はじめに
本書の目的
この文書は「web制作 自作」について、初心者でも分かりやすく自分でWebサイトを作れるように案内することを目的としています。手順や必要な知識、使いやすいツール、注意点まで幅広く扱います。具体例を交えて丁寧に説明しますので、一歩ずつ進められます。
対象読者
- 初めて自分でサイトを作る方
- デザインやコーディングを少し学びたい方
- 低コストで情報発信したい個人・小規模事業者
この章で得られること
- 本書全体の構成と読み方が分かります
- 自作で得られるメリットと覚悟すべき手間の概略を理解できます
読み進め方のポイント
各章は実践に使える情報を優先しています。初めは第2章で方法を比較し、自分に合うやり方を選んでください。必要に応じてツールや手順の章に戻って確認しながら進めると効率よく学べます。
Webサイト自作の3つの主要な方法
以下では、初心者にも分かりやすく3つの方法を比べます。
1. プログラミングでゼロから自作
- 概要:HTML/CSS、JavaScriptなどを自分で書いて作ります。
- メリット:デザインや機能を自由に作れます。拡張性が高いです。
- デメリット:学習に時間がかかり、保守も自分で行います。
- 向いている人:独自機能を重視する人や学びたい人。
- 目安(費用・時間):学習時間は数週間〜数ヶ月。外注コストは抑えられますが自己学習コストがかかります。
- 具体例:シンプルな個人サイトや独自のWebアプリ。
2. CMS(WordPress)で自作
- 概要:WordPressなどのCMSを使い、テーマやプラグインで構築します。
- メリット:管理画面で更新しやすく、豊富な拡張が使えます。運用が比較的楽です。
- デメリット:テーマやプラグインの相性問題が起きることがあります。カスタマイズはやや制約があります。
- 向いている人:ブログや中小事業のサイト、頻繁に更新する人。
- 目安(費用・時間):月額レンタルサーバー代とテーマ費用。初期構築は数日〜数週間。
- 具体例:企業サイト、ブログ、ネットショップ(プラグイン利用)。
3. Web制作ツールで自作(Wix、Jimdoなど)
- 概要:オンラインのドラッグ&ドロップで直感的に作る方法です。
- メリット:短時間で見た目の良いサイトが作れます。専門知識はほとんど不要です。
- デメリット:細かい自由度は限られ、機能拡張は制約があります。
- 向いている人:初めてサイトを作る人や早く公開したい人。
- 目安(費用・時間):無料プラン〜月額プラン。数時間〜数日で公開可能。
- 具体例:個人のポートフォリオ、イベントの告知ページ。
どの方法も一長一短があります。目的や予算、運用の手間を考えて選ぶとよいです。
Webサイト自作の基本ステップ
プログラミングでゼロから作る場合
- 目的・ターゲットを明確にする
-
何を伝えたいか、誰に見てほしいかを紙に書き出します。例:商品紹介サイト、個人ブログ、予約受付。目標があると設計がぶれません。
-
レイアウト・構成設計
-
ページ構成(トップ、サービス、料金、お問い合わせ)を決め、ワイヤーフレーム(手描きで可)を作ります。導線を意識して、主要なCTA(問い合わせや購入ボタン)の位置を決めます。
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コーディング
-
HTMLで骨組み、CSSで見た目、JavaScriptで動きを作ります。小さく始めて、機能を一つずつ追加するのが失敗を防ぎます。再利用できるコンポーネントを作ると後で楽です。
-
動作テスト
-
ブラウザやスマホで表示を確認します。リンク切れ、入力フォームの検証、表示崩れをチェックします。実際のユーザー目線で操作してみてください。
-
公開
- サーバーとドメインを用意し、FTPやGitでアップします。SSL(https)を忘れずに設定します。
CMSや制作ツールを使う場合
- ツールの選択
-
