はじめに
目的
本ドキュメントは、サイトリニューアルの全体像と実務で使えるノウハウを分かりやすくまとめたガイドです。目的設定から現状分析、要件定義、ステークホルダー調整、ECやBtoB向けの進め方まで、実務で役立つ情報を体系的に整理しています。
なぜリニューアルが必要か
サイトの見た目だけでなく、顧客の導線や導入効果を改善するために行います。例えば、商品写真が古く購入率が落ちている場合や、問い合わせの導線が分かりにくく離脱が増えている場合に効果が出ます。
本書の使い方
項目ごとに実務的な手順と失敗しやすいポイントを解説します。初めて担当する方は「目的設定」「現状把握」「合意形成」の順に読み進めると実務に活かしやすいです。経験者は必要な章だけ参照してください。
想定読者
マーケティング担当者、制作担当者、プロジェクトマネージャーなど、リニューアルに関わる幅広い方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
ホームページリニューアルの進め方
目的の定義
リニューアルの目的を明確にします。例:売上向上、検索順位改善、リブランディング、ユーザー体験向上。見た目だけ変えると効果が出ないことが多いので、必ず数値目標(KPI)を決めます。
現状分析と課題抽出
Googleアナリティクスで訪問者の属性・行動を数値化し、ユーザーヒアリングや競合調査で定性課題を補います。例:離脱が多いページ、検索で見つからないキーワードなどを洗い出します。
目標とKPI設定(例)
- コンバージョン率(CVR): 現状と目標を明確に
- 平均滞在時間・直帰率: UX改善の指標
- オーガニック流入: 検索順位とトラフィック
BtoBでは問い合わせ数や見積依頼数を重視します。
優先順位とスケジュール作成
影響度と工数で優先度を決めます(例:高影響・低工数を先行)。キックオフ、設計、制作、検証、公開、改善の段階に分け、短期間でリリースして検証を繰り返します。
体制と予算管理
必要な担当:PM、デザイナー、エンジニア、コンテンツ担当、SEO。予算は予備費を含めて見積もり、外注範囲を明確にします。
小さく回す運用
最初から全てを変えず、ABテストや段階公開で効果を確認しながら進めます。データで判断することが成功の鍵です。
ステークホルダー間での合意形成
はじめに
リニューアルを成功させるには、関係者全員の共通理解が欠かせません。目的や範囲を最初に揃えることで、後の手戻りを減らします。
まず決めるべき項目
- 目的とKPI:例えば「問い合わせ数を月30件増やす」「直帰率を10%下げる」など、測れる目標を設定します。
- 予算とスケジュール:上限金額と主要マイルストーンを合意します。
- コンセプトとデザインイメージ:キーワードや参考サイトを共有して方向を合わせます。
- 制作会社選定基準:納期、実績、コミュニケーション頻度などを決めます。
- 運用体制:担当者、引き継ぎ、保守範囲を明確にします。
合意形成の進め方
- 役割を明確にする:意思決定者、実務担当、レビュー担当を決めます。
- ワークショップを開く:短時間の合宿や集中会議でイメージを揃えます。
- 成果物を明文化する:要件定義書、KPI表、承認フローを作ります。
- 定期レビューと変更管理:週次で進捗確認し、変更は影響範囲と費用を明示して合意します。
スケジュール管理とリスク対応
ガントチャートで見える化し、各工程に余裕を持たせます。想定外の遅延は発生しますので、代替案と連絡体制を事前に決めておきます。
文書化とコミュニケーション
合意内容は議事録や合意書で残し、共有フォルダやプロジェクト管理ツールで常に参照できるようにします。これで認識のズレを防げます。
ECサイトリニューアルの具体的な手順
1. 現状分析と問題特定
- アクセス解析で主な流入経路と離脱ページを把握します(例:Google Analyticsで直帰率やコンバージョン率を確認)。
- ユーザーアンケートやヒートマップで動線のつまずきを洗い出します(例:購入ボタンが見つかりにくい)。
- 売上データや在庫データを確認して商品カテゴリごとの課題を特定します。
2. 要件定義
- 機能要件:検索、絞り込み、レビュー、決済手段、会員機能などをリスト化します。
- デザイン要件:ブランドカラー、スマホ最優先、読みやすさを明確にします。
- 非機能要件:表示速度、セキュリティ、スケーラビリティ(アクセス増加への対応)を決めます。
- 優先度を付け、MVP(最小実用製品)と後続改善を分けます。
3. 企画構成・企画書作成
- 目的とKPIを明確にします(例:3か月でCVRを20%向上)。
- ターゲットと顧客の購買プロセスを図にします。
- 競合分析で差別化ポイントをまとめます。
- コンテンツ構成:カテゴリ構造、商品ページの必須情報、特集ページを設計します。
- スケジュールと担当を明記し、リスクと代替案も記載します。
4. 公開準備
- データ移行:商品データ、会員情報、レビューを検証しながら移行します(CSVやAPI)。
- 商品登録と在庫連携を行い、テスト注文で決済フローを確認します。
- 権限設定と運用マニュアルを整備します。
- リダイレクト設定(旧URL→新URL)でSEO影響を抑えます(301リダイレクト)。
- CRMやMAツールとの連携をテストし、メール、ポイント連携を確認します。
- 公開前にステージングで総合テストを実施し、問題がなければ本番公開します。
BtoBサイトリニューアルの進め方
ステップ1:課題の洗い出しと目的・目標の明確化
最初に現状の課題をチームでリスト化します。例:問い合わせが少ない、見積りまでの導線が分かりにくい、営業に負担がかかる。目的(リード獲得増加、営業効率化など)とKPI(月間問い合わせ数、見積依頼率)を具体的に決めます。
ステップ2:競合分析と要件定義
競合サイトの良い点・悪い点を整理し、自社の強みを明確にします。要件定義では「誰に」「何を」「どう見せるか」を決めます。例:技術資料のダウンロード、導入事例の閲覧、見積りシミュレーターの設置など。あわせて必要な機能(会員管理、見積フォーム、アクセス制限)を洗い出します。
ステップ3:ターゲットに合わせたコンテンツ設計
担当者が知りたい情報を中心に構成します。導入事例やROIの実例、製品比較表、FAQを用意すると説得力が増します。資料ダウンロードや問い合わせまでの導線を短くし、フォームは段階的に情報を取得する設計が効果的です。
実装・テスト・運用
段階的にリリースしてA/Bテストで改善します。ローンチ後は定期的にアクセス解析と営業からのフィードバックを取り入れ、コンテンツと導線を更新してください。
導入のポイント
社内の合意形成を早めに行い、優先順位を明確にします。目標は小さく区切って達成を積み重ねると効果が出やすいです。












