はじめに
本資料の目的
本資料は、XMLサイトマップ(sitemap.xml)の作成方法と運用方法を分かりやすくまとめたガイドです。基本概念から手動作成、各種ツールやWordPressプラグインの利用方法、Search Consoleへの登録、robots.txtへの記述まで網羅します。実務で使える手順を中心に解説します。
対象読者
- ウェブサイト運営者
- 制作・開発担当者
- SEOの基礎を学びたい方
初心者にも分かるように具体例を交えて説明します。
この資料で学べること
- XMLサイトマップの役割と仕組み
- 手動と自動の作成方法
- 開発環境での生成と配置上の注意点
- Google Search Consoleやrobots.txtへの反映方法
読み方のポイント
まず第2章で基礎を理解し、その後で実践的な章(第3〜6章)を参照してください。運用やSEOの注意点は最後の章でまとめています。
XMLサイトマップの基本概念
概要
XMLサイトマップ(sitemap.xml)は、サイト内のページを一覧にしたファイルです。検索エンジンのクローラーが巡回しやすくなり、新しいページや深い階層のページを早く見つけてもらえます。ファイルはXML形式で記述します。
含まれる情報(簡単な説明)
- URL(ページのアドレス)
- 最終更新日(いつ更新したか)
- 更新頻度の目安(例:daily、weekly)
- 優先度(0.0〜1.0で相対的な重要度)
例として「ブログ記事のURL、最終更新日、更新頻度:daily、優先度:0.8」といった情報を載せます。
なぜ必要か
クローラーがページを見つけやすくなり、新規ページのインデックス化が早くなります。特に内部リンクが少ないページや公開直後のコンテンツで効果を発揮します。SEOが直接的に上がる保証はありませんが、発見の手助けになります。
実用上の注意点
- サイトマップはサイトのルートに置くか、robots.txtやサーチコンソールで登録します。
- 上限は1ファイルあたり5万URL、圧縮前のサイズ50MBです。超える場合はインデックスファイルで分割します。
- noindexのページは掲載しないほうが良いです。
誰が使うか
主にGoogleやBingなどの検索エンジンが利用します。ユーザーが直接読むことはほとんどありませんが、サイト運用者にとっては便利な管理ツールです。
XMLサイトマップの手動作成方法
概要
XMLサイトマップを手動で作ると細かなカスタマイズが可能です。小規模サイトや特定ページだけを管理する場合に向いています。作成時はGoogleの推奨フォーマットに従い、正しいXMLを出力してください。
作成手順(簡潔)
- テキストエディタで新規ファイルを作成します(UTF-8で保存)。
- 最初にXML宣言を記述:
- タグと名前空間を記述します。
- 各ページごとに内に、、、を追加します。
- 保存してrootフォルダにアップロードします。
最低限必要な要素(例)
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<urlset xmlns="http://www.sitemaps.org/schemas/sitemap/0.9">
<url>
<loc>https://example.com/</loc>
<lastmod>2025-01-15</lastmod>
<changefreq>weekly</changefreq>
<priority>1.0</priority>
</url>
</urlset>
注意点
- 絶対URLを使うこと。相対パスは不可です。日付はISO 8601形式が望ましいです。ファイルサイズやURL数の上限があるため、大量のページは分割してください。
検証と配置
XMLの整合性はオンラインのXMLバリデータでチェックします。問題なければサイトのルートにsitemap.xmlとして置き、後でSearch Consoleに登録します。
「sitemap.xml Editor」を使った自動生成
概要
「sitemap.xml Editor」は、URLを入力するだけでXMLサイトマップを自動生成する手軽なツールです。技術的な知識が少なくても使えます。小〜中規模サイトに向いており、操作は短時間で完了します。
手順(わかりやすく)
- 対象サイトのURLを入力(例:https://example.com)。
- 最終更新日、更新頻度、優先度などのオプションを設定。
- 「サイトマップ作成」ボタンをクリックして自動取得を開始。
- 生成されたsitemap.xmlをダウンロード。
- FTPソフトでサーバーのルートディレクトリにアップロード。
オプション設定のポイント
- 最終更新日:ページを実際に更新した日を使うと良いです。自動で取得されない場合は手動で入力します。
- 更新頻度:daily、weeklyなど目安にします。頻繁に変わるブログならdaily、固定ページはmonthlyなどがおすすめです。
- 優先度(priority):0.0〜1.0で指定します。トップページを1.0、重要なカテゴリを0.8、あまり重要でないページは0.3などと分けると分かりやすいです。
制限と対応策
- ページ数は1,000ページ以内が上限です。大規模サイトでは分割して複数のサイトマップを作成し、インデックス用のsitemap_index.xmlを用意すると対応できます。
アップロード後の確認
- sitemap.xmlをサイトのルートに置いたら、ブラウザで直接開いて内容を確認します(例:https://example.com/sitemap.xml)。
- Google Search Consoleに登録してクロール状況を確認すると安心です。
注意点
