はじめに
本書の目的
この文書は、主要なホームページ作成ツールを比較し、初心者でも使いやすいか、デザイン性や機能面でどのような違いがあるかを分かりやすく伝えることを目的としています。ツール選びで迷っている方が、自分に合ったサービスを見つけられるように解説します。
対象読者
- 初めてホームページを作る個人や小規模事業者
- 既存サイトを改善したいが、どのツールを使うべきか迷っている方
- デザインや運用の手間を減らしたい方
本書の構成と読み方
本書は全11章で、それぞれのツールの特徴を順に説明します。第2章で全体像を把握した後、各ツールの長所・短所、向いている用途を具体的に示します。まずは目的(情報発信、ネット販売、店舗紹介など)を明確にし、該当する章を重点的にお読みください。
読む際のポイント
- 無料版と有料版で利用できる機能が異なります。試用で操作感を確かめることをおすすめします。
- 将来的な拡張(独自ドメイン、EC機能など)を考慮して選んでください。
以降の章で各ツールの具体的な特徴を丁寧に解説していきます。
主要なホームページ作成ツールの全体像
概要
ホームページ作成ツールは大きく「無料ツール」と「有料ツール」に分かれます。用途や運用体制に応じて、誰でも使いやすいテンプレート型、柔軟に拡張できるCMS型、細かく作れるエディタ型など、いくつかの種類があります。
主な分類と特徴
- テンプレート(ドラッグ&ドロップ)型:デザイン済みのテンプレートに要素を配置して作るため、初心者でも短時間で見栄えの良いサイトを作れます。代表例はWix、Jimdo、ペライチ。
- CMS(コンテンツ管理)型:WordPressのようにプラグインで機能追加でき、ブログや多ページサイトに強いです。柔軟性が高い反面、設定や保守に手間がかかります。
- コーディング/エディタ型:ホームページビルダーやドリームウィーバーのように細かくデザインできます。自由度は高いですが、知識が必要です。
- 専用サービス型:STUDIOやGoopeのように、デザインと運用を組み合わせたサービスがあります。
選び方のポイント
- 目的(個人ブログ、店舗、ECなど)に合うか
- 予算(初期費用・月額・将来の拡張コスト)
- デザインの自由度とテンプレートの質
- 拡張性(機能追加やSEO対応)
- 運用負担(更新のしやすさ・サポート体制)
- モバイル対応と表示速度
使い分けの目安
- とにかく早く簡単に作りたい:テンプレート型(Wix、ペライチなど)
- 長期的に拡張したい・ブログ主体:WordPress
- 高度なデザイン制御が必要:エディタ型(Dreamweaver等)
次章から各ツールの具体的な特徴と向き不向きを詳しく説明していきます。
無料ホームページ作成ツール – Wix(ウィックス)
概要
Wixはイスラエル発の世界的なホームページ作成サービスで、日本語に対応しています。900以上のテンプレートを用意し、ドラッグ&ドロップで直感的に編集できるため、初心者でも短時間で見栄えの良いサイトを作れます。
主な特徴
- 豊富なテンプレート:業種別にデザインが揃っています。
- 直感的なエディタ:要素をそのまま配置して編集できます。
- アプリマーケット:予約、SNS連携、ECなど機能を追加できます。
- モバイル最適化:スマホ表示の調整が可能です。
無料プランでできること/制限
- できること:テンプレート利用、基本的な編集、アプリの一部利用が可能です。
- 制限:独自ドメイン非対応(Wixのサブドメイン表示)、広告表示、ストレージ・帯域の制限、EC機能の制限があります。
向いている人
- デザイン性を重視したい方
- 技術的な知識が少ない個人や小規模事業者
- 最初はコストを抑えて試したい人
はじめ方のポイント
- テンプレートを業種で絞り、イメージに近いものを選びます。
- まずは無料プランで操作感を確かめてから、有料プランに移行すると失敗が少ないです。
- SEO設定やページ速度は後から見直すと効果が出ます。
- 有料化する場合は独自ドメインと広告非表示プランを検討してください。
無料ホームページ作成ツール – WordPress(ワードプレス)
概要
