はじめに
本記事の目的
本記事は、Googleサーチコンソールの「Discover」機能について、仕組みから運用まで幅広く分かりやすく解説することを目的としています。初心者でも理解できるよう具体例を交え、実務で役立つポイントを丁寧に説明します。
読者対象
サイト運営者、コンテンツ担当者、SEO初心者やウェブ解析を学びたい方に向けています。専門用語は最小限にし、日常的な言葉で解説します。
本記事で得られること
- Discoverがどう表示されるかの基本
- サーチコンソールでのレポート活用法
- アクセス増加につなげるための実践的な対策
- 掲載の確認・制御方法や注意点
読み進め方
各章は独立して読みやすくしています。まず本章で全体像を掴み、必要な章を順に読んで実践してください。
Google Discoverとは
概要
Google Discoverは、ユーザーの興味や行動をもとに自動でおすすめ記事や情報を表示するフィード機能です。検索を入力しなくても、スマホのGoogleアプリやモバイルChromeで「自分向け」のコンテンツが並びます。元は「Google Feed」「Google Now」と呼ばれていた機能が進化したものです。
仕組みの概略
機械学習が検索履歴や閲覧履歴、位置情報、端末の設定、アカウントの興味情報などを分析して、個々人に合う記事を選びます。たとえば最近旅行先を調べた場合は現地のおすすめ記事が表示されやすくなります。
表示される場所と形式
主にAndroidのGoogleアプリとモバイルChromeで見られます。パソコンでは直接は表示されませんが、Googleニュースの「おすすめ」欄に近い表示になります。カード形式で見出しと大きな画像が並び、タップすると記事に移動します。
コンテンツの種類
最新ニュースだけでなく、ハウツー、レシピ、動画、スポーツ結果、ローカル情報など幅広く表示されます。パブリッシャーの記事もフィードに載ることがありますが、必ずしも全てが対象になるわけではありません。
プライバシーと設定
Discoverは個人データを利用します。ユーザーはアクティビティ管理やDiscoverの設定で表示内容を調整・オフにできます。
Google検索との違い
検索（ユーザーが主導）
Google検索は、ユーザーが入力したキーワード（検索クエリ）に合わせて結果を返します。たとえば「簡単なチキンレシピ」と検索すると、ユーザーはその時点で情報を能動的に求めています。目的がはっきりしているため、具体的な答えや手順が優先されます。
Discover（Google Discover）はレコメンド型
Discoverはユーザーの興味・関心や過去の行動をもとに、自動でカード形式の情報を表示します。検索のようにキーワードを入れる必要はなく、利用者がまだ明確に求めていない話題も提案します。たとえば普段料理記事をよく読む人に、新しいレシピや食材の特集が届きます。
主な違い（簡潔に）
- ユーザーの動機: 検索は「探す」、Discoverは「提案される」
- トリガー: 検索は入力、Discoverは興味・閲覧履歴・地域など
- コンテンツの性質: 検索は質問への直接的な回答、Discoverは興味を引く記事や新着情報
- 表示のコントロール: 検索は上位表示を目指す施策が重要、Discoverはコンテンツの魅力（タイトル・画像・関連性）が鍵
具体例
検索: 「名古屋のおすすめランチ」→ 地図や店舗情報を表示
Discover: 普段グルメ記事を読む人に名古屋の特集記事をおすすめ表示
これらの違いを理解すると、どのようなコンテンツを用意すべきかが明確になります。
サーチコンソールのDiscoverレポートとは
概要
Googleサーチコンソールの「Discover」レポートは、Discover経由での表示やクリックの状況を確認する画面です。どの記事がどれだけユーザーに届いたかを把握できます。
主な指標
- 表示回数（Impressions）: Discover上でカードが表示された回数
- クリック数（Clicks）: 表示から実際に記事が開かれた回数
- クリック率（CTR）: クリック数÷表示回数で算出
- 表示されたページ: どのURLが表示されたか
- 表示日付: いつ表示されたか（期間指定可能）