WordPress、Wix、Squarespace、Shopify等から目的に合うものを選びます。ECならShopify、情報発信中心ならWordPressが向きます。
-
テンプレート・テーマ選び
-
デザインをテンプレートで決めて、ロゴやカラーを合わせます。モバイル対応のものを選んでください。
-
コンテンツ作成
-
テキスト、画像、動画を準備して各ページに配置します。見出しや箇条書きを使うと読みやすくなります。
-
公開設定
- SEOの基本(ページタイトル、メタ説明)、公開日時、プライバシー設定、バックアップを確認して公開します。
どちらの方法でも、最初は小さく始めて段階的に改善することが成功のコツです。
Web制作自作のメリットとデメリット
メリット
- 費用を抑えられる
- 外注費が不要で、レンタルサーバーやテーマ代だけで始められます。趣味や小規模ビジネスに向きます。
- アイディアを自由に反映できる
- デザインや文章を自分のペースで変更できます。細かなこだわりを出しやすいです。
- スキルが身につく
- HTMLやCMSの使い方を学べば、将来の更新が楽になります。自分で改修できる利点があります。
デメリット
- 時間と労力がかかる
- デザイン、文章、SEO対策まで一人で行うと時間がかかります。
- 専門知識が必要な場合がある
- 表示崩れやセキュリティ対策など、技術的な問題に直面することがあります。
- 更新や管理は自分で行う
- 定期的なバックアップや保守を自分で管理する必要があります。
選び方の簡単チェックリスト
- 余裕のある時間はあるか?
- 予算はどれくらいか?
- ブランドや機能が高度か?
デメリットを和らげる方法
- テンプレートやCMSを使うと工数を減らせます。
- 学習サイトや動画で必要な知識を補えます。
- 難しい部分だけ外注するハイブリッドも有効です。
自作サイトが検索で埋もれないためのポイント
検索で目立つには、キーワード選定とコンテンツの質を両方整えることが大切です。テンプレートだけでは評価されにくいため、具体的な改善方法を分かりやすくご紹介します。
キーワード選定
狙う語はユーザーの「意図」を考えて選びます。例えば商品紹介なら「買い方」や「比較」、地域情報なら「○○駅 おすすめ」のようなフレーズを使います。検索ボリュームが少ないロングテール語も狙いやすく、競合が少ない場合は上位を取りやすいです。
質の高いコンテンツ作成
独自性を出すために、自分の経験や写真、具体的な手順を盛り込みます。単なる製品説明をコピペせず、実際の利用例やメリット・デメリットを丁寧に書くと評価が上がります。
ページ追加と内部リンク整理
関連する小さなテーマのページを増やし、お互いに内部リンクでつなぎます。例:トップ→カテゴリ→詳細記事の動線を作ると、検索エンジンもサイト構造を理解しやすくなります。
構造化データの導入
記事や店舗情報には構造化データ(例:記事、ローカルビジネス)を設定すると検索結果で情報が分かりやすくなります。難しい場合はCMSのプラグインやリッチリザルトのテストツールを利用してください。
技術的な基本チェック
表示速度を速くし、スマホ表示に最適化します。タイトルやディスクリプションは各ページで固有に設定し、簡潔に要点を伝えます。
定期的な見直しと改善
アクセス状況や検索順位を見て、情報を追加・更新します。一度作って終わりにせず、改善を繰り返すことが成功の近道です。
よくあるNGパターンと注意点
概要
自作サイトでよく見かける失敗例と、その対処法を具体的に説明します。初心者でもできる改善策を中心にまとめています。
1) テンプレートのまま内容が薄い
問題点: 見た目だけ整えて中身が空白だと訪問者は離れます。
対処法: 具体的なサービス内容や実績、事例を1〜3件は必ず載せます。箇条書きで要点を示すと読みやすくなります。
2) 必須情報や連絡先が未掲載
問題点: 連絡手段が分からないと信頼を失います。
対処法: 会社名、住所、電話、問い合わせフォームを目立つ場所に配置します。営業時間や対応エリアも明記します。