- パラメータ付きURLや重複ページがあると正しいマップにならないことがあります。必要に応じて除外設定を行ってください。
このツールは手軽さが最大の利点です。短時間でXMLサイトマップを用意したいときに便利に使えます。
WordPressプラグインを使った作成
概要
WordPressサイトではプラグインで簡単にXMLサイトマップを作れます。代表例は「Google XML Sitemaps」や「Yoast SEO」です。インストールして有効化すると自動で生成・更新します。
インストールと有効化(手順)
- 管理画面の「プラグイン」→「新規追加」を開きます。
- 検索欄に「Google XML Sitemaps」や「Yoast」と入力して検索します。
- 「今すぐインストール」→「有効化」をクリックします。
基本設定
設定メニューからプラグインの項目を選びます。サイトマップの表示URL(例:/sitemap.xml)を確認してください。公開済み記事や固定ページを自動で含めるか選べます。
除外や優先順位の設定
特定のカテゴリーや個別記事を除外できます。優先度や更新頻度を設定すると検索エンジンに伝えやすくなります。例:お知らせは優先度高め、アーカイブは低めに設定。
確認と運用
設定を保存するとサイトマップが生成されます。ブラウザでURLにアクセスして内容を確認してください。Search Consoleに登録すればインデックス状況が分かります。
注意点
- プラグインが競合すると正常に更新されない場合があります。
- カスタム投稿や大量ページがある場合、設定確認を忘れないでください。
gulp-sitemapを使った開発環境での生成
開発段階で自動的にXMLサイトマップを作りたいときは、gulp-sitemapが便利です。手順は次の通りです。
- 準備
- Node.jsとGulpを導入します。例: npm install –global gulp-cli
-
プロジェクトにgulpとgulp-sitemapを開発依存で追加します。
npm install –save-dev gulp gulp-sitemap -
シンプルなgulpfile.js例(Gulp 4)
const { src, dest } = require('gulp');
const sitemap = require('gulp-sitemap');
function makeSitemap() {
return src('dist/**/*.html', { read: false })
.pipe(sitemap({ siteUrl: 'https://example.com' }))
.pipe(dest('dist'));
}
exports.sitemap = makeSitemap;
- srcのパターンでHTMLファイルを指定します。read: falseで高速化します。
-
siteUrlは必須です。ローカルパスだけでは完全なURLを生成できません。
-
実務上のポイント
- ビルドタスクに組み込むと、デプロイ前に自動生成できます。
- 除外はglobの否定パターン(’!dist/secret.html’)やgulp-ignoreで可能です。
- changefreqやpriorityなどのオプションを追加してカスタマイズできます。
この方法は開発フローに組み込みやすく、ビルド時に最新のsitemap.xmlを得られます。
サイトマップの配置場所と制限事項
配置の基本
XMLサイトマップは基本的にドメイン直下に置きます(例: https://example.com/sitemap.xml)。こうすることで検索エンジンが見つけやすく、管理も簡単になります。
ディレクトリごとの分割
サイトをセクションごとに分ける場合は、各ディレクトリにサイトマップを置けます(例: https://example.com/blog/sitemap.xml)。この方法は大きなサイトで便利です。ただし、重要な制限があります。
locタグの制限
サイトマップ内のタグで指定できるURLは、サイトマップを置いたディレクトリ以下に限られます。たとえば /blog/sitemap.xml に対して https://example.com/about のように上位や別ディレクトリのURLは記載できません。間違えると検索エンジンがそのURLを無視する可能性があります。
ホスト・プロトコルの範囲
サイトマップは同じホスト(サブドメインを含むかどうか)とプロトコル(http/https)に制約があります。基本は同一ホスト内で管理し、別ドメインや別プロトコルのURLは個別のサイトマップを用意してください。
サイズと件数の制限
1つのサイトマップは最大50,000件、未圧縮で最大50MBまでです。超える場合は複数に分け、sitemap index(サイトマップインデックス)でまとめると管理しやすいです。
実用的な運用例
- 小規模: 1つをドメイン直下に置く。例: /sitemap.xml
- 大規模: セクションごとに /blog/sitemap.xml、/shop/sitemap.xml を置き、/sitemap_index.xml でまとめる。
以上を守ればサイトマップは正しくクロールされやすくなります。設置場所とURLの範囲に注意して運用してください。
Google Search Consoleへの登録
概要
作成したXMLサイトマップは、Google Search Console(GSC)を使ってGoogleに登録します。GSCへ送信することで、クロールのきっかけになり、ページの発見が早まります。
登録手順(初心者向け)
- Google Search Consoleにログインします(Googleアカウントが必要です)。
- 左側メニューで「サイトマップ」をクリックします。
