバイル対応が不十分
- スマホで文字が小さい、ボタンが押しづらいと使いづらいです。
- CTA(行動喚起)が弱い
- 次に何をすべきか分かりにくいと行動が止まります(例:購入ボタンが目立たない)。
- デザインや導線が分かりづらい
- 関連記事や問い合わせへの導線が無いと滞在が短くなります。
改善策(具体例)
- ページ内容を見直す
- 見出しと導入で期待を合わせ、要点を簡潔に伝えます。
- 表示速度を改善する
- 画像を圧縮、不要なプラグインを削除、ブラウザキャッシュを利用します。
- モバイルフレンドリーにする
- レスポンシブデザイン、ボタンサイズの調整、余白の確保を行います。
- 明確なCTAを配置する
- シンプルな文言、目立つ色、画面上部にも配置して誘導します。
- 導線を強化する
- 関連記事、人気コンテンツ、内部リンクを目立たせて回遊を促します。
GA4での注意点
GA4は従来と計測方法が変わり、滞在の質をより重視します。改善策を施し、イベントで実際の行動(クリック・スクロール)を計測すると効果が分かりやすくなります。
離脱率との違い
定義の違い
- 直帰率(GA4): セッション開始直後にエンゲージメントが発生せずに離脱したセッションの割合です。簡単に言うと「来てすぐ何もしない」で帰った割合です。
- 離脱率: 特定のページを最後にサイトを離れた回数を、そのページの表示回数で割った割合です。ページごとの“最後のページ”の割合を示します。
GA4での計算の違い(簡潔に)
- 直帰率 = 非エンゲージメントセッション / 全セッション(GA4ではエンゲージメント率の逆数で表せます)。
- 離脱率 = そのページの離脱数 / ページビュー数。
使い分けと分析のコツ
- 直帰率はランディングページやサイト全体の第一印象を評価するときに見ます。ユーザーが初動で離れていないかを確認します。
- 離脱率はページごとの問題発見に有用です。特に閲覧の最後に離脱が集中するページは導線やコンテンツに課題がある可能性があります。
具体例で理解する
- 広告から来たランディングページで多くがすぐ離れる→直帰率が高い。ページ内容や訴求が合っていない、読み込みが遅いなどが疑われます。
- カート完了ページは離脱率が高くても問題にならないケースが多い。購入完了が最終アクションだからです。
実務的な指針
- 両方を併用して判断します。ランディングで直帰が高ければ入口改善、特定ページで離脱が高ければ導線やコンテンツを見直します。
- イベント(スクロール、クリック、フォーム送信)を正しく設定すると、直帰と離脱の解釈が明確になります。
直帰率の平均目安
概要
直帰率の平均は業種やサイトの目的で大きく変わります。一般的な目安は40%〜60%ですが、GA4の定義変更で従来より数値が低く出やすくなっています。自社の目的や業界平均と比べながら判断してください。
業種別のイメージ(目安)
- ブログ・ニュース:60%〜80%(情報閲覧だけで離脱しやすい)
- EC(物販):20%〜40%(複数ページを回遊しやすい)
- コーポレート/B2B:40%〜60%(問い合わせ前に情報確認が多い)
- ランディングページ:50%〜70%(一つの目的で訪問するため直帰しやすい)
実務での使い方
まず自社の過去データや業界平均と比較します。ページ単位や流入元(検索・広告・SNS)、デバイス別に見ると改善点が分かります。指標が高い場合は読み込み速度改善、導線整理、CTAの明確化、内部リンクや関連記事の導入を検討してください。
GA4での注意点
GA4は「エンゲージメント」を基に計算するため直帰率が下がる傾向があります。したがって、単純な数値比較で一喜一憂せず、コンバージョンや滞在時間と合わせて見てください。