WordPressは世界で最も広く使われるCMS(コンテンツ管理システム)で、基本ソフトはオープンソースで無料です。自分でサーバーとドメインを用意して使う「自走型(WordPress.org)」と、運営会社がホスティングする「ホスティング型(WordPress.com)」があります。自走型は自由度が高く、ホスティング型は手軽です。
メリット
- カスタマイズ性が高く、テーマやプラグインで見た目・機能を拡張できます。
- 大量の情報やチュートリアルがあり、困ったときに調べやすいです。
- ブログ、会社サイト、ECなど幅広い用途に対応します。
デメリット
- 初心者には設定や運用の学習が必要です。
- セキュリティ対策や定期的なアップデートを自分で行う必要があります。
- 高機能にすると有料プラグインやサーバー費用がかかる場合があります。
初心者向けのポイント
- まずはレンタルサーバーやドメインを用意して、1クリックインストールがあるサービスを選ぶと始めやすいです。
- 最初は無料テーマと必須プラグイン(例:SEO、問い合わせフォーム)だけで運用を始め、徐々に機能を追加しましょう。
- バックアップと更新を定期的に行い、安全性を保ってください。
よく使われる機能(プラグイン例)
- SEO:Yoast SEOやAll in One SEO
- 問い合わせ:Contact Form 7
- EC:WooCommerce
おすすめの使い方
個人ブログや中小企業のコーポレートサイトには自走型が向きます。手軽さを重視する場合はホスティング型から始め、慣れてきたら自走型に移行する方法もおすすめです。
無料ホームページ作成ツール – Jimdo(ジンドゥー)
概要
Jimdoはドイツ発のホームページ作成サービスで、日本語対応も整っています。直感的な操作で、初心者でも短時間にサイトを作れます。ネットショップ機能もあり、小規模ビジネスに向きます。
メリット
- 操作がシンプル:ドラッグ&ドロップで配置できます。具体例として、画像やテキストをそのまま移動できます。
- スマホ対応:自動でレスポンシブ表示に対応します。
- ネットショップ機能:商品登録や決済の設定が初心者向けです。
デメリット
- デザインの自由度は高くないため、細かなレイアウト調整は難しいです。
- 無料版は広告やJimdoのサブドメインが表示されます。
料金プラン(無料版の特徴)
無料プランで基本的なサイト作成ができます。独自ドメインや広告非表示、より高度な機能は有料プランが必要です。
基本的な使い方(5ステップ)
- アカウント作成
- テンプレート選択
- コンテンツ追加(画像・本文)
- ページ構成を整える
- 公開
具体的な操作は画面のガイドに従えば進められます。
カスタマイズと拡張性
テンプレート中心のため短時間で完成しますが、独自のデザインや細かい動作を入れたい場合は限界があります。外部サービスとの連携は一部可能です。
こんな人に向いている
- 初めてサイトを作る個人や小規模事業者
- 短時間で情報発信や簡単なネットショップを始めたい人
利用時の注意点
無料版の制約や有料プランの費用対効果を事前に確認してください。将来的に大きく拡張する予定がある場合は、他プラットフォームと比較検討するとよいです。
無料ホームページ作成ツール – ペライチ
概要
ペライチは日本発のノーコードツールで、1ページ構成のランディングページ作成に特化しています。直感的な操作で短時間に公開でき、日本語のサポートとテンプレートが充実しています。
特長
- ブロックを組み合わせるだけの簡単編集
- モバイル対応のレスポンシブデザイン
- フォームや決済(Stripe等)の導入が可能
- 無料プランで公開・共有ができる
長所
ペライチは操作が分かりやすく、初めての人でも見た目の良いページを作れます。日本語のヘルプやテンプレートが多く、集客用のランディングページ作成に向きます。
短所
ページが1枚に特化しているため、多数のページで構成するサイトや複雑な機能には向きません。無料プランでは独自ドメインの利用や一部機能が制限されます。
主な利用シーン
- イベントやセミナーの申込ページ
- 商品・サービスの紹介ランディング
- 個人のプロフィールやポートフォリオ
はじめ方の流れ
- 無料登録してテンプレートを選ぶ
- ブロックを追加・編集して内容を整える
- フォームや決済を設定(必要なら)
