はじめに
目的
ポートフォリオ(Webサイト型)は、自分の仕事や作品を相手に分かりやすく伝えるための道具です。就職や副業の受注、自己紹介の場として役立ちます。例えばデザイナーなら作品画像、エンジニアなら実装したプロジェクトやGitHub、ライターなら記事の抜粋を載せます。
作成の基本的な流れ
- 何を載せるか決める:掲載する作品や実績、自己紹介の内容を整理します。具体例は後の章で紹介します。
- 構成を考える:トップ、作品一覧、詳細、プロフィール、連絡先といったページを想定します。見せたい順に並べると伝わりやすいです。
- ツールを選ぶ:テンプレートやノーコードサービス、静的サイトジェネレーターなどから選択します。手軽さを優先するならテンプレートやノーコードが向きます。
- デザイン・実装:写真や文章を用意し、読みやすさを意識して配置します。スマホ表示の確認も忘れずに行います。
- 公開:ドメインやホスティングを設定して公開します。簡単な公開なら無料サービスでも可能です。
未経験者でも作れる理由
テンプレートやノーコードサービスは、専門知識がなくても見栄えの良いサイトを作れます。初めはテンプレートを使い、徐々に内容を磨く方法が現実的です。
この記事の進め方
この章では全体像を示しました。次の章からは、何を載せるかの具体的な決め方、ページ構成の基本形、作り方のステップ、主要な作り方の特徴、よくある失敗とその対策を順に丁寧に解説していきます。
まず決めること
1. ポートフォリオの目的を明確にする
最初に何のために作るか決めます。転職用、フリーランスの案件獲得、社内向けの成果報告など目的で見せ方や掲載内容が変わります。目的を一言で表せると判断が早くなります。
2. ターゲットを想定する
誰に見せたいか具体的に想像します。採用担当者、クライアント、同業者などで求める情報が違います。年齢層や業界、技術レベルを想定し、言葉遣いや事例の深さを合わせます。
3. 掲載する基本コンテンツ
基本は次の4つです。自己紹介(プロフィール)、提供サービス・スキル、制作実績(作品)、お問い合わせ。各項目は短く分かりやすくまとめ、代表的な作品は詳細ページにリンクします。
4. 優先順位と表示順
目的とターゲットに基づき優先度を決めます。転職なら経歴と制作実績を前面に、案件獲得なら得意分野と料金感・実績を目立たせます。ファーストビューに最も重要な情報を置きます。
5. 更新頻度と運用ルール
新しい実績は定期的に追加します。更新ルール(例:月1回、重要案件は即時)を決めると情報が古くなりません。問い合わせ対応の目安時間も明記すると信頼感が増します。
ページ構成の基本形
ポートフォリオサイトの基本は、見やすく目的に導くページ分けです。ここでは代表的な構成と、各ページで押さえるポイントを具体例とともに説明します。
Top(トップ)
代表作品や短いメッセージを最初に見せます。ファーストビューに1〜3点の代表作と自己紹介の一行を置き、訪問者の興味を引きます。ボタンで「作品を見る」や「お問い合わせ」へ誘導します。
Works / Projects(作品一覧)
サムネイルと短い説明を並べます。カテゴリーやタグで絞り込みできると便利です。例:UI、イラスト、映像など。読み込み時間を抑えるため画像は最適化します。
個別作品ページ
制作の背景、担当範囲、使用ツール、成果(数値や反応)を明記します。制作過程の画像や動画を順を追って見せると説得力が増します。
About(プロフィール)
経歴、スキル、活動スタンスを簡潔にまとめます。写真や連絡可能時間を入れると信頼感が高まります。
Contact(問い合わせ)
フォームとSNSリンクを用意します。依頼の相談がしやすいよう、依頼内容の選択肢や予算の目安欄を設けると親切です。
共通要素
- ナビゲーションは常に表示する。\n- CTAはページごとに一つ明確にする。\n- モバイルでの見え方を優先して確認する。
これらを基に、自分の見せたい強みを際立たせる配置に調整してください。
作り方のステップ
1. 参考サイトを集める
まず目的に近いサイトを5〜10件集めます。企業サイト、個人ポートフォリオ、ブログなど具体例を混ぜると良いです。良い部分(色使い、導線、文章の長さ)をメモします。
