はじめに
Webフォームの自動入力とは
Webフォームの自動入力(入力補助)は、人が入力する手間を減らす仕組みです。住所や氏名、よく使う情報を自動で埋めることで、入力ミスや途中離脱を減らせます。実務では、ECの購入手続きや会員登録、社内の申請フォームなどでよく使われます。
なぜ目的を整理する必要があるのか
自動入力の導入目的により、適切なツールが変わります。例えば、購入率を上げたいECサイトではユーザー向けのEFO(エントリーフォーム最適化)ツールが向きます。社内の定型作業を自動化したい場合はRPAが適します。用途を曖昧にしたまま選ぶと、導入コストや運用負担が無駄に増えます。
本書の位置づけ
本シリーズでは、主にEFO、ブラウザ自動化、RPAの三つを紹介します。まずは目的を明確にし、次章で各ツールの特徴を比較してください。用途に合った選び方を学べるように進めます。
主なツールの種類
以下では、用途別に代表的なツールの種類と使いどころをわかりやすく説明します。
EFO(Entry/Form Optimization)ツール
会員登録や問い合わせフォームの入力を簡単にして、コンバージョン率を上げたい場合に向きます。例えば、入力補助・自動フォーマット・エラーチェック・途中離脱を減らすデザイン改善などを提供します。代表例はエフトラEFO、Gyro-n EFO、GORILLA EFOです。長所はユーザー体験を素早く改善できる点、短所はフォーム以外の自動化には使えない点です。
ブラウザ自動化/RPAツール
日々の決まった業務で、ブラウザ操作やフォーム入力を丸ごと自動化したいときに適します。例えば、受注データの転記や定期レポートの作成を自動化できます。代表例はThunderbit、BizteX cobitです。長所は業務全体を自動化して作業時間を削減できる点、短所は画面構成の変更に弱く、導入に設定が必要な点です。
テスト自動化ツール
Web画面の動作確認や回帰テストを目的に入力を自動化したい場合に使います。代表例はSeleniumです。長所は品質検証を自動化できる点、短所は業務用の恒常的自動化には追加の工夫が必要な点です。
代表的なサービスのイメージ
フォーム最適化・CV向上(例:エフトラEFO)
入力欄の自動補完やリアルタイムでのエラーチェックを行い、離脱を減らします。具体例として、住所の自動入力や入力ミスを即座に知らせる赤字表示、送信前の必須チェックなどがあります。導入は多くの場合、サイトに数行のスクリプトを入れるだけで済み、成果が出やすいです。
既存Web業務の自動化(例:Thunderbit、RPA各種)
ブラウザ上のクリックや入力を記録して繰り返し実行します。例えば、毎日の受注データをダウンロードして所定フォルダに保存する作業や、受注情報を別システムへ転記する作業を自動化できます。ノーコード型が多く業務担当者でも扱えますが、画面構成が変わると修正が必要です。
開発・テストの自動化(例:Selenium)
開発者向けにスクリプトでブラウザ操作を行い、入力テストや回帰テストに活用します。ログインからフォーム送信までを再現し、CI環境で自動実行できます。導入にはコード管理やテスト設計が必要ですが、細かい動作検証が可能です。
選定のポイント
導入前に押さえておきたいポイントを、具体例を交えて分かりやすく説明します。
1. 何を自動化したいか
目的を明確にしてください。例えば「自社サイトの入力フォーム最適化」なら、入力補助やエラーチェック、コンバージョン追跡を優先します。対して「社内業務フロー全体の自動化」なら、承認フローやデータ連携、定期レポートの自動化など、範囲が広く複数ツールの連携が必要です。まず小さく始めて効果を検証すると失敗が少なくなります。
2. 導入・運用体制
誰が運用するかで選ぶツールが変わります。マーケ担当だけで回したい場合はノーコードやテンプレートが豊富なサービスが向きます。エンジニアが関わる前提ならAPIやカスタマイズ性が高いものを選びます。運用ルールや担当者のトレーニング、保守体制も合わせて決めてください。
3. 料金・スケール
費用対効果を見て検討します。まずは無料や低価格プランで試し、必要に応じて月数万円のSaaSへ移行する方法が現実的です。ポイントはランニングコストだけでなく、連携数や実行回数に応じた追加料金、有料機能の有無も確認することです。小規模で始めて、負担が増えればスケールアップを考えましょう。
もし用途が決まっていれば
問い合わせフォームで住所やフリガナを自動入力したい場合
自社の問い合わせフォームで住所やフリガナを自動入力したいなら、EFO(Entry Form Optimization)ツールを検討してください。郵便番号から住所を自動入力する機能、カナ変換や入力補正、必須チェックの設定があると利便性が上がります。導入時は既存フォームとの連携方法、個人情報の取り扱い(暗号化・保存場所)、運用コストを確認してください。
特定サイトに毎日ログインして同じ項目を入力したい場合
毎日同じサイトへログインして手順を自動化したいなら、ブラウザ自動化やRPAを検討します。ログインの方式(パスワード・2段階認証)、入力する項目数、実行頻度で適した手法が変わります。ポイントは認証情報の安全な管理、エラー発生時の通知とリトライ、サイトの仕様変更に強い保守体制です。
もっと具体的に教えてください
対象サイト名(社内ツールでも可)、入力する項目の種類や数、実行頻度、扱うデータの機密性、予算感、社内で保守できる人の有無を教えてください。具体的な条件をいただければ、より適したツール名と導入の進め方をわかりやすく提案します。












