はじめに
この資料は、ホームページのメニューバー(ナビゲーションメニュー)の作り方を、設計からデザイン、実装まで体系的にまとめたものです。初心者や個人事業主、企業の担当者が、迷わず作れるように具体的な例と手順を中心に説明します。
目的
- メニューバーの役割を理解し、訪問者が目的の情報にたどり着きやすい構造を作ることを目的とします。
- 見やすく使いやすいデザインと、実際に動く設定方法を学べます。
対象読者
- ホームページを自分で作る初心者
- 小さな店舗や個人事業主の方
- 企業でウェブ担当を始めた方
本資料で学べること(例)
- 何をメニューに入れるべきか(例:会社情報、サービス、料金、お問い合わせ)
- ユーザーが迷わない並び方や文言のコツ
- WordPressなどでの実装手順と注意点
- SEOやアクセス改善につながる考え方
読み方のポイント
章ごとに実践できるチェックリストや具体例を載せます。まずは第2章でメニューバーの基本的な役割を確認してください。
メニューバーとは何か?その役割
概要
メニューバー(ナビゲーションメニュー)は、サイト内の主要なページやカテゴリーへユーザーを案内するためのリンク集です。全ページ共通で表示されることが多く、訪問者が迷わず目的の情報にたどり着けるように導きます。
主な役割
- 目的地への案内:ユーザーが欲しい情報へ最短で到達できるようにします。
- 構造の提示:サイト内の構成を示し、どこに何があるか分かりやすくします。
- 行動の促進:問い合わせや購入など、サイト上での主要な行動へ誘導します。
代表的な種類と配置
- グローバルナビ(ヘッダーに横並び)― サイト全体で共通の主要リンクを並べます。
- サイドナビ(サイドバー)― カテゴリーが多いサイトで詳細な項目を表示します。
- フッターナビ(ページ下部)― 補足的なリンクや利用規約をまとめます。
具体例とラベリングのコツ
例:ホーム/サービス/料金/導入事例/会社情報/ブログ/お問い合わせ
– 短く具体的な名前にします(「サービス」ではなく「制作サービス」など)。
– 優先度の高い項目を左または目立つ位置に置きます。
– 現在地を視覚的に示して迷わないようにします。
モバイルとタッチ操作への配慮
- タッチしやすいボタンサイズを確保します(目安:44px以上)。
- ハンバーガーメニューは項目数が多いときに有効ですが、重要な項目は外に出しておきます。
アクセシビリティの注意点
- キーボード操作やスクリーンリーダーで移動できるようにします。
- リンクテキストは意味が伝わる表現にします(「こちら」だけにしない)。
注意すべきポイント
- 項目を増やしすぎると選びにくくなります。優先順位を決めて簡潔にまとめてください。
- ドロップダウンは便利ですが深い階層は避け、必要ならサイドページで整理します。
メニューバー作成前の設計ポイント
概要
メニューバーはサイト全体の案内図です。作成前にページ構成を整理し、何が重要かを決めます。ここでは実務で使える設計の順序と注意点を具体例を交えて説明します。
1. ページ構成を可視化する
まず全ページを書き出します。例:トップ、サービス、料金、お問い合わせ、会社情報、ブログ。紙やホワイトボードにマップ化すると全体像が分かりやすくなります。
2. カテゴリ分けと最上位ページの決定
似た内容はまとめてカテゴリ化します。カテゴリの代表ページ(最上位)をメニュー項目に設定します。例えば「サービス」配下に「導入事例」「機能一覧」を置きます。
3. 項目数は絞る
メニューは多すぎると迷わせます。5〜7項目を目安に絞り、重要なものを優先表示してください。スマホ表示も意識して短めの表記にします。
4. 項目名は直感的に
専門用語は避け、誰でも分かる言葉を選びます。例:「料金」「導入事例」「よくある質問」など具体的に伝えます。
5. デザインと階層の一貫性
全ページでメニューの見た目や並び順を揃えます。ドロップダウンやサブメニューは階層が分かるようにインデントや矢印で示してください。
