はじめに
ご挨拶
本資料をご覧いただき、ありがとうございます。本書はWeb制作の提案書を効率よく作成するための実用ガイドです。初めて提案書を作る方から、既に作成経験のある担当者まで役立つ内容を目指しました。
本資料の目的
提案書の役割や必須項目、テンプレートの使い方、作成時のポイントやよくある失敗例までを網羅します。目的は、短時間で説得力のある提案書を作り、クライアントや社内で合意を得られることです。
対象読者
・Web制作会社の営業・ディレクター・デザイナー
・社内のWeb担当者や、制作委託を検討する事業担当者
本書の構成と使い方
章ごとに実践できる手順とテンプレート例を載せます。まずは第2章で提案書の基本を押さえ、第3章以降でテンプレートと作成ポイントを確認してください。必要に応じてテンプレートをダウンロードしてそのまま使えます。
注意点
読み手の立場に立って分かりやすく書くことを重視してください。専門用語は最小限にし、具体例を添えると説得力が高まります。
Web制作提案書とは
目的
Web制作提案書は、サイト制作やリニューアルの意図と具体案を伝え、関係者の合意を得るための文書です。何を解決し、どのような成果を目指すかを明確に示します。
主な役割
- 課題の整理と解決方針の提示
- 提案内容(機能・デザイン・コンテンツ)の具体化
- スケジュールと予算の明示
- 成果指標(KPI)や運用体制の提示
- 信頼構築(実績や担当者の紹介)
想定する対象とタイミング
クライアント、社内決裁者、外部パートナー向けに使います。提案段階から契約前、またはプロジェクトの方向性を決める場面で用います。
構成の一例
表紙/現状と課題/目標/提案内容(詳細)/スケジュール/費用/成果測定/運用体制/実績・担当者
書き方のポイント
- 読む相手を想定して簡潔に書く
- 提案理由に根拠(数値や事例)を添える
- 図やモックで視覚的に示すと理解が早まる
提案書は単なる資料ではなく、意思決定を導く道具です。次章では、実際に必要な項目を詳しく説明します。
提案書テンプレートの必要項目
背景・現状分析
なぜ提案するかを簡潔に書きます。現状の課題、競合の状況、アクセスやコンバージョンの数値などを示すと説得力が増します。例:直帰率が高い、情報が古い。
目的・目標
サイトで何を達成したいかを明確にします。売上増、問い合わせ増、ブランド認知など。定量目標(例:半年で問い合わせを30%増)を入れると良いです。
ターゲット設定
主な利用者像を具体的に描きます。年齢、職業、ニーズ、行動パターンなど。ペルソナを1〜2人示すと伝わりやすいです。
コンセプト・サイトの方向性
見せ方や伝え方の方針をまとめます。トーン(親しみやすい/専門的)、主要メッセージを短く書きます。
サイトマップ・構成案
ページ構成と導線を図や箇条書きで示します。トップ→サービス→導入事例→問い合わせなど、ユーザーの流れを意識します。
デザイン案・イメージ
カラー、参考サイト、雰囲気(例:清潔感のある白ベース)を示します。ラフやワイヤーフレームがあると分かりやすいです。
機能要件・仕様
必要な機能をリスト化します。フォーム、CMS、レスポンシブ、会員機能など。優先度や必須/任意も明記します。
スケジュール
主要なマイルストーンと納期を提示します。制作期間、レビュー期間、公開日を明確にします。
費用・見積り
項目ごとの金額と合計を示します。初期費用と保守費用を分けて提示すると安心感があります。
プロジェクト体制図
担当者と役割、連絡窓口を示します。外注がある場合は外部の担当も明記します。
連絡先・問い合わせ導線
提案に関する問い合わせ先と、サイト内の問い合わせ導線イメージを記載します。フォームの必須項目例もあると親切です。
各項目は簡潔に、かつ相手が判断できる情報を入れることを意識してください。
提案書テンプレートの無料配布・取得方法
概要
多くのWeb制作会社や情報サイトが、提案書テンプレートを無料で配布しています。PowerPoint、Word、Excel、PDFなど形式が揃い、必要項目が網羅されたものが多いため、ダウンロードして自社向けに編集すれば実務で使えます。
主な入手先と方法
- 公式サイト:制作会社の「テンプレート」「資料ダウンロード」ページから取得できます。企業名+「提案書 テンプレート」で検索すると見つかりやすいです。
- オウンドメディアやブログ:操作手順や書き方を解説しつつテンプレートを配布するサイトが増えています。
