はじめに
背景
インターネットで商品を販売する人が増え、誰でもネットショップを始めやすくなりました。一方で、商品ごとに必要な許可や届出があり、知らずに販売するとトラブルや行政の指導を受けることがあります。
本記事の目的
本記事は、ネットショップ開設時に確認すべき「許可」の考え方をやさしく整理します。食品、化粧品、古物、医薬品など、代表的な商品別の注意点や手続きの流れをわかりやすく解説します。具体的な申請手順は第3章で触れますが、まずは全体像をつかめるようにします。
対象読者
- これからネット販売を始める個人や小さな事業者
- 既に販売しているが許可の必要性に不安がある方
- 商品の種類ごとに何を確認すべきか知りたい方
読み方のポイント
- まず自分の売りたい商品を分類してください。2. 次に当該商品にどの許可が関係するかを確認します。3. 必要な手続きは各章で順を追って説明しますので、段階的に準備してください。
この章では全体の見取り図を示しました。次章から具体的な考え方と手続きに入ります。
Webサイトで販売を始める前に確認すべき「許可」の考え方
なぜ許可を確認するのか
Webサイトの公開自体に特別な許可は不要です。ただし、実際に商品を販売するときは商品ごとに法律上の制約があります。無許可で営業すると罰則や販売停止のリスクがあり、信頼を失う原因にもなります。最初に確認しておくことで安心して長く続けられます。
主なチェック項目（例）
- 食品：調理・加工・保管方法や扱う種類によって保健所の許可が必要です。手作りの菓子や冷蔵品は注意します。
- 古物（中古品）：古物商許可が必要です。仕入れや買取を行う場合は特に該当します。
- 化粧品・医薬品：効能をうたうと薬に該当する場合があります。表示や成分にも規制があります。
- その他：酒類、医療機器、建築関連など特別な免許や届出が必要な商品があります。
準備の進め方（3ステップ）
- 「何を売るか決める」：商品ごとに新品・中古、成分や製造方法を明確にします。具体的に分類すると調べやすくなります。
- 「必要な許可を調べる」：市区町村の窓口や保健所、都道府県警察、公式サイトで確認します。場合によっては専門家に相談します。
- 「申請スケジュールを立てる」：書類準備、審査期間、費用を見積もります。許可がおりるまで販売は始めないか、許可を得ずにできる範囲（商品説明の作成や予約受付など）に留めます。
確認チェックリスト
- 商品の種類と特徴をリスト化する
- 該当しそうな法令・窓口を確認する
- 必要書類と申請期間、費用を見積もる
- 不明点は窓口や専門家に相談する
この順序で進めると、トラブルを避けて安心してネット販売を始められます。
ネットショップで「許可」が必要になりやすい代表的な商品
食品
家庭で作ったお菓子でも、販売するなら食品衛生法に基づく営業許可が必要になる場合があります。許可は原則として製造や調理を行う場所を管轄する保健所が出します。宅配や委託で発送する場合は、発送元の施設が適切な許可を持っているか確認してください。表示義務（原材料・アレルギー表示、賞味期限など）もあります。
輸入食品
海外から輸入して販売する場合、検疫所や税関への届出や輸入検査が必要です。特に生鮮食品や動植物由来のものは検疫の対象になります。輸入手続きは通関業者や専門家に相談すると安心です。
化粧品
化粧品は薬機法の対象です。既製品を仕入れて販売するだけなら小売の特別な許可は不要なことが多いですが、製造・輸入・ラベルの責任を持つ場合は届出や登録が必要になります。成分表示や安全性の確認義務がある点に注意してください。
中古品（古物）
中古品やリサイクル品を販売するには古物商許可が必要です。許可は警察署が管轄します。ネット販売では、販売サイトのURLを申請書に記載して届出する義務があります。また、仕入れ時の身分確認や取引記録の保存も求められます。
上記は代表的な例です。商品ごとに要件が異なるため、販売前に担当窓口や専門家へ確認してください。
