はじめに
目的
本ドキュメントは、Google Search Console（GSC）で観察された表示回数の減少について、原因の整理と対応の方針を示すことを目的としています。検索結果表示の仕様変更やスクレイピング対策により、表示回数や平均掲載順位が変動しているため、企業やサイト運営者が取るべき確認事項と対処法を分かりやすくまとめます。
対象読者
- サイト運営者・担当者
- SEO担当者
- ウェブマーケティングの関係者
専門用語は最小限にし、実務で役立つ視点を意識して記載しています。
本書で扱う内容の概要
- Googleの表示仕様変更の影響
- 検索順位チェックツールやGSCへの影響
- 表示回数が減る一般的な要因と確認ポイント
- 表示回数の計測に関する注意点
各章で実例や確認手順を示しますので、順にチェックすれば原因の特定と対応がしやすくなります。
Googleが検索結果の表示件数の指定機能を停止
概要
2025年9月11日頃から、Googleは検索結果の表示件数指定（例：URL末尾に「&num=100」を付ける方法）を無効化しました。これにより、ユーザーやツールがページごとに表示される検索結果の件数を任意に増やせなくなっています。
変更の内容
- 以前は「&num=50」や「&num=100」で1ページあたりの表示件数を増やせました。現在はこの指定が反映されず、検索側で上限が設定されます。
- 結果として1ページあたりの件数が制限され、同じ検索でも必要なページ数が変わる、あるいは総ページ数自体が減る事例が出ています。
影響の例
- 一般利用者：一度に多くの結果を一覧で見ることが難しくなります。検索のスクロールやページ移動が増えます。
- データ収集や順位チェックを行う自動ツール：大量に結果を一括取得していた場合、動作しなくなるか取得件数が大幅に減ります。
背景と目的
外部から大量にデータを取得するスクレイピングを抑制し、サーバー負荷や悪用の懸念を減らす狙いがあると推測されます。検索品質や利用者保護を理由に挙げやすい変更です。
注意点
- URLのパラメータで件数を変えられない点は仕様変更に基づくため、個別に回避することは難しいです。したがって、公式のデータ提供手段やAPIの利用、あるいは表示の変化を前提にした運用見直しを検討してください。
検索順位チェックツールへの影響
何が変わったか
多くの順位チェックツールは、検索結果を1ページで多く取得するため「&num=100」の仕組みを利用してきました。この指定が使えなくなったため、以前は簡単に取得できていた深い順位（たとえば50位〜100位）の取得が難しくなっています。
ツール側の影響
- 一部ツールは順位取得が途中で途切れる、または誤差が増える問題を確認しています。具体的には、ページ内の結果が100件まとめて返らないため、順位判定に抜けが出ます。
- 対応を急ぐベンダーは、代替手段を導入しています。たとえば、検索APIの利用、複数ページにわたる取得、あるいは自社クローラーの改修などです。Semrushは既に解決策を実装しており、ツールの安定性を回復しています。
利用者ができること
- 使っているツールの公式アナウンスやアップデート履歴を確認してください。対応状況や精度の改善予定が示されています。
- 一時的に順位の抜けやズレが出る可能性を見越して、重要なキーワードは手動で確認すると安心です。
- 代替データとしてGoogle Search Consoleの順位や表示回数も参考にしてください。ただし、GSCは実測方法が異なるため結果が一致しないことがあります。
今回の変更はツール運用に影響を与えますが、ベンダーは順次対応を進めています。
Google Search Consoleへの影響
概要
デスクトップを中心に、Google Search Console（GSC）で合計表示回数が減少し、平均クリック率（CTR）や平均掲載順位も変動しています。表示回数の急激な減少は、外部からの偽のアクセス（スクレイピング）を排除する仕組みが強化されたことが主因と考えられます。
なぜ表示回数が減るのか
スクレイピング防止を強化すると、ボットや自動化ツールによる無効な表示がカウントされなくなります。たとえば、以前は見えていた「表示」が実際は人間ではなく機械のアクセスだった場合、これらが除外されると表示回数は自然に下がります。
CTRと掲載順位の見え方の変化
表示回数が減るとCTRは上がることも下がることもあります。少ない表示の中でクリックが相対的に増えればCTRは上がりますし、逆なら下がります。平均掲載順位も、表示されるクエリの母集団が変わることで数値が動きます。
管理者が確認すべき点
- 影響が出ているデバイス（デスクトップ、モバイル）と期間を特定する