- ビジネス系マーケットプレイス:ExcelやPowerPointのテンプレがまとめられているサービスでも配布されています。
- GitHubやDropbox共有:無料で公開している場合もあるため、ライセンスと更新日を確認してください。
無料テンプレートを選ぶポイント
- 目的に合うか(新規提案、リニューアル、見積り付きなど)
- 必要項目が揃っているか(会社概要、課題、提案、スケジュール、費用)
- 編集しやすい形式か(PowerPointやWordは手直ししやすい)
カスタマイズのコツ
- 自社のロゴ・カラーに差し替えて統一感を出します。
- クライアント情報や事例はテンプレのままにせず具体化します。
- 不要な項目は削り、読みやすさを優先します。
注意点
- ライセンス:商用利用や再配布の可否を必ず確認してください。
- 更新日:古いテンプレはトレンドや技術表現が合わないことがあります。
- そのまま提出しない:テンプレを元に必ず自社の言葉で整えてください。
実用例
- 新規提案用にPowerPointテンプレをダウンロードし、表紙とスライド構成だけ残して内容を入れ替えると短時間で完成します。
提案書作成のポイント
はじめに
提案書は短く分かりやすくまとめることが第一です。要点を冒頭に示し、読む側がすぐに価値を理解できる構成にします。
端的にまとめる
・冒頭に要約(TL;DR)を1〜3行で書きます。
・重要な提案、費用、納期を箇条書きで強調します。
専門用語を避ける
難しい語は使わず、必要な場合は簡単な説明を添えます。図や例で補うと理解が早まります。
視覚的要素の活用
ワイヤーフレーム、画面イメージ、フロー図、グラフを入れると説得力が増します。キャプションで意図を説明します。
統一感のあるデザイン
色・フォント・見出しのルールを決め、テンプレート化します。余白を取って読みやすくします。
リスクと運用の説明
想定される課題と対策、保守体制、運用コストを明記します。納品後のサポート範囲と連絡方法も示してください。
作成の実践テクニック
・箇条書きで要点を分割
・数値や期限は具体的に
・承認フローと検収基準を明記
・校正と第三者レビューを必ず行う
上記を踏まえると、読みやすく信頼される提案書を効率よく作成できます。
よくある失敗と注意点
この章では、提案書でよく見られる失敗例とそれを避けるための注意点を具体的に説明します。実例を交えて、読み手に信頼される提案書にするための対策をお伝えします。
1) 目的が不明瞭
- 失敗例: 「おしゃれなサイトにしたい」という要望だけで、目的やKPIが示されない。
- 対策: まず目的(問い合わせ増、EC売上、ブランド認知など)と測定指標を明記します。例: 「3か月で問い合わせ数を20%増やす」など具体化します。
2) デザイン先行で実現性が低い
- 失敗例: アニメーションや特殊表現を盛り込みすぎて、技術的に難しくコストが膨らむ。
- 対策: ワイヤーフレームやプロトタイプで動作確認を行い、実装難易度と見積りを早めに検討します。
3) 運用・保守の説明不足
- 失敗例: 納品で終わり、更新方法や保守費用が示されない。
- 対策: CMSの運用方法、更新頻度、保守費用(月額または年額)を明記し、担当者の引継ぎ手順も書きます。
4) 費用の根拠が曖昧
- 失敗例: 総額のみ提示し、内訳や前提条件がない。
- 対策: 工数ごとに単価を示し、外注費やライセンス費用、想定する修正回数も記載します。
5) リスク説明不足
- 失敗例: スケジュール遅延やブラウザ対応などのリスクに触れない。
- 対策: 主なリスクと影響、回避策(テスト工程、代替案、バッファ期間)を一覧で示します。
6) コミュニケーションと承認フローの欠如
- 失敗例: 連絡窓口や承認タイミングが不明確で遅延が発生する。
- 対策: 連絡担当者、決済者、承認フェーズと期限を明記し、マイルストーンごとに承認を取る仕組みを提案します。
これらの注意点に沿って提案書を作れば、提案の通りやすさと信頼性が高まります。具体的な例や数値を盛り込み、実現性を示すことが重要です。
提案書テンプレート活用のメリット
概要
提案書テンプレートを使うと、作業時間を短くでき、重要な項目の漏れを防げます。社内外で資料の見た目や構成が揃うので、受け手に安心感を与えます。
主なメリット
- 作業効率の向上
- 定型部分を流用できるため、作成時間を大幅に短縮できます。たとえば、会社紹介や料金表を毎回ゼロから作る必要がありません。
