はじめに
この記事の目的
本記事は、Googleサーチコンソール(以下、サーチコンソール)の基本から実践までを分かりやすく説明することを目的としています。専門用語はできるだけ避け、具体例を交えて丁寧に解説します。
対象読者
・これからウェブサイトを運営する初心者の方
・日常的にサイト改善を担当する実務者の方
・検索結果の見え方や改善点を知りたい方
本記事で得られること
・サーチコンソールの基本的な役割と見方が分かります
・初期設定から主要機能の使い方まで段階的に学べます
・検索キーワードや順位の調べ方、GA4との連携方法、注意点、実践例まで網羅します
読み進め方
まず本章で全体の流れをつかんでください。続く章で実際の設定や操作方法を順に説明します。手を動かしながら読み進めると理解が深まります。必要な準備は、サイトのURLとGoogleアカウントだけです。ご不明点があれば、各章の解説に沿って確認してください。
サーチコンソールとは何か?
概要
Googleサーチコンソール(通称:サチコ)は、Google検索における自分のサイトの状態や成果を確認できる無料のツールです。検索での表示回数やクリック数、クリック率(CTR)、平均掲載順位、ページのインデックス状況などを見られます。たとえば、ある記事が検索で100回表示されて5回クリックされたらCTRは5%です。
主な機能(やさしい説明)
- 検索パフォーマンス:どのキーワードで何回表示・クリックされたかを確認します。ブログのどの記事がどの言葉で見られているかが分かります。
- URL検査:特定ページがGoogleに登録(インデックス)されているか調べられます。問題があれば対策できます。
- カバレッジ(インデックス状況):クロールエラーやインデックスされないページを教えてくれます。
- モバイルやセキュリティのチェック:スマホでの見え方やマルウェアなどの警告を受け取れます。
どう役立つか
サーチコンソールは、何を改善すれば検索流入が増えるか判断するときに役立ちます。例えば、特定のキーワードで順位は高いのにクリックが少なければ、タイトルや説明文(スニペット)を見直す指標になります。
簡単な使い方のイメージ
サイトを登録して所有権を確認し、「パフォーマンス」や「カバレッジ」を開くだけで基礎データが見られます。日々の様子をチェックして、小さな問題を早めに直す習慣をつけると効果的です。
サーチコンソールの初期設定・導入方法
1-1. はじめに
Googleアカウントでログインし、サーチコンソール(Search Console)にアクセスします。無料で使え、検索結果の改善に役立ちます。
1-2. プロパティの登録方法
- 「プロパティを追加」をクリックします。
- 「ドメイン」か「URLプレフィックス」を選びます。ドメインはサブドメインやプロトコルをまとめて管理できます。URLプレフィックスは個別のURL(https://〜)を指定します。
1-3. 所有権の確認方法(代表例)
- HTMLファイルアップロード:提示されたファイルを公開フォルダ(例:public_html)に置き、指定URLにアクセスして確認します。WordPress以外で確実です。
- HTMLタグ:サイトの内にタグを追加します。テーマ編集やヘッダープラグインで行えます。
- Googleアナリティクス/Googleタグ連携:既にGA(ユニバーサルやgtag)が入っている場合は簡単に確認できます。
- DNSレコード(TXT):ドメイン管理画面でTXTレコードを追加します。ドメイン全体を確認したいときに便利です。
1-4. どの方法を選ぶか
- WordPressでテーマ編集が苦手ならヘッダープラグインやGA連携を使うと簡単です。
- サーバーにFTPでアクセスできるならHTMLファイルを置く方法が確実です。
- ドメイン全体を一度に確認したい場合はDNS(TXT)を選びます。
1-5. 登録後の流れと注意点
登録が完了するとデータ収集が自動で始まりますが、表示までに数日かかることがあります。サイトマップ(sitemap.xml)を送信するとインデックスの状況を早く把握できます。確認に失敗した場合は、キャッシュ、ファイルの配置場所、タグの位置、DNSの反映時間をまず確認してください。
次章では、サーチコンソールの主要機能と基本的な使い方を見ていきます。
サーチコンソールの主要機能と使い方
検索パフォーマンス
- 何を確認できるか:クリック数、表示回数、CTR(クリック率)、平均掲載順位を見られます。例:特定キーワードでクリックが減ったページを探す。
- 使い方:日付やデバイス、国、検索クエリで絞り込み、ページ単位で比較します。改善するべきページが分かればタイトルやメタ説明、コンテンツを見直します。
カバレッジ(インデックス状況)
- 何を確認できるか:インデックスされたページ、エラー(例:404、サーバーエラー)、除外された理由を表示します。
- 使い方:エラーの種類を確認して、該当ページを修正後に「検証を開始」します。インデックス漏れはrobots.txtやnoindexタグを確認します。
