はじめに
本資料の目的
この資料は、パソコンとスマートフォンの両方で見やすく、使いやすいホームページを作るための基本と実践をわかりやすくまとめたガイドです。これから作成や運用を始める方、既にサイトを持っていて見直したい方に向けています。
ここで学べること
- モバイルファーストの考え方と、なぜ対応が重要か
- レスポンシブデザインの基本とメリット
- 初心者向けの作成ツールや有料・無料サービスの使い分け
- SEO対策や表示確認の手順、よくあるトラブルと対処法
読み方のポイント
各章は実践的に使える手順やチェックリストを中心に構成しました。専門用語は最小限に抑え、例を交えて説明します。まずは第2章で「なぜ対応が必要か」を確認してください。
パソコンとスマホ対応の重要性
モバイルファーストインデックスとは
Googleなどの検索エンジンは、スマホ向けのページ内容を優先して評価します。つまり、パソコン用ページだけ充実していても、スマホで見た内容をもとに検索順位が決まることがあります。
検索順位への影響
スマホ表示が不十分だと、検索結果での評価が下がるリスクがあります。ページの表示速度や見やすさ、主要コンテンツの有無が評価対象です。結果としてアクセス数が減る可能性があります。
ユーザー体験（UX）と離脱率
スマホで文字が小さい、ボタンが押しにくい、レイアウトが崩れると離脱が増えます。離脱が増えると滞在時間や回遊率が下がり、結果的に検索評価へ悪影響を及ぼします。
集客・コンバージョンへの影響
スマホからのアクセスで購入や問い合わせがしにくければ、コンバージョン率が落ちます。反対に使いやすければ、流入を売上につなげやすくなります。
実際の具体例
・写真が大きすぎて読み込みに時間がかかる→表示速度低下
・文字が小さく拡大が必要→離脱増加
これらは簡単な調整で改善できます。
優先順位と簡単チェックリスト
- レスポンシブ対応か確認
- 表示速度（画像圧縮、不要スクリプト削減）を改善
- ボタンやリンクは指で押しやすいサイズに
- 主要コンテンツがスマホでも見えるか確認
- 実機での表示確認を行う
これらを優先して整えることで、検索評価とユーザー満足度の両方を高められます。
スマホ対応ホームページの作成方法
準備
まずレンタルサーバーと独自ドメインを用意します。初心者はレンタルサーバーの申し込み画面で独自ドメインを同時に取得できるサービスを選ぶと手続きが簡単です。
CMSや作成サービスの選び方
WordPressは柔軟で拡張性が高いです。ペライチやWixは操作が直感的で短時間で公開できます。目的に合わせて選びます（ブログ中心ならWordPress、簡単な店舗紹介ならペライチなど）。
テンプレート選択とカスタマイズ
レスポンシブ対応と明記されたテンプレートを選びます。ヘッダー・ナビ・ボタンの配置を確認し、色やフォントを統一します。ヒーロー画像やCTA（行動を促すボタン）を目立たせると効果的です。
テキストと画像の差し替え
見出しは簡潔にし、段落を短くします。画像は幅を抑えたJPEG/PNGを使い、ファイルサイズを小さくします。画像には代替テキスト（alt）を設定します。
レスポンシブ確認
ブラウザの表示切替や実機での確認を行います。表示崩れがあればテンプレート設定で列の表示順や余白を調整します。表示速度は重要なので画像圧縮や不要なプラグインの削除を心がけます。
公開後の基本作業
SSL（https）を有効にし、定期的にバックアップを取ります。コンテンツはスマホで読みやすいか定期的に見直します。
デバイスごとの調整と専門ツールの活用
はじめに
パソコン、タブレット、スマホでは画面サイズや操作方法が違います。見やすさと使いやすさを高めるため、表示や操作をデバイスごとに調整しましょう。
デバイス別の基本調整
- 文字サイズ：PCは16〜18px、タブレットは15〜17px、スマホは14〜16px目安にします。読みやすさを優先して調整してください。
- ボタン・リンク：スマホは指で操作するため、ボタン高さは最低44px、左右の余白も確保します。
- 行間・余白：狭い画面では行間を広めに取り、詰めすぎないようにします。
レイアウトと文字サイズの調整例
- カラム数：PCは2〜3列、スマホは1列にして縦に並べます。画像は横幅100%にして自動で縮小します。
- 優先順位：重要な情報を上に配置し、補足は折りたたむか別ページに回します。
