はじめに
本書の目的
このドキュメントは、Visual Studio Code(VSCode)で手軽にローカルWebサーバーを立ち上げる方法をわかりやすくまとめています。特に拡張機能「Live Server」を中心に、インストールから外部デバイスでの確認、他のローカル環境(例:MAMP)との連携まで解説します。
想定読者
Web制作を始めたばかりの方から、ローカルで効率的に開発したい中級者までを想定しています。HTMLやCSSの基礎が分かれば読み進められます。
本書で学べること
- Live Serverの役割と利点(編集を保存するとブラウザが自動で更新されます)
- インストール手順と基本設定
- 外部スマートフォンや他の端末からの確認方法
- MAMPなど既存のローカルサーバーとの共存方法
前提条件と準備
VSCodeがインストールされていることが前提です。ブラウザ(ChromeやSafariなど)と、必要であればスマートフォンを用意してください。特別な知識は不要です。
進め方のポイント
各章は実際の手順を中心に説明します。まずは最小限の設定で動作確認し、その後必要に応じてカスタマイズしてください。
Live Serverとは何か
概要
Live Serverは、Visual Studio Code(VSCode)用の拡張機能で、ローカルに簡単なWebサーバーを立ち上げます。保存するだけでブラウザが自動的にリロードされ、変更を即座に確認できます。手早く見た目や動作をチェックしたいときに便利です。
主な特徴
- ファイル保存でブラウザが自動更新されます。例えばCSSを編集して保存すると、手動でリロードする必要がありません。
- 静的ファイル(HTML/CSS/画像)をそのまま提供します。JavaScriptのfetchなど、ファイルプロトコルでは動作しない機能もテストできます。
- 起動は右クリックメニューやステータスバー、コマンドパレットから行えます。初心者でも扱いやすいです。
利用シーンの具体例
- HTMLとCSSの表示確認を繰り返すときに時間を節約できます。
- ローカルのJSONにfetchでアクセスする簡単な動作確認が行えます(例:fetch(‘/data.json’))。
注意点
- 本番環境向けのサーバーではありません。開発や確認用のツールとして使います。
- ネットワーク共有設定やポート番号の扱いは別途設定が必要です。
インストール手順
概要
Live ServerはVS Codeの拡張機能として手軽に導入できます。以下では、拡張機能パネルからのインストール方法と、インストール後の起動方法、よくあるトラブルの対処を丁寧に説明します。
インストール手順(簡単4ステップ)
- VS Codeを開きます。拡張機能アイコン(左サイドバーの四つの四角)をクリックします。
- 検索欄に「Live Server」と入力し、作成者がRitwick Deyのものを選びます。
- 「インストール」ボタンをクリックします。数秒で完了します。
- インストール後、VS Codeを再起動する必要はほとんどありません。すぐに使えます。
サーバーの起動方法
- HTMLファイルを開くと、右下に「Go Live」ボタンが表示されます。これをクリックすると自動でブラウザが立ち上がり、ローカルサーバーが動作します。
- 代替操作として、ファイル名を右クリックして「Open with Live Server」を選択しても起動します。
- デフォルトのアドレスは http://127.0.0.1:5500/ または http://localhost:5500/ です。ファイルの編集は保存するとブラウザに即反映されます。
よくあるトラブルと対処法
- 「Go Live」が出ない場合は、HTMLファイルをアクティブにしているか確認してください。ワークスペースを保存すると改善することがあります。
- ブラウザが開かないときは、ファイアウォールや別の拡張機能が干渉していないか確認してください。ポート競合が疑われる場合は設定でポート番号を変更できます。
- インストールに失敗する場合は、VS Codeを再起動し、拡張機能のキャッシュをクリアしてから再試行してください。
補足(便利なポイント)
- 保存と同時に自動リロードしますので、コーディングと確認を素早く繰り返せます。
- 複数プロジェクトで使う場合は、プロジェクトごとにワークスペース設定を保存しておくと便利です。
基本設定とカスタマイズ
設定画面の開き方
- VS Code の設定(歯車アイコン)を開きます。検索欄に「live server」と入力すると関連設定が一覧表示されます。UIで変更するか、右上の「設定(JSON)」で直接編集できます。
よく使う設定項目と意味
- ポート番号: デフォルトは 5500。別のサービスとぶつかるときは変更します(例: 5501)。
- ルートディレクトリ: プロジェクトの公開フォルダを指定します。例えば public や dist を指定するとその下がルートになります。
- 使用ブラウザ: 起動時に使うブラウザを指定できます。指定しないと既定のブラウザが使われます。
- リロード方法: ページ全体を再読み込みするか、部分的に反映するかを選べます。部分リロードはスタイルや一部の変更だけを素早く反映します。
