はじめに
目的
本書は、WordPressで記事を自動投稿する方法をわかりやすくまとめた入門ガイドです。スケジュール機能からプラグイン、RSSやAPI連携まで、実践的な手順と注意点を丁寧に解説します。
対象読者
- 個人ブロガーや中小サイトの運営者
- 定期的に記事を投稿したい方
- 技術は得意でないが自動化を試したい方
本書の構成
第2章以降で具体的な方法を順に紹介します。各章は実際の設定例や注意点を含みますので、段階的に学べます。
準備と注意点
- 作業前に必ずバックアップを取ってください。
- 本番環境でいきなり自動化を適用せず、テスト環境で動作確認を行ってください。
- プラグインや外部サービスを使う際はアクセス権やセキュリティ設定を確認してください。
次章からは、まずWordPressの標準機能である記事スケジュールについて解説します。
記事スケジュール機能を使う(基本的な方法)
概要
WordPressの標準機能で記事を予約投稿できます。記事作成後に公開日時を指定すると、自動でその日時に公開されます。基本を押さえれば手軽に定期更新が可能です。
公開日時を設定する手順
- ダッシュボードで「投稿」→「新規追加」を開きます。
- 記事を書き、公開ボタンの近くにある「公開設定」または「すぐに公開」の表示をクリックします。
- 公開したい日付と時刻を入力して「OK」または「スケジュール」を選びます。
- ボタンが「予約」や「スケジュール済み」に変わったら完了です。例:来週月曜の10:00に公開したい場合、日付と10:00を入力して予約します。
注意点
- サイトのタイムゾーン(設定→一般)を正しく設定してください。時差で公開がずれることがあります。
- 「予約済み」ステータスを投稿一覧で確認してください。
- サイトが外部のcronで動作している場合、wp-cronの動作に問題があると自動公開されないことがあります。必要ならサーバー側のcron設定を確認してください。
トラブルシューティング
- 予約したのに公開されない:キャッシュやプラグインの干渉を疑い、一時的にキャッシュをクリアしてください。
- 複数記事を一括で予約する場合は、クイック編集で日時を入力できますが大量ならインポートツールを検討してください。
基本は正確な日時入力とステータス確認です。慣れれば簡単に定期投稿ができます。
プラグインを使った高度な自動投稿
概要
プラグインを使うと、WordPressの投稿スケジュールを大幅に拡張できます。基本の予約投稿に加え、条件指定や外部サービス連携、連続投稿などを自動化できます。
インストールと有効化の流れ
- 管理画面のプラグイン→新規追加で検索します。2. 「今すぐインストール」を押し、有効化します。3. 設定画面で初期項目を確認します。
代表的なプラグイン(使い分け例)
- WP Scheduled Posts: カレンダー表示で直感的に管理できます。複数投稿の時間調整に便利です。
- Auto Post Scheduler: 既存の下書きや古い投稿を自動で再投稿したい場合に役立ちます。頻度設定が細かいです。
- Autopost for X(旧Twitter): WordPressからXへ自動投稿する専用プラグインです。投稿公開と同時にツイートを行えます。
Autopost for X の基本設定(例)
- プラグインをインストールし、有効化します。2. Xの開発者アカウントでアプリを作成し、APIキーやアクセストークンを取得します。3. プラグイン設定にキーを入力し、投稿フォーマット(本文+リンクなど)を決めます。4. 投稿タイプやカテゴリのフィルタを設定して、送信対象を絞ります。
テストと確認
テスト投稿を作成して動作を確認します。ログ機能や送信履歴でエラーを確認すると原因が分かりやすいです。
注意点
- API連携には権限設定が必要です。- サイトのCron設定やキャッシュと干渉する場合があります。- 自動投稿は過剰にならないよう頻度を調整してください。
RSSフィードを活用した自動投稿
概要
WP RSS Aggregatorプラグインを使うと、外部のRSSフィードから自動で記事を取り込み、投稿できます。note用の自動投稿プラグインもあり、簡単に連携できます。重複防止や取り込みログなど運用に便利な機能が備わっています。
基本的な設定手順
- プラグインをインストールして有効化します。WP RSS Aggregator本体は無料で導入できます。Feed to Postのような有料アドオンで投稿形式に変換します。
- フィードURLを追加します(例: https://example.com/feed)。取得間隔を設定(30分〜1時間の間隔が一般的)します。
- 投稿先の投稿タイプやカテゴリー、タグをマッピングします。取り込み時に下書き保存にする設定でまず動作確認します。
noteからの自動投稿
note側の公開フィードURLを取得して、同様に登録します。専用プラグインがあれば、画像の取得や著者情報の紐付けなどを自動化できます。権利表示や引用元の明記を忘れずに行ってください。
重複防止とログ管理
プラグインは通常、GUIDやURLで重複を判定します。重複判定の設定を有効にしておくと同じ記事が複数投稿されません。取り込みログやエラーログを有効化すると、失敗時の原因特定が楽になります。
運用上の注意
- フィードの内容をそのまま公開すると著作権問題が起きる場合があります。引用ルールを守り、必要なら要約や抜粋で掲載してください。
- まずは下書きで確認し、期待どおりなら自動公開に切り替えてください。
- 大量のフィードを短時間で取得するとサーバー負荷が高くなります。間隔は慎重に設定してください。