コンテンツの出し分け（表示切替）
多くのサービスはデバイスごとに表示を切り替えられます。例：スマホだけに電話ボタンを表示、PCでは詳細な表を見せる、などです。ユーザー行動に合わせて出し分けると効果的です。
専門ツールの活用例
- ペライチ：PC・タブレット・スマホごとに文字サイズやレイアウトを細かく調整でき、コンテンツの出し分けが可能です。直感的な操作で編集しやすいです。
- おりこうブログ（企業向け）：全ページを自動でスマホ対応化し、モバイルフレンドリーテストに合格する設計です。スマホやタブレットから直接編集もでき、更新が楽になります。
運用時の注意点
- 変更後は必ず実機で確認してください。表示だけでなく動作もチェックします。
- 重要な情報を隠すと検索やユーザーに不利になります。SEOや導線を意識して出し分けてください。
- 表示速度にも気をつけ、画像は適切に圧縮します。
パソコンとスマホで別々に作る場合の注意点
概要
PCサイトとスマホサイトを別々に作ると、デザインの自由度が高く、スマホ専用の導線や機能を実装しやすくなります。一方で、管理や運用に注意が必要です。
主な注意点
- コンテンツの整合性：文章や価格、キャンペーン情報が異なるとユーザーに混乱を招きます。更新は両方で行う運用ルールを決めましょう。
- URL設計とリダイレクト：PC用とスマホ用で別ドメイン（例：example.com と m.example.com）や別パスを使うときは、適切なリダイレクトとcanonicalタグを設定してください。検索エンジンや共有リンクでの混乱を防げます。
- 分析と計測：アクセス解析はデバイスごとに分かれがちです。同一ユーザーの計測が難しくなるため、計測設計を事前に整えてください。
実務上の工夫
- 共通の管理画面を使う：CMSでコンテンツを共通化できれば更新負荷が下がります。
- テンプレートの流用：PC向けデザインを元にスマホ専用テンプレートを作ると工数が減ります。
- 検出方法に注意：ユーザーエージェント判定は誤検出が起こりやすいです。可能ならレスポンシブかサーバーサイドのより堅牢な判定を検討してください。
最後に
運用負担とデザインの自由度を比べ、規模や更新頻度に応じて別作成を選びましょう。必要なら段階的に移行する計画を立てると負担が軽くなります。
検索エンジン対策（SEO）のポイント
はじめに
Googleはレスポンシブ（パソコン・スマホで同じURL）をモバイルフレンドリーと評価し、推奨しています。スマホ対応していないページは検索順位が下がることがあるため、全ページの対応が必要です。
重要なチェック項目と対策
- 表示速度：画像を圧縮し、不要なスクリプトを減らします。例）JPEGやWebPに変える。
- ビューポート設定：meta viewportを設定して画面幅に合わせます。
- タップしやすさ：ボタンやリンクの間隔を広げ、指で押しやすくします。
- フォントと行間：小さすぎない文字サイズ（例：16px以上）と読みやすい行間にします。
- ブロッキング要素回避：ポップアップが検索評価を下げる場合があります。重要な情報はページ内に置きます。
ツールと定期確認
- モバイルフレンドリーテストで合格するか確認します。
- PageSpeed Insightsで速度とCore Web Vitalsをチェックします。
- サーチコンソールでモバイルの問題通知を定期確認します。
よくある問題と対処例
- 画像が大きく遅い → 画像のサイズを縮小し遅延読み込みを使う。
- レイアウトが崩れる → CSSのメディアクエリで要素を並び替える。
定期的にチェックし、小さな修正を積み重ねることが検索順位維持の近道です。
表示確認の方法
概要
パソコンからスマホ表示を確認するには、まずブラウザの検証ツールを使うのが手早く便利です。実機確認と組み合わせると精度が高まります。
Chrome検証ツールでの基本手順
- Chromeで対象ページを開き、F12キーまたはメニュー→「その他のツール」→「デベロッパーツール」を選びます。
- 左上の端末アイコンをクリックしてデバイスモードに切り替えます。
- 表示する機種や解像度を選び、回転や倍率を変更して確認します。
- ネットワーク速度を「Fast 3G」などに切り替えて読み込み状態を確認します。
実機での確認方法