- リロード待機時間: 保存から再読み込みまでの遅延(ms)を指定すると、ビルド処理に合わせられます。
- ホストアドレス: デフォルトは localhost。ネットワークからアクセスしたいときは 0.0.0.0 やローカルIPを指定します。セキュリティに注意してください。
設定例(settings.json の一例)
"liveServer.settings.port": 5501,
"liveServer.settings.root": "public",
"liveServer.settings.CustomBrowser": "chrome",
"liveServer.settings.wait": 200,
"liveServer.settings.host": "0.0.0.0"
トラブルシューティングの基本
- 設定を変えても反映されない場合は VS Code を再起動します。
- ポートが使われている場合は別ポートを指定します。
- 外部からアクセスできないときはファイアウォールやネットワーク設定を確認します。
以上を使えば、開発環境に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。
外部デバイスからのアクセス設定
概要
デフォルトでは Live Server は127.0.0.1(ローカルホスト)のみで動作します。同一ネットワーク内のスマートフォンやタブレットからも見たい場合は、設定でローカルIPを使うように変更します。具体的には “liveServer.settings.useLocalIp”: true を有効にします。
設定手順
- VS Code の設定を開きます(歯車マーク → Settings)。
- 検索欄に「Live Server useLocalIp」と入力し、チェックを入れます。あるいは settings.json に以下を追加します。
“liveServer.settings.useLocalIp”: true - Live Server を再起動します。起動すると、127.0.0.1 の代わりにマシンのローカルIP(例: 192.168.1.10)が表示されます。
ローカルIPの確認方法(簡単な例)
- Windows: コマンドプロンプトで「ipconfig」を実行し、IPv4 アドレスを確認します。
- macOS: システム環境設定のネットワーク、またはターミナルで「ifconfig」を使います。
表示されたアドレスを使って、他の端末から http://<ローカルIP>:<ポート> にアクセスします。
スマートフォンからの確認方法
- 開発用PCとスマホを同じWi‑Fiに接続します。
- スマホのブラウザで、PCに表示されたローカルIPとポート(例: http://192.168.1.10:5500)を入力します。
- ページが表示されれば接続成功です。
よくあるトラブルと対処
- ファイアウォールでブロックされることがあります。必要ならポート(デフォルト5500)やアプリを許可してください。
- ルーターのゲストネットワークは端末間の通信を遮断する場合があります。メインネットワークに接続してください。
- ポートが変更されている場合は、表示されるURLを確認してください。
これらを確認すれば、スマホやタブレットからローカルサーバーを使いやすくなります。
プロキシ設定とMAMP連携
概要
PHPなどのバックエンド処理が必要な場合、Live Serverのライブリロード機能とMAMPなどのローカルサーバーを連携させると便利です。フロントエンドの変更を即座に確認しつつ、バックエンドの動作も同時に使えます。
手順(基本)
- MAMPを起動し、ホストとポートを確認します(例: http://localhost:8888)。
- Live Serverの設定で「Live Reload」を有効にします。
- Live Serverのアドレスをhttp://127.0.0.1:5500/に設定します。
- プロキシ不要オプションを選択できる場合はそれを使い、代わりにブラウザでMAMP側のURLにアクセスします。
設定例(手順に沿ったポイント)
- VS CodeのLive Server拡張を使う場合、拡張設定で”Custom Browser”や”Port”を調整できます。
- フロント側ファイルはLive Serverのルートに置き、APIやPHPはMAMPのドキュメントルートに置きます。
注意点
- フロントとバックエンドで異なるポートを使うため、相対パスやAJAXのURLを絶対指定(http://localhost:8888/api/…)にすると確実です。
- ブラウザのキャッシュが干渉することがあるので、問題が出たらキャッシュをクリアしてください。
トラブルシューティング
- ライブリロードが反応しない場合は、ファイアウォールやポート競合を確認します。
- PHPが動作しないときはMAMPのApache/PHP設定を再起動してください。
以上の手順で、フロントエンドのライブリロードとMAMPのバックエンド処理を同時に使えます。












