はじめに
本書の目的
このドキュメントは「web サイト セキュリティ 診断 無料」に関する基本的な情報をわかりやすくまとめています。初心者でも理解できるように、診断の意義や無料ツールの活用方法、注意点まで段階的に説明します。
対象読者
- 小規模事業者や個人でサイトを運営している方
- サイトの安全性が気になっている管理者
- セキュリティ診断を初めて試す方
本章で伝えること
最初に、なぜセキュリティ診断が必要かを具体例を交えて説明します。例えば、問い合わせフォームに個人情報を入力する場合、その情報が外部に漏れると困ることが起こります。診断はそうしたリスクを事前に見つける手段です。
読み方のポイント
以降の章でツール紹介や注意点を扱います。まずは自分のサイトで何を守りたいかを考え、目的に合った診断を選ぶと効果的です。
Webサイトセキュリティ診断とは
概要
Webサイトセキュリティ診断は、Webサービスに対してスキャンや模擬攻撃を行い、弱点をあぶり出す作業です。疑似的な攻撃で脆弱性を見つけ、実際の被害を未然に防ぎます。初心者向けには「点検」と考えると分かりやすいです。
目的
- 個人情報や機密情報の漏えいを防ぐ
- サイト改ざんや不正ログインを防止する
- 法令や規約の順守を確認する
主な診断項目(具体例で説明)
- SQLインジェクション:検索ボックスに悪意のある文字列を入れてデータベースに不正アクセスされないか確認します。
- クロスサイトスクリプティング(XSS):入力欄にスクリプトを入れて、他の利用者が不正な動作を受けないかを確かめます。
- CSRF(サイト間リクエスト偽造):利用者になりすまして操作が行えないかを検証します。
- 設定ミスや情報漏洩:公開すべきでないファイルやディレクトリが見えていないかチェックします。
診断の種類
- 自動スキャン:ツールで短時間にチェックします。広範囲の発見に向きます。
- 手動診断(専門家による確認):自動では見つからない複雑な脆弱性を調べます。
- ペネトレーションテスト:実際の攻撃を想定した詳細な検査です。
実施タイミングと担当
- 新規公開時、機能追加や大きな変更後、定期的な点検が基本です。
- 社内担当で対応できる場合もありますが、外部の専門家に依頼すると指摘の精度が高まります。
報告と対応
診断結果は優先度を付けて報告します。まずは深刻な脆弱性から修正し、再検査で対策が有効か確認します。
注意点
必ず対象サイトの所有者の許可を得て実施してください。本番環境での検査は影響が出る場合があるため、事前にバックアップや停止計画を用意します。
無料で利用できるWebサイトセキュリティ診断ツール
概要
無料の診断ツールは、手早く問題点を把握したいときに便利です。専門的な深堀りには限界がありますが、まずはこれらで状況確認を行います。
トレンドマイクロ(安全性チェック)
4段階の簡易評価で、フィッシングやマルウェアの疑いを判定します。使い方はURLを入力するだけで、初心者でも結果を確認できます。
iLogScanner
アクセスログを解析し、不審なリクエストや攻撃の兆候を検出します。たとえば短時間で同じURLに大量アクセスがある場合に警告を出します。
Cloudbric
独自の脅威インテリジェンスで脆弱性や攻撃パターンを検出します。自動スキャンで誤検知を減らす設計です。
OWASP ZAP / Burp Suite
代表的な脆弱性(XSSやSQLインジェクションなど)を検査できます。操作はやや専門的ですが、詳しく確認したいときに有効です。
Qualys SSL Labs
SSL/TLSの設定を評価し、鍵の長さやプロトコルの安全性をランクで表示します。HTTPSの問題を見つけるときに使います。
Nikto
Webサーバの既知の脆弱性や設定ミスをチェックします。コマンド実行で幅広い診断を行います。
使い分けの目安
簡易で安全性の目安を知るならトレンドマイクロやSSL Labs、ログベースの兆候把握はiLogScanner、詳しい脆弱性確認はZAPやBurpを使います。複数ツールを組み合わせて総合的に確認するのがおすすめです。
ホームページ診断ツール全般
概要
ホームページの診断はセキュリティだけでなく、SEO(検索対策)、アクセス解析、表示速度、モバイル対応、HTMLの正当性など多面的に行えます。無料ツールが多数あり、目的に合わせて組み合わせると効果的です。
代表的なツールと役割
- Google Analytics:訪問者数や流入経路、滞在時間を確認します。ユーザー行動を把握して改善につなげます。
- Google Search Console:検索結果での表示状況やインデックス問題、検索クエリを確認します。キーワードの見直しやサイトマップ送信に使います。
- PageSpeed Insights:ページの読み込み速度を診断します。改善点として画像圧縮やキャッシュの設定を具体的に示します。
- モバイルフレンドリーテスト:スマホでの表示・操作性をチェックします。タップ可能領域やフォントサイズの問題を指摘します。
- Nu Html Checker:HTMLの構文エラーを検出します。正しいマークアップは表示の安定やSEOの向上に役立ちます。
ツールの使い方のポイント
- 目的を明確にする(集客、表示改善、正確性など)。
- 複数ツールを組み合わせる。例えばSearch Consoleで検索課題を見つけ、PageSpeedで速度改善を行い、Analyticsで効果を測定します。
- 結果を優先順位化して対応する。重要な問題から着手すると効率的です。
具体的な活用例
新しいページを公開したら、まずモバイルテストとPageSpeedで表示確認を行い、Search Consoleでクロールを促します。公開後はAnalyticsで訪問状況を週次でチェックし、必要に応じて改善を続けます。
無料ツール利用時の注意点
概要
無料のWebサイト診断ツールは、基本的な脆弱性や設定ミスを素早く確認できます。ただし、検出範囲や深さに限りがあり、すべてを任せるのは危険です。
主な限界
- 探知範囲が限定的:簡単な穴は見つかっても、複雑な攻撃経路や業務ロジック上の問題は見落としやすいです。
- 誤検知・見逃し:誤って問題と報告される場合や、実際の問題が検出されない場合があります。
- 実行権限と法的配慮:無断で強いスキャンを行うとサーバーに負荷をかけ、トラブルになる恐れがあります。
利用前の確認事項
- 利用規約と対象範囲を必ず確認する。社内サイトや第三者のサイトは許可が必要です。
- バックアップを取り、テスト環境で先に試す習慣をつける。
利用中の注意点
- 結果をそのまま鵜呑みにせず、ログやコンソールで実際の影響を確認する。
- 個人情報を含むデータは扱わないか、事前にマスクする。
- スキャン時間や負荷を調整し、業務停止を避ける。
ツールを補う方法
- 複数の無料ツールを組み合わせると検出率が向上します。種類の異なるツールを併用してください。
- 深刻な問題や改善効果が見られない場合は、有料サービスや専門家による詳細診断を検討する。
おすすめは、まず無料ツールで定期的にチェックし、疑わしい項目は手動で確認してから次の対応を判断することです。












