はじめに
この文書は、WordPressサイトでのサイトマップ作成・編集をやさしく解説する入門ガイドです。サイトマップの種類や役割、標準機能の自動生成、主要プラグインによるカスタマイズ、テーマや手動編集、ファイル直接編集の注意点、編集後のSEO対策までを網羅します。
何を学べるか
- サイトマップの役割と基本的な種類を理解できます
- WordPressで自動生成される仕組みと特徴がわかります
- プラグインや手動編集での実践的な方法を知ることができます
対象読者
- サイト運営初心者から中級者まで
- サイトのクローラビリティや検索対応を改善したい方
本書の構成(全8章)
- はじめに(本章)
- 基本と必要性
- 標準機能による作成
- プラグインでのカスタマイズ
- テーマや手動編集
- ファイル直接編集
- 編集後の注意点とSEO
- まとめとおすすめ
読み進め方のポイント
編集前は必ずバックアップを取り、可能ならテスト環境で確認してください。各章は実践順に並べていますので、自分の知識や目的に合わせて読み進めてください。
WordPressサイトマップの基本と必要性
XMLサイトマップとHTMLサイトマップの違い
サイトマップはサイト内のページ一覧を示すファイルです。主に2種類あります。XMLサイトマップは検索エンジン向けで、ページのURLや更新日時を機械に伝えます。HTMLサイトマップは訪問者向けで、ページ一覧やカテゴリ一覧を見やすく並べます。
なぜサイトマップが必要か
検索エンジンはサイトのすべてのページを自動で見つけますが、見落としやすいページ(新規ページ、深い階層、リンクが少ないページ)はインデックスされにくいです。XMLサイトマップを用意すると、検索エンジンに優先的にページを知らせられます。たとえば新しい記事を公開した際、XMLに記載しておくと早く検索結果に反映されることがあります。
WordPressの標準機能について
最近のWordPressは、標準でXMLサイトマップを自動生成します(通常は /wp-sitemap.xml)。この機能で基本的なページや投稿はカバーできます。デフォルトのままでも運用できますが、細かい除外や優先度の指定などはできません。
標準機能だけでは足りない場合
たとえば特定のページを検索に出したくない、優先度を調整したい、画像や動画の情報を詳しく伝えたい場合は、標準機能だけでは制約があります。こうした場合はプラグインや手動でのカスタマイズを検討します。次章以降で具体的な方法を詳しく解説します。
WordPress標準機能によるサイトマップ作成
標準機能の概要
WordPress(5.5以降)は、自動でXMLサイトマップ(/wp-sitemap.xml)を生成します。特別な設定がなくてもサイトの公開ページや投稿を一覧化してくれるため、初期設定のままでも検索エンジンにページを知らせやすくなります。
含まれる項目とURL例
サイトマップには投稿(posts)、固定ページ(pages)、カテゴリーやタグなどの分類(taxonomies)、著者ページなどが含まれます。確認はブラウザでhttps://あなたのドメイン/wp-sitemap.xmlにアクセスしてください。
制限と対処法
標準機能は簡単に使えますが、個別ページの除外や優先度・更新頻度の細かい設定はできません。除外したい場合は次の方法があります。
– 該当ページを「非公開(Private)」にする。
– メタタグでnoindexを設定する(多くのSEOプラグインで可能)。
– プログラムで無効化やカスタム(例:add_filter(‘wp_sitemaps_post_types’, function($types){ unset($types[‘post’]); return $types; });)
確認ポイント
サイトマップが正しく機能するかは、生成されたURLを開いて内容を確認してください。robots.txtにもサイトマップのリンクが記載されるので、そちらも確認すると安心です。
プラグインを使ったサイトマップの編集・カスタマイズ
主要プラグインと特徴
- Google XML Sitemaps:ページや投稿を除外したり、更新頻度や優先度を細かく設定できます。技術的な詳細を調整したい方に向きます。
- Yoast SEO:SEO全体をカバーし、サイトマップ内で表示する投稿タイプやカテゴリーを選べます。初心者にも扱いやすいです。
- All in One SEO:多機能で、サイトマップ編集画面から細かく設定できます。ビギナー〜中級者向け。
- XML Sitemap & Google News:Googleニュース用の設定を含めたサイトマップ作成が可能です。
- WP Sitemap Page:固定ページでHTMLサイトマップを作るプラグイン。見せ方を変えたいときに便利です。
- PS Auto Sitemap:固定ページに自動でHTMLサイトマップを生成。特定のIDを除外できます。
よくある編集・カスタマイズ例
- 除外:特定の固定ページIDやカテゴリーを除外します(例:会員専用ページを除外)。
- 表示順序・階層:カテゴリ順や更新日順で並べ替え、親子構造を出します。
- SEOプロパティ:changefreq(例:daily, weekly)やpriority(例:0.5〜1.0)を調整します。
- HTMLの見せ方:リスト形式やアコーディオン表示にしてユーザービリティを上げます。
設定の基本手順(例)
- プラグインをインストールして有効化します。
- 設定画面で除外する投稿タイプやカテゴリを選びます(IDやスラッグ指定が可能)。
- changefreqやpriorityを設定して保存します。
- sitemap.xmlのURLを確認し、Search Consoleなどに送信します。
注意点とおすすめ
- 複数のサイトマッププラグインを同時に有効にすると競合しやすいので、一つに絞ってください。
- HTMLサイトマップはユーザー向け、XMLは検索エンジン向けと役割を分けると良いです。
- 初心者にはYoast、細かい制御をしたい場合はGoogle XML SitemapsやAll in One SEOをおすすめします。
テーマ機能や手動編集による方法
概要
