はじめに
本資料の目的
本資料はSTUDIOで作られたウェブサイトの「表示速度」に焦点を当て、特徴や課題、改善策、今後のアップデート予定、速度チェックの方法、他ツールとの比較までを分かりやすくまとめたものです。特にスマホ表示で速度が遅く感じられるケースを中心に扱います。
対象読者
- サイト運営者や制作担当者
- コードを書かずにサイトを管理している方
- 表示速度の改善を検討している方
本資料で得られること
- STUDIOサイトで起きやすい速度問題の傾向が分かります
- 自分で試せる簡単な改善施策を学べます
- 公式の高速化アップデート情報を理解できます
- 速度チェックの方法やツールごとの特徴を把握できます
読み方の案内
各章は実務で使える順に並べました。まず原因を理解し、その後に対策とチェック方法を順に確認してください。具体例を交え、専門用語は最小限にとどめて説明します。
遅いと言われる主な理由
1)ページ内の要素や画像が多い
ページに表示するボックス(要素)が増えると、ブラウザは構造を組み立てレンダリングします。たとえば商品一覧で1ページに100枚のサムネイルがあると、画像の読み込み量と処理が一気に増えます。特に高解像度画像や複雑なSVGはデータ量と描画負荷が大きくなります。
2)フォントや外部スクリプト、アプリ連携の影響
ウェブフォントを多用すると、それぞれダウンロードが発生します。外部の解析ツールやチャット、広告などのスクリプトもネットワークと処理を追加します。同期的に読み込むタイプだと表示が遅れることが多く、結果としてページ全体の応答性が落ちます。
3)モバイル回線での体感の違い
同じページでもスマホで「重い」と感じることが多いです。理由は回線速度のばらつきや端末の処理能力、画面サイズに合わない重い画像などです。たとえばPCでは速い表示でも、モバイルの通信が遅いと画像の読み込み待ちでスクロールが止まることがあります。
4)複合的な要因が重なることが多い
要素の多さ、外部リソース、モバイル環境は単独でも影響しますが、複数が重なると体感速度はさらに悪化します。まずは何がボトルネックになっているかを切り分けることが重要です。
今後の高速化アップデート
背景と目的
STUDIO公式は、公開サイトの表示速度を大幅に改善するアップデートを予告しています。主な狙いは、訪問者が早く主要コンテンツにたどり着けるようにすることと、SEOや離脱率の改善です。
主な変更点
- SPA(単一ページ)からMPA(複数ページ)への構成変更により、初回表示に必要な処理を減らします。読み込みが軽くなります。
- 独自のレンダリングエンジンを導入し、不要なスクリプト実行を抑えます。
期待される効果
テンプレートベースのサイトでは、メインコンテンツ表示までの時間が約40%短縮された事例が示されています。これにより、検索順位の改善や直帰率の低下が見込めます。具体的には、FCP(初回コンテンツ表示)やLCP(最大のコンテンツ表示)などの指標が向上します。
実際の改善イメージ
例:従来のメイン表示まで1.2秒かかっていたページが、更新後は0.7秒になるといった具合です。これだけ速くなると、ユーザーの滞在時間が伸びやすくなります。
運用時の注意点
アップデート後も、画像最適化や外部スクリプトの見直し、キャッシュ設定は重要です。まずテスト環境で確認し、アクセス解析の指標を継続して監視してください。
自分でできる速度改善施策
構造をシンプルにする
ページ内のボックスやセクションは必要最小限にします。入れ子を減らしてDOM要素を少なくすると描画が早くなります。見た目はそのままに、不要なラッパーを削除することから始めてください。
画像・SVGの最適化
画像は表示サイズに合わせてリサイズし、WebPなど軽い形式に変換します。複数サイズを用意してsrcsetで配信すると無駄な転送を減らせます。画像はloading=”lazy”で遅延読み込みにし、SVGは不要な属性を削って軽くしてください。
外部スクリプト・埋め込みの整理