6. 優先順位と導線設計
ユーザーがよく使う動線(問い合わせや購入)を上位に配置します。CTAへ誘導したい場合は目立つ位置に置き、色や角丸で差をつけます。
7. テストと見直し
実運用でアクセス解析を見て項目のクリック率を確認し、使われない項目は統合または削除します。定期的に見直すことが重要です。
ユーザビリティと視線誘導のコツ
視線パターンの基本(Z型・F型)
ウェブを読むとき、ユーザーは自然に視線をZ字やF字に動かします。トップから左上へ、右へ流れるZ型と、左上から縦に下りながら重要箇所を横切るF型です。メニューバーはこの流れを邪魔せず、逆に利用するように配置します。
配置の基本ルール
- 左側:サイトの核となるカテゴリを置きます(例:商品一覧、サービス)。
- 右側:最終ゴールのボタンを置きます(例:お問い合わせ、申し込み)。
この左右配置で自然な誘導ができます。
重要項目の優先順位と配置例
重要度の高い項目を左側の先頭に並べ、小さな項目や補助的なリンクは右寄せでまとめます。例:ロゴ(左)→ カテゴリA→カテゴリB →(右端)お問い合わせボタン。
視線誘導のためのデザインのコツ
色やコントラストで目立たせます。CTAは十分な余白を取り、アイコンや短い文言で意図を明確にします。ホバーで説明を出すと理解が深まります。
テストと改善
クリック数や滞在時間を測り、A/Bテストで示す配置を比較します。ユーザーの行動を見て、入り口(左)と出口(右)のバランスを調整してください。
メニューバーのデザインと表示例
メニューバーはサイトの顔です。全ページでデザインを統一すると、ユーザーが迷わず操作できます。ここでは見た目の決め方と具体的な表示例を分かりやすく紹介します。
基本の見た目決め
- 文字サイズ:主要メニューはやや大きめ(例:16〜18px相当)、二次的な項目は少し小さくします。視認性を優先してください。
- 配色:背景と文字のコントラストをはっきりさせます。重要なボタンはアクセントカラーで目立たせます。
- アイコン:意味が分かりやすい場合だけ併用します。例:検索やカートのアイコンは有効です。
レイアウト例(デバイス別)
- PC:横並びでロゴは左、メニューは中央または右に配置します。ドロップダウンはマウスで開きやすく、階層は1〜2段に抑えます。
- スマホ:ハンバーガーメニューを採用し、タップで全体メニューを表示します。タッチ領域を広め(指幅で押しやすく)にします。
見せ方の工夫
- 固定表示(sticky)で常にアクセスできるようにすると利便性が上がります。スクロールで隠す場合は小型化して残す手も有効です。
- アニメーションは短く控えめに。遅い動きは操作性を下げます。
- メニューの順序はユーザーの行動を想像して決めます。例:トップ→サービス→料金→お問い合わせの流れが自然です。
以上を参考に、サイトの目的とユーザー層に合わせて調整してください。
メニューバーの実装方法(WordPress編)
管理画面からの基本手順
- 外観→メニューを開き、新しいメニュー名を入力して「メニューを作成」します。
- 左側の固定ページ、投稿、カスタムリンク、カテゴリから表示したい項目を選び「メニューに追加」を押します。
- 順番はドラッグで並べ替え、完了したら「メニューを保存」を押して反映します。
グローバルナビの設定
テーマにより表示場所が異なります。表示場所(例:ヘッダーメニュー、フッターメニュー)を選び、保存するとグローバルナビとして表示されます。
サブメニュー(階層構造)の作り方
子メニューにしたい項目を親項目の下にドラッグして少し右にずらします。階層がついてドロップダウンで表示されます。深い階層は避け、2階層程度に留めると使いやすくなります。
カスタムリンクやカテゴリの追加
外部リンクや特定のカテゴリを表示したいときは「カスタムリンク」や「カテゴリ」タブを使います。リンク先とラベルを入力して追加します。
表示場所の割り当てとウィジェット
テーマのメニュー位置だけでなく、ウィジェットやブロックエディタの「ナビゲーション」ブロックからも配置できます。モバイル用に別メニューを用意することも可能です。