一部のWordPressテーマ(例:Cocoonなど)にはサイトマップ自動生成機能があり、簡単に有効化してカスタマイズできます。より細かい見た目や項目の制御が必要なら、functions.phpへの独自コード追加や固定ページを使ったHTMLサイトマップ作成が有効です。
テーマの自動機能を使う
- テーマの設定画面で「サイトマップ」や「SEO」関連の項目を探します。チェックボックスや表示位置の選択でオンにするだけで作動することが多いです。例:Cocoonは固定ページ用のHTMLサイトマップを自動生成できます。
- メリット:手間が少なく即時反映されます。デメリット:細かい出力形式の変更は出来ない場合があります。
functions.php による手動生成(上級者向け)
- 自分でXMLやHTMLを出力する関数を書き、必要なフックに登録します。例えば投稿ループを回してURLや更新日時を出力する、といった処理です。
- 注意点:誤ったコードはサイトが表示できなくなる恐れがあります。編集前に必ずバックアップを取り、できればローカルや検証環境で試してください。
HTMLサイトマップ(固定ページ)を作る
- 固定ページを新規作成し、手動で見出しやリンクを並べます。ショートコードやカスタムテンプレートを使えば、投稿一覧やカテゴリー別一覧を自動で挿入できます。
- 利用しやすい例:「最近の投稿」ショートコードを使って記事一覧を表示し、カテゴリごとに見出しを付けると閲覧者に親切です。
実用上の注意
- 変更後はブラウザで見た目を確認し、リンク切れがないかチェックしてください。functions.phpを編集した場合は即時反映されますが、問題があれば元に戻せる準備をしておきます。
- 検索エンジン向けのXMLサイトマップは、生成後に検索エンジン管理画面へ登録すると効果的です。
サイトマップのアップロード・編集(ファイル直接編集)
はじめに
手動でsitemap.xmlを作成・編集する方法を説明します。細かい調整が可能ですが、ページの増減ごとに自分で更新する必要がある点に注意してください。
準備するもの
- テキストエディタ(メモ帳、VS Codeなど)
- FTP/SFTPクライアント(FileZillaなど)
- サーバー接続情報(ホスト名、ユーザー名、パスワード)
基本構造(例)
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<urlset xmlns="http://www.sitemaps.org/schemas/sitemap/0.9">
<url>
<loc>https://example.com/</loc>
<changefreq>daily</changefreq>
</url>
</urlset>
作成・編集手順
- エディタで上の構造に従いURLを追加します。URLは絶対パス(https://〜)で記載します。
- 保存はUTF-8で行います。文字化けを防げます。
- FTPでサイトのルート(public_htmlなど)にアップロードします。既存ファイルは上書きしてください。
アップロード後の操作
- robots.txtに「Sitemap: https://あなたのドメイン/sitemap.xml」を追記するとクローラが見つけやすくなります。
- 変更したらGoogle Search Consoleで送信(インデックス画面の「サイトマップ」)すると反映が早まります。
注意点と運用のコツ
- 手動管理は柔軟ですが運用負荷が高くなります。ページが多い場合は自動化を検討してください。
- 追加・削除を忘れると検索結果に影響する可能性があります。定期的に確認する癖をつけましょう。
サイトマップ編集後の注意点とSEO
1. サイトマップはSearch Consoleへ送信
サイトマップを編集したら、まずGoogle Search ConsoleやBing Webmasterに新しいサイトマップURLを送信してください。送信により検索エンジンが変更を早く把握します。例: /sitemap.xml を登録する。
2. 定期的な確認項目
- URLの重複や誤ったページ(404やnoindex)が含まれていないか確認
- 更新日時()が正しいかチェック
- ページ数が上限(通常50,000件)を超えていないか確認
3. 更新頻度と通知
頻繁に更新するなら、自動生成やプラグインでの再生成を有効にしてください。大きな構造変更をした場合は、Search Consoleで再送信すると効果的です。
4. SEOとユーザビリティへの影響
サイトマップはクロール促進だけでなく、サイト構造を明確にしユーザーが情報を探しやすくなる利点があります。重要なページを優先的に含めると良いです。
5. よくあるトラブルと対処
- サイトマップがインデックスされない: robots.txtやnoindexを確認
- 誤ったURLが登録されている: サイトマップを編集して再送信
以上を定期的にチェックすると、SEO効果が安定します。
まとめとおすすめ編集方法
初心者〜中級者におすすめの方針
プラグインを中心に進めると効率的で安全です。WordPress標準のサイトマップ機能と、プラグインでの細かな調整を組み合わせると管理が楽になります。
XML(検索エンジン向け)とHTML(訪問者向け)の使い分け
- XML:検索エンジンに送るファイル。更新頻度や優先度を伝えられます。
- HTML:訪問者がサイト内を見やすくするページ。カテゴリ一覧や重要記事への導線に最適です。
具体的なおすすめプラグイン例と手順
- Yoast SEO / Rank Math / All in One SEO:XMLを自動生成し細かな設定が可能。初心者に扱いやすいです。
- Google XML Sitemaps:XML生成に特化したシンプルな選択肢。
- Simple Sitemap:HTMLサイトマップを作るのに便利。
手順:①プラグインをインストール②基本設定で含めるコンテンツを選ぶ③公開後にGoogle Search Consoleへ送信
運用上の注意点
- 不要なページ(テストページや重複コンテンツ)は除外する
- サイト構成を変えたらサイトマップを更新し、検索エンジンに再送信する
- 定期的に正常に生成されるか確認し、バックアップを取る
この方針で進めれば、管理の負担を抑えつつSEO効果を高められます。