- サーチコンソール内の検索タイプ（ウェブ、画像）を確認する
- 不自然なトラフィックやクエリの変化がないか調べる
対策の方向性
まずはGSCのデータを期間比較で確認し、問題が特定できればその部分に絞って原因調査を行ってください。必要に応じてサーバーログや解析ツールで人間のアクセスかを検証すると良いです。
表示回数が減少する一般的な要因
検索順位の低下
検索順位が下がると表示回数は自然に減ります。例えば、以前は1〜3位で表示されていたページが10位前後になると、インプレッションが大きく落ちます。順位変動は競合の改善やページの関連性低下が原因です。
インデックスやコンテンツ品質の問題
ページが正しくインデックスされていない、あるいはコンテンツが薄いと表示されにくくなります。重複コンテンツや古い情報も影響します。Search Consoleのカバレッジやインデックス状況で確認します。
Googleコアアルゴリズムアップデートの影響
Googleの大きなアルゴリズム変更で評価基準が変わると、表示回数が一斉に増減します。特定の分野で落ちる場合、アップデートが原因のことが多いです。
Googleペナルティ
手動対応やガイドライン違反があると表示が激減します。Search Consoleの手動対策通知を確認してください。
その他の要因
サイトの表示速度、モバイル対応、構造化データの不備、季節性や検索ボリュームの変動、CTR（クリック率）の低下なども影響します。例えば、ページ表示が遅いと検索エンジンが優先表示を避けることがあります。
したがって、Search Consoleと順位チェックツールで指標を比較し、原因を順に潰していくことが重要です。
表示回数減少時の確認ポイント
まず日別推移を特定
Search Consoleの「検索パフォーマンス」で日別の表示回数グラフを見て、急落した日を特定します。比較対象は直近1週間・1ヶ月・前年同月など。例：3月10日に急落したら、その前後で何が変わったかを調べます。
クエリ別・ページ別の分析
クエリ別表示回数と平均掲載順位を並べて確認します。特定キーワードだけ落ちているか、サイト全体なのかを分けます。ページ別に見ると、影響範囲が把握しやすく、修正優先度を決められます。
技術的原因のチェック
クロールやインデックスの問題を確認します（URL検査、カバレッジ、robots.txt、sitemap、noindex）。サイトの応答速度やサーバー障害、モバイル表示の不具合も見落とさないでください。
コンテンツと検索意図の調整
順位変動のあるクエリは、ユーザーの検索意図に合わせてタイトルや見出し、本文を調整します。具体例：比較記事が求められているなら比較表を追加します。メタ説明はCTR改善に有効です。
モニタリングの進め方
変更は少しずつ行い、1〜2週間単位でCTR・表示回数・順位の推移を追います。大きな変更は影響が分かりにくくなるため避けます。
確認チェックリスト（優先順）
1) 急落日を特定 2) 影響範囲（クエリ/ページ）を把握 3) 技術的問題を除外 4) コンテンツ・キーワードを調整 5) 経過を定期確認
上記を順に実行すると、原因特定と回復の道筋が見えやすくなります。
表示回数カウント方法の複雑性
概要
Google Search Console（GSC）の「表示回数」は、検索結果、Discover、ニュースなどでサイトのリンクがユーザーの画面に表示された回数を指します。単純に「クリックされた回数」ではなく、あくまで目に触れた機会を数えます。
どのようにカウントされるか（具体例）
- 検索結果ページにURLが表示されると1インプレッションになります。例：検索結果の1ページ目に自分のページが表示されただけでカウントされます。
- 同じユーザーが同じセッションで同じURLを何度も見ても、状況によっては1回にまとめられることがあります。
仕様変更の影響
- スクレイピングなどによる自動アクセスからの偽インプレッションは、仕様変更で排除されるようになりました。したがって、以前よりも不正な増加が減る可能性があります。
- ログやボットフィルタリングの改善で、表示回数の集計結果が変動することがあります。
測定上の注意点
- 集計は遅延やサンプリングが入る場合があります。短期間の変動は一時的な処理差であることが多いです。
- AMPやモバイル/PCの表示、重複するURLの扱いでカウントが分かれることがあります。
対応のためにできること
- GSCのレポートとサーバーログ、アクセス解析を突き合わせて確認してください。
- 突然の減少や増加があれば、ボットの影響や設定変更、サイトの表示可否（noindexなど）を優先して調べます。
- 長期的な傾向を見て判断し、短期の変動に過剰反応しないようにしてください。