使っていない外部スクリプトやアプリ連携は削除します。YouTubeなどの埋め込みは、まずサムネイルだけ表示してクリックでiframeを読み込む方法が有効です。必要なスクリプトはasyncやdeferを使って読み込みの順を調整してください。
フォントの最小化
ウェブフォントは種類とウェイトを絞ります。可能ならシステムフォントを利用し、最低限のフォントだけを読み込んでください。フォントファイルを圧縮し、必要な文字セットだけを用意すると効果的です。
実施の簡単チェックリスト
- 不要なdivやセクションを削除する
- 画像をリサイズしてWebPに変換、lazy-loadingを設定する
- 埋め込みは遅延読み込みやクリック発火に切替える
- 未使用スクリプト・アプリを停止する
- フォントを1〜2種類に絞る
これらはすぐに取り組める改善策です。順番に実行して効果を測りながら進めてください。
ページ速度のチェック方法
はじめに
実際のボトルネックを把握するには、複数の計測方法で見ることが大切です。ここでは誰でもできる具体的な手順を丁寧に説明します。
基本的なチェック手順
- PageSpeed InsightsにURLを入れて、モバイルとPC両方のスコアを確認します。結果は「ラボ(合成)データ」と「フィールド(実ユーザー)データ」に分かれます。ラボは再現性が高く、フィールドは実際の体感に近いです。
- Googleアナリティクスの「サイトの速度」や、実ユーザー計測(RUM)を使い、訪問者が体感している速度を把握します。
モバイルでの確認ポイント
- スマホは表示や通信条件で差が出やすいため、必ずモバイル(4G想定)でスコアと体感を確認してください。
- LCP(ページの主要な表示が終わる時間)、FIDやCLS(操作感やレイアウトの安定性)を確認します。専門用語は少ないですが、具体的には「大きな画像がすぐ表示されるか」「クリックして反応が速いか」「途中でレイアウトがズレないか」を見れば十分です。
実機での確認
- 開発者ツールのネットワーク速度を4Gに設定して測定します。可能なら実際のスマホで速度の違いを確かめてください。回線や地域で体感が変わることがあります。
測定時の注意点
- 1回だけで判断せず、複数回・複数端末で確認します。ページごとに状況が違うため、主要なページ(トップ、商品ページ、お問い合わせページなど)を優先してチェックしてください。
- 計測結果の「改善案(Opportunities)」を見て、影響が大きい項目から対応すると効率的です。
ツール別の特徴イメージ
以下ではSTUDIOと一般的なWordPress(高速テーマを導入した構成)それぞれの特徴を分かりやすくまとめます。具体例や注意点も併せて記載します。
STUDIO
- 初期表示速度
- デザインの装飾が多いと重くなりやすい傾向です。アニメーションや読み込み時の装飾が多いと初回表示が遅く感じることがあります。
- デザイン自由度
- ノーコードで直感的に作れます。ビジュアル重視のランディングやポートフォリオに向きます。
- 今後の改善余地
- 公式の基盤改善で速度向上が予定されています。改善が適用されれば一気に使いやすくなります。
- 向いているサイト例
- デザイン重視のポートフォリオ、キャンペーンページ、簡易な企業サイト。
- 注意点と改善案
- 画像はできるだけ圧縮し、不要なアニメーションは減らしてください。読み込み優先の設計(ファーストビュー優先)を心がけると良いです。
一般的なWP+高速テーマなど
- 初期表示速度
- テーマや設定次第でかなり高速化できます。キャッシュや最適化プラグインの効果が大きいです。
- デザイン自由度
- テーマ依存の部分がありますが、コードでの調整で細かく制御できます。プラグインで機能追加も容易です。
- 今後の改善余地
- すでに多くの高速化ノウハウとプラグインが存在します。継続的なチューニングで高いパフォーマンスが期待できます。
- 向いているサイト例
- ブログ、コンテンツ重視のメディア、大規模なコーポレートサイト。
- 注意点と改善案
- 不要なプラグインを減らし、画像やスクリプトの読み込みを遅延させる(遅延読み込み)設定を行ってください。CDNの併用も効果的です。












