はじめに
本調査の目的
この調査は、Webサイトに掲載する画像に関する基礎をやさしくまとめたものです。画像のサイズや解像度、データ容量、形式の選び方が分かるようにし、サイト制作やリニューアル時に実務で使える情報を提供します。
対象読者
初心者から中級者のWeb制作者、運用担当者、個人でサイトを運営する方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例を交えて説明します。
本書の構成と使い方
全6章で構成します。第2章以降で具体的な数値や手順、第3〜5章で具体的な最適化方法や形式の選び方を扱います。実践したい箇所から読んでも理解できるように配慮しました。
期待できる効果
適切な画像設定を行うことで、ページの表示速度が改善し、ユーザー体験が向上します。読みやすい文章と具体例で、すぐに使える知識を身につけられます。
次の章では、Webサイトに最適な画像のサイズと解像度について具体的に説明します。
Webサイトに最適な画像のサイズと解像度について
目的に合わせた画像サイズの選び方
画像は使う場所で最適なサイズが変わります。メインビジュアル(ヘッダーやファーストビュー)は横幅を基準に考え、一般的には1920×1080pxを目安にします。高解像度ディスプレイ向けには3000〜4000px程度を用意すると見栄えが良くなります。小さなサムネイルや一覧画像は150〜300px程度で十分です。
よく使う目安サイズ(例)
- メインビジュアル(フル幅): 1920×1080px(高解像度時は2〜3倍)
- 商品画像・詳細画像: 800〜1200px(拡大を想定する場合は2000px前後)
- サムネイル一覧: 150〜300px
- ヘッダー・バナー: 1200×300px〜1600×500px(比率に応じて調整)
解像度と表示サイズの関係
画面に表示されるサイズ(例: 600px幅)と実際の画像ピクセル数は別物です。高解像度ディスプレイでは表示サイズの約2倍のピクセルを準備すると滑らかに見えます。つまり表示600pxなら画像は1200pxを用意します。
実務のコツ
- 比率(アスペクト比)を統一するとレイアウトが崩れません。- 複数サイズを用意して画面幅に合わせて切り替えると無駄な転送を減らせます。- 画質と容量のバランスは次章で詳しく扱います。
画像のデータ容量と表示速度の最適化
概要
ページ全体のデータ容量を小さく保つと表示速度が速くなり、ユーザーの離脱を防げます。Googleは1ページあたり1.6MB程度を目安に推奨しています。画像はファイルサイズが大きくなりやすいので、適切な圧縮と実装が重要です。
圧縮の基本と使い分け
- 可逆(ロスレス)圧縮:画質を保ちたい図版やロゴ向け。例:PNGの最適化。
- 非可逆(ロッシー)圧縮:写真向け。画質を少し落とし大幅に容量を削減できます。目安は品質70〜80%。
具体例:サムネイルは10〜50KB、記事の挿絵は50〜150KB、メインビジュアルは100〜300KBを目安にします。画面サイズに合わせて出力することで無駄な容量を減らします。
実装テクニック
- サイズ指定:HTMLやCSSで画像の幅と高さを指定してレイアウトシフトを防ぎます。
- レスポンシブ画像(srcset):表示サイズに応じて最適な解像度を配信します。2倍画面用に別画像を用意すると高解像度表示に対応できます。
- 遅延読み込み(lazy loading):画面外の画像はスクロール時に読み込むことで初期表示を速くします。
- CDNとキャッシュ:配信を速くし再訪問での読み込みを減らします。
ツールと測定
Squoosh、TinyPNG、ImageMagickなどで圧縮を確認してください。Lighthouseやネットワーク速度設定で表示速度を測り、画像がボトルネックか確認します。改善は小さな調整を積み重ねるだけで大きな効果が得られます。
Webサイトにおける画像の役割と重要性
1. 第一印象を左右する存在です
画像は訪問者が最初に目にする要素です。ヘッダーやメインビジュアルはサイトの“顔”になり、色合いや構図で信頼感や雰囲気を伝えます。たとえば、飲食店なら料理のアップ、サービス業なら働く様子の写真で魅力を直感的に伝えられます。
2. 商品やサービスのアピールに直結します
商品写真は用途やサイズ感が分かることが重要です。背景を整えて複数アングルを用意すると、購入判断が早まります。人が使っている様子を見せると、利用シーンが想像しやすくなります。
