はじめに
目的
本ドキュメントは、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の設定と構築について、はじめての方でも分かりやすく進められるように解説します。基本の考え方から具体的な手順、代表的なツールの使い方まで、段階的に学べる構成です。
対象読者
・これからWebサイトを運営したい個人や小規模事業者
・社内でCMS導入を検討している担当者
・ノーコードでCMS運用を始めたいデザイナー
専門的な前提知識は不要です。用語は必要最低限にし、具体例で補います。
本書の使い方
各章は独立して読みやすい構成にしています。まず第2章でCMSの全体像をつかみ、第3章以降で実際の設定や運用に進んでください。手順に沿って進めると、スムーズにCMSを構築できます。
このガイドで得られること
・CMSを選ぶポイントが分かります
・初期設定を自力で進められます
・運用でよくあるつまずきを回避できます
次章では、CMSの基本概要をわかりやすく説明します。
CMS設定の基本概要
概要
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、Webサイトの情報を効率よく管理・公開するための道具です。ページ作成や更新、画像管理、ユーザー権限などを直感的に操作できます。初心者でも扱いやすい設計が多く、導入後は作業時間が大幅に短縮します。
主な設定項目
- サイト情報:サイト名やロゴ、言語設定など、基本表示に関する項目です。
- ユーザー管理:管理者や編集者の権限を設定します。誤操作を防ぐために役割を明確にします。
- コンテンツ構造:記事やページの種類(テンプレート)を決めます。例:ブログ記事、製品ページなど。
- メディア管理:画像やファイルの保存ルールを設定します。ファイル名やサイズ制限を決めると運用が楽になります。
インストールから初期設定までの流れ
- インストーラー実行:多くのCMSは画面に沿って進めればインストールできます。専門知識が不要な場合が多いです。
- 基本情報入力:サイト名、管理者アカウントを作成します。
- テンプレート適用:表示の骨組みを選び、必要に応じてカスタマイズします。
- テスト投稿:実際に記事を作り、表示や権限を確認します。
外部ツールとの連携例
- SNS連携:投稿の自動共有やログイン機能に使います。
- メール配信:購読者管理や通知に連携します。
- 分析ツール:アクセス解析で改善点を見つけます。
運用上の注意点
- 定期的なバックアップを必ず行ってください。万一の復旧が早くなります。
- 権限は最小限に設定し、不要なアカウントは削除します。
- プラグインや拡張機能は信頼できるものだけを導入してください。セキュリティリスクを減らせます。
基本を押さえれば、CMSはサイト運営の強い味方になります。必要に応じて次章で具体的な構築手順を詳しく見ていきましょう。
CMS構築の全体的な手順
以下では、CMS構築の流れを段階ごとに分かりやすく説明します。具体的な作業と、現場での例も交えて解説します。
1. 要件定義
現状の課題と目的を整理して要件定義書を作成します。例:更新頻度が高く、編集担当が複数いることが課題。誰が何を更新するかを明確にします。
2. 機能の洗い出しと優先順位付け
記事投稿・画像管理・カテゴリ管理・公開スケジュール・ユーザー権限など必要機能をリスト化します。編集者のスキルに合わせて優先度を決めます(例:非エンジニアでも使える編集画面を最優先)。
3. サーバー・インフラ選定
データ量や同時アクセス数からサーバースペックを決定します。小規模ならレンタルサーバー、拡張性が要るならクラウドを検討します。
4. 情報設計とコンテンツモデル
ページ構成、コンテンツの種類(記事、イベント、製品など)と各フィールド(タイトル、本文、画像、公開日)を設計します。フィールドは編集のしやすさを意識して命名します。
5. デザインとテンプレート作成
ワイヤーとデザインを作り、テンプレートに落とし込みます。レスポンシブ対応やSEOの基本要素もここで反映します。
6. 実装と連携
選定したCMSでテンプレートを実装し、必要なプラグインや外部サービス(フォーム、分析ツール)と連携します。テスト用データで操作感を確認します。
7. テストと修正
機能テスト、表示確認、ユーザービリティテスト、負荷テストを行います。問題が見つかれば仕様に戻り修正します。
8. 運用準備と教育
編集マニュアル作成、権限設定、バックアップ運用を整えます。編集担当への操作研修を実施します。
9. 公開と運用開始
公開スケジュールに沿ってローンチし、初期はログやエラーを監視します。運用中に得た改善点は優先度を付けて継続的に対応します。
CMS選定と導入方法
概要
要件定義で決めた機能や運用体制に合わせて、使うCMSを決めます。代表例はWordPress(ブログ・中小サイト向け)、Drupal(大規模・柔軟性重視)、Joomla(中規模向け)です。WordPressはプラグインが豊富で設定が簡単な点が魅力です。