- 国・デバイス: どの国や端末で表示されたか
使い方のポイント
サーチコンソールで「検索パフォーマンス」→「Discover」を選び、期間や国で絞り込みます。ページ別に並べ替えて、よく表示される記事やCTRの低い記事を見つけます。
解釈のヒント（具体例）
- 表示が多くCTRが低い：タイトルやサムネイル画像を改善すると効果が出やすい
- CTRは高いが表示が少ない：記事の露出を増やす工夫（関連コンテンツの強化）を検討
注意点
データに遅延があったり、少ないデータは匿名化され表示されないことがあります。またDiscoverは検索結果と選定基準が異なるため、両方を併用して分析してください。
簡単な分析手順
- 期間を決める（例：過去28日）
- 表示回数上位の記事を抽出
- CTRやクリック数と照らして改善施策を検討
このレポートを定期的に確認すると、Discover経由の流入を把握しやすくなります。
Google DiscoverのSEO・アクセスへの影響
概要
Discoverに掲載されると、突発的に大量のアクセス（通称「Google砲」）を受ける可能性があります。検索経由と違い、ユーザーの興味関心に基づいて配信されるため、短期間で高いエンゲージメントを得やすいです。
トラフィックへの効果
掲載直後にアクセスが集中し、PVや新規ユーザー数が急増します。滞在時間やページビュー／セッションが改善することが多く、結果的にサイト全体の指標が良く見える場合があります。
SEOへの間接的な影響
Discover自体が検索順位を直接変える訳ではありません。しかし、掲載によってSNSで拡散されたり被リンクが増えたりすると、長期的に検索流入が増える可能性があります。
リスクと注意点
流入は短期的で変動が大きいです。サーバー負荷やアクセス解析の混乱に備えておきます。コンテンツとタイトルのミスマッチはCTR低下につながります。
計測と評価
Search ConsoleのDiscoverレポートやGoogle Analyticsで、インプレッション、クリック、CTR、滞在時間などを定期的に確認します。
短いまとめと実務的アドバイス
Discoverは一時的なトラフィック増をもたらします。掲載のチャンスを最大化するには、画像とタイトルを整え、ページ速度や表示崩れに備えると良いです。
Discoverに表示されるための対策・最適化
基本方針
Discoverはユーザーの関心や鮮度を重視します。特定のテーマに沿って、読み手が知りたい情報を短時間で得られる内容を心がけます。
高品質なコンテンツ作成
具体的には「問いに答える」「実例を示す」「見出しで要点を整理する」を意識します。たとえば手順やチェックリストを入れると読みやすくなります。
タイトルとリードの工夫
興味を引く見出しにしますが、誇張は避け正確に伝えることが重要です。冒頭（リード）で結論や価値を提示するとクリックにつながりやすいです。
画像の最適化
大きく鮮明な画像を使います。推奨は横長で高解像度（例: 1200×628以上）。alt属性やog:imageを設定し、画像がコンテンツと合致することを確認します。
モバイル対応と表示速度
モバイルでの見やすさを最優先にします。画像圧縮、遅延読み込み、不要なスクリプト削減で表示速度を改善します。
E-A-T（専門性・権威性・信頼性）の向上
著者情報や出典、更新日を明示します。専門的な内容は根拠を示し、信頼できる参照を入れます。
技術的なチェック
構造化データや正しいcanonical、OGタグの実装を確認します。必要ならAMPやページのモバイル最適化も検討します。
テストと改善
Search ConsoleのDiscoverレポートやアクセス解析で反応を見て、タイトルや画像、導入文を改善します。小さな変更を繰り返し効果を確かめます。
Discoverの表示を確認・管理する方法
アクセス方法
- Googleサーチコンソールにログインします。2. 対象のプロパティを選びます。3. 左メニューの「検索パフォーマンス」を開き、タブから「Discover」を選択します。これでDiscover専用のデータ画面が表示されます。
レポートで確認できる主な項目
- 表示回数（インプレッション）
- クリック数
- クリック率（CTR）
