サイト表示速度チェックで効果的に改善する方法とは

目次

はじめに

背景と目的

この調査はWebサイトの表示速度を測定・改善するためのツールをわかりやすく説明することを目的としています。ページの表示が遅いと訪問者が離脱しやすく、検索順位やコンバージョンにも影響します。本書ではGoogleのPageSpeed Insightsを中心に、LighthouseやPingdomといった主要ツールの特徴や評価指標、実際の使い分けを整理しました。

誰のための資料か

サイト運営者、制作担当、開発者、SEO担当の方を想定しています。専門用語は最小限にして、画像最適化やキャッシュ設定など具体例を交えて説明します。技術的に詳しくない方でも読み進められるよう配慮しています。

本書の構成と読み方

全7章で構成します。第2章は表示速度の重要性とツール選び、第3章はPageSpeed Insights、第4章は評価指標と測定内容、第5章はLighthouseとPingdom、第6章はその他ツールの一覧、第7章はツール選択のポイントと使い分けです。まずは第2章に進み、実際の計測と比較を行ってください。

注意点

計測結果は測定環境や端末で変わります。単一の数値だけで判断せず、複数ツールや実機テストを組み合わせて確認することをおすすめします。

サイト表示速度チェックの重要性とツール選択の必要性

なぜ速度が重要か

Webサイトの表示速度は第一印象を左右します。ページ表示が遅いと訪問者は待てずに離脱し、成果(問い合わせや購入)が下がります。企業サイトでも個人ブログでも影響は同じです。

ユーザー体験とSEOへの影響

検索エンジンはユーザーの利便性を重視します。表示速度が遅いと検索順位が下がる可能性があり、モバイルユーザーの割合が高いサイトほど影響を受けやすいです。

定期チェックの必要性

サイトは更新や外部サービスの変更で速度が変わります。新しいコンテンツ追加やプラグイン導入後は必ず測定し、週次や月次で定期チェックすることをおすすめします。

ツール選択のポイント

  • 実測(実際のユーザー環境)と模擬測定(ラボ)の両方を確認
  • 端末やテスト地点(地域)を指定できること
  • 表示にかかる時間やレイアウトの安定性など主要指標が見られること
  • 自動監視やアラート、履歴保存の有無
  • 費用対効果とサポート体制

実務的な進め方

まず無料ツールで現状を把握し、問題点を洗い出します。次に複数ツールで比較して優先度を決め、監視を自動化して改善を継続してください。

Google提供の主要計測ツール「PageSpeed Insights」

概要

PageSpeed InsightsはGoogleが無料で提供する表示速度計測ツールです。URLを入力するだけで、モバイルとデスクトップそれぞれのスコア(0〜100点)を表示します。実際の利用状況を反映した過去28日間のフィールドデータと、分析用のラボデータの両方を確認できます。

主な機能

  • モバイル/デスクトップ別の点数表示
  • 改善のための具体的な提案(画像の最適化、圧縮、不要なJavaScriptの削減など)
  • 改善効果が分かる優先度付きの項目表示

使い方(簡単な手順)

  1. PageSpeed Insightsのページを開く
  2. 測定したいURLを入力
  3. “分析”を押すと数秒で結果が出ます

スコアの見方

スコアは100点満点で評価します。スコアだけでなく、各指標(表示までの時間や初回入力遅延など)も確認してください。高スコアでも特定の遅延が残ることがあります。

改善提案の具体例

  • 画像をWebPや適切なサイズに変換する
  • ファイル圧縮(gzipやbrotli)を有効にする
  • 不要なプラグインや遅延読み込みを検討する

注意点

提案は一般的な改善策が中心です。実際の実装ではサイト構成や使用するサービスに合わせて調整してください。

PageSpeed Insightsの評価指標と測定内容

PageSpeed Insightsは実際のユーザー環境(フィールド)とラボ環境でページを評価し、読み込み速度と応答性を総合的に診断します。ここでは主要6指標をわかりやすく説明します。

Largest Contentful Paint(LCP)

意味:ページで最も大きな可視要素(画像や大きな見出し)が表示されるまでの時間を測ります。
目安:0–2.5秒は良好、2.5–4秒は改善の余地、4秒以上は遅い。
対策例:画像を圧縮し、遅延読み込みを使い、重要なリソースを先に読み込みます。

First Input Delay(FID)

意味:ユーザーが最初に操作してからブラウザが応答するまでの遅延を測ります(クリックやタップ)。
目安:100ms以下が良好。
対策例:長いJavaScript処理を短く分割して、メインスレッドを空けます。

Cumulative Layout Shift(CLS)

意味:ページのレイアウトが予期せず動く量を評価します。
目安:0.1以下が良好。
対策例:画像や広告のサイズを指定して、動的挿入時に余白を確保します。

First Contentful Paint(FCP)

意味:最初のテキストや画像など何かが表示されるまでの時間です。
目安:早いほど良い。
対策例:重要なCSSをインライン化し、レンダリングを妨げるスクリプトを遅延させます。

Total Blocking Time(TBT)

意味:ラボ測定で長いタスクが原因で主スレッドがブロックされた合計時間を示します。Fidの代替指標に役立ちます。
対策例:重いスクリプトを分割し、Webワーカーを活用します。