スマホ表示と調整
作成後はスマホ表示で必ず確認してください。ハンバーガーメニューの開閉や表示崩れがないかチェックし、必要ならCSSで間隔やフォントサイズを調整します。
よくあるつまずきと対処
- メニューが表示されない:表示場所が未選択の可能性があります。位置を再確認してください。
- サブメニューが開かない:テーマやJavaScript競合が原因です。プラグインを一時停止して確認します。
- 項目を追加できない:キャッシュや権限の問題があります。キャッシュをクリアし、管理者権限で操作してください。
上記を順に実行すると、WordPressで安定したメニューバーを実装できます。
その他のツールでのメニューバー設定
はじめに
CanvaやTilda、Wixなどのホームページ作成サービスは、直感的な操作でメニューバーを作れます。ブロック編集やドラッグ&ドロップが基本で、動画やヘルプで具体例を多く見つけられます。
Canvaでの基本手順
- ヘッダーを選ぶ: テンプレートからヘッダーブロックを選択します。
- テキスト編集: メニューラベルを入力し、それぞれにリンクを割り当てます。
- 表示確認: モバイル表示に切り替え、折りたたみ(ハンバーガー)を確認します。
- 公開: 変更を保存して公開します。
ポイント: シンプルなラベルにして視認性を確保しましょう。
Tildaでの基本手順
- ブロック追加: 「Menu」ブロックやZero Blockを使います。
- リンク設定: ページ内アンカーや外部リンクを登録します。
- 固定表示: ヘッダーを固定(sticky)に設定できます。
- モバイル設定: ハンバーガーメニューの動作を調整します。
ポイント: Zero Blockは細かなデザイン調整が可能です。
その他サービスの共通ポイント
- ドラッグ&ドロップで並べ替え可能
- テンプレートに応じたデザインとレスポンシブ対応
- プラグインやアプリでドロップダウンや検索機能を追加可能
実務的な注意点
- 主要項目を上位に置き、ラベルは短くする
- モバイルで必ず動作確認する
- リンク先が正しいか定期的にチェックする
各ツールのヘルプや動画チュートリアルを参考に、まずは簡単なメニューから試して慣れると良いです。
SEOとメニューバーの関係性
なぜメニューバーがSEOに影響するのか
メニューバーはサイト内の主要ページへ安定してリンクを渡します。検索エンジンのクローラーはリンクをたどってサイト構造を理解するため、重要ページをグローバルナビに置くと発見されやすくなります。アンカーテキストも手がかりになるため、分かりやすい文言を使うことが大切です。
具体的な効果と例
- グローバルナビ:全ページで共通のリンクはページ評価を広げます。
- パンくずリスト:階層を示し、クローラーの理解を助けます。
- フッターリンク:補助的に重要ページを補います。例:サイトマップ、お問い合わせ。
実装で気を付けるポイント
- テキストリンクを優先し、画像やボタンだけにしないでください。クローラーの判別が容易になります。
- JavaScriptで動的に生成する場合は、サーバーサイドでも主要リンクを出すか、クローラー対応を確認してください。
- 重要ページは深い階層に埋めすぎないでください。3クリック以内が目安です。
よくある落とし穴
- 重要なページをログイン後にしか見せないと評価が伝わりません。
- 同じリンクを大量に並べると評価が希薄になります。
チェックリスト
- グローバルナビに主要ページを入れているか
- アンカーテキストは具体的か
- リンクはクロール可能か(JavaScript/robots.txtを確認)
- 階層が深すぎないか
これらを意識すると、メニューバーがSEOに貢献しやすくなります。
よくある失敗例と改善ポイント
1) メニュー項目が多すぎる
説明:項目が多いとユーザーが迷い、目的達成まで時間がかかります。
