はじめに
オウンドメディアは、自社の情報を伝え、見込み客と関係を築く大切な場です。本書は「導線設計」に焦点を当て、集客からコンバージョンまでの道筋をわかりやすく解説します。
目的
– 読者がサイト内で迷わず行動できる導線を設計できるようにすることです。具体例として、記事閲覧→資料請求フォーム→問い合わせまでの流れ作りを想定します。
読者想定
– オウンドメディアの運用担当者、コンテンツ制作に関わる方、マーケティング初心者まで幅広く対応します。専門用語は最小限にし、具体例を交えて説明します。
本書の構成と読み方
– 第2章で導線の基本と動線との違いを説明し、第3章で重要性を示します。第4章で実際の設計ステップを順を追って紹介します。まずは全体像をつかみ、必要な章を順に読んでください。
オウンドメディアにおける「導線」とは何か
導線の定義
導線とは、サイト訪問者を最終的なゴール(コンバージョン)まで導くための理想的な経路です。英語ではuser flowsと呼び、どのページを経由しどんな行動を取ってほしいかを設計します。設計図のような役割です。
導線と動線の違い
導線は企業が想定する理想ルート、動線は実際のユーザー行動(アクセス解析で把握)を指します。理想と実測を比べることで改善点が見つかります。
導線に含まれる主な要素
- 入口(検索・SNS・広告など)
- 記事や関連コンテンツの遷移
- CTA(ダウンロード、メルマガ登録、セミナー申し込みなど)
- ゴール(商談・購入など)
具体例
例えば「記事閲覧 → 関連記事 → ホワイトペーパーダウンロード → メルマガ登録 → 商談案内」という一連の流れが導線です。接点が複数にまたがるシナリオ全体を設計します。
最初に押さえるべきこと
まず、目標(ゴール)と想定するユーザー行動を明確にします。次に各ページでの誘導(どのCTAを置くか)を決め、実際のデータで動線と比較して改善します。
オウンドメディアに導線設計が欠かせない理由
導線が弱いと何が起きるか
検索やSNSから訪問はあっても、次に何をすべきか示されなければユーザーは迷って離れます。たとえば、良い記事にたどり着いても関連情報や問い合わせ先が見つからなければ、期待していた行動(問い合わせ・購入など)にはつながりません。結果として流入はあっても成果が上がらない状態になります。
導線設計の本質
導線設計は、ユーザーの知りたいことや行動を予測して、最短で答えにたどり着ける道筋を用意することです。具体的には「この記事を読んだ人は次にこれを読む」「商品ページへはこう誘導する」「問い合わせはこの流れで行う」といったルートを作ります。こうすることで迷いを減らし、自然に次の行動へつなげます。
期待できる効果(具体例で説明)
- 離脱率の低下:必要な情報へスムーズに誘導することで途中離脱が減ります。
- 回遊性の向上:関連記事やカテゴリリンクで複数ページを見てもらえます。
- コンバージョン率の向上:適切な場所に設置したCTAや導線で問い合わせ・購入の動線が短くなります。
集客導線と成果導線、両方の設計が不可欠な理由
集客導線は入り口(SNS・検索・広告)をどう作るか、成果導線は出口(問い合わせ・購入)をどう作るかです。入口だけ整えても出口が不十分だと成果になりませんし、出口だけ考えてもそもそもの流入が足りません。両方をつなげることで最大の効果が出ます。
実務で気をつけること(短いチェックリスト)
- ユーザージャーニーを描く(検索→閲覧→行動の流れを想像する)
- CTAは目立ち、かつ文言で行動を促す
- 内部リンクは自然に、関連性を重視する
- ランディングページは情報を絞り最短で行動できるようにする
- KPI(CVR、離脱率、滞在時間など)を設定して改善を続ける
導線設計は特別な技術ではなく、ユーザーの立場で「次に何をしたいか」を想像し、最短ルートを用意することです。これを意識するだけで離脱が減り、成果につながりやすくなります。
オウンドメディア全体の導線設計のステップ
はじめに
導線設計はゴールから逆算して作ります。まず達成したいコンバージョン(BtoBなら資料請求・問い合わせ、BtoCなら購入・会員登録など)を明確にしてください。
ステップ1:ゴールを定義する
・最優先のゴールを1〜3つに絞ります。例:資料請求を月100件、EC購入率1.5%など。
ステップ2:ペルソナとユーザーストーリーを整理する
・代表的なユーザー像とその課題、期待する行動を書き出します。具体例を用いると実務で使いやすくなります。
ステップ3:流入チャネル別に経路を設計する
・検索流入、SNS、メール、広告などチャネルごとに期待行動が違います。流入元に応じた導線を用意してください。
ステップ4:入口ページごとに導線を定義する
・各入口(トップ、カテゴリ、記事、ランディング)で取るべき次の行動を決めます。記事なら関連コンテンツ導線とCTAを目立たせます。
ステップ5:サイト構造を論理的に設計する
・迷路のようにならないよう、階層と内部リンクを整理します。重要ページへは3クリック以内を目安にします。
ステップ6:ページレベルで理想のユーザーフローを描く
・記事の導入→問題提起→解決策→関連ページ→CTAの流れを作ります。CTAは文脈に合わせて複数用意すると効果的です。
ステップ7:計測と改善の仕組みを入れる
・KPIと計測方法を決め、A/Bテストで改善します。定期的にユーザー行動を見て導線を調整してください。