選定のポイント
- 目的優先で選ぶ:記事中心ならWordPress、複雑な権限や構造を扱うならDrupalなど。具体例で判断します。
- 運用しやすさ:更新担当者のスキルに合わせて選びます。使いやすければ更新頻度が上がります。
- 拡張性:将来の機能追加を見越してプラグインやモジュールの有無を確認します。
- セキュリティとサポート:セキュリティ情報の更新頻度やコミュニティ、商用サポートの有無をチェックします。
導入方法(主な2通り)
1) CMSパッケージを利用する
– レンタルサーバーや独自ドメインを用意します。
– サーバーの対応CMSを確認します。多くのレンタルサーバーはインストール自動化やSSL設定を提供します。
– インストール後に初期設定(管理者登録、テーマ選定、必要なプラグイン導入、バックアップ設定)を行います。
– テスト運用で表示や投稿を確認し、問題なければ本番公開します。
2) 自社オリジナルCMSを開発する
– 要件が非常に特殊で既存CMSで対応できない場合に検討します。
– 開発工数や保守コストが高くなるため、費用対効果を慎重に見積もります。
– 開発後は運用マニュアルやセキュリティ対策を整え、定期的に保守します。
実務的な注意点
- ホスティング業者の対応CMSを事前に確認してください。
- SSLやメール設定、バックアップは導入時に必ず設定します。
- 運用担当者へ研修を行い、更新ルールを決めておきます。
これらを踏まえて、目的と体制に合ったCMSを選ぶと導入後の運用がスムーズになります。
初期設定の具体的なステップ
1. サイト基本情報の設定
サイトタイトル、キャッチコピーを入力し、表示確認を行います。管理画面で編集できる項目は早めに決めてください。
2. ロゴ・画像の挿入
ロゴ、背景、トップ画像をアップロードして配置を整えます。画像は軽量化して読み込みを速めます。
3. パーマリンクとURL構造
記事や固定ページのURL形式を設定します。人にも検索エンジンにもわかりやすい構造にします。
4. プラグインの導入
必要な機能を追加するプラグインをインストールします。セキュリティ、バックアップ、SEO、フォームなどを優先してください。
5. 固定ページ作成
会社概要、利用規約、問い合わせページを作成します。問い合わせフォームは動作確認を必ず行います。
6. 分析ツールの導入
Google Analytics(GA4)やSearch Consoleを連携して、アクセス解析とインデックス状況を把握します。
7. インストール方法の選択
ホスティングのワンクリックインストールが使えれば簡単にセットアップできます。手動の場合はデータベース作成や設定ファイルの確認を行ってください。
8. 初期チェックリスト
SSL有効化、キャッシュ設定、バックアップの確認を行い、公開前に表示・動作を最終確認します。
Webflow CMSの設定方法
準備
Webflowのダッシュボードで作業する前に、扱うコンテンツの種類を整理します。例:Blog Posts、Projects、Team Membersなど。各コンテンツに必要な項目を箇条書きでまとめておくと作業が早まります。
コレクションの作成手順
- CMSパネルを開き、「Create New Collection」をクリックします。
- 名前を入力(例:Blog Posts)。同時に自動生成されるURLスラッグを確認します。必要なら編集してわかりやすい形に変更します。
- フィールドを追加します(タイトル、本文、画像、日付、カテゴリー、リファレンスなど)。
- 設定が終わったら「Create Collection」で作成を完了します。
フィールド設定のポイント
- 必須設定やユニーク設定を適切に使います。タイトルやスラッグは必須にすると運用が安定します。
- 画像は複数必要な場合はGallery型、他のコレクションと関係付けるならReferenceやMulti-Referenceを使います。
- フィールド名は将来の編集者が理解しやすい日本語で付けます。
作成後の編集と運用
コレクション右上の歯車アイコンから、フィールドの追加・編集・削除、コレクションの複製や削除ができます。フィールド構造を変更した場合は、表示テンプレートを確認して崩れがないか確かめます。
再公開の注意点
コレクション構造を変更したらサイトの再公開が必要です。変更後は必ずプレビューと本番公開を行い、リンク切れや表示崩れがないか確認してください。
実践的な小技
- スラッグは英語で短めにするとURLが読みやすいです。
- 必要最小限のフィールドにして管理を簡単に保ちます。
- 参照フィールドを使うと共通データの更新が楽になります。
CMSフィールド設定と連携
はじめに
CMSフィールドはコンテンツの土台です。適切に設計すると更新が楽になり、表示の自由度が上がります。本章では設計の考え方と連携の実践をわかりやすく説明します。
フィールド設計の基本