- 記載漏れの防止
- 必要項目をテンプレートに組み込めば、重要な情報の抜けを減らせます。チェック項目を入れておくとさらに安心です。
- 資料の統一感
- デザインや言い回しが揃うと、ブランドイメージが安定します。クライアントにも信頼感を与えます。
- 新人でも作成しやすい
- 記入例や説明をテンプレートに入れておけば、慣れていない人も迷わず作成できます。
- 品質の安定と修正コストの低減
- ベースがあるためレビューや修正が早く終わります。過去の提案を再利用して改善を積み重ねられます。
活用時の注意点
- そのまま使い回すと相手に合わない場合があります。案件ごとにカスタマイズしてください。
- 情報が古くならないよう、料金や実績は定期的に更新してください。
- フォーマットに依存しすぎると柔軟性を失います。重要な点は個別に強調しましょう。
運用のコツ
- テンプレートのライブラリを作り、用途別に分類します(初回提案用、リニューアル用など)。
- ファイル名やバージョンを明確にして誰が更新したか分かるようにします。
- 提案後のフィードバックをテンプレートに反映し、改善サイクルを回します。
- チェックリストを付けて、提出前に必ず確認する習慣を作ります。
テンプレートは道具です。使い方次第で効率も説得力も大きく変わります。使い方を工夫して、提案の質を高めてください。
SEO対策やオウンドメディア提案書との違い
概要
Web制作提案書は主にサイトの設計・制作やリニューアルを目的とします。一方でSEO提案書やオウンドメディア提案書は集客や認知拡大といったマーケティング色が強いです。用途に応じてテンプレートを使い分ける必要があります。
目的の違い
- Web制作提案書:構造、デザイン、機能の実装が中心。例:レスポンシブ対応、CMS導入。
- SEO/オウンドメディア提案書:検索流入やコンバージョン向上を目指します。例:キーワード選定、コンテンツ企画。
含めるべき項目の差
- 制作提案書はサイトマップ、ワイヤーフレーム、費用見積り、スケジュールが重要です。
- SEO提案書は現状分析(流入・順位)、目標KPI、キーワード戦略、施策の優先度、計測方法を重視します。
成果の測定と期間
SEOは中〜長期的な効果が多く、数値目標と期間を明確にします。制作は納品後の動作確認や保守契約で関係が続きますが、効果測定の方法が異なります。
使い分けと組み合わせのコツ
制作とSEOは分けて提案しても良いです。ただし同時に提案すると受注率が上がる場合があります。例:デザイン提案にSEOの基本施策を組み込み、費用のオプションで継続運用を提示すると分かりやすいです。
実務的な注意点
クライアントの目的を最優先にし、どの提案書で何を解決するかを明確にしてください。専門用語は少なめにし、具体例や期待できる効果を示すと理解が得られます。
参考になるテンプレート配布サイト・ツール
主な配布サイト
- SlideShare:プレゼン資料の参考になります。既存資料をダウンロードしたり、構成や言い回しの参考に使えます。
- alle:ビジネス向けのテンプレートが揃います。見積書や提案書のフォーマットが多いです。
- bizocean:書式が豊富で契約書や企画書のテンプレートもあります。用途別に探せます。
- Canva:デザイン性の高いテンプレートが多く、視覚的に訴える提案書を作れます。ドラッグ&ドロップで編集できます。
使い分けのポイント
- 目的で選ぶ:構成や文章重視ならSlideShare、事務書類はbizoceanやalle、見た目重視はCanvaが向きます。
- カスタマイズ性:CanvaやGoogleスライドは編集しやすく、色やフォントを簡単に変更できます。
テンプレート利用時の注意点
- ライセンス確認:商用利用可否や帰属表記の有無を必ず確認してください。
- ブランディング調整:企業ロゴや色に合わせて必ず調整しましょう。
- ファイル形式:PowerPoint形式やPDF、画像として保存できるかを確認します。
おすすめの編集ツール
- Canva:初心者向けで見た目を整えやすいです。
- Googleスライド:共同編集やクラウド保存に便利です。
- PowerPoint:細かい調整やオフライン作業に適します。
- Figma:デザインにこだわる場合に向きます。
これらを活用して、用途に合ったテンプレートを選び、提案書の質を高めてください。