Speed Index(SI)

意味:視覚的にページがどれだけ速く表示されるかを数値化します。
対策例:重要な要素を優先して読み込み、遅い要素は非同期にします。

測定上のポイント:
– フィールド指標(LCP、FID、CLSなど)は実際のユーザー体験を反映します。
– ラボ指標(TBT、SIなど)は再現性のある診断に便利です。
– 各指標は対策が異なるため、数値を見て優先順位を決めると効率的です。

その他の主要計測ツール「Lighthouse」「Pingdom」

Lighthouse(ライトハウス)

LighthouseはGoogleが提供するオープンソースの評価ツールで、Chromeのデベロッパーツールやコマンドラインで利用できます。使い方は簡単で、Chromeの[検証]→[Lighthouse]から監査を実行するだけです。主に「パフォーマンス」「アクセシビリティ」「ベストプラクティス」「SEO」など複数の観点でスコアを出します。具体的には、読み込み速度の指標(例:First Contentful Paint、Largest Contentful Paint)、レンダリングに関する問題、不要なJavaScriptの検出などを教えてくれます。ラボデータを使いページの原因追及に向きます。

Pingdom Website Speed Test(ピングドム)

Pingdomはページロード時間、サーバ応答時間、インタラクション時間などの実測に強みがあります。テスト時に国や地域を指定できるため、海外向けサイトの確認に便利です。結果は総合スコアに加え、アセットごとのサイズやリクエスト数、ウォーターフォール表示が見られます。実ユーザーに近い条件での挙動を把握したい時に有効です。

使い分けのポイント

Lighthouseは詳細な診断と改善案を得たいときに使い、開発中の検証に向きます。Pingdomは公開済みサイトの実測確認や地域差の検証に向きます。両方を併用すると、ラボデータと実測データの両面から改善できます。テストは複数回行い、トップページや商品ページなど重要なページを個別に測ることをおすすめします。

その他の計測ツール一覧と各ツールの特徴

複数のサイト速度計測ツールがあり、用途に合わせて使い分けると効果的です。ここでは代表的なツールの特徴を分かりやすく説明します。

Performance(Google)

Chromeのパフォーマンス計測機能で、レンダリングやスクリプト実行のタイムラインを可視化します。フレーム単位でCPU負荷やネットワーク挙動を確認でき、コードレベルのボトルネック発見に向きます。

Performance Insights(Google)

実測データに基づくユーザー視点の評価を示します。表示にかかる実際の時間や改善提案を提示するため、優先的に対策を決めたいときに便利です。

GTmetrix

詳細なWaterfall表示や資産ごとの解析、過去のレポート保存が可能です。どのファイルが遅いかを突き止め、改善の履歴を残せます。

Semrush

本来はSEOツールですが、ページ速度を含む診断ができ、競合比較やSEO観点での優先改善に役立ちます。

OctaGate SiteTimer

非常にシンプルな測定ツールで、手早く表示速度を把握したいときに便利です。導入や使い方が簡単です。

Site Relic

複数地域(例:9地域)でのモバイルとPCの速度を測定できます。地域差やデバイス差を比較したい場合に適しています。

Chrome Developer Tools(DevTools)

表示速度診断、ネットワーク/レンダリングの確認、ソースコード直接チェック、ユーザーエージェント変更などが可能です。開発作業と合わせて詳細に調査したいときに最適です。

用途別の使い分け:コード解析はDevToolsやGTmetrix、現場の実測はPerformance InsightsやSite Relic、SEOと絡めるならSemrush、といった組み合わせが効率的です。

ツール選択のポイントと使い分け

1. 目的を明確にする

ツールは目的で選びます。単純に表示速度を知りたいなら総合スコア、改善点を見たいなら診断レポート、運用で継続的に監視したいなら履歴管理やアラート機能を重視します。具体例:まずスコア確認→次に改善案確認→最後に定期監視、という流れが分かりやすいです。

2. 基本測定と改善点の確認

PageSpeed Insightsは手軽にスコアと改善点を示します。ユーザー視点の指標も出るので、初期チェックと優先順位付けに向きます。Lighthouseを併用するとより詳細な技術的指摘が得られます。

3. 履歴管理・競合比較

GTmetrixやPingdomは履歴グラフや複数ページの比較が得意です。定期チェックや改善効果の検証に便利です。競合サイトと比べてどの点が遅いかを確認できます。

4. 地域別の速度確認

海外ユーザーが多い場合は、PingdomやSite Relicのように測定地点を選べるツールを使います。地域ごとの遅延原因(CDN設定やサーバ設置場所)を把握できます。

5. 開発段階でのリアルタイム確認

Chrome Developer Toolsは開発中に実測・デバッグするのに最適です。ネットワーク制限やレンダリングを確認し、コード修正の効果を即座に確かめられます。

6. 実践的な使い分け例

・初回診断:PageSpeed Insights
・詳細監査:Lighthouse
・継続監視:GTmetrix/Pingdom
・地域別検証:Pingdom/Site Relic
・ローカル開発:Chrome DevTools

どのツールも一長一短があります。複数を組み合わせて、目的ごとに使い分けると効率よく改善できます。

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