- よく使うフィールド例:タイトル、本文(リッチテキスト)、概要、公開日、アイキャッチ画像、タグ、カテゴリ、著者(リレーション)、スラッグ、SEO用フィールド
- 汎用性を意識して設計する:将来の用途も見越して汎用的な名前と型を選びます。
フィールドタイプと使い分け
- テキスト:短い見出しやキャプション向け
- リッチテキスト:段落やフォーマットが必要な本文向け
- 画像:複数サイズや代替テキストを用意
- オプション(選択肢):状態や表示タイプの切替に便利
- リファレンス(Reference):他コレクションとの紐付けに使う
- 複数リファレンス:タグや関連コンテンツに
リレーションでできること
リレーションを使うと、記事と著者、カテゴリ、シリーズなどを結び付けられます。結果として、著者ページやカテゴリ一覧、自動生成される関連コンテンツが作れます。例:記事->著者(Reference)、記事->カテゴリ(Multi-reference)。
実装の基本手順
- コレクションを作成し、必要なフィールドを定義する
- 著者やカテゴリは別コレクションで作る
- 記事コレクションにReferenceやMulti-referenceを追加する
- テンプレートページでフィールドをバインドし、表示を確認する
- フィルタ/ソート設定で一覧表示を調整する
- テストデータで動作確認し、フォールバック(未設定時の表示)を設定する
運用上の注意点
- 命名規則を決めて統一する(英語/日本語を混在させない)
- 必須項目と任意項目を明確に分ける
- 重複データを避けるためリファレンスを活用する
- 画像や本文のフォーマットルールを定める
- テンプレート変更が既存ページに与える影響を把握する
具体例:ジャンル分けとライター情報
記事コレクションに「カテゴリ(Multi-reference)」と「著者(Reference)」を設定します。カテゴリ側で表示順や親子関係を管理すれば、カテゴリごとの一覧やパンくずを自動生成できます。著者情報を別コレクションで一元管理すると、プロフィール変更が全記事に反映されます。
最後に、設計段階で運用ルールを決めると、後の作業が格段に楽になります。
Studio CMSの設定と操作
はじめに
Studio CMSでは、開いたページが最初から「CMSダッシュボード」です。ここから設定を進めると、スムーズにコンテンツ運用を始められます。
CMSを有効にする
ダッシュボードで「CMSをはじめる」を選べば、CMS機能を有効化できます。一から項目を作るだけでなく、初期テンプレートを使って手早く始めることもできます。
テンプレートの利点
記事・投稿者・タグなどが標準で揃ったテンプレートを選べます。初めて設定する場合は、テンプレートを利用すると項目設計の参考になり、運用が楽になります。
コンテンツの反映方法
ダッシュボードでコンテンツを登録したら、画面左の「追加」→「CMS」を選びます。登録済みのコレクションが一覧表示されるので、表示したい項目を選択してください。
表示形式の選び方
いくつかの表示形式が提案されます。カード型やリスト型などから、サイトのデザインや見せ方に合うものを選ぶと見栄えが良くなります。
運用のポイント
テンプレートで始めたら、まずはサンプル記事で表示を確認してください。フィールド名や表示順を必要に応じて調整すると、後の運用がスムーズになります。
CMS構築成功のためのポイント
概要
CMS構築を成功させるには、目的の明確化と運用体制の整備、適切なサーバー選定、複数見積もりの取得が重要です。ここでは現場で押さえるべき実践的なポイントを分かりやすく説明します。
導入目的の明確化
- 誰が使うのか(編集者、マーケ担当、開発者)を決めます。例:社内向けの資料更新か、外部向けのニュース配信か。
- 目標(更新頻度、UX向上、工数削減など)を数値で設定します。例:更新時間を半分にする。
運用体制の整備
- 役割を明確にします(管理者、編集者、レビュアー)。
- 権限設定と承認フローを決め、手順書を用意します。
- 定期的な運用会議と教育を設けます。
サーバー選択と性能要件
- トラフィック見込みに合わせてクラウドか専用サーバーを選びます。
- ストレージ、バックアップ、冗長化の要件を明確にします。
複数の見積もり取得とコスト管理
- 複数ベンダーから見積もりを取り、内訳(初期費用、保守、追加開発)を比較します。
- 長期的な運用コストを試算します。
セキュリティとバックアップ
- SSL、IP制限、ログ管理を実装します。
- 定期バックアップと復旧手順を確認します。
テストと移行計画
- ステージング環境で十分に検証します。
- 移行手順、チェックリスト、ロールバック手順を準備します。
運用改善とKPI管理
- 表示速度、更新成功率、ユーザー反応をKPIに設定します。
- 定期レビューで課題を洗い出し、改善計画を実施します。
以上のポイントを押さえることで、スムーズにCMSを構築・運用できます。












