はじめに
この記事の目的
この記事は、Googleサーチコンソールでサブドメインを正しく登録・管理する方法と、注意すべき点を分かりやすく解説します。ドメインプロパティとURLプレフィックスの違い、運用時のメリット・デメリット、SEOへの影響、よくあるトラブルと対処法を網羅します。
対象読者
ウェブサイト所有者、運用担当者、個人ブロガーなど、サブドメインを使っているか検討している方に向けています。専門知識がなくても理解できるように、具体例を交えて説明します。
本記事で学べること
- サーチコンソールでのサブドメインの扱い方の基本
- 登録手順と実務でのポイント
- サブドメイン運用がSEOに与える影響と注意点
- よくある問題とその解決策
読み方のポイント
初めての方は第2章〜第3章を順に読むとスムーズです。既に登録済みで運用改善が目的なら、第5章と第6章を先に読むと役立ちます。
サーチコンソールでサブドメインを管理する基本
基本の違い
Googleサーチコンソールには「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックス」の2種類があります。ドメインプロパティはexample.comを指定すると、http/https、wwwの有無、さらにサブドメイン(sub.example.com)やサブディレクトリまで、指定ドメイン配下の全てのURLを一括で扱います。URLプレフィックスはhttps://sub.example.comのように正確な接頭辞だけが対象で、サブドメインごとに個別登録が必要です。
検証方法の違い
ドメインプロパティはDNSにTXTレコードを追加して所有権を確認します。管理画面で指示に従い、DNS管理画面でレコードを入れれば完了します。URLプレフィックスはHTMLファイル、メタタグ、Googleアナリティクスやタグマネージャーなど複数の方法で検証できます。
どちらを選ぶかの目安
・サイト全体(複数サブドメイン)をまとめて管理したい場合はドメインプロパティがおすすめです。運用負荷を下げ、計測漏れを防げます。
・特定のサブドメインだけ扱いたい、またはDNS編集ができない場合はURLプレフィックスを選びます。
注意点と実務上のポイント
・ドメインプロパティでまとめても、サブドメインごとのデータを詳細に分析したければ、個別にプロパティを作る運用も併用できます。・プロパティを切り替えるとデータは別扱いになるため、新しいプロパティは過去データを持ちません。・検証に時間がかかる場合があるので、早めに設定しましょう。
サブドメインを登録する手順とポイント
概要
サブドメインは「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックス」のどちらでも登録できます。用途によって使い分けると便利です。
1) ドメインプロパティでの登録(おすすめ)
- サーチコンソールで「プロパティを追加」→「ドメイン」を選択
- 親ドメイン(例: example.com)を入力
- 表示されるTXTレコードをDNS(ドメイン管理画面)に追加
- DNS反映後、サーチコンソールで所有権を確認
ポイント: ドメインプロパティは親ドメイン以下のすべてのサブドメインとプロトコル(http/https)を自動でカバーします。DNS反映に時間がかかることがあるため、24〜48時間待って再確認してください。
2) URLプレフィックスでの登録(サブドメインごと)
- 「プロパティを追加」→「URLプレフィックス」を選択
- 例: https://blog.example.com を入力
- HTMLファイルのアップロード、メタタグ、Google Analytics、またはDNSで確認
ポイント: サブドメインごとに個別登録するため、用途別に細かく管理できます。だが、URLプレフィックスのみだと一部のインプレッションデータが表示されない場合があり、Googleから警告が来ることがあります。
管理上のおすすめ
- 全体の計測はドメインプロパティで行い、個別の詳細分析は必要なサブドメインだけURLプレフィックスも登録すると管理が楽になります。
サブドメイン管理のメリット・デメリット
ドメインプロパティ(全体管理)のメリット
- サブドメイン(例:blog.example.com、shop.example.com)やプロトコルを含めて、サイト全体のデータを一括で収集できます。複数のサブドメインを横断したトラフィックや検索パフォーマンスの把握に便利です。
- ドメイン移行やサブドメインの追加・削除時に柔軟に対応できます。設定の漏れが少なく管理が簡単です。
- 複数所有者や部署がある場合でも、全体像を共有しやすくなります。
ドメインプロパティのデメリット
- サブドメインごとのデータが混在し、個別の分析がやや難しくなります。どのサブドメインが原因かを絞る手間が増えます。
- 異なるドメイン(example.net等)がある場合は、それぞれ個別に登録が必要です。
URLプレフィックス(個別管理)のメリット
- blog.example.com や shop.example.com を個別に登録すると、各サブドメインの検索パフォーマンスを詳細に把握できます。チームごとの運用や独立した計測に向きます。
- 問題の切り分けやA/Bテストの効果測定が容易です。
URLプレフィックスのデメリット
