はじめに
この章では、この記事の目的と読み方をやさしく説明します。本記事はWebサイトの直帰率について、業界やサイトタイプ別の目安・判断基準、直帰率の定義と計算方法、高くなる原因と改善策、Googleアナリティクスでの確認方法、離脱率との違いまでを順に解説する入門ガイドです。
対象はサイト運営者、マーケター、ブログ初心者など幅広い方です。専門用語は最小限にして、具体例や実践的なヒントを交えながら説明します。各章は独立して読めますので、必要な部分だけを参照しても問題ありません。
本記事を読むことで、直帰率の数字を正しく理解し、どの数値を優先的に改善すべきか判断できるようになることを目指します。実際のアクセス解析データと照らし合わせながら読んでいただくと、より役立ちます。
直帰率の定義と計算方法
定義
直帰率は「サイトを訪れたユーザーが最初に開いたページだけを見て、そのまま離脱した割合」を指す指標です。訪問者が1ページだけ見て滞在を終えたセッションを直帰と呼びます。ユーザーの行動の単純さを示す目安です。
計算式
直帰率 = 直帰数 ÷ セッション数 × 100(%)
例:100セッション中30セッションが直帰した場合、直帰率は30%です。
Googleアナリティクス(GA4)での扱い
GA4では従来の“ページビューのみ”とは少し異なり、「エンゲージメントが発生しなかったセッションの割合」として扱います。つまり、複数ページを見たり、コンバージョンや何らかのイベント(ボタンクリックなど)が発生しなければ直帰とカウントされます。
具体例でイメージ
- 記事を1つ読んでタブを閉じた:直帰にカウントされる可能性が高いです。
- 記事を読み、別ページへ移動した:直帰ではありません。
注意点
直帰率は数字だけでは判断できません。目的に合った評価が大切です。単ページで完結する内容なら直帰が高くても問題ない場合があります。
直帰率の平均値・目安
基準値(業種別の目安)
- ECサイト:20〜45%(商品一覧や購入導線が整っているほど低くなります)
- コンテンツサイト:35〜70%(読み物やブログは高めになりがちです)
- B2Bサービスサイト:25〜55%(資料請求や問い合わせ目的のページが多い場合は低め)
- ランディングページ:60〜90%(単一目的で離脱しやすい傾向があります)
- 飲食店・ローカルビジネス:30〜50%(営業時間や地図情報が整っていれば低下します)
- サイト全体平均:40〜60%程度
どう読むか
直帰率が30%以下であればユーザーのエンゲージメントが高いと評価できます。反対に70%以上だと改善の余地が大きいと考えます。ただし数値はあくまで目安です。
目標設定のヒント
- ページの目的(購入・情報提供・問い合わせ)ごとに理想値を決める
- 流入元別(検索・広告・SNS)で直帰率を比較し、改善優先度を決める
注意点
- ページの種類や業種で適切な目安は変わります
- モバイルとPCで直帰率が異なることが多いです
- 単純に数値だけに頼らず、滞在時間やコンバージョンも合わせて評価してください。
直帰率が高くなる原因
キーワードとコンテンツのミスマッチ
ユーザーが検索や広告で期待した内容と、実際のページの内容が合わないとすぐ離脱します。例:『使い方ガイド』を探しているのに商品販売ページが表示されると、目的を達成できず直帰します。
ページの読み込み速度が遅い
読み込みに時間がかかると待てずに戻る人が増えます。画像やスクリプトが重いケースが多く、表示が遅いと直帰率は上がります。
スマホ対応が不十分
スマホで見にくいレイアウトやボタンが押しづらいと、短時間で離脱します。モバイルの表示崩れや文字の拡大が主な原因です。
デザインや導線設計がわかりづらい
どこを見ればよいか分からない・次の行動が見つからないと滞在できません。例:CTAが小さい、リンクが少ない、情報が散らばっている。
コンテンツの魅力不足・情報不足
見出しや冒頭で興味を引けない、具体性がない情報だと読まれません。写真や数値、事例が少ないと納得されにくいです。
広告や検索結果とのギャップ
広告文やスニペットで期待を持たせておきながら内容が違うと信頼を失い、直帰につながります。
その他(ポップアップ・自動再生など)
大きなポップアップや自動再生音声は不快感を与えます。また内部リンクが少ないと次のページへ行きにくくなります。
直帰率が高い場合の改善方法
直帰率が高い場合、以下の観点で順に改善していきます。
1. コンテンツの質と量
検索キーワードに対して答えが明確か確認します。導入で結論を示し、目次や見出しで読みやすくします。具体例や画像、表を加えると滞在時間が延びます。
2. 内部リンクで次の行動を促す
関連記事や関連商品のリンクを文中に自然に入れます。アンカーテキストは具体的にし、ボタンで目立たせます。
3. 表示速度の改善
画像圧縮、不要なスクリプト削減、キャッシュ設定で高速化します。スマホで特に遅い場合は優先改善してください。
4. スマホ対応と読みやすさ
文字サイズ、ボタンの配置、縦長レイアウトでタップしやすくします。フォームは簡潔に。