- 「新しいサイトマップの追加」に、サイトマップの相対URL(例:sitemap.xml)またはフルURL(例:https://example.com/sitemap.xml)を入力します。
- 「送信」を押す前に「テスト」機能でエラーが出ないか確認します。問題なければ送信します。
- 「サイトマップを送信しました」という表示が出れば登録完了です。
注意点とよくある問題
- URLは正確に入力してください。wwwあり/なしやhttp/httpsの違いで別プロパティになります。
- サイト所有権の確認が済んでいないと送信できません。DNSやHTMLファイルでの確認方法があります。
- 送信後にエラーが出た場合は、エラーメッセージを確認して該当箇所(URLの形式、403/404、robots制限など)を修正し、再送信してください。
- サイト更新時は再送信するとクロールの促進につながります。
登録後の確認方法
送信後はGSCの「サイトマップ」画面でステータスやカバレッジの数値を確認します。問題が出たら詳細をクリックして個別URLのエラーを確認し、対応します。
robots.txtへの記述
目的とメリット
検索エンジンはクロールの前後でrobots.txtを確認します。ここにXMLサイトマップのURLを記載しておくと、クローラーがサイトマップを確実に見つけられ、クローリング効率が上がります。Google Search Consoleへの登録と併用するとさらに安心です。
基本的な書き方(例)
robots.txtはサイトのルート(/robots.txt)に置きます。サイトマップを指定する行は、完全なURLで記述します。例:
User-agent: *
Disallow:
Sitemap: https://example.com/sitemap.xml
Sitemap行はファイルのどこに書いても有効ですが、先頭か末尾にまとめると管理しやすいです。
複数のサイトマップや圧縮ファイル
サイトに複数のサイトマップがある場合は、Sitemap行を複数並べます。サイトマップインデックスや.gzで圧縮したファイル(例: sitemap.xml.gz)も指定できます。
Sitemap: https://example.com/sitemap-posts.xml
Sitemap: https://example.com/sitemap-products.xml.gz
注意点
- SitemapのURLは必ずプロトコル(https://など)とドメインを含めた完全なURLにしてください。
- robots.txt自体がブロックされていると意味がありません。必ず公開されていることを確認してください。
- robots.txtに書いたからといってインデックス確定にはなりません。クロールの導線を整えるための補助だとお考えください。
その他のツール
オンラインジェネレーター
「sitemap xml generator」や「XML Sitemaps Generator」などのオンラインツールは、URLを入力して数項目を設定するだけでサイトマップを作れます。操作が直感的で初心者に向いています。無料版で十分なことが多く、数分で完了します。
デスクトップとコマンドラインツール
サイト規模が大きい場合は、Screaming FrogやA1 Sitemap Generatorのようなデスクトップアプリが便利です。大量ページの巡回やフィルタリング機能があり、細かい制御が可能です。開発者向けには、コマンドラインのジェネレーターもあり、自動化に向きます。
選び方のポイント
目的(手軽さ・自動化・詳細設定)を明確にします。小規模サイトはオンラインジェネレーターで十分です。定期的に更新するサイトや大量ページを持つサイトはデスクトップやコマンドラインを検討してください。
注意点
生成したsitemap.xmlは常に確認してください。URLの正確さ、プロトコル(http/https)、および除外したいページが反映されているかをチェックします。複数ツールで比較すると安心です。
SEO効果と運用上の注意点
はじめに
XMLサイトマップは検索エンジンへページの存在や更新を伝える道具です。正しく運用すれば新規ページの発見が早まり、既存ページの更新も認識されやすくなります。
SEOで期待できる効果
- 発見の促進: 新しい記事やページを早くクロールしてもらえます(例: 新記事公開時)。
- 更新の反映: 更新頻度を記載すれば、重要なページを優先的にチェックしてもらいやすくなります。
- ページ網羅性の向上: 内部リンクだけで届きにくいページも検出されやすくなります。
運用上の注意点
- 定期的な更新: ページ追加・削除・URL変更時はsitemapを更新してください。自動生成スクリプトを導入すると手間を減らせます。
- 正しいURLとステータス: 404やリダイレクトのURLを含めないでください。正規URL(canonical)を載せると誤認を防げます。
- ファイルサイズと分割: URLが多い場合はsitemapを分割し、sitemap indexを使ってまとめてください。
- Search Consoleでの監視: 送信後はエラーや警告を定期的に確認し、問題が出たら修正します。
- robots.txtとの整合性: robots.txtでブロックしたページをsitemapに載せないでください。
- セキュリティ: sitemapに認証が必要なページや個人情報を載せないでください。
実務的な運用手順(簡潔)
- 自動生成を設定(ビルドプロセスやプラグイン)。
- 本番に配置し、Search Consoleへ送信。
- エラー確認と定期更新をルーチン化する。
運用を続けることで検索の精度が上がり、サイトの見つかりやすさが改善します。ご自身のサイト規模に合わせて無理のない運用体制を整えてください。












