はじめに
本資料は、ヘッドレスCMSの比較に関する調査結果をまとめたものです。初心者から実務担当者まで、導入検討の初期段階で役立つ情報を提供します。
目的と対象読者
目的は、代表的なヘッドレスCMS（microCMS、Newt、Contentful、Strapi）の特徴や料金、機能面の違いを分かりやすく整理することです。対象は、ウェブ制作やアプリ開発の担当者、またはCMSの乗り換えを検討している方です。
この記事でわかること
- 各サービスの基本的な特徴（国産か海外製か、使い方の違い）
- 料金体系の見方と比較ポイント
- 機能面で特に注目すべき点（API、管理画面、拡張性など）
- 選定時に重視すべきポイントの整理
具体例を交えて、実務で迷いがちな点を丁寧に説明します。
調査の方法と範囲
公式ドキュメントや料金ページ、公開されている機能一覧を中心に比較しました。実際の利用感はプランや実装によって変わるため、最終判断はトライアルや検証を推奨します。
ヘッドレスCMS代表格4つの比較
概要
ヘッドレスCMSはコンテンツ管理をAPIで提供し、表示部分（フロントエンド）を自由に作れる仕組みです。ここでは代表的な4サービスを、特徴・長所・注意点・向き先で比べます。
microCMS（国産）
- 特徴：API中心で使いやすく、管理画面が日本語対応。運用コストを抑えやすいです。
- 長所：導入と運用が簡単で、ドキュメントやサポートが日本語で受けられます。短期間でサイトを公開したい場合に向きます。
- 注意点：高度なカスタマイズや大規模トラフィックでは料金や設計を確認してください。
- 向き先：コーポレートサイト、採用サイト、キャンペーンページ。
Newt（国産）
- 特徴：無料プランが充実し、スモールスタートに便利です。
- 長所：コストを抑えて試せるため、スタートアップや個人開発に向きます。
- 注意点：商用大規模利用ではプランアップが必要になる場合があります。
- 向き先：プロトタイプ、個人ブログ、スタートアップのPoC。
Contentful（海外）
- 特徴：エンタープライズ向けの機能や多言語対応が強みです。
- 長所：大規模プロジェクトで信頼性と拡張性を発揮します。多拠点での配信に向きます。
- 注意点：英語中心のドキュメントや価格体系を理解する必要があります。
- 向き先：多言語サイト、大企業のプラットフォーム。
Strapi（オープンソース）
- 特徴：自社サーバーに導入でき、自由にカスタマイズできます。
- 長所：機能を自由に拡張でき、運用を自分でコントロールしたい場合に有利です。
- 注意点：サーバー運用やセキュリティ管理が必要です。
- 向き先：自社運用が前提のサービス、独自機能を多く実装する案件。
比較の視点
短期で簡単に始めたいならmicroCMSやNewt、グローバルで大規模に展開するならContentful、細かく制御したいならStrapiを検討すると分かりやすいです。具体的な要件に応じて選んでください。
料金プランの詳細比較
概要
microCMS、Newt、Kurocoの料金体系をわかりやすく比較します。各社とも無料プランやエンタープライズ対応がありますが、対象ユーザーや追加課金の傾向が異なります。
主要プラン比較（目安）
| プラン | 月額目安 | 主な制限・特徴 |
|---|---|---|
| microCMS（無料） | 0円 | 小規模サイト向け。APIリクエストやスキーマ数に制限あり。 |
| microCMS（有料） | 数千円〜 | エディタ拡張、公開数増加、チーム管理機能。 |
| microCMS（エンタープライズ） | 要見積 | SSOやSLA、専用サポートを提供。 |
| Newt（無料） | 0円 | 月間約30,000PV程度まで実用的。アイテム数制限あり。 |
| Newt（有料） | 数百〜千円台 | API制限緩和、チーム機能や自動バックアップ。 |
| Kuroco（基本） | 要見積 | エンタープライズ寄り。導入支援や高機能オプションが多い。 |
