はじめに
この文章では「web制作」と「webアプリ」の違いをわかりやすく解説します。両者はどちらもインターネット上で動くものですが、目的や求められる技術、仕事の進め方が異なります。
簡単なイメージ
- web制作: 主に情報を見せるためのページづくりです。会社のコーポレートサイトや商品紹介のランディングページ、ブログなどが該当します。デザインやレイアウトを重視し、見た目と内容の伝わりやすさがポイントです。
- webアプリ: ブラウザ上で動くアプリケーションです。ユーザーがログインしてデータを保存したり、検索や編集などの操作を行える仕組みを作ります。例としては、タスク管理ツールやオンラインショップのカート機能、チャットアプリなどがあります。
なぜ違いを知るべきか
目的が違えば必要なスキルや関わる工程も変わります。学習や転職、案件受注を考える際に自分が何をしたいかを明確にする助けになります。
次の章では用語のイメージを具体的に説明し、その後に目的と機能、必要な技術、仕事の違いを順に掘り下げていきます。
用語のイメージ
この章では「Web制作」と「Webアプリ」がどんなものか、暮らしの中の例を交えてイメージしやすく説明します。
Web制作
企業サイト、コーポレートページ、ランディングページ(LP)、ブログなど、情報を見せることが主目的のサイトを作る仕事です。パンフレットや看板のように情報を整理して見せる設計を行い、デザイン(UI)、HTML/CSS、簡単なJavaScript、そしてWordPressのようなCMS構築が中心になります。流れはワイヤーフレーム→ビジュアルデザイン→コーディング→公開が一般的で、読みやすさやレスポンシブ対応、SEOなどが重視されます。
Webアプリ
Gmailやチャットツール、予約システム、ECの管理画面など、ユーザーがログインして入力・保存・編集を繰り返す「操作するサービス」です。見た目の設計に加え、サーバーサイドやデータベースの設計、認証やAPIなど本格的なプログラミングが必要になります。状態管理や通信の処理、セキュリティ対策、テストも重要です。
覚えておきたいポイント
- 目的:Web制作は情報を見せる、Webアプリは機能を提供する。
- 技術の深さ:Web制作はフロント寄り、Webアプリはフルスタックに近い設計が求められる。
- 例え:会社サイトはパンフレット、予約システムはソフトウェアと考えると分かりやすいです。
目的と機能の違い
Web制作(Webサイト)の目的
Webサイトは主に情報を伝えたり、会社やサービスを知ってもらったりするために作ります。例えば会社のコーポレートサイト、商品の紹介ページ、ブログなどです。目的は閲覧者に信頼を与えたり、集客して問い合わせにつなげることが多いです。
Web制作(Webサイト)の代表的な機能
- ページ閲覧:固定ページや記事を見せる機能です。
- 問い合わせフォーム:メール送信や自動返信を行います。
- 記事更新(CMS):非エンジニアでも内容を更新できる仕組みです。
これらは比較的シンプルで、表示中心の機能が多いです。
Webアプリの目的
Webアプリはユーザーの操作に応じて処理を行い、価値を提供します。予約の管理、決済、投稿と共有、データ分析など、ユーザーが何かを行って結果を得ることが目的です。
Webアプリの代表的な機能
- 認証・ログイン:個人に合わせた画面を提供します。
- マイページ:ユーザー固有の情報を管理します。
- 検索・絞り込み:大量データから必要な情報を探す機能です。
- データ保存・編集:ユーザーが書き込んだ情報を保存して更新します。
- リアルタイム更新:チャットや通知のように即時反映します。
見分けるポイント
ページ中心で『見せる』ことが主ならWebサイト、ユーザーの入力や処理、データのやり取りが主ならWebアプリと考えると分かりやすいです。ただ境界はあいまいで、ECサイトなどは両方の要素を持つ例です。
必要なスキル・技術の違い
ここではWeb制作とWebアプリで求められるスキルの違いをわかりやすく説明します。専門用語は最小限にし、具体例を交えて述べます。
