はじめに
本報告書の目的
本報告書は「web制作 期間」に関する情報を整理し、制作に要するおおよその目安や考え方を分かりやすく示すことを目的としています。実務でよくあるパターンや制作工程ごとの見方、期間が延びる典型的な要因などをまとめ、発注者と制作者の共通理解を助けます。
対象読者
- これからWebサイトを制作する予定の方
- 社内で制作スケジュールを検討している担当者
- 制作会社との調整を行う方
幅広い読者に向け、専門用語は最小限に抑え、具体例を交えて説明します。
本書の構成と使い方
本報告書は全8章で構成します。各章は次の点に焦点を当てます。
– 制作全体の期間目安
– サイト種類別・ページ数別の目安
– 制作フェーズごとの期間内訳
– 期間が延長されやすい要因や大規模サイトの扱い
必要な章だけを参照しても理解できるように設計しています。まずは第2章の全体目安を読むと、制作スケジュールの大枠がつかめます。
注意事項
期間は案件ごとに大きく変わります。デザインのこだわりや機能要件、素材の準備状況によって短くも長くもなります。ここで示す目安は、一般的なケースを想定した参考値です。具体的なスケジュールは見積もり時に個別に確認してください。
Webサイト制作の全体的な期間目安
概要
Webサイト制作にかかる期間は、規模や目的、外部調整の有無で大きく変わります。一般的なコーポレートサイトは2〜3ヶ月が目安です。内容や要望次第で3〜6ヶ月、さらに長くなる場合もあります。
標準的な目安（目安の内訳）
- ランディングページ（1ページ）：1〜4週間。短期間で公開できます。例：キャンペーン用ページ。
- 小規模サイト（数ページ）：4〜8週間。基本的な設計と少量のコンテンツが必要です。
- コーポレートサイト（10〜20ページ）：2〜3ヶ月。デザイン、コーディング、CMS導入、テストを含みます。
- 複雑な案件（会員機能・予約・ECなど）：3〜6ヶ月以上。要件定義や開発、運用設計に時間がかかります。
期間が変わる主な理由
- コンテンツ準備：文章・写真・動画の用意が遅れると全体が伸びます。
- 要件の追加・変更：途中で機能を増やすと再設計や再実装が必要になります。
- 審査や承認の回数：社内承認が多いとスケジュールに影響します。
進め方のポイント
初期段階で優先順位を決め、必須と任意を分けます。将来の拡張を見越して設計すると、後からの変更を減らせます。短納期の場合は範囲を絞り、段階的に公開することを検討してください。
サイト種類別の制作期間
ランディングページ（LP）
短い訴求ページです。目的が明確なら制作は早く、簡単なLPなら約1～2週間、デザインやABテストを含めると1か月程度が目安です。画像や文言の準備が早ければさらに短縮できます。
コーポレートサイト
情報量によって変わります。目安は以下の通りです。
– 10ページ程度：2～3ヶ月（会社案内、事業紹介、問い合わせ等）
– 30ページ程度：約4ヶ月（事業ごとの詳細や採用情報を含む）
– 100ページ規模：半年以上（支店情報や多数の事例を含む大規模サイト）
コンテンツ準備と承認フローが遅れると期間が伸びます。
ECサイト（ネットショップ）
商品登録、決済、在庫連携など機能が多く、4～8ヶ月が目安です。既存のECプラットフォームを使えば短縮できますが、独自機能が増えると開発期間が延びます。
オウンドメディア
記事投稿やCMS設定が中心で、2～6ヶ月が目安です。初期構築を素早く終え、記事を段階的に増やす運用が現実的です。
採用サイト
会社文化や社員インタビューなどコンテンツが重要で、3～6ヶ月が目安です。動画や撮影を行う場合は準備期間を見込んでください。
各サイトで共通する短縮ポイント：テンプレート活用、素材の事前準備、優先機能の明確化です。
ページ数別の制作期間
概要
ページ数によって作業量と確認回数が増えます。ここでは一般的な目安を示します。目安はデザイン決定やコンテンツ準備の状態で前後します。
小規模サイト（3〜5ページ）
目安：約2ヶ月
– 目的が明確で、テンプレート利用やコンテンツが揃っていると短縮できます。
– 構成確認→デザイン→コーディング→簡易テストの順で進みます。
小〜中規模（10ページ程度）
目安：2〜3ヶ月
– ページごとの微調整や内部リンクの確認が増えます。
– コンテンツが未完成だと工数が伸びやすいです。
中規模（10〜20ページ）
目安：約3ヶ月
– 複数のテンプレートや一覧ページ、個別ページが混在します。
– QA（動作確認）やスマホ対応の確認を十分に行います。
中〜大規模（30ページ）
目安：約4ヶ月
– ページ間の整合性、SEO対策、画像や素材の最適化に時間がかかります。
大規模（100ページ以上）
目安：通常8〜9ヶ月以上
– ページ数が多いほど設計、テンプレート整備、翻訳やデータ移行で工数が増えます。
期間短縮のポイント
- コンテンツを事前に用意する、共通テンプレートを作る、段階的に公開する（フェーズ分け）などで短縮できます。
- レビューを早めに集めて、修正をまとめて行うと効率化します。
制作フェーズ別の期間内訳
企画・要件定義（目安：2～4週間）
目的と優先順位を明確にします。ターゲットや目的、必要な機能（お問い合わせフォーム、会員機能など）を決め、サイトマップやワイヤーフレームを作成します。例：週1回の打ち合わせを2～3回行い、要件を固めます。ここで決まらなければ延びます。
デザイン制作（目安：2～3週間〜3～6週間）