2. ワイヤーフレームを作る
紙でもデジタルでも構いません。トップ、導線(CTA)、プロフィール、実績の配置をざっくり描きます。例:トップ→サービス紹介→実績→お問い合わせの順にする。
3. デザインを固める
色は2〜3色、フォントは見出しと本文で1〜2種類に抑えます。ボタンや画像の大きさを決め、スマホ表示を想定して調整します。参考サイトの良い点を取り入れましょう。
4. 実装する
HTML+CSSができるなら、レスポンシブを意識して実装します。テンプレートやCSSフレームワークを活用すると早いです。苦手ならノーコードサービス(例:Wix、STUDIO、Webflowなど)で同じデザインを作れます。
5. 公開する
独自ドメインか無料ドメインを選び公開します。公開後はSNSや履歴書、名刺にリンクを載せます。公開前に動作確認(スマホ、PC)、読み込み速度、画像のalt、タイトルと説明文の確認を行いましょう。
主な作り方と特徴
ノーコードサービス(例:Wix、Squarespace、ペライチ)
- 説明:テンプレートに当てはめるだけでページが作れます。プログラミング不要で直感的に操作できます。
- メリット:難易度が低く、短時間で公開できます。デザインテンプレートや決済などの機能が最初から揃っています。
- デメリット:自由度が低く、細かな表現や独自機能の追加が難しい場合があります。長期的なコストに注意が必要です。
- 向いている人:時間をかけられない個人、小規模事業、まずは試したい人
WordPress+テーマ(例:有料テーマ、無料テーマ)
- 説明:WordPress本体にテーマを入れて作ります。管理画面から記事・ページを整えやすく、プラグインで機能拡張できます。
- メリット:中難易度で拡張性が高く、SEOやブログ運営に強いです。デザインの調整も比較的自由です。
- デメリット:初期設定や更新管理に慣れが必要です。セキュリティ対策やバックアップを自分で行う必要があります。
- 向いている人:将来機能を増やしたい人、ブログや情報発信を本格化したい人
自作コーディング(HTML/CSS/JavaScript)
- 説明:自分で全て書いて作ります。デザインも動きも自由に作れます。
- メリット:最も自由度が高く、スキルのアピールにもなります。軽快で独自性のあるサイトが作れます。
- デメリット:時間と知識が必要で、制作・保守の負担が大きいです。公開までに時間がかかります。
- 向いている人:開発スキルを持つ人、独自表現を優先したい人
それぞれ特徴が明確なので、目的・予算・時間に合わせて選んでください。
よくある失敗とコツ
はじめに
ポートフォリオ作成でよくある失敗と、その対処法を丁寧にまとめます。読み手に伝わる見せ方を意識すると印象が大きく変わります。
よくある失敗
- 作品が多すぎて伝わらない:一覧を眺めるだけで何が得意かわからない。
- 画像だけで情報不足:目的や自分の役割が不明で評価しにくい。
- 自分が何者かわからない:職種や得意分野が伝わらない。
- 低解像度やリンク切れ:信頼を損なう。
具体的なコツ
- 厳選して見せる:まず6〜8点に絞ります。代表作3点は必ず目立つ位置に配置します。
- 一行まとめを付ける:各作品に「目的/ターゲット/担当範囲/成果・工夫」を短く添えます。例:『新規ユーザー獲得が目的/20〜30代女性が対象/UI設計担当/申込率+30%』。
- 画像だけならプロセスを加える:ワイヤーフレームやビフォー・アフターを添えて意図を伝えます。
- 自分の紹介は一行で明確に:トップかAboutで『○○職、×年経験、△が得意』を示します。
- 見やすさを整える:作品の順序は重要度順かカテゴリ別に統一します。スマホでの見え方も確認します。
- 証拠を見せる:数値やユーザーの声を小さく載せると説得力が出ます。
チェックリスト(公開前)
- 画像は高解像度か
- リンクはすべて動作するか
- 文章は簡潔か(専門用語を減らす)
- 問い合わせ導線が明確か
少し手を入れるだけで、伝わり方が大きく変わります。まずは厳選と一行説明から始めてください。