- Android: USBでPCに接続してChromeのリモートデバッグを使うと実機表示を直接確認できます。
- iPhone: Macと接続し、SafariのWebインスペクタでページを検査します。
実機は表示・タップ感覚・スクロール挙動を確かめるのに必須です。
拡張ツール・オンラインサービス
- Responsive Viewerなどの拡張で複数デバイスを一括表示できます。
- BrowserStackなどのクラウドサービスで実機や古いOSも確認できます。
確認項目チェックリスト
- レイアウト崩れ、重なり、改行
- フォントサイズと行間の読みやすさ
- ボタンやリンクのタップ領域
- 画像の切り抜きや拡大縮小
- 入力フォームのキーボード挙動
- ページ読み込み速度（モバイル回線想定）
スクリーンショットと共有
検証中のスクリーンショットを保存し、問題箇所に注釈を付けてチームで共有すると修正がスムーズです。
主要サービス比較表
概要
主要な制作・運用サービスを簡潔に比較します。価格、スマホ対応、編集のしやすさ、向く用途を中心に説明します。
WordPress
- 価格帯: 無料ソフト＋サーバー代（低〜中）
- スマホ対応: テーマで簡単にレスポンシブ化できます
- 編集機能: 豊富なプラグインとテーマで高いカスタマイズ性
- 向いている人: 自由度を重視する個人〜中小企業
- 注意点: 初期設定や保守に手間がかかる場合があります
ペライチ
- 価格帯: 無料プランあり、有料は月額（低〜中）
- スマホ対応: テンプレートとドラッグ操作で調整可能
- 編集機能: 操作が直感的で初心者向け
- 向いている人: 1ページ〜簡単な集客用サイトを作りたい人
- 注意点: 多ページや高度な機能には向かない場合があります
おりこうブログ
- 価格帯: 企業向けプラン中心（中〜高）
- スマホ対応: 全ページ自動でモバイルフレンドリー対応
- 編集機能: 企業向けの管理機能やサポートが充実
- 向いている人: 企業の公式ブログや情報発信を重視する組織
- 注意点: 個人利用ではコストが高くなることがあります
ロリポップ（レンタルサーバー）
- 価格帯: 安価な共有プランからあり（低）
- スマホ対応: WordPressの導入でレスポンシブ対応可能
- 編集機能: サーバー管理画面から簡単インストールが可能
- 向いている人: コストを抑えてWordPressを始めたい人
- 注意点: サーバーの知識が少し必要になる場合があります
選び方のポイント
目的（自由度・予算・運用体制）を最初に決めると選びやすいです。テンプレートで手早く作るならペライチ、柔軟に広げるならWordPress、企業向けはおりこうブログ、費用重視はロリポップが向いています。
ブログ記事作成のポイント
タイトル作成のコツ
検索意図を反映した短いタイトルを付けます。例：「スマホ対応のホームページを簡単に作る方法」なら、何が得られるかが一目で分かります。主要なキーワードは先頭か自然な位置に入れてください。
導入部の書き方
背景や読者が抱える課題を明確に示します。最初の2〜3文で「誰に」「何が」「なぜ重要か」を伝え、読み進める動機を作ります。簡単な事例を挙げると親しみやすくなります。
本文の構成（初心者向け）
1) 見出しで段落を分け、要点を先に示します。 2) 手順は箇条書きや番号で示し、画像やスクリーンショットを入れて視覚的に説明します。 3) 専門用語は最小限にして、必要なら簡単な例で補足します。
SEOの基本ポイント
タイトルや見出しにキーワードを自然に入れ、meta説明文は120〜160文字で要点をまとめます。画像には代替テキスト（alt）を付け、内部リンクで関連記事へ誘導します。ページ速度は表示の満足度に直結します。
表示確認とツール紹介
・ブラウザのデベロッパーツールで画面幅を切り替えて確認します。
・GoogleモバイルフレンドリーテストやLighthouseで問題点をチェックします。
・実機確認も必ず行い、操作感を確かめます。
主要サービス比較表の活用法
第8章の比較表を参照し、機能・価格・サポートを優先順位で照らし合わせて選びます。使い勝手は無料トライアルで確かめてください。
まとめ
タイトルの明確化、読みやすい導入、手順の可視化、基本的なSEOと表示確認を常に実行してください。スマホ対応は必須です。記事は公開後も定期的にチェックし、時折更新して品質を保ちましょう。
