web制作で成功するためのテスト基本と実施手順完全ガイド

目次

はじめに

本書の目的

この文書は、Web制作におけるテストプロセスの全体像と具体的な手順をわかりやすくまとめたガイドです。テスト環境の準備から実施、公開前の最終確認まで、一連の流れを丁寧に解説します。

対象読者

  • 制作チームのメンバー(デザイナー、コーダー、ディレクター)
  • テスト担当者やQA初心者
  • 小規模なサイト運営者
    専門知識がなくても読み進められるよう、専門用語は最小限にして具体例を交えて説明します。

本書で得られること

  • テスト環境の作り方が実践的に理解できます。
  • チェックすべき項目と実施手順が明確になります。
  • 公開前に発生しやすいミスを未然に防げます。例:表示崩れ、リンク切れ、フォーム送信の不具合。

構成と読み方のポイント

全8章で段階的に解説します。まず本章で全体像を把握し、次章以降で具体的な手順やチェックリストを確認してください。実務で使えるよう、手順は順序立てて記載します。

Web制作におけるテストの基本概念と役割

テストの目的

Web制作でのテストは、開発した機能が仕様どおりに動くか、不具合がないかを確認する作業です。たとえば、問い合わせフォームの送信や会員登録、決済処理が正しく動作するかを実際に操作して確かめます。ユーザーが使いやすいかを判断する点も重要です。

テストの種類と具体例

  • 単体テスト:部品ごとに動作を確認します。例)送信ボタンや入力チェックの動作確認。
  • 結合テスト:複数の機能をつなげて確認します。例)ログイン後にマイページへ遷移して注文履歴が見られるか。
  • 総合テスト(システムテスト):サイト全体の流れで問題がないかを確認します。例)注文の最初から最後までエラーなく完了するか。
  • 受け入れテスト:クライアントや利用者の視点で合格かを判断します。
  • 必要に応じ、表示確認(レスポンシブ)、パフォーマンスやセキュリティの簡易チェックを行います。

テストの役割

テストは不具合の早期発見と品質向上を担います。不具合をリリース前に見つけることで修正コストを下げ、ユーザーの信頼を守ります。また、想定外の操作に対する安全性や使い勝手の改善にもつながります。

調整と優先順位

サイトの用途や規模に合わせてテスト範囲を調整します。小さな企業サイトなら表示確認やリンクチェックを優先し、ECサイトや会員制サービスでは決済・認証・負荷・セキュリティ検証を重点的に行います。限られた時間では影響が大きい箇所を優先的にテストしてください。

実務上のポイント

  • 早い段階からテストを行い、開発と並行して問題を減らす。
  • 再現しやすい手順を残す(チェックリストや手順書)。
  • 発見した不具合は原因と再現手順を明確に報告する。
    これらを守ると効率よく品質を確保できます。

テスト環境構築の手順

Web制作で信頼できる検証を行うには、まず手順を決めて順に進めます。ここでは基本の流れと、WordPressサイトを想定した具体的な5ステップを分かりやすく説明します。

基本の流れ

  • 要件定義の確認:動作確認項目や対応ブラウザ、表示条件を明確にします(例:スマホ表示、特定ページの動作)。
  • テストケース作成:確認すべき操作や期待結果を一覧にします。簡単な手順書を用意すると再現性が増します。
  • テスト手法の決定:手動テストと自動テストを使い分けます。自動化は繰り返し検証で効果的です(例:E2Eテスト、パフォーマンステスト)。

WordPress環境の5ステップ

  1. テスト計画書作成:対象ページ、検証項目、スケジュールを記載します。
  2. 移行元ページのエクスポートとテスト用DB作成:データベースをダンプし、画像やメディアをまとめます。テスト用のSQLを用意します。
  3. テスト用レンタルサーバーの用意:本番と同等のPHPバージョンやモジュールを選びます。環境差で再現しない問題を防げます。
  4. テスト用サブドメインの設定:example.testなど本番と別のドメインを用意し、公開範囲を限定します。
  5. 移行元データのインポート:テーマ・プラグインを揃え、データベースとメディアをインポートして動作確認します。hostsでローカル確認する方法も有効です。

これで本番とほぼ同じ状態の検証環境が作れます。設定やバージョンが違う場合はその差をメモし、テスト結果に留意してください。

テスト実施の流れ

概要

テスト環境構築後は、動作検証→本番用サーバーへのデータ移行準備→公開URLの設定→データ上書き(公開)の順で進めます。目的は公開直前に問題を見つけ、確実に公開することです。具体例を交えて説明します。

1. 動作検証(ステージングで確認)

ページ遷移、フォーム送信、画像表示、レスポンシブ表示などを手で操作して確認します。例:お問い合わせフォームに実際に入力して送信し、管理画面に届くかを確かめます。自動化された簡易チェック(スモークテスト)も有効です。

2. 本番用サーバーへのデータ移行準備

データベースや設定ファイルをエクスポートし、差分を確認します。APIキーや環境変数など本番固有の設定を用意します。例:最新データをダンプして、本番用に接続先を切り替える準備をします。

3. 公開URLの設定

DNSやSSL証明書の設定を行います。公開用のドメインが正しく指しているか、HTTPSでアクセスできるかを確認します。例:Aレコードを本番サーバーに向け、証明書を発行して有効化します。

4. データ上書き(公開)

公開時はメンテナンスモードを使い、バックアップ後にデータを上書きします。移行後に主要なページとフォームを再度チェックし、キャッシュをクリアします。問題が見つかればすぐにロールバックできる体制を整えます。