URL検査
- 何をするか:個別ページがGoogleにどう見えているかを確認します。インデックス状況やクロール時の情報が分かります。
- 使い方:問題を見つけたら「インデックス登録をリクエスト」で再クロールを促します。
サイトマップ送信
- 何をするか:サイトマップを送るとページ発見が早まります。
- 使い方:XMLサイトマップのURLを入力して送信。送信後の送信済みページ数を確認します。
リンク分析
- 何を確認できるか:内部リンク、外部リンク、最も多くリンクされているページを把握できます。
- 使い方:内部リンク不足のページにリンクを増やし、重要ページの評価を高めます。
モバイルユーザビリティ
- 何を確認できるか:表示崩れやタップ要素の近接など、モバイルでの問題を示します。
- 使い方:問題のあるページを修正し、再診断を依頼します。
ウェブに関する主な指標(Core Web Vitals)
- 何を確認できるか:読み込み速度やインタラクションの遅延など、ユーザー体験の指標です(例:LCP、FIDまたはINP、CLS)。
- 使い方:遅い要素を特定し、画像の最適化やスクリプトの遅延読み込みなどで改善します。
使い方の共通ポイント:問題を見つけたら優先順位を付け、小さな修正から順に行い、効果を検索パフォーマンスで確認してください。
サーチコンソールで検索キーワードや順位を調査する方法
検索パフォーマンスレポートを開く
サーチコンソールにログインし、左メニューの「検索パフォーマンス」→「検索結果」を開いてください。ここでユーザーが実際に使った検索語(クエリ)と、クリック数、表示回数、CTR(クリック率)、平均掲載順位が見られます。
絞り込みとフィルタの使い方
日付範囲、クエリ、ページ、国、デバイスで絞り込めます。クエリをフィルタして特定ワードだけを表示したり、ページで特定のURLに関する検索語を確認できます。フィルタは複数組み合わせて使えます。
特定キーワードの定点観測
定期的に見るキーワードは、クエリフィルタを設定してから画面右上のエクスポートでCSVに保存してください。日付を比較モードにして前期間と比べると変化が分かりやすく、上昇・下降どちらに動いたかを追跡できます。
順位やCTRの見方と改善アクション
平均掲載順位はあくまで平均値です。順位が20前後で表示回数が多ければ、タイトルやスニペットを改善して上位表示を狙えます。表示回数は多いがCTRが低い場合は、魅力的なタイトルや説明文に書き換えると効果が出やすいです。
データ利用の実務的なポイント
高クリック数のクエリはコンテンツ改善の優先項目です。表示回数が多く順位が低いクエリは上位化のチャンスです。逆に表示回数が少ないクエリは統計が不安定なので判断を急がないでください。必要ならCSVでエクスポートしてスプレッドシートで定期集計すると定点観測が続けやすくなります。
サーチコンソールのヘルプ・サポート情報
公式ヘルプ(Googleサポート)の使い方
Googleのヘルプセンターはまず確認すべき場所です。トラブルシューティング、FAQ、機能説明が体系的にまとまっています。項目は「データの見方」「エラーや警告の対処」「サイトマップ・インデックスの問題」「権限設定」などに分かれ、検索欄でキーワード検索できます。
よくあるトラブルと対処法(具体例)
- データが急に減った:検索パフォーマンス画面の期間設定やフィルタを確認し、期間・検索タイプ(ウェブ/画像)を合わせます。クロールエラーやインデックスの警告もチェックします。
- サイトマップがエラー:サイトマップファイルのURL・形式(XML)を確認し、URL検査ツールで代表URLをチェックします。
- 特定ページがインデックスされない:URL検査で「インデックス登録可否」を確認し、robots.txtやnoindexタグを確認します。
データ異常時の具体的な手順
1) 時間範囲・フィルタを合わせて異常の範囲を特定します。2) URL検査やカバレッジレポートで該当ページを確認します。3) サーバーやrobots.txt、ページのメタタグを確認します。4) 修正後は再検査(インデックス登録をリクエスト)します。
エラー報告・フィードバックの送り方
Search Console画面右上から「フィードバックを送信」機能で状況を添えて報告できます。再現手順、該当URL、スクリーンショット、発生日を添えると対応が早くなります。重大なバグや障害はGoogle側で対処されるまで時間がかかる点に留意してください。
コミュニティと追加リソース
公式フォーラム(Search Central Community)は質問や他ユーザーの事例を参照できます。英語のドキュメントやブログ記事も有用です。
ヘルプ活用のコツ
- まず公式ヘルプで該当項目を検索する。次にURL検査やカバレッジを現物で確認する。問題を報告する際は再現手順と証拠を添えると早く解決します。
サーチコンソールとGoogleアナリティクス(GA4)の連携
