はじめに
本書の目的
本書は、オウンドメディア(自社サイトやブログ)を立ち上げる際にかかる費用を、わかりやすく整理することを目的としています。初期投資の目安や費用の内訳、運用にかかるコスト、外注の相場や低コストでの立ち上げ方まで網羅します。
対象読者
企業のマーケティング担当者、予算を検討する経営者、個人でサイトを始めたい方など、これからオウンドメディアを作るすべての方を想定しています。専門知識がなくても理解できるよう説明します。
本書の構成と使い方
第2章から第9章までで、費用相場、内訳、複数のシミュレーション、規模別の費用、運用費、外注費、最小投資での立ち上げ方法を順に解説します。章ごとに具体例を示すので、自社の状況に当てはめて読み進めてください。
読み方の注意
金額は目安です。実際の費用はサービス内容や外注先、制作規模で変わります。必要に応じて複数の見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
オウンドメディア構築にかかる費用相場
概要
オウンドメディアの立ち上げ費用は、規模や求める機能で大きく変わります。一般的な目安は初期投資で100〜300万円程度です。これはデザインやシステム構築、初期コンテンツ作成を含めた金額です。
初期費用の目安
- 小規模(個人・副業向け):20〜50万円
- テーマ購入やテンプレート利用、最低限のページ構成で始める場合の費用です。
- 中規模(企業の標準運用):100〜300万円
- カスタムデザイン、CMS設定、数十記事のコンテンツ制作を含みます。
- 大規模(マーケティング重視):500万円以上
- 専門機能、SEO対策、外部ツール連携、専任チームの構築が必要な場合です。
具体的な内訳の例
- テーマ・デザイン:1〜50万円
- 開発・カスタマイズ:10〜200万円
- 初期コンテンツ(記事・画像):10〜100万円
備考と抑えるポイント
テンプレート利用や外注先の選定で費用は大きく変わります。まずは目的を明確にし、必要最小限から始めると無駄を省けます。
構築費用の主な内訳
概要
オウンドメディア構築で発生する代表的な費用項目と目安を、具体例を交えて丁寧に説明します。
戦略設計・マーケティング費(目安:10〜30万円)
ターゲット分析、コンテンツ設計、SEO方針などを含みます。小規模なサイトなら10万円前後、ブランド戦略を深める場合は20〜30万円かかります。
デザイン・コーディング費(目安:30〜80万円)
テンプレート利用なら低め、オリジナルデザインやレスポンシブ対応、フロント・バックエンド開発が加わると高くなります。
コンテンツ制作費(目安:2〜30万円)
記事ライティング、画像・動画制作を含みます。1本の専門記事で1〜3万円、写真や動画を追加すると費用が増えます。
サーバー代(目安:月額500円〜/専用は5,000円〜)
共用サーバーは安価、トラフィックやパフォーマンス重視なら専用やクラウドを選びます。
ドメイン代(目安:年1,000〜3,000円)
取得と更新費用です。プレミアムドメインは別途高額になります。
CMS費(目安:無料〜月1万〜10万円)
WordPressは無料で始めやすいです。機能豊富な有料CMSは月額が発生します。
その他の費用
SSL(無料あり)、解析ツール、外部API、撮影費、翻訳、テスト・保守などが発生します。
コスト削減のポイント
- 初期はテンプレ・WordPressで始め、必要に応じて機能追加する
- 写真はストック素材を活用する
- コンテンツは優先度を決めて段階的に制作する
これらで無駄を抑えつつ品質を確保できます。
複数の費用シミュレーションパターン
オウンドメディアの立ち上げには規模や外注範囲で大きく費用が変わります。ここでは代表的な4つのパターンを、想定費用と内訳の例、向き不向きを挙げて分かりやすく説明します。
1. フルサポートパターン(初期:約240万円、運用:月額90〜95万円)
