はじめに
概要
この文書は「SSLの設定」に関する調査結果を分かりやすくまとめたものです。SSL証明書を正しく導入すると、サイト訪問者との通信が暗号化され、パスワードや個人情報を安全に送受信できます。ブラウザの鍵マークやアドレスバーの「https」は信頼の目安になります。
対象読者
- 個人や小規模サイトの運営者
- レンタルサーバーでサイトを公開している方
- WordPressを使っている方
- Windows Server(IIS)で運用している方
それぞれの環境に合わせて読み進めてください。
本書の目的と構成
本書は実際の操作手順を重視します。第2〜6章で順を追って説明しますので、まずは全体の流れを把握し、各章で必要な手順を実行してください。具体例を交えて解説しますので、初心者の方でも取り組みやすい作りにしています。
注意点
作業前に必ずバックアップを取り、証明書の有効期限やDNS設定の反映時間にご留意ください。設定中は一時的にサイトにアクセスできない場合がありますので、作業時間を確保して行ってください。
SSL設定の基本的な流れと概要
概要
SSLはサイトと閲覧者の間の通信を暗号化して、第三者による盗み見や改ざんを防ぎます。安全な接続はURLの先頭が「https://」になることで分かります。導入は特別な技術者でなくても順序を追えば可能です。
全体の流れ(主な手順)
- ドメインの確認
- 対象のドメイン名を準備します。サブドメインを含めるか確認してください。
- 証明書の申請
- サービス提供者(無料や有料)に申請します。申請時に所有権を確認する手続きがあります。
- サーバーへの導入
- 証明書と秘密鍵をサーバーに配置し、ウェブサーバーに読み込ませます。レンタルサーバーでは管理画面で完了することが多いです。
- HTTPSへのリダイレクト設定
- 既存のHTTPアクセスを自動でHTTPSに飛ばす設定を行います。SEOや利便性のために重要です。
- 動作確認と期限管理
- ブラウザで安全表示か確認し、証明書の有効期限を忘れず管理します。
各ステップのポイント
- 秘密鍵は厳重に保管してください。流出すると証明書が無意味になります。
- 中間証明書の設定漏れで警告が出ることがあるので注意します。
- リダイレクトは301(恒久的)を使うと検索エンジンに優しいです。
よくあるトラブルと対処
- ブラウザの「保護されていない通信」表示:証明書が正しく入っているか、チェーンに漏れがないか確認します。
- 混在コンテンツ(HTTPの画像等):すべてHTTPSで読み込むよう修正してください。
- リダイレクトループ:設定場所や条件を見直します。
注意点
- 証明書の更新を忘れると突然警告が出ます。更新日をカレンダー等で管理してください。
- 大きな変更前はバックアップを取り、テスト環境で動作確認してから本番反映してください。
SSL証明書の取得プロセス
SSL証明書は認証局(CA)から発行されます。ここでは取得の流れを順を追って分かりやすく説明します。
1. CSR(証明書署名要求)の作成
CSRは証明書を申請するための情報ファイルです。主に「ドメイン名(Common Name)」「組織名」「所在地」「連絡先」を含みます。作成はレンタルサーバーの管理画面や、サーバー上でのコマンド(例:OpenSSL)で行います。生成時に秘密鍵(key)も作成するので、安全に保管してください。
2. 証明書の申込み
CAを選び、CSRを送信して申込みます。無料のものと有料のものがあります。申請時にドメイン所有の確認方法(メール、DNSレコード、HTTPファイル設置など)を選べます。簡単な例は、指定されたDNSにTXTレコードを追加する方法です。
3. 認証局による審査と承認
CAは申請内容を確認します。確認の厳しさは証明書の種類で変わります。ドメイン認証(DV)は短時間で済み、組織認証(OV)や拡張検証(EV)は書類提出が求められます。
4. SSL証明書の発行
審査が通ると、CAが証明書ファイルを発行します。通常は証明書と中間証明書が提供されます。ダウンロードして受け取ります。
5. SSL証明書のサーバーへのインストール
発行された証明書と秘密鍵、中間証明書をサーバーに配置します。レンタルサーバーの管理画面でアップロードするか、サーバー設定ファイルに追記します。最後にブラウザやオンラインのSSLチェックツールで正しく設定されているか確認してください。
レンタルサーバーでの設定方法(無料独自SSL)
前提
ドメインがサーバーに正しく向いていることを確認してください。ネームサーバーやAレコードが未設定だとSSL発行が失敗します。
設定手順(一般的な流れ)
- サーバーパネルにログインする(コントロールパネル、管理画面など)。
- 「SSL設定」や「独自SSL取得」メニューを選ぶ。
- 対象ドメインを選択し、無料独自SSLを有効にする(ONに変更)。
- 反映を待つ(通常は数分〜最大1時間程度)。
- ブラウザでhttps://ドメイン を開き、鍵アイコンが表示されるか確認する。
注意点・確認項目
- wwwあり/なし両方で有効にするか確認してください。片方だけだと別URL扱いになります。
- 自動更新の設定を確認してください。多くの無料SSLは自動更新されますが、設定によっては期限切れになります。