- サブドメインやhttps/httpごとに個別登録と権限設定が必要で、管理が増えます。全体を横断して見るのには向きません。
選び方の目安
- サブドメインを合算して全体像を見たい場合はドメインプロパティを選びます。個別に深掘りしたい、あるいは部署ごとに独立運用する場合はURLプレフィックスが適します。
サブドメイン運用とSEOのポイント
サブドメインは“別サイト”として扱う
サブドメインは技術的に独立するため、検索エンジンは別サイトとみなすことが多いです。企業で事業ごとに分ける例では、独自のテーマやユーザー体験を作れますが、親ドメインの評価を自動で受け継ぐとは限りません。
インデックス対策とサーチコンソール活用
サブドメインはサーチコンソールに個別登録してください。サイトマップ送信やインデックスカバレッジの確認、URL検査を定期的に行うと効果的です。ステージング環境はnoindexにして誤って登録しないようにしましょう。
内部リンクと構造化データ
親ドメインと適切に内部リンクを張ると巡回が促進され、評価の移転につながりやすくなります。構造化データはページ内容を明確に伝えるので、必要な箇所に実装してください。
技術面のチェックリスト
- HTTPSの設定
- XMLサイトマップの登録
- robots.txtの確認
- ページ速度の改善
運用のポイント
重複コンテンツは避け、目的ごとに役割を明確に分けてください。効果測定はサブドメインごとに行うと改善点が見えやすくなります。
よくある疑問・トラブルとその解決策
サーチコンソールにサブドメインのデータが出ない
よくある原因と対処法を順に確認します。
– プロパティの種類を確認:ドメインプロパティならサブドメインを含みますが、URLプレフィックスは登録した正確なURL(https://sub.example.com)だけを計測します。該当するプロパティがあるか確認してください。
– 登録漏れ・検証失敗:サブドメインを登録していない、またはDNSのTXTレコードが未反映のケースが多いです。DNS設定の反映を待つか、別の検証方法(HTMLファイル/タグ)を試してください。
– プロトコルの違い:httpとhttps、wwwの有無で別物として扱われます。必要な組み合わせをすべて登録してください。
サブドメインだけ検索結果に出ないとき
原因と改善策は以下です。
– インデックス状況の確認:Search Consoleの「カバレッジ」やURL検査でインデックスの有無を確かめ、問題があれば「インデックス登録をリクエスト」します。
– noindexやrobots.txt:意図せずクロールを止めていないか確認してください。
– 正規化の指定:canonicalが親ドメインを向いていると検索に出ないことがあります。正しいcanonicalを設定しましょう。
– コンテンツとリンク:独自性のある内容と内部リンク、外部リンクを増やすとインデックスと表示が早くなります。
検証エラーや反映遅延の対処
- DNSの反映待ち:TXT追加後、しばらく時間がかかることがあります。24時間程度待って再確認してください。
- 誤った入力:TXTやHTMLファイルの中身・場所が間違っていないか見直します。
- 代替検証:DNSが使えない場合はHTMLタグやファイルで検証する手もあります。
Googleアナリティクスと連携して詳しく調べる
連携するとサブドメインごとの流入やランディングページを詳しく見られます。設定はサーチコンソール側でプロパティを用意し、アナリティクス側でSearch Consoleとのリンクを許可するだけです。ホスト名やページ別のデータを確認し、問題の切り分けに役立ててください。
それでも解決しない場合の対応
- 再現手順を整理して、ヘルプフォーラムやサポートに問い合わせると早いです。スクリーンショットや具体的なURL、行った手順を添えると対応がスムーズになります。
まとめ:サーチコンソールとサブドメイン管理の最適解
サブドメインを含むサイトを効率よく管理するには、目的に合わせて「ドメインプロパティ」と「URL プレフィックス」を使い分けるのが最適です。
推奨の設定
- サイト全体(すべてのサブドメイン・プロトコル)を一括で把握したい場合はドメインプロパティを登録します。DNS 検証が必要ですが、全体像を見やすくします。
- サブドメインごとに詳細な運用・分析をしたい場合は、該当サブドメインを URL プレフィックスで個別に登録します。たとえば blog.example.com や shop.example.com を別々に管理できます。
運用時のポイント
- 所有権と権限を正しく設定します。データが見えない多くの原因はここです。
- 各サブドメインで sitemap を送信し、クロール状況やカバレッジを定期確認します。
- 内部リンクや canonical を整え、重複やインデックス漏れを防ぎます。
- パフォーマンスレポートでクエリやページごとの表示回数・クリックを比較します。
よくある問題と対処
- データが出ない:検証方法やプロパティの種類(ドメイン/URL)を見直します。
- 急な順位低下:カバレッジや手動対策の通知、コンテンツの重複をチェックします。
最後に、サーチコンソールは計測と分析のツールです。両方の登録を必要に応じて併用し、定期的に状態を確認することで、サブドメイン運用の精度を高められます。












