はじめに
本書の目的
この章では、本記事の狙いと読み方をやさしく伝えます。Googleサーチコンソール(以下、サーチコンソール)を初めて使う方でも、基本操作からデータの見方、SEO改善への活用方法まで順を追って学べるように作りました。具体例を交えながら、迷わず使える実践的な内容を目指します。
対象読者
・自分のサイトを運営している個人や小さな会社の担当者
・ブログを始めたばかりで検索結果の見方を知りたい方
・サーチコンソールで何ができるかをざっくり理解したい方
この記事で得られること
・検索キーワード別のデータの見方が分かります(例:どの語句で訪問が増えたか)
・インデックス状況やエラーの確認方法が分かります(例:ページが検索に出ない理由を特定)
・新機能やフィルタの活用法、SEO改善への応用方法が分かります
読み方のポイント
まず第2章でサーチコンソールの役割をつかみ、第3章以降で実際の画面を見ながら操作を学んでください。実例はすぐ試せるよう短い手順で示しますので、手元で操作しながら読み進めると理解が深まります。
Googleサーチコンソールとは?役割とできること
概要
Googleサーチコンソール(GSC)は、Googleが提供する無料の公式ツールです。自分のサイトがGoogle検索でどう表示され、どんな評価を受けているかを把握できます。専門知識がなくても基本機能は扱えます。
主な役割とできること
- 検索パフォーマンスの確認
- どの検索キーワードで表示されたか(例:「簡単レシピ」)や、クリック数・表示回数・CTR・平均掲載順位が見られます。改善点が分かりやすくなります。
- インデックス状況の把握
- Googleに登録されているページや、登録されていない理由(エラー)を確認できます。たとえば404やクロールの問題を見つけられます。
- URL検査とインデックスリクエスト
- 個別のページがどう認識されているかを調べ、更新後にインデックスをリクエストできます。公開直後の確認に便利です。
- サイトマップ送信
- サイト全体の構造をGoogleに伝えることで、効率よくインデックスしてもらえます。
- リンクの確認
- 外部からの被リンクや内部リンクの状況を把握でき、どのページが参照されているか分かります。
- ページエクスペリエンス関連の指標
- モバイル対応やページ速度、コアウェブバイタルの問題点を確認できます。
- セキュリティや手動対策の通知
- マルウェアや手動によるペナルティがあれば通知されます。
GSCは無料で始められ、日々のサイト運営やSEO改善に役立ちます。初心者でもまずは「検索パフォーマンス」と「インデックス状況」を見ることをおすすめします。
サーチコンソールの基本画面と主要メニュー
サーチコンソールにログインすると、まず左側に主要メニューが並びます。ここでは各画面の役割と使い方をやさしく説明します。
サマリー
サイト全体のパフォーマンスと問題点を一目で示します。例:総クリック数やカバレッジの異常通知。最初にチェックして、重大な問題がないか確認します。
検索パフォーマンス
キーワードごとの流入、表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位を見られます。期間や国、デバイスで絞り込めるので、狙った語での動きを簡単に追えます。
URL検査
個別ページのインデックス状況やクロール情報を確認します。ページを更新したら「インデックス登録をリクエスト」して反映を促せます。
インデックス登録(カバレッジ)
有効なページ・除外されたページ・エラーの一覧を表示します。エラー例:サーバー応答エラーやnoindex。原因を確認して修正します。
サイトマップ
sitemap.xmlを送信・管理する画面です。新しいページを早く見つけてもらいたいときに有効です。
削除
検索結果からページを一時的に非表示にするリクエストを出せます。緊急対応向けで、恒久的な削除はサイト側の対応が必要です。
リンク
外部リンク(被リンク)と内部リンクの状況、主要な参照元ページやアンカーテキストを確認できます。内部リンクの偏りをチェックするとSEO改善に役立ちます。
拡張(Enhancements)
構造化データやモバイルユーザビリティ、AMPなどの問題を示します。たとえば「モバイルのタップ要素が近すぎる」といった具体的な指摘を受け取れます。