Web制作
- デザインツール(Figma、Photoshopなど)
デザインの設計や見た目作りで使います。例えば、ページのレイアウトやボタンの見た目を作る際に役立ちます。 - HTML / CSS、基本的なJavaScript
ページの骨組みと見た目を作ります。簡単なアニメーションや動きはJavaScriptで実装します。 - レスポンシブデザイン、UI/UXの基礎、SEO、CMS構築
スマホ対応や使いやすさを考えます。検索で見つけやすくする対策や、WordPressのようなCMSで更新しやすくする技術が含まれます。
Webアプリ
- JavaScriptフレームワーク(React / Vue / Angularなど)
画面の部品を作って複雑な動きを効率よく実装します。例:チャット画面や動的なフォーム。 - サーバーサイド言語(Node.js、PHP、Ruby、Python、Javaなど)
データの処理や認証、メール送信などを担当します。ユーザーのログイン処理はここで行います。 - データベース(MySQL、PostgreSQL、MongoDBなど)
ユーザー情報や投稿データを保存します。データの検索や更新が重要です。 - API設計、セキュリティ、スケーラビリティ
他のサービスとデータをやり取りする設計や、不正アクセス対策、アクセス増加に耐える構成設計が求められます。例えば、ログインの安全性や同時アクセスへの対応です。
仕事・キャリアの違い(ざっくり)
主な役割の違い
Web制作寄りはサイトの見た目やレイアウトを作ります。具体例は企業サイトやランディングページのデザインやHTML/CSSでの組み立てです。Webアプリ開発寄りは機能や仕組みを作ります。例として会員認証、データベース連携、API設計などがあります。
日常の業務の違い
Web制作寄りはデザイン確認、コーディング、ブラウザ調整が中心です。細かな見た目の調整や画像準備を行います。Webアプリ寄りはロジック設計、テスト、サーバ設定やパフォーマンス改善が多くなります。
キャリアの進み方(ざっくり)
- Web制作寄り:デザイナー→フロントエンドスペシャリスト→UI/UX寄りの役割
- Webアプリ寄り:ジュニアエンジニア→バックエンド/フルスタック→アーキテクト
難易度・市場感
入りやすさは制作寄りが高めで、学習のハードルは比較的低いです。機能寄りは基礎知識と論理的思考が必要で、習得に時間がかかります。どちらも需要はあり、目指す方向で求められるスキルが変わります。
どちらを目指すか迷っている場合
どちらを目指すか迷うのは自然なことです。ここでは、嗜好別の目安と、両方をつなげる現実的な進め方をやさしく説明します。
デザインや見た目が好きな人(Web制作)
- 好きなこと:レイアウト、色、タイポグラフィ、見た目の調整
- 初めに学ぶと良いこと:HTML・CSS、レスポンシブ設計、Figmaなどのデザインツール
- 実例:ランディングページやポートフォリオ作成、静的サイトのコーディング
- 効果:短期間で形にでき、成果を見せやすいです
ロジックや機能を作りたい人(Webアプリ開発)
- 好きなこと:処理の流れ、データ保存、ユーザーの操作に応じた仕組み作り
- 初めに学ぶと良いこと:JavaScriptやTypeScript、フレームワーク(例:React)、サーバーやデータベースの基礎
- 実例:ログイン機能、投稿機能、API連携のあるサービス
両方をつなげるおすすめの進め方
- まずはWeb制作で見た目を作ってみる。短い期間で完成させる経験を積めます。
- 次に、その作品にボタンの動きや簡単なデータ保存を加えてみる。小さなインタラクションから始めると学びやすいです。
- Gitやデプロイを学び、作品を公開する習慣をつける。採用時や案件で強みになります。
最後に、明確に決めなくても大丈夫です。制作から入って徐々に機能側の技術を広げる道は現実的で多くの人が取るルートです。まずは小さなプロジェクトで試してみてください。