外注で設計から記事作成、広告運用、分析まで一括委託するプランです。内訳例:サイト制作(70万)、コンテンツ作成(80万)、SEO設計(30万)、初期広告(30万)、ツール・保守(30万)。運用費は編集チーム、人件費、外部ライター、広告費を含みます。メリットは短期間で高品質な立ち上げが可能な点。リソースが足りない中堅〜大手に向きます。
2. WEB制作会社のコンサル利用パターン(立ち上げ:約230万円、運用:月額15〜18万円)
制作会社が設計や導線改善、月次コンサルを提供します。内訳例:制作(90万)、コンサル設計(50万)、初期コンテンツ(40万)、ツール設定(20万)、予備(30万)。運用費は月次コンサルと軽めの編集作業が中心です。内部に編集人員があり外注を抑えたい企業に適します。
3. 最小限リソースパターン(初期:約106万円)
内部担当者と少数の外部ライターで立ち上げる低コスト案です。内訳例:テンプレート制作(30万)、最低限のコンテンツ作成(40万)、基本ツール(20万)、初期調査(16万)。ランニングは主に内部人件費。費用を抑えて試験的に始めたい小規模事業向けです。
4. 低コスト立ち上げパターン(初期:約170万円)
テンプレート活用や外注を絞りつつ広告投下で初速を狙う中間案です。内訳例:カスタム制作(50万)、コンテンツ強化(60万)、広告(30万)、運用ツール(30万)。短期での集客も視野に入れたいが内製も進めたい場合に合います。
各パターンは前提条件(目標、想定PV、人員数)で変動します。まず目標と社内の体制を明確にして、最適なパターンを選んでください。
立ち上げ規模による費用区分
はじめに
オウンドメディアの立ち上げ費用は、目的や求める品質で大きく変わります。ここでは実務でよく分けられる3つの規模別に、典型的な費用項目と活用例をわかりやすく説明します。
1)低コスト重視(0~20万円)
- 主な内容:無料/安価なCMSやテンプレート使用、ドメイン・レンタルサーバー、初期記事は自作
- 目安:ドメイン+サーバー数千〜1万円、テーマやプラグイン数千〜2万円
- 向く場合:まず試したい、社内で運用する、小規模の情報発信
2)オリジナリティ重視(20~100万円)
- 主な内容:デザイン調整、ロゴ制作、外注での記事作成(数本)、簡単な機能追加(問い合わせフォーム等)
- 目安:デザイン数万円〜、記事外注1本数千〜数万円
- 向く場合:ブランドを打ち出したい、見た目や導線にこだわる
3)本格的な集客メディア(100万円以上)
- 主な内容:フルカスタム設計、システム連携、継続的なコンテンツ制作と改善、初期広告予算
- 目安:設計・開発で数十万〜数百万円、運用体制の構築費用も必要
- 向く場合:主要な集客チャネルに育てたい、複雑な機能が必要
選び方のポイント
目的・予算・社内リソースを整理して決めてください。まず小さく始めて、成果に応じて投資を増やす方法が現実的です。
立ち上げ後の運用費用
概要
オウンドメディアの月額運用費はおおむね90〜130万円が相場です。これはコンテンツ作成・更新、サイト分析、導線改善など、継続的に成果を出すための業務を含んだ金額です。
主な業務と役割
- コンテンツ制作:記事執筆、編集、画像や動画の制作。定期的な投稿で読者を維持します。
- サイト保守:CMSの更新、サーバー管理、軽微なバグ対応を行います。
- 分析と改善:アクセス解析、キーワードの追跡、改善施策の立案と実施。
- 導線改善:ランディングページやCTAの見直し、A/BテストでCVRを高めます。
- 広報・SNS運用:記事拡散やコミュニケーションを通して流入を増やします。
費用の内訳例(目安・月)
- コンテンツ制作:30〜60万円
- 分析・改善:15〜30万円
- サイト保守:10〜20万円
- 導線改善・デザイン:10〜20万円
- SNS/広告運用:10〜20万円
- PM(進行管理):10〜20万円
合計で90〜130万円が目安になります。
コストコントロールの考え方