3. 見た目の品質は正しいサイズで保ちます
表示領域と同じサイズで画像を用意すると、拡大縮小でぼやけたり粗くなったりするのを防げます。特にメインビジュアルやバナーは、想定する表示幅に合わせた画像を用意してください。
4. 操作性と読みやすさを支える役割
画像はページの導線を強めます。視線を誘導するために余白や配置を工夫しましょう。また、alt属性で画像の内容を簡潔に説明すると、検索やスクリーンリーダーにも優しいです。
5. 実践チェックリスト
- ヘッダーに高品質なメイン画像を用意する
- 商品は複数アングルと利用シーンを掲載する
- 表示サイズに合わせた画像を用意する
- altテキストを必ず設定する
これらを意識すると、画像がサイトの価値を高め、訪問者の行動につながりやすくなります。
画像形式の選択と最適化
はじめに
Webサイト制作では画像形式を適切に選ぶだけで表示速度と見た目が大きく変わります。ここでは主要な形式の特徴と、実際に使うときの注意点を分かりやすく整理します。
代表的な画像形式と特徴
- JPEG:写真向け。ファイルが小さくなりやすく広く使われます。透明は扱えません。高圧縮で劣化する点に注意してください。
- PNG:ロゴや透過が必要な画像向け。劣化しない(ロスレス)ため綺麗ですが容量は大きめです。色数が少ない場合はさらに圧縮できます。
- GIF:短いアニメーション向け。色数が限定されるため写真には不向きです。
- SVG:アイコンやロゴなどのベクター画像に最適。どの解像度でも鮮明で、ファイルも軽いことが多いです。スクリプトで操作できます。
- WebP:最近広く対応している形式で、写真も透明画像も効率よく圧縮できます。対応ブラウザが多いので変換して使う価値があります。
使い分けの具体例
- 商品写真:JPEGまたはWebPで容量を抑える
- ロゴ・アイコン:SVGでシャープに表示
- 透過が必要:PNGかWebP(透過対応)
- アニメーション:GIFかアニメーション対応のWebP
最適化の実践ポイント
- 必要な解像度に合わせてサイズを縮小する(無駄なピクセルを減らす)。
- 適切な圧縮設定を使う(写真はやや強めのロスあり圧縮で容量を下げるなど)。
- レスポンシブ対応はsrcsetやpictureタグで行い、端末に合わせた画像を配信する。
- ビルドツールやサーバーで自動的にWebP変換を行うと手間が減ります。
- SVGは不要なメタデータを削除し、インラインで使う場合はセキュリティに注意してください。
- 画像には必ずalt属性を付け、読み込みは遅延読み込み(lazy loading)を活用すると表示速度とUXが向上します。
まとめと実装のポイント
概要
Webサイトに表示する画像は、ディスプレイの解像度と表示領域で見え方が決まります。画像は表示場所や用途に応じて適切なサイズと形式を使い分け、画質と表示速度のバランスを取ることが重要です。
実装のポイント(優先順)
- 表示領域に合わせたサイズを用意する:同じ画像でも、全幅(hero)、カード、サムネイルで別サイズを用意します。
- 複数解像度を用意する(srcset):ブラウザが最適な画像を選べるようにします。
- 圧縮とフォーマット最適化:写真はJPEG/AVIF、透過はPNG/WebPを用途に応じて選びます。画質を保ちながら容量を減らします。
- 遅延読み込み(lazy-load):画面外の画像は遅延読み込みにして初期表示を速くします。
- キャッシュ制御:CDNやブラウザキャッシュで再訪問時の表示を高速化します。
よくある画像設定例(目安)
- ヒーロー画像:横幅 1200〜1920px(レスポンシブで複数用意)。
- コンテンツ内画像:横幅 800〜1200px。
- サムネイル:横幅 150〜400px。
- 商品画像:実物比重視で800〜1500px。ファイルは圧縮で1枚100–300KB目安。
最終チェックリスト
- 表示領域に合った画像を使っているか
- srcsetやsizesを導入しているか
- 画像の読み込みがページ表示を遅くしていないか
- CDNやキャッシュを適切に設定しているか
最後に
画像は見た目の印象を大きく左右します。画質と速度のバランスを常に意識し、自社サイトの目的(誘導・信頼・販売)に合わせて最適化を進めてください。