ナビゲーションは左メニューから項目を選び、画面上部のフィルタや日付範囲で絞り込んで使います。まずはサマリーと検索パフォーマンスを確認し、問題があればURL検査やカバレッジで深掘りしてください。
検索キーワードの見方と検索順位チェック方法
検索パフォーマンス画面の開き方
サーチコンソールで「検索パフォーマンス」→「検索結果」を開きます。ここにサイト全体の検索キーワードごとのデータが表形式で並びます。まずは期間を指定して、どの期間のデータを見るか決めます。
表の主要指標の意味と見方
- クリック数:実際に検索結果からサイトへ来た回数です。実例は「製品Aの購入ページが100クリック」。
- 表示回数:検索結果にページが表示された回数。多いのにクリックが少ない場合はタイトルや説明文の改善が必要です。
- CTR(クリック率):クリック数÷表示回数。目安として高いほど魅力的なスニペットです。
- 平均掲載順位:検索での平均順位。数値だけで判断せず、上位表示の分布も確認します。
ページタブでの確認方法
ページタブを選ぶと、個別ページに流入しているキーワードが見られます。商品ページやブログ記事で「どの語句で来ているか」を特定し、導線や内部リンクを見直します。
フィルタ・比較機能の活用
キーワード(クエリ)フィルタで特定語句を絞り込み、期間比較で順位の上げ下げを確認します。国やデバイスで絞ると、スマホだけで順位が落ちているなどの問題が見つかります。
定点観測のやり方(実践)
特定キーワードをフィルタして、日付ディメンションを「日別」に切り替えます。グラフで推移を見ながら、対策(タイトル変更や内部リンク追加)の前後で変化を記録します。CSVでエクスポートして記録すると追跡しやすくなります。
チェック時の優先ポイント
- 表示回数は多いがCTRが低いキーワードのスニペット改善
- 平均順位が上位だがクリックが少ないページのタイトル・説明文修正
- デバイス別・国別の落ち込みがないかの定期確認
この章で学んだ方法を繰り返し使うことで、検索からの流入を着実に改善できます。
インデックス状況やエラーの確認方法
URL検査で個別ページを確認
- 検査バーに調べたいURLを入力し「Enter」すると、Googleがそのページをどう見ているか表示します。インデックスの有無、最終クロール日時、モバイル表示の問題、AMPや構造化データの状況が分かります。
- インデックスがない場合は「インデックス登録をリクエスト」で再クロールを依頼できます。すぐ反映される保証はありませんが、修正後の確認に便利です。
インデックス登録(カバレッジ)レポートの見方
- レポートは「有効」「有効だが警告」「除外」「エラー」に分類されます。全体のインデックス済みページ数や除外ページの理由を一覧で確認できます。
- 日付フィルタやページパターンで絞り込み、問題の範囲を把握してください。
よくあるエラーと対処例
- 404(見つからない): 正しいページへリダイレクトするか、復元します。
- サーバーエラー(5xx): サーバー設定や負荷を確認します。
- noindex指定: ページのメタタグを見直します。
- robots.txtでブロック: 必要なURLがブロックされていないか確認します。
修正後の確認と優先順位
- 問題を修正したら、該当のエラー詳細画面から「修正を検証」またはURL検査で再クロールをリクエストします。
- 影響が大きいエラー(大量の除外やサイト全体を止める問題)を優先して対応しましょう。
運用のコツ
- 定期的にカバレッジをチェックし、CSVでエクスポートして記録します。サイトマップと照らし合わせると抜け漏れが見つかりやすいです。
最新機能「24時間ビュー」とその活用
24時間ビューとは
検索パフォーマンス画面で「過去24時間」のデータだけを表示する機能です。クリック数、表示回数、クリック率(CTR)、平均掲載順位などを最新の状態で確認できます。新しく公開した記事や直近の施策の反応を素早く把握できます。
使い方(手順)
- サーチコンソールの「パフォーマンス」を開く
- 日付フィルタで「過去24時間」を選択
- 必要に応じて「クエリ」「ページ」「デバイス」などで絞り込む
活用例
- 新規公開直後の初動確認:公開24時間で表示はあるか、クリックはどれくらいかを見て見出しやスニペットを修正します。
- 施策の即時効果検証:タイトルやメタの変更をしたら、24時間内でCTRが改善しているかを確認します。
- トラブル検知:急激な減少があればインデックスやクロール問題をすぐに調査します。
