はじめに
調査の目的
本調査は、Webサーバーが「不明なエラー」を返す状況を分かりやすく整理することを目的としています。特に「500 Internal Server Error」とCloudflareの「エラー520」に焦点を当て、原因の見立て方と実際に使える対処法を提示します。専門用語は最小限にとどめ、具体例を交えて説明します。
対象と範囲
調査対象は、一般的なWebサイトと中小規模のサーバー環境です。サーバー設定の誤り、リソース不足(メモリ・ディスク)、プログラムのバグ、外部プラグインやミドルウェアの不具合など、現場でよく見られる原因を中心に扱います。クラウドやCDN(例:Cloudflare)を経由する場合の特有の挙動も取り上げます。
読み方のガイド
章は順に読むと対処の流れがつかめます。まず原因の切り分け方法を学び、次にログ確認や再起動など簡単な対処を試します。それで解決しない場合は、プログラムの動作確認や外部依存の切り離しを行います。作業はまずテスト環境で行い、可能なら事前にバックアップを取ってください。
本章では調査の全体像と進め方を示しました。次章から具体的な原因と対処法を順に解説します。
500 Internal Server Errorの原因と解決方法
概要
500 Internal Server Errorはサーバー内部で処理が失敗したときに返る汎用エラーです。原因は多岐にわたるため、順を追って切り分けると速く解決できます。
主な原因(具体例付き)
- プログラムのバグ
- 例:未定義関数や例外が発生して処理が止まる。
- 設定ファイルの記述ミス
- 例:.htaccessやnginx.confの誤記で構成が読み込めない。
- サーバーリソースの制限超過
- 例:メモリ不足、ディスク満杯、プロセス数上限。
- データベース接続障害
- 例:認証エラー、長時間実行のクエリで接続プール枯渇。
- 外部プラグインやモジュールの不具合
- 例:CMSプラグインの更新で互換性が崩れる。
- ファイル権限やパスの誤り
- 例:テンプレートやログにアクセスできない。
確認と切り分け手順(実践的)
- ログを最初に確認する
- /var/log/nginx/error.log や /var/log/apache2/error.log、アプリケーションログを確認します。スタックトレースがあると原因特定が早いです。
- 再現性を確認する
- 全ページか特定ページのみか。特定ならテンプレート・API呼び出し・DBクエリを疑います。
- 直近の変更を振り返る
- デプロイや設定変更が原因のことが多いため、差分を確認して一時的に元に戻してみます。
- プラグインや拡張を切り分ける
- CMSならプラグインを無効化して問題が消えるか試します。
- サーバー状態を確認する
- df -h、free -m、topなどでディスクやメモリ、CPUを確認します。
- データベースを確認する
- 接続確認・単純クエリ実行・長時間クエリのチェックを行います。
- サービス再起動や設定検証
- nginx -t など構文チェック後に nginx/apache/php-fpm を再起動します。
- 開発環境で詳細デバッグ
- ステージングでデバッグ出力を有効にして再現させ、修正します。
よくある対処例
- 設定ミス:構文チェックで早期発見し、.htaccessを一時的にリネーム。
- リソース不足:不要プロセス停止、ディスク整理、メモリ増設やリミット調整。
- DB障害:認証情報修正、接続プール設定見直し、インデックス追加。
- プラグイン:最新版に更新するか、安全に無効化して様子を見る。
再発防止のポイント
ログ監視とアラート、ステージングでの検証、デプロイ前の自動テスト、設定管理(IaC)を習慣化してください。
Cloudflareエラー520「Webサーバーが不明なエラーを返す」
概要
Cloudflareのエラー520は、Cloudflareがオリジンサーバーへ接続したものの、空の応答や不正な応答を受け取ったときに表示されます。ブラウザ上はサーバー側の問題に見えますが、実際はCloudflareとオリジンのやり取りで異常が起きています。
主な原因
- PHPやアプリがクラッシュして応答を返さない(例:メモリ不足でプロセスが落ちる)。
- TCPのアイドルタイムアウト(接続が切れる前の待ち時間)が短すぎる。
- サーバーが不正なHTTPエラーレスポンスを返す(ヘッダーが欠けているなど)。
対処方法(順を追って確認)
- サーバーログを確認する(WebサーバーとPHPのログ)。クラッシュや致命的エラーを探します。
- PHP-FPMやApache/nginxを再起動して、一時的な不具合を解消します。
- TCPやKeep-Aliveのタイムアウト設定を見直す。長い処理がある場合は延長を検討します。
- Cloudflareを一時的にバイパスして(プロキシを切る)直接オリジンへ接続し、同じエラーが出るか確かめます。
- curlでオリジンに直接アクセスし、返ってくるヘッダーと本文を確認します(例: curl -I -H “Host: example.com” http://オリジンIP)。
備考
同様のエラーが繰り返す場合は、アプリケーション側の健全性(メモリ・プロセス管理)を優先して見直してください。必要ならホスティング業者へ問い合わせてください。
サーバーエラーの全般的な原因と対処方法
概要
サーバーエラーは原因が多岐にわたります。システム障害、ハードウェア故障、ソフトウェアの不具合、アクセス制限、アクセス過多、ネットワーク問題などが代表例です。原因により対応者や手順が変わります。
主な原因と具体例
- ハードウェア故障:ディスク故障でデータベースが停止することがあります。\
- ソフトウェアのバグ:更新でアプリがクラッシュする例が多いです。\
- アクセス制限:特定IPやユーザーグループだけブロックされる場合があります。\
- 過負荷:同時接続が急増して応答しなくなることがあります。\
- ネットワーク/設定ミス:DNS設定やファイアウォールの誤設定で接続できないことがある。
ユーザー側でまず試すこと
- ページの再読み込みや別ブラウザで確認します。\
- キャッシュとCookieを削除します。\
- ルーター再起動や別ネットワークで試します。\
- 問い合わせ時は発生時間、操作手順、エラーメッセージを伝えます。
管理者が確認すべき手順
- ログ(Web・アプリ・システム)を優先して確認します。\
- サーバーのリソース(CPU・メモリ・ディスク)とプロセスを監視します。\
- ファイアウォール、WAF、IP制限の設定を点検します。\
- 最近のデプロイや設定変更をロールバックして原因切り分けします。\
- 必要ならサーバー再起動や冗長構成への切替で復旧を図ります。
予防策と運用のコツ
- 定期バックアップと監視を導入します。\
- 負荷対策(オートスケール、キャッシュ)を用意します。\
- 障害時の連絡経路と復旧手順を文書化します。\
以上の手順で多くのサーバーエラーは速やかに対処できます。必要な場合はホスティング業者やネットワーク管理者へ連絡してください。