注意点

  • 事前にバックアップを必ず取得する
  • 公開時間を関係者に周知する
  • 複数ブラウザ・端末で最終確認する

テスト実施時のチェック項目

目的確認:仕様通りか

公開前にまず仕様書と照合し、画面や動作が想定どおりか確認します。機能の有無や文言の違いを優先して洗い出します。

コンテンツ品質チェック

・表記揺れ、誤字脱字:見出し・本文・ボタンラベルを実際に目で追って確認します。
・titleとdescription:SEOと共有時の表示に関わるため、正しい内容と文字数を確認します。

データ形式と境界値テスト

入力欄は指定形式(数値、日付、メールなど)で受け取るかを検証します。最小値・最大値、空欄、長すぎる文字列などの境界値を試します。予期しない形式入力でエラー処理が動くかも確認します。

ブラウザと表示確認

主要ブラウザ(Chrome、Firefox、Edge、Safariなど)で表示と操作を確認します。画面幅を変えてレスポンシブ表示やレイアウト崩れがないかもチェックします。

機能と例外系の確認

リンク切れ、画像表示、フォーム送信、エラーメッセージの適切さ、ネットワークエラー時の挙動、ブラウザコンソールのエラー有無を確認します。

アクセシビリティ・パフォーマンス(簡易)

キーボード操作や代替テキストの有無、ページ読み込み速度の目安を確認します。必要なら詳細検査を計画します。

実行順と記録

重要度の高い項目から実行し、再現手順・期待結果・実際の結果を記録します。スクリーンショットやログを残すと修正がスムーズになります。

テスト計画と設計のプロセス

概要

ソフトウェアのテストは、テスト計画→テスト設計→テスト実装→テスト実行→テスト報告の順で進みます。本章では計画と設計に焦点を当て、次工程へスムーズに渡せる具体的手順を説明します。

1. テスト計画の目的と作成手順

  • 目的を明確にします(品質目標、合格基準、スコープ)。例:ログイン機能は5秒以内に応答することを合格とする。
  • リソースとスケジュールを決めます(担当者、環境、期間)。
  • リスクを洗い出し優先順位を付けます(例:決済は高リスク)。

2. テスト設計の進め方

  • テスト対象を分解して領域ごとにケースを作成します。例:フォーム入力、エラーメッセージ、権限チェック。
  • 正常系と異常系を合わせて考えます(期待通りの操作、誤入力時の挙動)。
  • 優先度を付けて実行順を決めます。重要な機能からテストします。
  • カバレッジ指標を決めます(機能網羅、ブラウザ網羅、仕様の主要パス)。

3. テスト設計の実例とテンプレート

  • テンプレート項目:テストID、目的、前提条件、手順、期待結果、優先度、担当。
  • 具体例:ログイン画面のケース1:正しいID/PWでログインできること。前提:ユーザー登録済み。期待結果:ダッシュボード表示。

4. 次工程への橋渡し

  • 設計書は実装チームや自動化担当に渡しやすい形式で保存します(スプレッドシートやCSV)。
  • テストコード作成時の注意点を添えます(再現手順、テストデータ)。

各段階で可視化と共有を行い、抜けや重複を減らして効率よく進めてください。

テスト環境構築のメリット

安全に検証できる

テスト環境は本番サイトをコピーして別ドメインやサブドメインに置きます。こうすることで、本番を止めずに変更を試せます。例えばデザインを変えたり、フォームの送信処理を試したりしても本番のユーザーに影響を与えません。

作業を並行化できる

開発者、デザイナー、QA担当者が同時に作業できます。Aさんがレイアウトを直している間にBさんが動作確認を行う、といった流れがスムーズになります。

トラブル時に巻き戻ししやすい

テスト環境で問題を再現して修正すれば、本番へのデプロイで失敗するリスクを下げられます。万が一問題が出ても、本番を以前の状態に戻しやすくなります。

パフォーマンスや負荷の確認が可能

アクセス負荷や表示速度を試験できます。実例として、同時アクセスを想定した計測を行い、表示が遅くなる箇所を特定できます。

セキュリティ検査が行える

外部に公開しない環境で脆弱性や権限設定を確認できます。個人情報を扱う場合はテスト用のダミーデータを使うと安全です。

コストと運用面の注意点

レンタルサーバー上のサブドメインで構築すれば手軽です。ただし、環境を放置すると更新の差分管理が煩雑になるため、定期的に同期する運用ルールを決めてください。

公開前のチェック重要性

なぜ公開前チェックが重要か

公開前は作業が集中し、確認漏れが起きやすいです。納期に追われると表示崩れやリンク切れ、入力フォームの不備など基本的な問題が見落とされます。品質を守るには計画的な確認と役割分担が不可欠です。

よくある問題と具体例

  • 表示崩れ:スマホでボタンが隠れる。
  • リンク切れ:重要なPDFが404になる。
  • 動作不備:送信フォームがメールを送らない。
  • アクセス集中:ページが遅くなる。

具体的なチェックリスト(例)

  • 表示確認:主要ブラウザ・スマホで画面を確認。
  • リンク・ファイル:すべて開けるか試す。
  • フォーム送信:実際に送信して受信を確認。
  • 速度測定:主要ページの表示時間を測る。
  • バックアップ:公開前に最新のバックアップを保存。

役割と流れ

テスター、開発者、運用担当の役割を決めておきます。テストはステージング環境で行い、問題が無ければ公開用の作業ウィンドウを設けて公開します。公開後は短時間で再確認を行い、問題が出たら即時ロールバックできるように準備します。

最終確認の手順(簡潔)

1) ステージングで全チェックを完了
2) バックアップ取得
3) 公開作業(窓口を明確に)
4) 公開直後の再確認
これらをルール化すると確認漏れを大きく減らせます。

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