はじめに
この章の目的
CMS(コンテンツ管理システム)を学ぶとき、まずどのCMSを使うか決めて実際に手を動かすことが効率的です。本書はその入り口として、学び方の方針をやさしく示します。
なぜCMSを学ぶか
CMSを使うと、記事作成やデザイン変更が簡単になります。例えば、記事を書いてボタンを押すだけで公開できるので、手作業でHTMLを書き続けるより時間を節約できます。仕事で使う場面や個人のサイト運営で役立ちます。
どのCMSを選ぶか(WordPressについて)
初心者はWordPressから始める人が多いです。理由は情報量が多く、日本語の解説や参考資料が豊富な点です。最初はWordPressを使って基本操作を学び、慣れたら他のCMSに広げる方法が取りやすいです。
学び始める前に決めること
- 学習目的(ブログ運営・仕事用サイトなど)
- 環境(ローカル環境:LocalやXAMPP、またはレンタルサーバー)
- 最初に作るもの(トップページ・記事・問い合わせフォームなど)
初めての一歩(手を動かすこと)
インストールして記事を1件投稿する、テーマを変えて見た目を変える、プラグインを1つ試す――これらの小さな成功で学習のモチベーションが上がります。
次の章への見通し
次は「勉強の進め方」です。効率よく学べる手順と目標設定について具体的に説明します。
勉強の進め方
1. まずは目的をはっきりさせる
勉強を始める前に「何のために学ぶのか」を決めます。個人ブログを作りたいのか、会社の公式サイトを管理したいのか、仕事でCMS案件を受けるためかで、学ぶ内容と深さが変わります。たとえば個人ブログなら記事投稿やテーマ変更ができれば十分です。仕事で案件を受けるならカスタマイズやセキュリティ、運用まで学びます。
2. 目的別の優先順位
- 個人利用:簡単に使えることを優先(投稿、画像、プラグインの基本)。
- 会社サイト:見た目の調整やSEOの基本、バックアップを覚える。
- 仕事で受注:サーバー設定や複雑なカスタマイズ、チームでの作業フローも学ぶ。
3. 初心者はWordPressから始める理由
WordPressは情報が多く、学習しやすいです。具体的にはテーマ変更、プラグイン導入、固定ページ作成などの基本を短時間で習得できます。実際に手を動かして1~2週間で簡単なサイトを公開できます。
4. 大規模サイトを想定する場合
大規模案件に備えるなら、他のCMSやヘッドレスCMS、サイト構成の考え方にも触れると理解が深まります。実務ではパフォーマンスやアクセス設計、複数人での運用が重要になります。
5. 学習の進め方(実践的ステップ)
- 小さな目標を決める(例:今週は投稿を5件作る)
- 環境を用意する(ローカルかレンタルサーバー)
- 基本機能を試す(投稿、テーマ、プラグイン)
- 実際に1サイトを作って公開する
- 振り返りと改善を繰り返す
6. 継続のコツ
毎日短時間でも手を動かすことがいちばん効果的です。学んだことはメモやスクリーンショットで記録し、作ったサイトはポートフォリオとして残すと成果が見えやすくなります。
学習ステップの例(WordPress想定)
1. テスト用サイトを用意する
レンタルサーバーの「簡単インストール」機能や、ローカル環境(例:XAMPPやLocal)でWordPressを入れてください。まずは実験用に本番とは別の場所を用意します。データのバックアップも忘れずに。
2. 管理画面にログインして基本操作を試す
投稿・固定ページの作成、カテゴリやメニューの編集、プラグインの有効化を実際にやってみます。見た目の反映を確認しながら操作に慣れてください。
3. テーマ変更で外観と管理画面の調整範囲を確認
テーマを切り替えてレイアウトや設定項目の違いを比べます。ウィジェットやカスタマイザーで色やレイアウトを変え、どこまで簡単に直せるか確認します。
4. 基礎知識を整理する
初心者向けの入門書や解説サイトで、テンプレート階層、プラグインの役割、セキュリティ基礎を学びます。実例を交えて読み進めると理解が早いです。
5. 仕事で使うレベルへ進む(子テーマやカスタム投稿タイプ)