ビジュアル方針を決め、トップページと主要下層のデザインを作ります。修正が増えると期間が伸びます。例：初案提出→修正1回で短め、修正3回なら延長。レスポンシブ（スマホ対応）も含めて検討します。
開発・コーディング（目安：2～3週間〜4～8週間）
HTML/CSS、JavaScript、CMS導入やバックエンド連携を行います。機能の多さや外部サービス連携（決済、会員管理）で時間が増えます。単純な静的サイトなら短く、機能豊富なサイトは時間を要します。
テスト・修正および公開準備（目安：1～2週間）
ブラウザや端末で動作確認、入力チェック、セキュリティ簡易確認、最終のコンテンツチェックをします。ステージングで公開確認後、本番サーバ移行、DNS設定、最終テストを行います。簡単な修正なら短時間で済みます。
各フェーズは重複して進めることも多く、並行作業で全体期間を短縮できます。余裕を見て進めると安心です。
制作期間が延長される要因
要約
制作期間が延長する主な要因と目安を挙げます。オリジナル機能の実装で2～4週間、コンテンツ量が多い場合は1～3週間、デザインの作り込みで1～2週間の追加がよく発生します。以下で具体例と対策を説明します。
主な延長要因と具体例
-
オリジナル機能の実装（目安：+2～4週間）
独自の予約システムや複雑な検索機能など、仕様が明確でない機能は設計→開発→テストを繰り返します。要件を早めに固めると短縮できます。 -
コンテンツ量の増加（目安：+1～3週間）
文章・画像・製品データなどが多いと、入力作業と確認に時間がかかります。CSVやテンプレートでまとめると効率化します。 -
デザインの作り込み（目安：+1～2週間）
ブランドに合わせた細かなアニメーションや細部の調整は工数が増えます。優先度を決めて段階的に実装するとよいです。 -
クライアント側のフィードバック遅延
修正指示の遅れでスケジュールが停滞します。回答期限を設けると遅延を防げます。 -
要件変更や追加
後から機能追加や仕様変更があると再設計が必要になります。変更管理ルールを決めて対応してください。 -
外部サービス連携や認証（目安：+1～3週間）
API仕様の確認やセキュリティ設定で調整が必要です。事前に連携先を確定しておくと安心です。 -
テストと品質保証
不具合修正や多端末チェックで期間が伸びます。最初からテスト計画を立てておくと費用対効果が高まります。
遅延を抑えるためのポイント
- 要件を早期に固める
- コンテンツはテンプレートで準備する
- レビュー期限を設定する
- 優先度を明確にして段階リリースする
以上が、制作期間が延びる代表的な要因と簡単な対策です。状況に応じて見積りに余裕を持つことをおすすめします。
大規模・複雑なシステムを要するサイト
概要
会員制サイトや予約システム、独自の決済や管理画面を持つECなど、複雑な機能が必要なサイトは制作期間が大きく延びます。一般的に6ヶ月〜1年以上かかることがあり、ゼロからシステムを設計・開発する場合は1年程度が目安です。
典型的な機能例
- 会員認証と権限制御（ログイン、権限分け）
- 予約管理（空き状況、キャンセル処理、通知）
- 決済連携（クレジットカード、定期課金）
- 外部API連携（配送、在庫、カレンダー）
- 管理画面（運用担当者向けの操作）
フェーズ別の期間目安
- 要件定義・設計：1〜3ヶ月（業務フローや例外処理の洗い出し）
- 実装：3〜8ヶ月（機能の数と複雑度で変動）
- テスト・検証：1〜3ヶ月（結合テスト、性能・負荷試験）
- 導入・移行：1〜2ヶ月（データ移行、運用ルール確立）
期間が延びやすい要因
- 要件の頻繁な変更や追加
- ステークホルダー間の合意形成に時間がかかる
- 外部サービスや法規制への対応
- 大量データの移行やセキュリティ要件
期間短縮の実務的な方法
- MVP（最小限の機能）で段階リリースする
- 汎用サービスやSaaSを活用する（認証や決済は既製品を利用）
- 要件を優先度で固定する
- 外部ベンダーへ並行作業を依頼する
注意点
複雑なシステムは運用負荷も増えます。リリース後の保守計画や費用も初期段階で検討してください。
制作期間に影響を与える要素
1. デザインの複雑さ
デザインがシンプルでテンプレート中心なら作業は早く進みます。カスタムレイアウトやアニメーション、ブランドに沿った細かな調整が必要だと、追加で1〜4週間程度かかることがあります。
2. 実装する機能の種類
お問い合わせフォームやブログは比較的短期間で対応できますが、会員機能、予約、EC（販売）機能は設計・検証が必要で、各機能で数週間〜数ヶ月の差が出ます。例：決済導入や在庫管理は+2〜6週間。
3. 外部システムとの連携
CRM、予約システム、API連携は要件定義と動作確認が増えるため時間を要します。仕様が固まっていないと遅延しやすいです。
4. 素材準備の状況
テキスト、写真、動画が揃っているかで大きく変わります。クライアント側で素材を準備する場合は数日〜数週間、多ければそれ以上かかります。
5. 多言語対応とローカライズ
翻訳だけでなく文字数やデザイン調整も必要です。言語ごとに数日〜1週間程度の工数が追加されます。
6. テストと品質保証
ブラウザ・端末対応、ユーザーテストは必須です。規模に応じて1〜2週間、問題発見でさらに延びます。
7. コミュニケーションと意思決定の速さ
返信やレビューが早いと短縮できます。方向性の変更や要件追加は工数を大きく増やします。
8. 法的要件・セキュリティ・ホスティング
プライバシー対応やセキュリティ強化、サーバー構築は別途時間が必要です。特に決済や個人情報を扱う場合は確認期間を見込んでください。