- ページの一部が「保護されていない」と表示される場合(混在コンテンツ)、内部の画像やスクリプトがhttp参照のままです。これらをhttpsに変更してください。
トラブル対処(簡潔)
- 反映されない:DNS設定を再確認し、キャッシュをクリアして再試行してください。
- エラー表示:サーバーのサポートへ問い合わせると早く解決します。
WordPressサイトのSSL化手順
概要
WordPressをHTTPS化する手順は主に3つです。STEP1でサーバー側のSSLを有効化し、STEP2でWordPressのURLをhttpsに更新、STEP3でHTTPからHTTPSへ自動転送(リダイレクト)を行います。作業前に必ずサイトのバックアップを取ってください。
STEP1:サーバーでSSLを有効化する
- レンタルサーバーのコントロールパネルにログインします。
- 「SSL設定」や「独自SSL/共有SSL」を探して有効化します(ボタン一つで済むことが多いです)。
- 有効化後、証明書の発行に数分〜数時間かかる場合があります。完了表示を確認してください。
STEP2:WordPress側の設定
方法A(管理画面で変更)
1. 管理画面の「設定」→「一般」を開き、WordPressアドレス(URL)とサイトアドレス(URL)の両方をhttp://からhttps://に変更して保存します。
2. ログアウトが発生するので再ログインしてください。
方法B(プラグインを使う)
1. プラグイン「Really Simple SSL」をインストールして有効化します。
2. 画面の指示に従うと、自動で設定と必要な置換を行います。簡単に対応できます。
補足:内部リンクや画像がhttpのままだと「混在コンテンツ」となり、鍵マークが表示されません。プラグインや検索置換でhttpsに更新してください。
STEP3:HTTPSへのリダイレクト設定
-
Apache(.htaccess)の例:
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} !=on
RewriteRule ^ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [L,R=301] -
Nginxの例(serverブロック内):
return 301 https://$host$request_uri;
レンタルサーバーの管理画面に「強制HTTPS」や「常時SSL」オプションがあれば、それを使うと簡単です。
最終確認と注意点
- ブラウザでサイトを開き、鍵マークが表示されるか確認します。
- サイト内のキャッシュをクリアし、CDNを使っている場合は設定を更新します。
- サーチコンソールやアナリティクスのプロパティをHTTPS版に切り替えてください。
以上でWordPressの基本的なSSL化手順です。問題が出た場合はバックアップから復元して、設定を一つずつ見直してください。
IIS(Windows Server)でのSSL設定方法
概要
IISでのSSL設定は手順が複数ありますが、順を追えば落ち着いて作業できます。ここではMMCでの証明書管理と、IISマネージャーでのバインド設定を中心に説明します。
前提
- 証明書ファイル(.pfx や CAからの証明書)が準備できていること
- サーバー管理者権限があること
MMCで証明書スナップインを追加
- [ファイル名を指定して実行]で「mmc」と入力して起動します。
- メニューの[ファイル]→[スナップインの追加と削除]→[証明書]を選び、[コンピューターアカウント]を指定します。
- 「個人(Personal)」の証明書ストアで証明書をインポート・確認します。
ポイント: プライベートキー(.pfx)でインポートする場合はパスワードを入力し、”鍵をエクスポート可能にする”は必要に応じてチェックします。
IISマネージャーでの設定
- IISマネージャーを開き、サーバー名を選び[サーバー証明書]をクリックします。
- CAからの応答がある場合は[証明書要求の完了]、.pfxを使う場合は[インポート]でファイルを指定します。
- サイトを選び、右側の[バインド…]を開き[https]を追加または編集します。ポートは通常443、証明書は先ほどのものを選択します。
ポイント: 複数サイトが同じIPで動く場合は”SNIを要求する”にチェックし、ホスト名を入力します。
動作確認とトラブルシュート
- ブラウザで https://your-domain を開き、鍵アイコンが表示されるか確認します。
- 証明書が一覧に出ない場合は、MMCで”個人”に正しく入っているか確認、必要なら再インポートします。
- 名前不一致や期限切れはブラウザの警告でわかります。エラー内容に応じて再発行や再バインドしてください。
更新時の注意
証明書更新時は新しい.pfxをインポートし、バインドを新しい証明書に変更します。自動化する場合はスクリプトでインポートとバインドを行う方法もあります。
以上の手順でIIS上のSSLを安全に設定できます。わからない点があれば、どの段階でつまずいたか教えてください。












