はじめに
本資料の目的
本資料は「Webセキュリティチェックシート」に関する情報を整理し、ブログ記事として伝えやすい形にまとめたものです。WebサービスやWebサイトの安全性を自己点検したい方、取引先に説明する資料を準備したい方を主な対象とします。チェックリストやテンプレートを中心に、実務で使えるポイントを分かりやすく紹介します。
想定読者
- 開発者や運用担当者
- セキュリティ担当や管理者
- 中小企業の経営者や外部に説明する必要がある方
専門用語は必要最小限に留め、具体例や使い方を示しますので、初めての方でも取り組みやすい内容です。
使い方
各項目は「確認すること」と「期待される対策例」をセットで示します。まず現状を点検し、優先度をつけて対応してください。テンプレートはそのまま使える形式と、説明文付きの参考例を用意します。
本資料で得られるもの
- 自己点検に使えるチェックリスト
- 取引先への説明資料の雛形
- 対策の優先順位をつけるための考え方
注意点
チェックシートは万能ではありません。運用状況やリスクの変化に応じて定期的に見直してください。
Webセキュリティチェックシートとは何か
概要
Webセキュリティチェックシートは、Webサービスやクラウドサービスのセキュリティ対策を質問形式で整理した資料です。自己診断や取引先への提出、リリース前チェックで使います。形式はExcelやスプレッドシートが一般的で、回答は「はい/いいえ」や段階評価、自由記述などで行います。
誰が使うか、用途
主にSaaS事業者、クラウド提供者、Webアプリ開発者が使います。取引先から提出を求められたときに提出書類として使うほか、自社の弱点を洗い出す内部チェックにも役立ちます。たとえば、新しい機能を公開する前に項目を確認して問題を減らします。
形式と評価方法
多くはカテゴリ別に分かれます。技術的対策(認証や暗号化など)、運用(ログ管理やバックアップ)、人の管理(教育や権限)、委託先対応、インシデント対応などです。各項目に対してYES/NOや4段階評価を付け、必要なら具体的な説明欄を使います。
回答時のポイント
質問には正直に答えます。未実施の項目は実施予定やリスク低減策を短く書くと相手に伝わります。専門用語を避け、具体例を書くと分かりやすくなります。たとえば「ログを14日保存」や「多要素認証を導入済み」といった記述です。
対外資料としての扱い
チェックシートは公式資料として扱われることが多いです。提示前に内容を確認し、必要なら責任者の承認を得ます。明確で正確な回答が信頼につながります。
公的テンプレから学ぶWebセキュリティチェックシートの構成
以下では、公的機関や国際団体が公開する代表的なチェックリストを取り上げ、それぞれの構成と実務での使い方を分かりやすくまとめます。
経済産業省:技術情報管理 自己チェックリスト
- 構成:ルール作りや実践、人的対策、設備的対策、サイバー対策のカテゴリに分かれます。各項目を4段階で評価し、経営視点と実務視点の両方で自己評価できます。
- ポイント:経営層が投資判断しやすいように、運用状況とリスクのギャップを明確にします。例:アクセス権限の定期見直しが運用されているか。
経済産業省:クラウドサービスレベルのチェックリスト
- 構成:アプリ運用、サポート、データ管理、セキュリティ等の49項目から成ります。単に○×を付けるだけでなく、具体的な対応内容の記述を求めます。
- ポイント:クラウドでは責任範囲が複雑なので、どちらが対応するか(利用者か提供者か)を明確にします。例:ログの保存期間やバックアップの頻度を記載する。
Cloud Security Alliance:CAIQ
- 構成:200項目以上の問いにより、サービスのセキュリティ対策と責任分担を明示します。国際標準としてベンダー評価に使いやすい形式です。
- ポイント:詳細な質問に答えることで、第三者評価や監査準備がしやすくなります。例:暗号化方式や鍵管理の担当者を示す。
IPA:安全なウェブサイトの作り方(改訂第7版)
- 構成:Webサイト運営者向けの具体的なチェックリストを提供しています。制作・運用・公開後の管理まで網羅します。
- ポイント:技術だけでなく運用フローや問い合わせ対応も含める点が実務向けです。例:公開前の脆弱性確認や改ざん検知の設定。
実務での使い方(まとめ)
- カスタマイズ:自社の業務やリスクに応じて項目を取捨選択し、具体的な担当者と期限を追加します。
- 優先順位付け:重要度や影響度で項目をランク分けし、短期対応と中長期対応に分けます。
- 監査・ベンダー評価:ベンダー提出用にはCAIQやクラウドチェックの項目を使い、回答と証拠(設定画面やログ)を添付します。
- 具体例:チェック項目「アクセス権の定期見直し」→ 担当:情報システム、頻度:半年、証拠:見直し履歴。
これらの公的テンプレはそのまま使うだけでなく、実務で動く形に落とし込むことが重要です。項目を具体化し、責任と証跡を明確にすると運用が安定します。












