webサイトの納品物とは?基本知識と正しい受け取り方のポイント

目次

はじめに

目的

本報告書は、Webサイト制作で発生しやすい「納品」に関する不明点やトラブルを減らすために作成しました。制作会社が依頼主に渡すべきもの、その形式、契約時に確認すべき点を具体的に整理します。例えばファイルやアカウントの引き渡し、著作権の扱いなど、実務で役立つ情報を中心にまとめます。

対象読者

  • 企業や個人でWebサイトを発注する方
  • 制作側で納品物を準備する担当者
    初めて発注する方も、経験者の方も参考になるように配慮しています。

本書の構成と使い方

全7章で、納品の基本概念、具体的な納品物、含まれないもの、納品形式、受け取るべきアイテム、契約前の確認事項まで順に解説します。各章は短く読みやすくまとめていますので、必要な章だけを参照しても役立ちます。

Webサイト制作における「納品」の基本概念

納品とは

Web制作における「納品」とは、制作側が完成したホームページを正式に依頼主へ引き渡すことを指します。単に見た目が完成するだけでなく、サイトを運用するための権利やデータを渡す重要な手続きです。

所有権・著作権の移転

納品時には所有権や著作権の扱いを明確にします。たとえばロゴや写真、コーディングしたファイルの利用範囲を確認します。契約で範囲を決め、口頭ではなく書面で残すことをおすすめします。

納品のタイミングと条件

納品のタイミングは契約で決めます。最終確認(テストや承認)が済んだ段階で納品とするのが一般的です。修正回数や検収期間を事前に取り決めると認識のズレが減ります。

納品の形式(概要)

納品は主に2つの形式で行います。1つは制作側がサーバーにサイトをアップロードして公開する方法、もう1つはソースやデータをファイルで渡す方法です。どちらを採るかは契約で決めます。

一般的な納品の流れ

  1. 最終確認(動作・表示)
  2. 検収(依頼主の受け取り確認)
  3. データ引き渡しまたはサーバー公開
  4. 代金精算と権利移転の記録

注意点

納品で何をもって“完了”とするかを明確にしてください。バックアップ方法やアフターサポートの有無、第三者素材の使用許諾も確認しておくと安心です。

納品物の定義と具体的な内容

概要

納品物とは、完成したホームページをインターネットに公開するために必要なファイルや情報のことです。これらが指定のサーバーにアップロードされると、サイトが閲覧できる状態になります。初心者にも分かりやすく、何が受け取れるかを整理します。

プログラム(HTML/CSS/JavaScript等)

HTMLはページの骨組み、CSSは見た目、JavaScriptは動きを担います。PHPなどのサーバー側プログラムがある場合は、動作するファイル一式を納品します。例:トップページのindex.html、スタイル.css、動作.js。

画像・メディア

使用した画像(JPG/PNG/GIF)や動画ファイルをフォルダで整理して渡します。解像度やライセンス情報も明記すると安心です。

CMSやデータベース関連

WordPress等を使う場合は、テーマファイル、プラグイン一覧、場合によってはデータベースのエクスポート(SQL)を含めます。復元手順を書いた説明も重要です。

ドキュメント・操作マニュアル

管理画面のログイン情報、基本的な運用手順、画像差し替えや記事投稿の手順をマニュアルで渡します。トラブル時の連絡先も明記してください。

受け渡しの形式と確認事項

ファイルはフォルダ構成が分かる形で整理し、圧縮(ZIP)やGitで納品します。納品後は動作確認(表示、リンク、フォーム送信)を一緒に行い、不具合があれば修正して完了とします。

納品物に含まれないもの

概要

すべてのデータが納品されるわけではありません。編集可能な元データ(IllustratorやPhotoshopのファイル)、未使用の素材、制作会社が内部で使う独自ツールやテンプレートなどは、基本的に納品対象になりません。著作権や利用権は制作会社側に残ることが多い点にご注意ください。

よく含まれない具体例

  • 元データ(.ai、.psd、.sketch などのレイヤー付きファイル)
  • 未使用の写真・素材やストック素材のライブラリ
  • 制作会社独自のテンプレートやスニペット、内部ツール
  • 開発用のビルドスクリプトやテストデータ、サーバーログやバックアップ
  • 商用フォントの元ファイル(個別の使用ライセンスのみ提供されることが多い)

なぜ含まれないか

これらは制作会社のノウハウや第三者とのライセンスに関わるため、無条件で渡せない場合が多いです。ときには追加費用や別途の使用許諾が必要になります。

クライアントが取るべき対応

  • 契約時に「何を納品するか」を明確に書く
  • 元データが必要なら明示して追加費用や使用範囲を取り決める
  • フォントやストック素材はライセンスの写しを要求する
  • 制作会社の独自ツールを使っている箇所は代替手段やドキュメントを求める

