はじめに
この記事の目的
本記事は、Googleサーチコンソールで表示される「このプロパティへのアクセス権がありません」というエラーについて、原因と対処法、権限管理のポイントをわかりやすく整理することを目的としています。2025年時点の一般的な仕様や管理上の注意点に基づき、実務で役立つ手順を丁寧に解説します。
想定読者
- 複数サイトを管理している方
- しばらく使っておらず再度ログインした方
- 他の人から権限を譲り受けたが操作できない方
初心者から中級者まで幅広く役立つ内容を目指します。
本記事で扱うこと(全体の流れ)
第2章でエラーの具体例と発生状況を示し、第3章で主な原因を分類します。第4章で具体的な対処手順を紹介し、第5章で権限の種類と付与方法を説明します。第6章はよくある追加トラブル、第7章は管理・解除のポイント、第8章で最後の注意点をまとめます。
事前に用意しておくもの
- サーチコンソールに登録しているGoogleアカウントのメールアドレス
- 問題のプロパティが「ドメインプロパティ」か「URLプレフィックス」かの情報
- 可能ならスクリーンショット(エラーメッセージ、設定画面)
読み方のポイント
実際の画面で操作する際は、まず自分のアカウントの権限を確認してください。章ごとに具体手順を示しますので、該当する状況の章から順に読むと効率的です。
エラーの概要と発生状況
エラーの意味
「このプロパティへのアクセス権がありません」は、現在ログインしているGoogleアカウントがそのサイト(プロパティ)の閲覧や管理の権限を持っていないときに表示されます。つまり、そのアカウントでSearch Console内のデータを表示したり設定を変更したりできません。
よくある発生状況
- 複数のGoogleアカウントを使い分けている場合:普段と違うアカウントでログインしていると起きやすいです。例:仕事用と個人用で切り替えたとき。
- 長期間使っていなかったプロパティ:所有者が変更されたり、権限が削除されたりしてアクセスできなくなることがあります。
- 招待や共有が未承認:別のアカウントからアクセス権を付与されているが、招待メールを承認していない場合。
- 所有権の確認方法が変わった場合:ドメインプロパティとURLプレフィックスで扱いが異なり、以前の確認手続きではカバーされないことがあります。
表示される影響
権限がないと、Search Console上でサイトの検索データやエラーレポートを見られません。サイトマップ送信やインデックスの再申請などの操作もできません。
まず確認すること
- 画面右上のGoogleアカウントが目的のアカウントか確認する。
- Search Consoleで選択しているプロパティが正しいか確認する(ドメインかURLか)。
- 招待メールや所有権の通知が届いていないか、メールを確認する。
この章では発生の全体像と確認ポイントを示しました。次章で主な原因を一つずつ詳しく解説します。
主な原因
1. Googleアカウントの違い
サイトを登録したGoogleアカウントと現在ログインしているアカウントが異なると、権限が見えなくなります。例:会社用アカウントで登録したのに、個人のGmailで操作している場合です。確認方法:右上のアカウントアイコンをクリックして、登録に使ったメールアドレスでログインし直してください。
2. 他人が作成したプロパティへのアクセス
外部委託先や別の管理者がプロパティを作成すると、自分に管理権限が付与されていないことがあります。例:ウェブ制作会社がSearch Consoleを設定したが、クライアントに管理者権限を渡していない場合です。確認方法:プロパティの所有者に連絡して、アクセス権を付与してもらってください。
3. 所有権の証明が無効
サイトリニューアルやHTMLタグ、DNS設定の変更・削除で、所有確認が無効になることがあります。例:サイトのテンプレートを変えてheadタグ内の確認タグを消した場合や、ドメインのDNSレコードを更新して確認用のTXTレコードが消えた場合です。確認方法:WebサイトのHTMLやDNS設定を再確認し、必要なら所有確認を再実行してください。
以上の3点が主な原因です。次章では、それぞれに対する具体的な対処法を説明します。
対処法・解決策
1. 正しいGoogleアカウントでログインし直す
複数のGoogleアカウントを使っている場合、正しいアカウントでログインしていないことが多いです。画面右上のアカウント切替で確認し、目的のアカウントで再ログインしてください。ブラウザのプロフィールを分けると混同を避けられます。
2. 権限付与を依頼する
サイトオーナーや管理者に権限を追加してもらいます。依頼時は次のように具体的に伝えるとわかりやすいです:
「Googleアカウント(メールアドレス)にサイトの所有者/管理者権限を付与してください」
権限は管理画面でユーザー追加や共有設定から付与します。
3. 所有権の再確認・再設定
所有権はHTMLタグ、DNS(TXT)レコード、または指定ファイルで確認します。HTMLタグならサイトの内に指定のタグがあるか、DNSならTXTレコードに指定値が登録されているかを確認してください。変更したら反映まで数分〜48時間かかることがあります。
4. キャッシュやCookieの削除
ブラウザのキャッシュやCookieが古い認証情報を保持していると問題が残ります。設定からキャッシュとCookieを削除するか、プライベート(シークレット)ウィンドウで再試行してください。ショートカット(Windows: Ctrl+Shift+Delete、Mac: Command+Shift+Delete)で削除画面を開けます。
5. それでも解決しない場合の追加手順
別ブラウザや別端末で試す、管理者にログを確認してもらう、DNS変更なら時間をおく、公式ヘルプやサポートに問い合わせる、などを順に試してください。必要な情報(使用アカウント、エラーメッセージ、実施済み手順)をまとめて伝えると対応が早くなります。