- 公開して共有リンクを配布
操作のコツ
見出しで関心を引き、強い行動喚起(CTA)を用意します。画像は軽めにして読み込みを速くすることをおすすめします。独自ドメインやSEO対策は、有料プランでさらに強化できます。
無料ホームページ作成ツール – STUDIO(スタジオ)
概要
STUDIOは日本発のノーコード制作ツールで、デザインの自由度が高いのが特徴です。モダンなアニメーションや細かなレイアウト調整が簡単にでき、ポートフォリオや店舗サイト、キャンペーンページなどに向いています。日本語のヘルプやサポートも充実しています。
主な特徴
- ドラッグ&ドロップで直感的に配置できる。例:画像やテキストをそのまま置いて調整可能。
- アニメーションやインタラクションを視覚的に追加できる。
- レスポンシブ対応でスマホ表示も確認しながら編集できる。
- 簡易CMS機能やフォーム、外部サービスとの連携が可能。
長所
- デザイン表現が豊かで、凝った見た目を短時間で作れます。
- テンプレートが洗練されており初心者でも見栄えの良いサイトが作成できます。
- 日本語サポートがあり、疑問点を解決しやすいです。
注意点(短所)
- 無料プランはSTUDIOのブランディングが表示され、独自ドメインは有料です。
- 高度なカスタマイズや複雑なEC機能には制約があります。コード追加は可能ですが、制限もあります。
こんな人におすすめ
- デザイン性の高いポートフォリオや小規模な店舗サイトを短期間で作りたい方。
- コーディングをあまりせず、見た目を重視したい方。
はじめ方(簡単な手順)
- アカウント登録(メールまたはSNS)
- テンプレートを選ぶか白紙から作成
- 要素を配置してテキスト・画像を差し替え
- スマホ表示を確認して調整
- 公開(独自ドメインは有料プランへ)
使うときのコツ
- 画像は軽くして表示速度を確保しましょう。
- アニメーションは控えめにして見やすさを優先してください。
- 変更はこまめにプレビューして、スマホで必ず確認しましょう。
その他の無料ホームページ作成ツール
Google Sites
Googleアカウントがあればすぐに使えるシンプルなツールです。操作は直感的で、ページの追加やレイアウト変更が簡単にできます。共同編集機能が強く、複数人で同時に作業したいときに便利です。デザインは限定的なので、凝った見た目を求める場合は他と併用するとよいです。
Ameba Ownd
ブログ感覚で始められる日本語対応のサービスです。テンプレートが豊富で、文章や写真を中心に見せたいサイトに向いています。ネットショップ機能を備え、少量の商品の販売を始めたい方に適しています。無料プランでも基本は使えますが、独自ドメインや高度なカスタマイズは有料になります。
BASE
ショップ構築に特化したサービスです。商品登録や決済、発送管理まで一通りそろっており、ネットショップを手軽に立ち上げられます。手数料体系や配送連携など、販売を前提にした機能が中心です。商品の魅せ方や集客は別途工夫が必要です。
Weebly
海外発の多機能ツールで、ドラッグ&ドロップで自由にレイアウトできます。日本語対応も進んでおり、ブログやECの機能もあります。テンプレート数が豊富で、比較的自由度の高いサイト作りが可能です。海外サービスのためサポートや決済連携で注意点が出る場合があります。
有料ホームページ作成ツール – ホームページビルダー
概要
ホームページビルダーは、初心者から中級者向けの有料デスクトップ型作成ソフトです。ドラッグ&ドロップで直感的に編集でき、テンプレートも豊富に用意されています。オフラインで作業できるため、インターネット接続が不安定な環境でも安心です。
主な特徴
- WYSIWYG(見たまま)編集で専門知識がなくてもページ作成できます。
- 豊富なテンプレートとパーツでデザインを短時間で整えられます。
- レスポンシブ対応やスマホ表示プレビュー機能を搭載。
- お問い合わせフォーム、アクセス解析、ネットショップ機能の追加が可能です。
- FTPでの公開や独自ドメイン設定に対応します。
メリット
- 操作が分かりやすく、初めての方でも扱いやすいです。
- オフラインで編集できるため作業の自由度が高いです。
- サポートやヘルプが充実しており、困ったときに頼れます。
デメリット