注意点

著作権が制作会社側に残る場合、使用範囲が限定されます。将来の改修や別業者への引き継ぎを見越して、事前にどこまで受け取るかを決めておくと安心です。

納品形式の2つの種類

概要

Webサイトの納品には大きく分けて2種類あります。制作会社がそのままサーバーにアップして公開準備を整える「サーバーアップロード型」と、サイトのデータ一式を丸ごと渡す「データ納品型」です。

1. サーバーアップロード型

  • 説明:制作会社が依頼主指定のサーバーにファイルやデータベースをアップロードし、すぐ公開できる状態にします。普及している方法です。
  • 長所:公開までの手間が少なく、公開後の動作確認もその場で行えます。初心者にも分かりやすいです。
  • 注意点:サーバーのアクセス権やFTP情報、ドメイン設定などを事前に共有する必要があります。公開タイミングやバックアップの取り方を契約で明確にしてください。
  • チェックリスト:サーバー情報(ホスト名・アカウント)/データベース情報/公開テストの実施/バックアップの有無

2. データ納品型

  • 説明:HTML・CSS・画像・データベースのダンプなどをファイルで渡します。媒体はUSBやオンラインストレージが一般的です。
  • 長所:依頼主が自由に管理・移転でき、将来的な運用の独立性が高まります。
  • 注意点:受け取ったデータを自分のサーバーに戻す手順や権限が必要です。CMSを使っている場合は復元手順を確認してください。
  • チェックリスト:納品物の一覧(ファイル構成)/復元手順書/パスワードや設定情報の付与/受領媒体の安全性(暗号化など)

セキュリティと引き継ぎ

どちらの形式でもパスワード管理とバックアップは必須です。納品後の保守や運用を依頼するかどうかも早めに決め、権限委譲の範囲を明確にしてください。

納品時に受け取るべき具体的なアイテム

受け取るべき主なファイル

  • ソースコード(HTML、CSS、JavaScriptなど)
  • サイトが動く状態のファイル一式を受け取ります。例:ZIPやGitリポジトリで納品。

  • 画像・メディアファイル

  • 元画像(高解像度)と実際に使われている最適化版を分けて受け取ると便利です。

ドキュメント類

  • 操作マニュアル
  • ページの更新方法、画像差し替え、フォームの管理など手順を具体的に示した書類。

  • 運用手順・チェックリスト

  • バックアップ方法や定期作業の一覧(例:週次バックアップ、ログ確認項目)。

デザイン・CMS関連

  • デザインデータ
  • FigmaやPSDなどの元データ。修正や再利用に必要です。

  • CMS情報(WordPress等)

  • 管理者アカウント情報、データベース接続情報、バックアップ手順、移行方法。

その他重要な情報

  • SSL・ドメイン情報(証明書やDNS設定の詳細)
  • テストアカウントと動作確認用のログ
  • 使用ライブラリやフォントのライセンス情報
  • 納品受領書や権利譲渡に関する書面

これらを受け取ることで、運用や将来の改修がスムーズになります。必要に応じて受け渡し方法(Git権限付与やクラウド共有)を事前に決めておくと安心です。

納品前の契約段階での重要な確認事項

目的・目標の明確化

ホームページで何を達成したいかを具体化します(例:問い合わせ数増加、商品販売、採用情報の周知)。目標は数値や期限で示すと検証しやすくなります。

ターゲットユーザー

主な訪問者像(年齢層、業種、利用シーン)を共有します。想定ユーザーによって文言や導線が変わります。

掲載内容と範囲

掲載するページや機能(例:会社概要、ブログ、会員機能、決済)を箇条書きにします。追加要望の扱いや改修の範囲も決めておきます。

デザインの方向性

参考サイトや好まない例を示し、色・写真・トーンを伝えます。ワイヤーフレームやモックの承認プロセスを明記してください。

予算・納期・支払い条件

総額と分割支払いのタイミング、遅延時の対応を取り決めます。マイルストーンごとの納期も設定しましょう。

納品形式と納品物の範囲

サーバーへ直接アップロードするか、データで渡すかを明記します。ソースコード、デザインデータ、操作マニュアル、素材ファイル、アカウント情報など、具体的に列挙してください。

受入検査と修正回数

納品後の検収期間、テスト項目、修正の回数・範囲を決めます。合格基準を契約書に書いておくとトラブルを防げます。

権利関係・保守・サポート

著作権や二次利用の扱い、保守やサーバー運用の責任者、サポート期間と費用を明示します。またバックアップとSSL設定の有無も確認してください。

契約書や発注書に上記を明記し、双方が署名しておくことを強くお勧めします。

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