はじめに
目的
本書は「サイトマップ エクセル」に関する調査結果と実践的な作成方法をわかりやすくまとめたものです。Excelを使ってサイト構造を可視化する利点や、具体的な手順、代替手段やテンプレート活用法まで幅広く扱います。実務での使い方に重点を置き、すぐに使える知識を提供します。
対象読者
Web制作担当者、コンテンツ管理者、プロジェクトマネージャー、あるいはサイト構築に関わる初心者の方に向けています。専門知識が深くなくても理解できるよう、用語は最小限にし具体例で補足します。
本書の範囲と構成
全9章で構成します。第2章でExcelの利点を説明し、第3章以降でSmartArtやディレクトリマップ、テンプレート活用、他ツールとの比較、実務的なフロー、最後にXMLサイトマップとの違いまで順に解説します。各章は独立して参照できます。
読み方のポイント
まず第2章から読み進めるとExcelでの期待効果が掴めます。具体的な操作は第3章と第4章に詳述しますので、実際に手を動かしながら読むと理解が進みます。必要に応じてテンプレートや比較章へ戻ってください。
Excelでサイトマップを作成する利点
1. 標準搭載で追加コストが不要
多くのビジネスPCにExcelが入っているため、新しいソフトを買う必要がありません。すぐに始められるので、コストと導入時間を節約できます。
2. わずか2ステップで見た目を整えられる
手順は簡単です。まず親ページ・子ページを行ごとにリスト化します。次にSmartArtや図形、インデントで階層を表現すれば、短時間で見やすいサイトマップが作成できます。
3. 共有と協働が容易
OneDriveやSharePointでファイル共有すれば、チームで同時編集やコメントが可能です。担当者の変更や修正履歴が残るため、進行管理が楽になります。
4. 実務で役立つ機能が豊富
フィルター、並べ替え、列によるメタデータ(URL、担当者、優先度)付加などが簡単にできます。作成後はPDFや画像で出力して配布もできます。
5. 小さな工夫で効率化
テンプレート化、列幅の統一、色分けを取り入れると見やすくなります。開発チームやマーケティングと共有する際も、目的に合わせて列を調整すれば伝わりやすくなります。
SmartArt機能を使ったサイトマップ作成方法
手順(初心者向け)
- Excelで「挿入」タブを開きます。
- 「図」→「SmartArt」を選択し、カテゴリから「階層構造」を選びます。
- 図が挿入されたら、左側のテキストウィンドウにページ名やカテゴリ名を入力します。入力するだけで自動的に階層図が作られます。
レイアウト選びのポイント
- ページ数が少ないときは縦型の階層が見やすいです。
- ページ数が多い場合は「横方向階層」を選ぶと横に広がり、読者が追いやすくなります。
編集と書式設定
- ノードの追加は図を右クリックして「図形の追加」を使います。
- 順序を変えたいときはノードを選んでドラッグします。
- 色や線、影は「SmartArtのデザイン」と「図形の書式設定」で統一感を出します。色でカテゴリを分けると視認性が上がります。
多ページ対応のコツ
- 主要カテゴリのみをトップレベルに置き、下位ページは短いラベルにします。
- 細かいページは別シートで補足し、リンクや注記で参照を分けます。
注意点
- 非常に多数のページを扱うとSmartArtは重くなります。大規模サイトは別ツールを検討してください。
- 出力が必要なら図を画像として保存するか、PowerPointにコピーして調整します。
ディレクトリマップによる代替方法
概要
SmartArtが使えないときは、Excelの列を階層に見立て、行ごとにページ名を並べる「ディレクトリマップ」が便利です。シンプルで編集しやすく、印刷や共有にも向いています。
作り方(基本)
- 列をレベルにする:A列をトップ、B列を第2階層、と順に使います。各行に該当するページ名を入力します。
- 同じ親に属するページは同じ行で揃える:親ページのセルを左側に置き、子ページを右の列に並べます。
- セル結合と罫線:親を目立たせるためにセルを結合し、枠線でグループ化します。
見た目と詳細の付け方
- 色付けで種類分け:サービス、ブログ、問い合わせ等で背景色を変えます。
- メモ列を追加:URLや担当者、公開予定日を右端の列に書きます。
- ハイパーリンク:セルにリンクを貼ると、クリックで該当ページを開けます。
ワイヤーフレーム風にする
罫線やセル結合を細かく使えば、ページ内のブロック(ヘッダー、ナビ、本文、サイドバー、フッター)を簡易的に表現できます。画面サイズ別に列を分ければ、レスポンシブの想定も記録できます。
大規模サイトの工夫
- シートを章やセクションごとに分けます。
- フィルターや昇降順で編集を楽にします。
- インデックス用の目次シートを作り、シート名からジャンプできるようにリンクします。
メンテナンスと共有
定期的に担当者と一緒に見直し、変更履歴を別列に残すと管理が楽になります。PDF出力すればデザイン案としても配布できます。
Web用Excelの制限事項
SmartArtが使えない
Web用Excel(Excel Online)には、SmartArt機能が搭載されていません。そのため、SmartArtで作るような階層図や見栄えの良い図形を直接作成できません。もしSmartArtが必須なら、デスクトップ版Excelに切り替えて作業する必要があります。
Web版でできること(ディレクトリマップ向け)
Web用Excelでもディレクトリマップ形式なら十分にサイトマップを作成できます。手順の一例です。
1. 列を作る(ページ名、URL、親ページ、階層レベル)。
2. 階層レベルに応じて文字列をインデント表示する:=REPT(“ ”,C2-1)&A2 のような式で視覚的な階層を作れます。
3. フィルターや並べ替え、条件付き書式で階層ごとに色分けすると見やすくなります。
その他の制限と対策
- 図形や高度なグラフは制限があります。デザイン調整はデスクトップ版か別ツールを使うと効率的です。