注意点とコツ
24時間はサンプル数が少ないため変動が大きいです。数値だけで判断せず、数日分や過去の類似ページと比べて傾向をつかんでください。小さな改善は繰り返し観察すると効果が見えやすくなります。
国別・デバイス別などの便利なフィルタ
概要
Search Consoleの「+新規」ボタンから、国やデバイス、日付、検索タイプ(ウェブ・画像・動画)などでデータを絞り込めます。目的に応じて視点を変え、多面的にサイトを分析できます。
主なフィルタと使い方
- 国フィルタ:特定の国からの流入状況を確認できます。海外ユーザーの多いページや、国ごとのCTR(クリック率)や掲載順位の違いを探すときに便利です。
- デバイスフィルタ:PC・モバイル・タブレット別に、クリック数・表示回数・平均掲載順位を比較します。スマホでの表示が悪ければ表示回数はあるのにCTRが低い、といった問題を発見できます。
- 日付フィルタ:過去28日、90日、指定期間などでトレンドを確認します。新しい施策の効果や季節変動を追うときに使います。
- 検索タイプ:ウェブ・画像・動画のそれぞれでの検索パフォーマンスを分けて確認できます。画像検索からの流入が多いページは画像の最適化が有効です。
実践的な組み合わせ例
- 国+デバイス:海外のモバイルユーザーだけを抽出し、表示崩れや読み込み速度の影響を検証します。
- 日付+検索タイプ:最近実施した画像改善が画像検索のクリックにどう影響したか確認します。
注意点と活用のコツ
- データが少ない場合はばらつきが大きくなります。閾値を設けて判断しましょう。
- フィルタは組み合わせて使うと深掘りできますが、過度に細分化するとサンプルが減る点に注意してください。
- 分析結果からは、国別にコンテンツを翻訳する、デバイス別にデザインを最適化するなど具体的な改善案が導けます。
日常的にフィルタを活用して、問題のある箇所を早く絞り込む習慣をつけましょう。
サーチコンソールのデータをSEO改善に活用するポイント
検索パフォーマンスから見つける改善箇所
- インプレッションは多いのにCTR(クリック率)が低い場合:タイトルやディスクリプションを見直します。例えば、検索結果で魅力が伝わっていなければ「具体的な数字」や「解決できること」を盛り込んで改善します。
- 平均掲載順位が低いがインプレッションがある場合:コンテンツの追記や見出しの整理、競合上位ページとの差分を洗い出して埋めます。内部リンクで当該ページの評価を上げるのも有効です。
インデックス状況とモバイル問題の早期対処
- カバレッジやモバイルユーザビリティにエラーが出たら優先的に対応します。例:モバイルで「クリック要素が近すぎる」と出たらボタン間隔を広げます。放置すると検索順位低下のリスクが増えます。
新規ページの登録促進
- サイトマップを最新にして送信します。完成したページはURL検査でインデックスをリクエストすると登録が早まります。
被リンク・内部リンクの活用
- 「リンク」レポートで外部からの被リンクと内部リンクを把握します。被リンクが多いページを軸に関連ページへ内部リンクを増やすと、サイト全体の評価が上がります。アンカーテキストも確認しましょう。
優先順位と実行例
- まずインプレッション×コンバージョンが高いページを優先します。続いてエラー修正、タイトル改善、コンテンツ拡充、内部リンク強化の順で実施すると効果が出やすいです。
Googleアナリティクスとの違いと連携
概要
サーチコンソール(GSC)は検索結果での見え方や流入キーワード、掲載順位に強みがあります。Googleアナリティクス(GA)はサイト内でのユーザー行動やコンバージョンを詳しく追えます。両方を連携すると、検索前後の流れを一つにして分析できます。
主な違い(わかりやすく)
- データの対象:GSCは検索結果での表示やクリック、GAはサイト訪問後の行動を記録します。
- 指標の違い:GSCは掲載順位やクリック数、GAは直帰率や滞在時間、コンバージョンを計測します。
- 時間差:GSCは検索結果の集計に時間がかかる場合があり、GAはリアルタイム寄りの指標も出ます。
連携のメリット
- キーワード→訪問→コンバージョンまでの流れを追えるため、効果の高いキーワードが分かります。
- 検索順位が下がっても実際の流入や成果にどう影響したか確認できます。
連携の手順(簡単な流れ)
- GSCとGAそれぞれにサイト所有を確認します。