改善:主要な項目を5〜7個に絞り、残りは「その他」やフッターへ移動します。具体例:商品カテゴリをまとめて「製品」内で絞る。
2) 階層が深くクリック数が増える
説明:深い階層はユーザーの離脱を招きます。
改善:2階層以内に収め、必要なら検索やフィルタを導入します。パンくずを表示して現在地を示すと親切です。
3) デザインが統一されていない
説明:フォントや色のばらつきは信頼感を損ないます。
改善:ガイドラインを作り、文字サイズ・余白・色を統一します。重要項目は色や太字で目立たせます。
4) モバイルで見づらい
説明:タップしにくい、メニューが隠れるなどの問題が起きます。
改善:タップ領域を広くし、ハンバーガーメニューや優先順位の高い項目だけを表示します。レスポンシブで確認します。
5) ラベルが分かりにくい
説明:専門用語やあいまいな表現は理解を妨げます。
改善:ユーザーの言葉でラベルを付け、短く具体的にします。テストで分かりやすさを確認します。
定期的な見直しとユーザーテスト
説明:作りっぱなしは効果が落ちます。
改善:定期的にアクセス解析とユーザーテストを行い、問題点を洗い出して改善サイクルを回します。簡単なチェックリスト:項目数・階層・表示速度・タップ領域・ラベルの理解度の確認を習慣にしてください。
参考デザイン・事例集
はじめに
参考になるメニューバーは多様です。ここでは用途別に分かりやすく紹介します。実際の使い方を想像しやすいよう、具体例を交えて説明します。
シンプル型(例)
- 特徴: 横一列に主要ページを並べる。視認性が高く迷わない。
- 利用場面: ブログや情報サイト。導線をシンプルにしたいときに向きます。
ドロップダウン型(例)
- 特徴: カテゴリを折りたたんで表示できる。項目が多いときに有効です。
- 利用場面: コンテンツが多層構造の企業サイトやポータル。
サイドバー型(例)
- 特徴: 左右どちらかに縦並び。サブメニューやフィルタを同時表示できます。
- 利用場面: ECサイトや管理画面。ナビゲーションと操作をまとめたいときに便利です。
モバイル向け(ハンバーガー)
- 特徴: 画面スペースを節約し、タップで展開する。意図的に主要項目だけ見せられます。
- 利用場面: スマホ中心のサービス。必要な項目を厳選して表示します。
実例紹介(短め)
- ブログ:シンプル横型+検索を右端に配置し回遊率が上がった例。
- ECサイト:サイドバーでカテゴリと価格帯フィルタを常時表示し購入導線を改善した例。
- 企業サイト:ドロップダウンで事業ごとに整理し問い合わせ経路を明確にした例。
選び方のポイント
- ユーザーの目的を第一に考える。
- 項目数を絞り、優先順を決める。
- レスポンシブ対応を前提に設計する。
導入時の注意
デザインが決まっても、実際のクリック数や離脱率を計測して改善してください。ユーザーの動きを見ながら微調整することが重要です。
まとめ|メニューバー作成のポイント再確認
メニューバー作成のポイントを分かりやすく振り返ります。まずサイト構造を整理し、ユーザーが知りたい情報を優先して並べてください。具体例としては「トップ」「サービス(商品)」「料金」「会社情報」「お問い合わせ」など、必要最低限の項目に絞ります。
- シンプルにする:選択肢を減らすと迷いが減ります。例:主要項目を5つ以内に抑える。
- 表示の一貫性:フォント・色・間隔を統一して視認性を保ちます。
- 視線を意識した配置:重要な項目を左上や中央に置く、プライマリCTAは目立たせる。
- レスポンシブ対応:スマホではハンバーガーメニューや折りたたみを検討する。
- 実装はツールを活用:WordPressやサイトビルダーのメニュー機能を使えば効率的に作れます。
作成後は、実際のユーザー行動や簡単なテスト(友人や同僚に探してもらう)で改善点を洗い出してください。したがって、小さな修正を繰り返すことが最短で使いやすいメニューに近づく方法です。最後に、常にユーザー目線を忘れずに、見やすく、分かりやすいメニューバーを目指してください。