- マクロ(VBA)は使えません。自動化が必要な場合はデスクトップ版で実行してください。
- 一部のアドインや大きなファイルは動作が遅くなることがあります。
用途に応じてWeb版とデスクトップ版を使い分けると、作業効率が上がります。Web版は共有や共同編集に便利で、ディレクトリマップ作成には十分対応できます。
テンプレートを活用した効率的なサイトマップ作成
概要
無料で配布されているExcelテンプレートを使うと、サイトマップ作成がぐっと速くなります。テンプレートは階層判定や必須項目の自動入力を備え、手作業のミスを減らします。
手順(実務向け)
- まずサイトの全ページを洗い出します。サイト内検索やCMSの一覧、Google Analytics(探索レポート)を使うと効率的です。
- Google Analyticsの探索レポートからURLとタイトルをCSVでエクスポートします。必要に応じてフィルタで重複を除きます。
- テンプレートをダウンロードして開き、指定されたURL列(例:A列)にエクスポートしたURLを貼り付けます。
- テンプレートのマクロや数式が自動で階層を判定し、テンプレート項目(ページタイプ、優先度、更新頻度など)を補完します。
活用のコツ
- URLの末尾にトラッキングパラメータがある場合は取り除いてください。テンプレートは正規化されたURLを前提とします。
- 列の形式(文字列/日付)を確認するとエラーを防げます。
- 自動判定が合わない場合はテンプレートのルールを調整して使います。
よくあるトラブルと対処
- 文字化け:CSVの文字コードをUTF-8にして再読み込みしてください。
- 階層が崩れる:URL構造に一貫性があるか確認し、テンプレートの区切り文字(”/”など)を合わせてください。
テンプレートを使えば、初期集計から構造把握、レビュー用の出力まで一貫して効率化できます。
他のツールとの比較
比較の観点
目的(設計・共有・見た目)と作業フェーズ(草案・最終版)で選び方が変わります。編集のしやすさ、見た目の調整、コラボ機能、コストで比べると分かりやすいです。
PowerPoint
図形作成とレイアウトに強く、スライドでそのまま説明できます。SmartArtも使えて階層図が作りやすいです。プレゼン用の整えは楽ですが、大量のページやデータ管理はやや手間になります。
Canva
デザインテンプレートが豊富で見た目を短時間で整えられます。共有や画像出力が簡単です。ただし細かなデータ編集や無料プランの素材制限に注意してください。
Xmind(マインドマップ)
アイデアを広げる段階で便利で、階層構造が直感的に作れます。構造設計が速く終わりますが、サイトマップとしての最終出力や高度な編集は有料機能が必要な場合があります。
Excelの強み
無料で(または既に導入済みで)使えることが多く、表や並び替え、フィルタで構造を数値やURLと一緒に管理できます。テンプレートやSmartArtで見た目も整えやすいです。
選び方の目安
- 設計段階で構造を練るならXmind
- 見た目重視で提示するならCanvaやPowerPoint
- データ管理や複数人での編集が中心ならExcel
実際はツールを組み合わせると効率が上がります。たとえばExcelで構造を作り、PowerPointやCanvaで最終ビジュアルを作成する流れが実務的です。
実務的なサイトマップ作成プロセス
ステップ1: 全ページをブレインストーミング
まずは階層を気にせず、思いつく限りページを列挙します。トップページ、カテゴリ、商品ページ、問い合わせ、利用規約などを一行ずつ書き出します。付随情報として担当者、更新頻度、優先度を列に追加すると後で便利です。
ステップ2: 整理とグループ分け
書き出したリストを見ながら、親子関係を決めます。Excelの列を使ってレベル(1,2,3)を付けると階層化が楽になります。フィルターや並べ替えで確認しながら整理します。
ステップ3: 視覚化
整理したデータをSmartArtや図形で図にします。SmartArtの組織図や階層図は手早く見栄えよく作れます。テンプレートがあれば項目を貼り付けるだけで完成します。
ステップ4: レビューと改訂
チームや関係者に見せて抜け漏れや優先度を確認します。フィードバックを受けてExcelの元ファイルを更新し、図も最新版に差し替えます。
実務のコツ
- 最初は完璧を目指さず全体像を作ること。
- URLやメタ情報を列に持たせると実装が楽になります。
- バージョン管理と作成日を残しておくと変更追跡が容易です。
XMLサイトマップとの違い
概要
XMLサイトマップは検索エンジン向けの機械的フォーマットです。クローラーにページのURLや更新日、優先度などを伝え、インデックスの効率を上げます。Excelで作るサイトマップは人が見るための構成図で、ページ構成やナビゲーションを整理する目的で使います。
主な違い
- 目的:XMLはクローラー向け、Excelは設計・共有向け。
- 形式:XMLは機械可読なタグ、Excelは表や図で視覚的に表現。
- 作成方法:XMLは自動生成ツールやCMSプラグインで作ります。Excelは手動で編集やテンプレート利用で作ります。
- 運用:XMLはサイトに送信して検索エンジンに知らせます。Excelはチーム内でレビューし、設計に反映します。
実務での使い分けと手順例
- Excelでサイト構成を設計・確認します。メタ情報(タイトル、説明、更新頻度)も記入すると便利です。
- 設計を元にCMSでページを作成し、XMLサイトマップを自動生成します。
- XMLをGoogle Search Consoleなどに送信してインデックス状況を確認します。したがって両者を併用すると効率が上がります。
注意点
XMLには50,000件の上限など仕様があります。プライベートページは含めないでください。Excelは視認性に優れますが、検索エンジンには直接効きません。
まとめ
Excelは設計ツール、XMLは公開・通知のための技術仕様です。目的に合わせて両方を活用してください。