Google スプレッドシートを使った定期投稿自動化
概要
Google スプレッドシートに投稿データをまとめて、ノーコードツール(例:Zapier、Make)でWordPressへ定期投稿します。スプレッドシートの行をトリガーにして記事を作成し、完了後にステータスを更新する流れが基本です。
必要な準備
- Google スプレッドシート(タイトル・本文・公開日時・カテゴリなどの列を用意)
- ノーコード連携サービスのアカウント
- WordPressのアカウントとアプリパスワード(REST APIで投稿権限が必要)
基本的な手順
- スプレッドシートの設計:title、content、publish_date、status(pending/posted)などを作る。
- ノーコードツールで新規シナリオ作成:トリガーを「スケジュール」または「新しい行/行の変更」に設定。
- フィルター設定:publish_dateが現在時刻以前でstatusがpendingの行だけ処理する。
- アクションでWordPressへPOST:タイトル・本文・カテゴリを送信し、公開ステータスを設定。
- 処理後にスプレッドシートのstatusをpostedにし、投稿URLやタイムスタンプを追記する。
テストと注意点
- まず下書きモードでテスト投稿し、想定どおり表示されるか確認してください。
- 時刻はタイムゾーンに注意し、ISO形式で統一すると扱いやすいです。
- 画像を含める場合は公開URLが必要で、別アクションでメディアアップロードするサービスもあります。
トラブル対処
- 重複投稿:フィルターの条件を厳格にしてロック用の列を使う。
- 文字化け:UTF-8で保存する。
- 権限エラー:WordPress側のアプリパスワードとユーザー権限を見直す。
これらを整えれば、手間を減らして定期的に記事を公開できます。操作はシンプルなので、まずは短いテスト用シートで動作確認すると安心です。
APIを使ったプログラミングによる自動投稿
概要
WordPressや他CMSの公開用APIを使うと、プログラムから画像アップロードや記事投稿を自動化できます。PHPやPythonで短いスクリプトを書き、記事テンプレート(Markdown可)を使うと作業が楽になります。
準備(認証)
- アプリケーションパスワードやOAuthを有効にします。簡単なのはアプリケーションパスワードです。2. APIのエンドポイント(例: /wp-json/wp/v2/posts)を確認します。
基本の流れ
- 認証トークンを設定する。2. 画像をメディアエンドポイントへPOSTしてURLを取得。3. 投稿データ(タイトル、本文、ステータス)をPOSTして記事を作成します。
画像アップロードとMarkdown
- 画像はバイナリで送信し、返却されたメディアIDやURLを記事本文に差し込みます。Markdownをそのまま扱える場合は、画像URLを
形式で挿入します。
実用例(概略・PHP)
- curlかHTTPクライアントでAuthorizationヘッダにベーシック認証を付け、/mediaへ送信してIDを取得。その後/postsへJSONで投稿します。
スケジュール実行
- サーバーのcronやWindowsタスクでスクリプトを定期実行します。エラー時はログを残してリトライを検討してください。
注意点
- 認証情報は安全に保管してください。APIのレスポンスを必ずチェックし、重複投稿やサイズ制限に注意します。テンプレートを用意すると文章の統一が保てます。
複数プラットフォームへの自動投稿
概要
WordPressの投稿をTwitter/XやFacebook、LinkedInなどへ自動で配信できます。ClickSocialのような専用ツールやZapier、IFTTTを使うと、投稿の選別や書式調整も簡単です。
主なツールと特徴
- ClickSocial:WordPressと連携し、詳細なフィルターやスケジュールが可能。例:タグごとに配信先を変える。
- Buffer/Hootsuite:複数アカウントの一括管理に強い。予約投稿をまとめて確認できます。
- Zapier/IFTTT:条件に応じた自動化(例:新着投稿を自動でツイート)を作れます。
フィルターと選別方法(日付・タグ・著者)
日付で古い記事を除外、特定タグだけ配信、特定著者の投稿のみ自動化できます。例えば「イベント」タグのみSNSへ流す、という設定が可能です。
ClickSocialを例にした設定手順
1) WordPressにプラグインを導入し、ClickSocialアカウントと連携します。
2) 配信先(Twitter/XやFacebook)を接続します。
3) マッピング(投稿タイトル→ツイート本文、アイキャッチ→画像)を設定します。
4) フィルターを追加(例:タグ=ニュース、著者=山田)。
5) テスト配信して内容を確認後、有効化します。
各プラットフォーム別の注意点
- Twitter/X:文字数に注意。本文は短めにしリンクを必ず入れると良いです。
- Facebook/LinkedIn:リード文を長めにして画像を添えると反応が上がります。
- 画像サイズやURLの扱いはプラットフォームごとに最適化してください。
監視とトラブル対処
配信ログを定期確認し、失敗が続く場合は接続再認証やAPI制限をチェックします。二重投稿を避けるため、プラグインと外部サービスの重複設定に注意してください。
運用上のベストプラクティス
- 各SNS向けに投稿文を微調整する。
- 配信頻度を抑えてスパム扱いを避ける。
- 公開前に必ずテスト配信する。
- アクセス権は必要最低限に限定する。