子テーマで安全に見た目を変更する方法、カスタム投稿タイプで「商品」「イベント」など独自の投稿を作る方法を学びます。必要ならPHPやCSSの基本も並行して学ぶと現場で役立ちます。
いっしょに学ぶと良い知識
Webの超基礎(ドメイン・サーバー・DNS・SSL)
ドメインは「example.com」のような住所、サーバーはその住所にある家です。DNSは住所簿で、ブラウザがどの家に行くかを教えます。SSLは家の鍵で、通信を暗号化します。例:自分のブログを公開するにはドメインを買い、レンタルサーバーにファイルを置き、DNS設定で結び付け、SSLを有効にします。まずはレンタルサーバーのマニュアル通りに設定してみてください。
HTML/CSSの基礎
HTMLは文の骨組み(見出し、段落、画像)、CSSは見た目(色や余白)を決めます。例:
見出し
とpタグ、クラスで色を付けるなど。ブラウザの「検証」機能で要素を触って学ぶと早いです。小さなページを一つ作って試してみましょう。
SEOの基本
検索で見つかりやすくする工夫です。具体的には適切なキーワード選び、タイトル・見出しへの配置、読みやすい文章、画像の代替テキストです。例:地域名+サービス名をタイトルに入れるなど。過度な詰め込みは避けてください。
CV導線設計(コンバージョン)
目標に導く流れを設計します。例:トップ→商品ページ→カート→購入完了。ボタンの文言や配置、ステップ数を減らすことが効果的です。離脱ポイントを実際に確認して改善しましょう。
アクセス解析の使い方
Google Analyticsなどで流入元、行動、離脱ページ、目標達成率を見ます。初めは「どこから来てどこで離れているか」を確認するだけで改善点が見つかります。イベント計測や目標設定を一つずつ設定して学んでください。
独学に使いやすい教材の探し方
はじめに
独学を進めるには、自分に合った教材を選ぶことが大切です。ここでは無料記事・動画・書籍それぞれの選び方と、実際に試すコツを具体的に紹介します。
無料記事・ブログの選び方
- 図解や手順が多い記事を優先してください。スクリーンショットやコード例があると実践しやすいです。
- 日本語で最新技術に触れているか確認します。公開日や更新日をチェックしましょう。
- 実際に手を動かした人の体験談やトラブル対処が載っている記事は役に立ちます。
動画(YouTube等)の選び方
- 環境構築から公開まで一連の流れを解説するシリーズを選ぶと理解しやすいです。
- 実際の画面を見せながら進めるものを優先し、再生速度や字幕で理解を補助しましょう。
書籍の選び方
- 入門書は最新版対応のものを1冊決め、章を読みながら実際に手を動かしてください。
- 章末の演習やサンプルプロジェクトがある本が向いています。
教材を比較するチェックリスト
- 公開日・更新日、具体例の有無、手順の明確さ、初心者向けの解説か。
実際に試すときのコツ
- まず短時間で試してみて、合わなければ別を当たる。継続しやすい教材を選べば学習が進みます。
次に決めるとよいこと
1) どのCMSから始めるか
特に希望がなければWordPressをおすすめします。情報が豊富で、テーマやプラグインが多く、初心者でも設定しやすいです。より軽量に始めたい場合は静的サイト(Hugoなど)やサイトビルダー(Wixなど)も選択肢です。
2) 最初に作るサイトのテーマ
代表的な例はブログ、ポートフォリオ、趣味サイト、名刺代わりの1ページです。初めは機能を絞り、必要最低限のページを作ると続けやすいです。例えばブログならまず5本の記事、ポートフォリオなら主要作品5点を目標にします。
3) 公開までの期限(例:1か月)
期限を決めると作業が進みます。例の1か月プラン:
– 1週目:CMS導入とテーマ決定
– 2週目:基本ページ作成(トップ、プロフィール、連絡先)
– 3週目:コンテンツ作成(記事・作品掲載)
– 4週目:テストと公開準備(ドメイン取得、表示確認)
最後に一つだけ決めてください。今日からの最初の小さな一歩(例:ドメイン購入かローカルインストール)を決めると着手しやすいです。