権限の種類と付与方法
権限の種類
- オーナー
- サイトの全操作が可能です。ユーザーの追加・削除や所有権の確認・管理が行えます。例:サイトを新しく登録して所有権を確認した人。
- フルユーザー
- ほぼ全てのデータを閲覧できます。一部の操作(例:URL検査での確認や問題の詳細表示)が可能ですが、オーナーの管理操作はできません。
- 制限付きユーザー
- データの閲覧が中心で、設定変更などの操作はできません。読むだけの閲覧専用権限です。
権限の付与手順
- Search Consoleにログインします。該当プロパティを選びます。
- 左メニューの「設定」を開きます。
- 「ユーザーと権限(Users and permissions)」をクリックします。
- 「ユーザを追加」ボタンを押します。
- 追加したい人のメールアドレス(Googleアカウント)を入力し、権限(オーナー/フルユーザー/制限付きユーザー)を選びます。
- 追加を確定すると、そのメール宛に招待が届き、受諾で権限が反映されます。
注意点
- メールはGoogleアカウントである必要があります。
- オーナー権限は確認済みの所有者のみ付与できます。自分がオーナーでなければ追加できません。
- 必要最低限の権限を与えることをおすすめします。
よくある追加トラブル
以下は、権限付与や所有権確認でよく出る追加トラブルとその対処法をわかりやすくまとめたものです。具体例を交えて説明します。
1) すでに権限があるユーザーに再度付与できない
- 症状例: 同じメールアドレスで再度招待できない、エラーが出る。
- 主な原因: 既に権限が割り当てられているか、招待が保留中になっている。別のアカウントでログインしている場合もあります。
- 対処: 管理画面でユーザー一覧と保留招待を確認し、不要なら招待を取り消して再招待します。別のメールやアカウントを試すと原因が特定しやすいです。
2) DNSやHTMLタグの設定ミス
- 症状例: 所有権確認が通らない、サイトのメタタグが認識されない。
- 主な原因: TXTレコードの値やCNAMEの誤記、HTMLタグを間違った場所に入れている、古いキャッシュ。
- 対処: DNSチェッカーやブラウザの「表示ソース」で実際の値を確認します。TXTは正確にコピーし、HTMLは内に入れてください。反映にはTTL分の待ち時間が必要です。
3) SSL証明書のエラー
- 症状例: ブラウザで鍵アイコンが出ない、証明書エラーが表示される。
- 主な原因: 証明書の期限切れ、ドメイン不一致、中間証明書の未設定。
- 対処: 発行元で有効期限やドメイン名を確認し、必要なら再発行・フルチェーンを設定します。自己署名証明書は公開環境で使わないでください。
所有権証明を再確認する手順
- DNS方式: 指定のTXT/CNAMEが正確に存在するかチェック。サブドメインやゾーンの誤配置に注意。
- HTML方式: 指定ファイルをルート直下に置く、もしくはメタタグをに入れる。
- 共通: キャッシュをクリアし、検証ツールで再試行してください。
問題が続く場合は、エラーメッセージのスクリーンショットや実施した手順を控え、サポートに連絡すると解決が早まります。
権限管理・解除のポイント
はじめに
不要な権限はリスクになります。定期的に見直し、外部には必要最小限を与え、管理者交代時には確実に引き継ぎを行ってください。
定期的な見直し
- 見直し頻度は月次または四半期ごとが目安です。
- 最終ログインが90日以上や役割が変わったユーザーをリストアップして削除・無効化します。
最小権限の原則
- 役割ごとに権限をまとめ、グループで管理します。
- 例:外部委託には閲覧のみ、必要時に一時的に書き込み権限を付与します。
退職・委託終了時の手順
- まずアカウントを一時停止し、関係するAPIキーや共有パスワードを無効化します。
- 事後にアカウント削除やログの保管を行います。
管理者交代時の引き継ぎ
- 新旧管理者で権限リストを確認し、移行チェックリストに沿って実行します。
- 機密情報や鍵は安全に移管し、移行完了後に旧管理者の権限を取り消します。
ログと監査
- アクセスログを定期的に確認し、不審な操作があれば即時対応します。
- 監査の記録を残しておくとトラブル時に原因追及が容易です。
自動化の活用
- 有効期限付きの権限や承認ワークフローを導入するとヒューマンエラーを減らせます。
- 自動通知で期限切れや未使用アカウントを知らせる設定を検討してください。
まとめ・注意事項
主な確認手順
- アカウント確認:まずログイン中のGoogleアカウントが正しいかを確かめます。別のアカウントでアクセスしていると権限不足になります。
- 権限確認:サーチコンソールのユーザー管理画面で自分に必要な権限(所有者、フル、制限付きなど)が付与されているか確認します。具体例として、プロパティの表示だけだと編集はできません。
- 所有権証明:所有権の確認方法(HTMLファイル、DNSレコード、タグなど)が有効か確認します。証明に不備があると機能制限が残ります。
解決しないときの相談先
- サイト管理者:まず内部の管理者に連絡して権限付与を依頼してください。
- Google公式サポート:内部で解決できない場合は公式ヘルプやサポートに問い合わせます。
権限管理のポイント
- 定期的にユーザー一覧を見直し、不必要なアカウントは削除します。
- 付与は最小限に留め、必要に応じて段階的に権限を拡大します。
注意事項
- 同じブラウザで複数アカウントを使うと誤認識が起きやすいです。プライベートウィンドウや別プロファイルで確認してください。
- 重要な操作を行う前に所有権と権限を再確認するとトラブルを防げます。