効果の高い業務に投資することが重要です。まずはアクセス解析で効果の出る施策を見極め、優先度の高い領域に予算を集中させると効率が上がります。必要に応じて一部を内製化する方法も検討してください。
外注による運用代行費用
外注での運用代行費用は、目的と範囲によって幅があります。代表的な目安は次の通りです。
- 記事制作:1記事あたり5万~8万円
- 月額運用代行:月20万~50万円(コンテンツ企画、制作、編集、簡易解析を含む)
- 新規制作・サイトリニューアル:120万~800万円
- 一貫代行(企画から運用まで):600万円以上
- 初期費用:10万~50万円程度(戦略設計、編集体制構築、ガイドライン作成など)
何が含まれるか
– 記事単価は取材の有無、専門性、SEO対策の深さで変わります。取材や専門家監修があれば上限に近づきます。
– 月額には編集、進行管理、簡易な解析・レポートが含まれることが多いです。高度な分析や広告運用は別料金になることが多いです。
発注時の注意点と選び方
– 成果指標(KPI)を明確にし、レポート頻度を契約書に残してください。
– 成果報酬型か定額型かを比較し、リスク配分を確認します。
– 編集ガイドライン、納期、修正回数、著作権扱いを事前に取り決めましょう。
コスト節約のポイント
– テンプレート化や既存コンテンツの流用で制作単価を下げられます。定期発注で割引を交渉する方法も有効です。
内製化への移行
– 外注で運用ルールや体制を整え、徐々に記事制作や編集を内製化すると総コストを抑えやすくなります。
最小限の投資での立ち上げ
前提
既存のWordPressテーマを活用すると、短期間で低コストにオウンドメディアを立ち上げられます。デザインや機能があらかじめ用意されているため、開発工数を大幅に減らせます。
費用の目安
- 市販テーマ購入:1〜3万円(例:有料テーマを1本購入)
- 基本設定・簡易カスタマイズ:5〜15万円(ロゴ・色・レイアウト調整、ヘッダー・フッター実装)
- サーバー設定・公開:2〜5万円(サーバー契約、SSL設定、ドメイン設定)
合計:10〜20万円が現実的な目安です。カスタマイズの自由度は限定されます。
コストを抑える具体的手順
- 機能を絞る:まず必要な機能(記事表示、カテゴリ、問い合わせ)だけに絞ります。
- 信頼できる有料テーマを選ぶ:サポートと更新があるテーマは長期的に安くなります。
- 無料プラグインを活用:SEO、フォーム、キャッシュなどは実装済みの無料プラグインで対応できます。
- 子テーマで小さな調整:大きな設計変更は避け、CSSやテンプレートの小修正に留めます。
運用上の注意点
- デザインや機能の大幅変更は追加費用がかかるので、最初に優先順位を決めてください。
- テーマやプラグインの更新はセキュリティ上重要です。定期的な更新とバックアップを行ってください。
第9章: 結論
オウンドメディアの立ち上げには、目的と規模に応じて必要な投資が大きく変わります。本章では要点をまとめ、実務で使える指針を示します。
必要な初期投資の目安
- 最小限の立ち上げ:10〜20万円
- 標準的な立ち上げ:100〜300万円
- 本格的な体制構築:300万円以上
これらはあくまで目安です。企業規模、目指すコンテンツの質、外注範囲によって上下します。
費用が変動する主な要因
- コンテンツ制作(記事や動画)の量と質
- デザイン・システム開発の範囲
- SEOや広告による集客戦略
- 継続的な運用体制(人員、ツール費)
実務的なアドバイス
- 長期予算を確保してください。オウンドメディアは成果が出るまで時間がかかります。
- 段階的に投資して成果を検証しましょう。まずは最小限で始め、効果が出れば拡大する方法が現実的です。
- 外注と内製のバランスを見直してください。外注は短期で質を担保できますが、運用コストが継続します。
- KPI(訪問数・問い合わせ数など)を設定し、定期的に見直しましょう。
最後に、費用の大小よりも「目的に合った計画」と「継続できる体制」が重要です。適切な予算配分と段階的な実行で、着実に価値を積み上げてください。











