初心者でもわかるWebセキュリティのタイプ別基礎知識

目次

はじめに

概要

本文章は、Webセキュリティの種類(タイプ)について、攻撃手法、対策技術、認証方式などの切り口で詳しく解説します。Webセキュリティの基礎から代表的な攻撃タイプ、そして防御に用いられる各種技術やツールについて体系的にまとめています。

本書の目的

このシリーズは、専門家でなくても理解できるように、やさしい言葉で説明することを目的とします。まず基礎を押さえ、次に攻撃の種類を学び、最後に具体的な対策を選べるように導きます。

想定読者

・Webサイトやサービスを運営する方
・開発者や運用担当者
・セキュリティに関心のある学習者

専門用語は最小限に抑え、具体例を交えて説明しますので、初学者でも安心して読み進められます。

本書の構成と読み方

各章は独立して読めますが、順に読むと理解が深まります。
1. はじめに(本章)
2. 基礎と守るべき対象
3. 代表的な攻撃タイプ
4. 技術的対策とツール

必要に応じて、該当する章だけを確認して実務に役立ててください。

Webセキュリティとは何か?基礎と守るべき対象

概要

Webセキュリティは、WebサイトやWebアプリを外部からの攻撃や不正アクセス、情報漏えいから守るための取り組み全般です。例えると、家の敷地・玄関・金庫それぞれに鍵や監視を置くような考え方です。Webは不特定多数がアクセスできるため、攻撃される前提で設計します。

守るべき対象(具体例付き)

  • Webサーバ/アプリケーションサーバ:OSやソフトの脆弱性が狙われます。例:古いソフトの放置は穴になります。
  • Webアプリケーションの機能:ログインやファイルアップロード等。例:入力をそのまま処理すると不正操作につながります。
  • 通信経路:ユーザーとサイト間のやり取り。例:パスワードはTLS(暗号化)で守ります。
  • データベースや機密データ:顧客情報やクレジットカード情報。例:平文保存は危険です。

基本原則

  • 『攻撃を前提にする』:防御を重ねて被害を減らします。
  • 最小権限の原則:必要最小限の権限で動作させます。
  • 層状防御(多重防御):複数の対策を組み合わせます。

日常的な具体対策

  • 入力の検証と出力の適切な処理(例:ログイン画面のチェック)
  • 強い認証と多要素認証(MFA)の導入
  • 通信の暗号化(TLS)とデータの暗号化
  • ソフトの定期的な更新と脆弱性確認
  • ログ監視・異常検知と定期バックアップ
  • 管理画面のアクセス制限や不要サービスの停止

上記を組み合わせて実施すると、現実的なリスクを大きく減らせます。

Webを狙う代表的な攻撃タイプ

Webアプリを狙う代表的な攻撃を、分かりやすく解説します。具体例と簡単な対策も付けています。

XSS(クロスサイトスクリプティング)

攻撃者が悪いスクリプトをページに埋め込み、他の利用者のブラウザで実行させます。例:掲示板にを入れて、閲覧者のクッキーを盗む。対策:入力を適切に無害化(エスケープ)し、信頼できる出力だけを許可します。

SQLインジェクション

入力欄に不正なSQLを入れ、データベースを不正に操作します。例:ログイン欄に「’ OR ‘1’=’1」を入れ、認証をすり抜ける。対策:プレースホルダ付きの命令(パラメータ化クエリ)を使います。

CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)

利用者のブラウザを介して意図しない操作を実行させます。例:ログイン中のまま悪意あるページを開き、送金が実行される。対策:ワンタイムトークン(CSRFトークン)を導入します。

ブルートフォース攻撃

大量のパスワードを試してログインを突破します。対策:試行回数制限、二要素認証、強いパスワードの促進が有効です。

ゼロデイ攻撃

まだ公開対策がない脆弱性を狙います。対策:ソフトを最新にし、異常検知を行います。

マルウェア・ランサムウェア

マルウェアは不正なプログラムで、ランサムウェアはファイルを暗号化して身代金を要求します。対策:信頼できない添付ファイルを開かない、バックアップを定期的に取る。

DoS/DDoS

サービスを大量の要求で止めます。対策:トラフィック制御やCDN、レート制限を導入します。

フィッシング

偽のサイトやメールで認証情報を騙し取ります。例:銀行を装ったメールに誘導する。対策:送信元を確認し、重要情報は直接公式サイトで入力します。

Webセキュリティの技術的対策タイプ(ツール別)

ファイアウォール

ネットワークの入り口で不要な通信を遮断する基本装置です。例として、外部からの不正ポートスキャンや未承認のサービス接続をブロックします。設置は企業の境界やクラウドの仮想ネットワークで行い、アクセス制御リスト(許可・拒否)を定義します。限界として、アプリケーション内部の不正までは検出しにくい点に注意してください。

IDS/IPS(侵入検知・防御システム)

不審な通信や振る舞いを検出して通知(IDS)や遮断(IPS)します。例えば、同一IPからの大量リクエストや既知の攻撃シグネチャを検出します。ネットワーク/ホスト型があり、ログとアラートを運用で確認することが重要です。

WAF(Webアプリケーションファイアウォール)

Webアプリ特有の攻撃(SQLインジェクション、XSSなど)を狙い撃ちします。URLや入力パラメータを解析して悪意ある文字列をブロックする仕組みです。アプリの仕様に合わせルール調整が必要で、誤検知対策を運用で行います。

ASM(攻撃面管理)

公開資産を継続的に把握し、リスクの高い箇所を見つけて優先対処します。自動で資産検出・脆弱性スキャン・発見の追跡を行い、どこを先に直すべきかを示します。開発と運用の橋渡し役として有用です。

各ツールは役割が異なるため、組み合わせて多層防御を構築することをおすすめします。運用のルール作りと定期的な見直しを忘れないでください。

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