- 日付別の推移
- 「ページ」「国」「デバイス」ごとの集計
表示状況の絞り込み・分析方法
- 日付範囲を比較して増減を確認します。
- 「ページ」タブでどの記事が表示されているかを特定します。
- 国やデバイスで傾向を見て、ターゲットに合うかをチェックします。
- データはCSVでエクスポートして、さらに細かく分析できます。
問題や変動があったときの確認ポイント
- 表示が急増・急減した場合は、該当ページの画像やコンテンツが変更されたかを確認します。
- インデックス状況やクロールエラーは「URL検査」で調べます。
- ポリシー違反や自動化による非表示の可能性がある場合はSearch Consoleの通知を確認します。
日常的な管理のコツ
- 定期的にDiscoverレポートをチェックしてトレンドを掴みます。
- 表示が多い記事の共通点（見出し、アイキャッチ画像、内容の切り口）を記録して、他記事に応用します。
- データは短期的な変動と長期的な傾向の両方で見ると有益です。
Discover掲載を制御したい場合
概要
Discoverへの掲載を望まないときは、表示を減らしたり完全に除外したりできます。方法はページ単位とサイト全体の二通りが基本です。目的に合わせて選んでください。
サーチコンソールでの確認と設定
まずはSearch ConsoleのDiscoverレポートを確認し、どのページが掲載されているかを把握してください。プロパティごとにレポートが出るので、掲載状況に応じて対処方針を決めます。Search Consoleの設定画面でDiscover関連のオプションがあるか確認してください（画面は変更されることがあります）。
ページ単位での除外方法（具体例）
- メタタグでnoindexを付ける：検索とDiscoverの両方から除外したい場合は、該当ページのに次を入れます。
- サーバーヘッダーでX-Robots-Tagを使う：静的ファイルやPDFなどにも適用できます。
X-Robots-Tag: noindex - 画像のプレビューを制限する：Discoverは大きな画像を使ったカードを表示します。画像プレビューを制限すると掲載されにくくなります。
これらはページ単位での確実な方法です。公開中の特定記事だけ除外したいときに便利です。
サイト全体での制御
サイト全体でDiscoverを止めたい場合は、全ページにnoindexを付与するか、サーバーで共通ヘッダーを追加します。ただしサイトを検索結果からも消すことになるのでトラフィックに大きな影響が出ます。目的を明確にしてから実行してください。
注意点と確認方法
- 反映には時間がかかります。設定後すぐにDiscoverから消えないことがあります。
- noindexにすると検索結果からも除外されます。アクセス減少のリスクを考慮してください。
- 設定後はSearch Consoleやアクセス解析で掲載状況とトラフィックを定期的に確認してください。
上記の方法で、掲載の範囲や見え方をコントロールできます。まずは小さな範囲で試して、影響を見ながら拡大することをおすすめします。
今後のアップデートや展望
背景と留意点
Google Discoverは今後も機能や名称が変わる可能性があります。アルゴリズムや表示ルール、画像の扱いなどが更新されると、表示傾向が変わり得ます。そのため最新情報に注意し、柔軟に対応する姿勢が大切です。
運用で心がけること
- 公式情報を定期確認：Googleの公式ブログやSearch Consoleの通知を受け取るようにします。
- 指標の監視：Discoverレポートでインプレッションやクリック、滞在時間を週次で確認します。
- 小さな実験を繰り返す：見出しやリード文、画像を変えたABテストで効果を測ります。
具体的な対応策
- 常にモバイル表示を最優先にし、読み込み速度を改善します。
- 魅力的で誤解を招かない見出しと高品質な画像を用意します。
- コンテンツのテーマを分散させ、Discover頼みにならない流入経路も育てます。
柔軟性とリスク管理
新しい仕様で表示が減ることもあります。被害を最小化するため、SNSやニュースレターなど別の集客経路を併用してください。定期的な振り返りで方針を見直すと安心です。