- GAの管理画面で「プロパティ設定」からGSCをリンクします。
- リンク後、GAの集客レポートでGSCのデータが見られます。
活用例
- ある検索語でクリックは多いが滞在時間が短い場合、ページ内容を改善して滞在とコンバージョンを伸ばせます。
- 上位表示しているが成果が出ていない場合、CTAや導線を見直します。
注意点
- データの計測方法が異なるため数値が一致しないことがあります。
- プライバシー設定やサンプリングで差が出ることがあるので、傾向を見ることを重視してください。
サーチコンソールの設定・導入手順(初心者向け)
1. 前準備
- Googleアカウントを用意します。個人のGmailで問題ありません。
2. プロパティの追加
- サーチコンソールにログインします。右上の「プロパティを追加」をクリックします。
- 「ドメイン(推奨)」か「URLプレフィックス」を選びます。ドメインはサイト全体を一括管理、URLプレフィックスは特定のプロトコル(http/https)やサブフォルダだけを管理します。
3. 所有権の確認(代表的な方法)
- HTMLファイルのアップロード:指定されたファイルをサイトのルートに置き、URLにアクセスして確認します。
- HTMLタグの貼付:指示のmetaタグを内に貼り付けて確認します。
- DNSレコード(TXT):ドメイン管理画面でTXTレコードを追加して確認します。
- Googleアナリティクス:既に同アカウントで正しく設定済みのGAがある場合、簡単に確認できます。
どの方法でも手順画面に従ってください。DNSは反映に時間がかかる場合があります。
4. サイトマップの送信
- 通常は https://あなたのサイト/sitemap.xml を用意します。
- 「サイトマップ」メニューでURLを入力して送信します。送信後、エラーがないか確認してください。
5. Googleアナリティクスとの連携
- サーチコンソールの設定画面で「設定」→「関連付けられたプロパティ」からGAと連携できます。連携すると検索データとアクセス解析を活用しやすくなります。
6. 初期確認と運用開始
- 「カバレッジ」「パフォーマンス」「モバイルユーザビリティ」を開き、エラーや重大な警告がないか確認します。
- 所有権確認後、データが表示されるまで数日かかることがあります。問題があれば所有権方法を見直してください。
以上で初期導入は完了です。最初は基本項目を順にチェックし、運用を始めましょう。
よくある質問・トラブルシューティング
データが表示されないとき
まずプロパティ(ドメイン・URLプレフィックス)を正しく選んでいるか確認してください。所有権が未確認だと表示されません。フィルタ(期間・国・デバイス)や日付範囲も誤っていないか確認します。ロボット制御(robots.txt)やmeta noindexでブロックされているとインデックスに載りません。
順位やクリック数が急減したとき
急落はアルゴリズム変動、手動ペナルティ、サーバー障害、コンテンツの削除やcanonicalの誤設定が原因です。Search Consoleの「手動による対策」や「セキュリティの問題」を確認し、インデックス カバレッジのエラーもチェックしてください。
サイトマップとインデックスリクエストの注意点
サイトマップ送信やURL検査でのインデックスリクエストにはタイムラグがあります。送信直後に反映されないのは普通です。大事なページはURL検査で問題を確認し、必要なら再リクエストしてください。
よくあるエラーメッセージと対処例
- カバレッジ:送信されたURLがブロックされている → robots.txtやnoindexを修正
- モバイルユーザビリティ:タップ要素が近すぎる → レイアウト調整
- 構造化データエラー:必須プロパティが欠如 → マークアップを修正
トラブル対応チェックリスト(簡潔)
1) Search Consoleでプロパティと期間確認
2) URL検査で該当ページをテスト
3) カバレッジ・手動対策・セキュリティを確認
4) robots.txt、metaタグ、canonicalを確認
5) サイトマップを送信、必要なら再リクエスト
6) サーバーやページ速度も確認
自力で解決できないとき
技術的な原因が疑われる場合は開発者に相談してください。重要な変動が続くときはログ解析やSEO専門家への相談を検討すると安心です。