- 基本的にWindows向けのソフトが中心で、Mac環境では制約がある場合があります。
- カスタマイズ性は高い一方で、プラグインや拡張性はWordPressほど豊富ではありません。
- 有料のためランニングコストが発生しますが、サポートと機能の対価と考えられます。
利用の流れ(簡単)
- ソフトを購入・インストール
- テンプレートを選んでレイアウトを決定
- 文章や画像を差し替え、パーツを配置
- スマホ表示を確認し調整
- FTPやホスティングサービスで公開
おすすめの使い方
個人のポートフォリオや小さな店舗のサイト、イベント告知など短期間で見栄えの良いサイトを作る場合に向きます。専門的な拡張や大規模サイトよりも、手早く安定したサイト構築を重視する方に適しています。
有料ホームページ作成ツール – ドリームウィーバー
概要
Adobeのドリームウィーバーは、コードを直接編集してオリジナルなホームページを作るための有料ソフトです。テンプレートに頼らず自由にデザインしたい方に向いています。コーディングの知識が必要ですが、高いカスタマイズ性が得られます。
メリット
- 自由度が高い:HTML/CSS/JavaScriptを直接編集して細かな表現ができます。
- ファイル管理がしやすい:ローカルとサーバーの同期やFTPでのアップロードを簡単に行えます。
- コード補助機能:自動補完やライブプレビューで作業効率が上がります。
- Adobe製品との連携:画像編集ソフトなどとスムーズに連携できます。
デメリット
- 学習コストが高い:HTMLやCSSの基礎を知らないと使いこなせません。
- 保守が必要:CMSのような自動更新機能は少ないため、手作業が増えます。
- 価格の負担:サブスクリプション料金が発生します。
誰に向いているか
- デザインの自由度を最優先にする個人やデザイナー
- 独自機能を実装したい小規模な制作会社
- コードを書いて学びたい方
基本的な使い方(ワークフロー)
- プロジェクトフォルダを作成してファイルを配置します。
- HTMLで構造を作り、CSSで見た目を整えます。
- JavaScriptで動きを加え、ライブプレビューで確認します。
- FTP/SFTPでサーバーにアップロードして公開します。
レスポンシブ対応のポイント
- メディアクエリで画面幅ごとのスタイルを切り替えます。
- ビューポート設定と相対単位(%やrem)を使うと調整が楽になります。
導入時の注意点
- まずはHTML/CSSの基礎を学んでから使うことをおすすめします。
- バックアップやバージョン管理を取り入れて作業ミスに備えてください。
- 小規模で手軽に始めたい場合は、CMSやテンプレート型サービスと比較検討してください。
有料ホームページ作成ツール – Goope(グーペ)
概要
Goopeは豊富なテンプレートと簡単な編集画面が特徴の有料サービスです。飲食店やサロン、店舗向けの機能が充実しており、初心者でも短時間で見栄えの良いサイトを作れます。
主な特徴
- テンプレート:業種別に用意され、写真や色を差し替えるだけで完成に近づきます。例:飲食店のメニュー表示や予約ページ。
- 予約・決済機能:ネット予約やオンライン決済を標準で組み込めます。実店舗運営と連携しやすい設計です。
- スマホ対応:全テンプレートがレスポンシブ対応で、スマホ表示を心配せずに済みます。
メリット
- 専門知識が不要で、直感的に編集できます。写真やテキストを入れ替えるだけで完成します。
- 店舗運営に役立つ機能が揃っているため、集客や予約管理を一つの場所で行えます。
デメリット
- デザインの自由度はコーディング可能なツールほど高くありません。細かいカスタマイズが必要な場合は制約を感じることがあります。
- 有料プランが中心なので、コスト面の検討が必要です。
こんな人に向くか
- 実店舗を持ち、予約やメニュー表示を簡単に導入したい方
- デザインよりも運用のしやすさを重視する方
料金と始め方(簡単)
- 無料お試しに登録
- テンプレートを選ぶ
- 写真やメニューを差し替え、必要な機能(予約など)を設定
- 公開して運用開始
導入はスピード重視で進められます。まずは無料で試して、必要な機能や費用感を確かめると良いでしょう。