5. 導線設計とCTAの見直し
ユーザーが次に取りやすい行動を考え、明確なCTA(購入・資料請求・関連記事へ)を配置します。色や文言をテストして改善していきます。
6. テストと数値確認
小さな変更をA/Bテストで検証し、直帰率だけでなく滞在時間やコンバージョンも併せて確認します。
直帰率の確認方法(Googleアナリティクス)
基本の手順
- Googleアナリティクスにログインします。
- 左側メニューから「行動」→「概要」を開き、直帰率の指標を確認します。期間を上部で設定し、全体の傾向をまず見ます。
ページごとの確認
ページ別に直帰率を調べるには、同じ「行動」内の「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」などを開きます。各ページごとに直帰率が表示されますので、直帰率が極端に高いページを特定します。たとえば商品ページAの直帰率が80%であれば、原因を詳しく調べる対象になります。
絞り込みと比較のコツ
- 期間比較:先月と今月で比べると変化が分かります。
- デバイス別:スマホだけ直帰率が高い場合は表示や動作に問題がある可能性があります。
- 流入元別:SNSや広告からの流入で直帰率が違うか確認します。
問題ページを見つけた後のチェック項目(例)
- 表示速度:遅いと直帰が増えます。
- コンテンツの期待値:流入元の内容とページ内容が合っているか確認します。
- 操作性:リンクやボタンが分かりにくくないか確認します。
データの活用方法
高い直帰率のページをリストアップして、優先度を付けて改善を進めます。必要に応じてデータをCSVでエクスポートし、一覧で比較すると作業が進めやすくなります。
注意点
直帰率だけで判断せず、滞在時間やコンバージョンと合わせて見てください。直帰率が高くても目的が達成されていれば問題ない場合があります。
直帰率を評価する際の注意点
目的を最初に確認する
直帰率だけで判断せず、ページの目的を確かめます。問い合わせや電話番号表示が目的のランディングページは、1ページで用が済めば直帰率が高くても問題ありません。ブログ記事やFAQも同様です。
ページの種類で考える
商品一覧やトップページは回遊を促す設計が多く、直帰率による評価が有効です。一方、検索結果やフォーム確認ページは直帰が自然です。具体例を挙げて判断しましょう。
他の指標と組み合わせる
滞在時間、コンバージョン率、ページ/セッションなどを一緒に見ます。滞在時間が長ければ、直帰でも読了や閲覧があった可能性が高いです。
サンプル数と期間に注意する
訪問数が少ないページや短期間のデータはぶれます。数週間〜数か月のデータで傾向を確認してください。
ユーザーの意図を考える
検索キーワードや参照元で訪問者の目的が分かります。外部リンクや検索クエリを確認してから改善案を立てます。
テストと仮説を立てる
直帰率を下げたい場合は、まず仮説を作り小さなABテストで効果を確かめます。変更の影響を測れる指標を必ず設定してください。
参考:離脱率との違い
定義の違い
- 直帰率:訪問者が最初のページだけ見て離脱した割合です。ランディングページの評価に使います。
- 離脱率:ページごとに、そのページを最後にしてサイトを離れた割合です。複数ページを見た後の離脱も含みます。
具体例でわかりやすく
- 訪問者がAページだけ見て帰ったら、Aは直帰(直帰率に含まれる)であり、Aの離脱にも含まれます。
- 訪問者がA→Bと見てBで離れたら、直帰ではないが、Bの離脱率には含まれます。
使い分けのポイント
- ランディングページの改善を優先するなら直帰率を見ます。誘導や導線が問題か確認できます。
- サイト全体の回遊や特定ページの離脱箇所を知りたいなら離脱率を見ます。導線の最後が分かります。
注意点
- 両方の数値を合わせて見ると、訪問の出入りがより正しく分かります。単独で判断しないようにしてください。
まとめ
要点の整理
直帰率は業界やサイトの目的で大きく変わります。単純に高い・低いで良し悪しを判断せず、平均値や同業他社との比較を参考にしてください。検索流入で情報を探すページは直帰率が高くなりがちですし、問い合わせや購入を目的とするページは低くあるべきです。
数字の見方
直帰率だけを見るのではなく、滞在時間やページ遷移、コンバージョン率と合わせて見てください。例えば滞在時間が長いのに直帰率が高い場合は、ユーザーが1ページで満足している可能性があります。逆に滞在時間が短い場合は改善の余地があります。
改善の優先順位
まずは影響の大きいページを特定し、下記を順に点検してください。ページの目的が不明確でないか、表示速度やスマホ表示に問題がないか、導線(CTA)が分かりやすいか。A/Bテストやユーザーテストで仮説を検証すると効率的です。
最後に(実務的な一手)
・主要ページの直帰率と滞在時間をリスト化する
・目標に合わないページを優先的に改善する
・小さな変更を繰り返し検証する
数字はあくまで手がかりです。ユーザーの行動全体を観察し、目的に合わせて改善を続けてください。