はじめに
サーチコンソール(以下SC)とGoogleアナリティクス(GA4)を連携すると、検索から来たユーザーの行動や成果を詳しく追えるようになります。ここでは連携の利点と使い方、注意点をわかりやすく説明します。
連携の主なメリット
- 検索クエリとサイト内での行動を結びつけられます(例:どのキーワードが滞在時間やCVに結びついたか)。
- ランディングページごとの検索流入とコンバージョンを確認できます。
連携の基本手順(概要)
- SCでサイト所有権が確認済みであることを確認します。
- GA4の管理画面で「プロダクトのリンク」→「Search Console」を選び、プロパティを紐付けます。
- 紐付け後、GA4のレポートにSCの指標が表示されます。
データの見方と活用ポイント
- 「ランディングページ」と「集客」レポートを使い、検索経由のページ別パフォーマンスを確認します。具体例:クリック率が高いが直帰率も高いページは導線改善を検討します。
- クエリ単位の詳細はSCで、行動やコンバージョンはGA4で深掘りします。
使い分けの指針
- SC:検索順位・クリック・表示回数など検索固有の指標を確認します。
- GA4:ユーザー行動やコンバージョンの流れを分析します。
注意点
- データにタイムラグやサンプリングの差が出ることがあります。比較は同期間で行ってください。
- プロパティの設定ミスでデータが欠落する場合があるので、権限やURLの統一を確認してください。
定期的に両方を確認し、検索の改善点とサイト内施策を結びつけて運用してください。
サーチコンソール活用の注意点
概要
サーチコンソールは便利な検索データを提供しますが、利用時に知っておくべき制約があります。ここでは代表的な注意点と対処法を分かりやすく説明します。
対象はGoogle検索のみ
サーチコンソールが扱うのはGoogle検索のデータだけです。Yahoo!やBingなど他の検索エンジンのデータは含まれません。複数の検索流入を把握したい場合は、他ツールと併用してください。
データの遅延や一時的な異常
データはリアルタイムではなく遅延が生じることがあります。また、集計の不具合や欠損が起きる場合もあります。異常を感じたら公式ヘルプやステータスを確認し、影響範囲を判断してください。
保持期間や集計方法の変更
Googleはデータ保管期間や集計ロジックを変更することがあります。過去データが短縮されることがあるため、重要なデータは定期的にエクスポートして保存しておくと安心です。
データの粒度と表示の制限
低トラフィックのクエリや個別ページの詳細は表示されない場合があります。クリック数や表示回数はサンプルやしきい値の影響を受けるため、絶対値ではなく傾向として見る習慣を付けてください。
プロパティ設定の違い
ドメインプロパティとURLプレフィックスでは集計範囲が異なります。プロパティを間違えるとデータが抜けるので、所有するサイト構成に合った設定にしてください。
解釈の際の注意点
順位やCTRは目安です。一時的な変動で慌てず、他の指標(アクセス数、直帰率、コンバージョン)と合わせて判断しましょう。
運用のコツ
重要データは定期的にCSVでエクスポートしバックアップしてください。サーチコンソールのメッセージやパフォーマンスレポートを週次で確認し、問題が出たら早めに対処します。公式ヘルプの更新情報も定期的にチェックしてください。
サーチコンソールの実践活用例
1) 定点観測で検索順位と流入キーワードを追う
週次または月次で「パフォーマンス」を確認します。表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位を見て、伸びているキーワードと下落しているキーワードを特定します。具体例として、上位10位前後の語を優先して改善します。
2) インデックス未登録ページの特定と対応
「カバレッジ」を使って除外されたページを確認します。理由(noindex・重複・クロール制限など)を把握し、必要ならメタタグ修正や正規化、再クロール依頼を行います。URL検査で状況確認とインデックス送信ができます。
3) エラーやモバイル表示の早期解決
「エラー(カバレッジ)」や「モバイル ユーザビリティ」で問題を発見したら優先度をつけて修正します。404やサーバーエラーは早めに対応し、モバイルでのタップ要素や表示崩れはユーザー視点で直します。
4) サイトマップ更新・送信でクロール効率化
ページ追加や構成変更時はサイトマップを更新して送信します。重要なページを優先して含めるとクロール効率が上がります。
5) 定期レポート作成と外部ツール連携
データをCSVで書き出し、Looker Studioなどに取り込んで可視化・自動配信します。定期的なレポートで傾向を共有し、改善施策を回します。
実践では「観察→原因特定→修正→確認」を習慣化すると効果が出ます。簡単なチェックリストを定め、定期的に実行してください。