| Kuroco（オプション） | 個別課金 | 認証、決済連携、専用APIなど追加課金が発生。 |
どれを選ぶかの目安
- 小規模ブログやテスト用途なら、まず無料プランで試すとよいです（例：個人サイト、キャンペーンページ）。
- 月間30,000PV前後で運用するなら、Newtの無料枠がコスト面で有利です。
- 組織での運用や高い可用性・カスタム機能が必要なら、KurocoのエンタープライズやmicroCMSの上位プランを検討してください。
注意点
料金だけで選ぶと、API呼出し上限や追加課金で想定外のコストが発生します。契約前に「想定トラフィック」「サポート内容」「オーバー時の課金方法」を必ず確認してください。
機能面での詳細比較
概要
microCMS、Newt、Kuroco の主要機能を項目別に比較します。表形式の代わりに、分かりやすく項目ごとに解説します。
メンバー数
- microCMS: プランによりメンバー上限が明確。小〜中規模チーム向け。例：編集者5人程度で十分。
- Newt: 柔軟な権限管理を用意。メンバー数はプラン次第で増減可能。
- Kuroco: 大規模チームに対応する設計。細かなロール分けが可能です。
APIリクエスト数・データ転送量
- microCMS: 基本的に十分なリクエスト枠。高トラフィックは上位プラン推奨。
- Newt: 開発向けに使いやすく、API制限も緩めの傾向。
- Kuroco: エンタープライズ想定でスループット重視の設定があります。
コンテンツ数・メディア容量・ファイル保存
- microCMS: コンテンツ数は柔軟。メディア容量はプランで差あり。
- Newt: 軽量なメディア運用に向く設定。大容量は要確認。
- Kuroco: ファイル保存や大容量メディア管理が得意です。
APIによるコンテンツ追加・フォーム機能
- microCMS: APIでの追加が簡単。フォーム連携も一般的な用途に対応。
- Newt: API操作が直感的で、開発者に好評。
- Kuroco: カスタムフォームやワークフローを柔軟に組めます。
メンバー権限・IP制限
- microCMS: 権限設定は基本を網羅。IP制限はプラン依存。
- Newt: 細かい権限制御が可能。
- Kuroco: 企業向けに高い制御性を提供します。
ログ・SLA・SSO・2要素認証
- microCMS: 必要なログと認証機能を備え、上位でSLAやSSO対応。
- Newt: 開発中心だが認証機能は充実。
- Kuroco: SLA、SSO、2要素など企業向けセキュリティが強いです。
独自ドメイン化・技術サポート
- microCMS: 独自ドメイン対応。サポートはプランで差があります。
- Newt: 手軽に独自ドメインを設定でき、ドキュメントが豊富。
- Kuroco: 導入支援や技術サポートが手厚く、企業導入に適しています。
選定のポイント
国産をおすすめする理由
国産のヘッドレスCMSは日本語のサポートや契約・請求のわかりやすさ、法令対応（個人情報保護など）で利点があります。たとえばトラブル時に同じ言葉で相談でき、サポートの時間帯も合いやすいです。
選定時のチェックリスト
- サポート体制：日本語窓口の有無と対応時間を確認してください。
- セキュリティ：ログ保持やアクセス制御の仕組みがあるか見てください。
- 価格感：初期費用と運用コストを分けて試算しましょう。
- 編集者の使いやすさ：直感的なエディタか、プレビュー機能の有無を確認します。
- 拡張性と連携：既存システムや外部サービスと接続できるかを確認してください。
ケース別の選び方
- 社内での運用が中心なら日本語サポートと管理画面の使いやすさを優先します。
- 低予算なら無料枠や従量課金のあるサービスを比較します。
- 大規模サイトや多拠点で使うならスケーラビリティと運用ログ、権限管理を重視してください。
これらの観点を基に、まずはトライアルで操作感とサポート品質を確かめることをおすすめします。