3) 公開前の動作テスト不足
問題点: リンク切れや表示崩れ、フォーム不具合で機会損失します。
対処法: PC・スマホ両方で主要ページとフォームを操作して確認します。外部の友人にもチェックしてもらうと見落としが減ります。
4) SEO・サイト最適化を怠る
問題点: 検索エンジンに評価されず流入が増えません。
対処法: 各ページに分かりやすいタイトルと説明(短い要約)を入れます。画像は軽くし、表示速度に注意します。
5) 画像や著作権、セキュリティの不備
問題点: 無断画像使用や古いプラグインでトラブルになります。
対処法: フリー素材や自作画像を使い、定期的にソフトを更新してバックアップを取ります。
6) 更新計画がない
問題点: 情報が古くなると信頼が落ちます。
対処法: 更新スケジュールを作り、ニュースや実績を定期的に追加します。
以上の点を意識すれば、初期の失敗を減らせます。まずは小さな改善をひとつずつ実行してみてください。
まとめ:Web制作を自作するためのアドバイス
初めに
目的をはっきりさせてください。販売、情報発信、名刺代わりなど目的で必要な機能やページ数が変わります。
最初の一歩:ツール選び
初心者はコード不要のサイトビルダーやCMSから始めると楽です。例:簡単な会社案内はサイトビルダー、記事中心ならWordPressが扱いやすいです。
目的・ターゲット・予算を明確に
誰に何を伝えたいか、使える予算と期限を決めます。これで優先順位が付けられ、時間を無駄にしません。
コンテンツは独自性と深さを重視
検索やAIは独自の情報とユーザーの疑問に答える内容を高く評価します。具体例や実体験を入れて信頼性を上げてください。
テストと運用・改善
公開後は表示確認、リンク切れや読みやすさを定期点検します。改善は小さな施策を繰り返すことが近道です。
学習の進め方
慣れてきたらHTMLやCSS、簡単なプログラミングに挑戦して表現の幅を広げてください。最初は小さな変更から行うと挫折しにくいです。
主要なWeb制作ツールの特徴
Jimdo
- 特長:ドラッグ&ドロップで直感的に作れます。AIアシスト機能で簡単にデザイン案を出せます。
- 長所:初心者でも短時間で公開できます。独自ドメインや基本的なSEO設定が可能です。
- 注意点:高度なカスタマイズには限界があります。
Wix
- 特長:テンプレート数が豊富でデザイン自由度が高いです。パーツを細かく配置できます。
- 長所:見た目にこだわりたい方に向きます。EC機能やアニメーションも充実しています。
- 注意点:編集自由度が高いため、慣れるまで時間がかかることがあります。
WordPress
- 特長:世界標準のCMSで拡張性と柔軟性が高いです。テーマやプラグインで機能を増やせます。
- 長所:商用サイトや大規模サイトに向きます。自由度が高く、SEO対策やカスタム機能も実装しやすいです。
- 注意点:レンタルサーバーの契約や初期設定が必要で、学習コストがあります。
アメーバブログ(アメブロ)
- 特長:ブログに特化したサービスで、芸能人やコミュニティに強みがあります。
- 長所:読者層が大きく、投稿するだけで集客しやすいです。スマホからの更新が簡単です。
- 注意点:デザインや機能の自由度は限定され、外部ツールとの連携に制約があります。
はてなブログ
- 特長:テキスト中心のブログに向き、技術系や趣味の読者が集まりやすいです。
- 長所:シンプルで読みやすいデザイン。コメントやブックマークによる拡散が期待できます。
- 注意点:商用利用や高度な収益化には工夫が必要です。
選び方の目安
- 短時間で見栄えの良いサイトを作りたい:Jimdo、Wix
- デザイン自由度や機能拡張を重視する:Wix、WordPress
- 長期的に機能を増やしたい・独自性を求める:WordPress
- ブログで読者を増やしたい:アメブロ(集客重視)、はてな(濃い読者層)
それぞれの特徴を踏まえ、目的と手間の許容度で選ぶのがおすすめです。












