はじめに
本調査の目的
本調査は「オウンドメディア 大阪」に関する情報を分かりやすくまとめることを目的としています。大阪地域で実際に運用されているオウンドメディアの成功事例、支援企業、大学や製造業での活用例を取り上げ、地域特性を生かしたメディア戦略や具体的な運営成果、直面した課題まで多角的に紹介します。
対象読者
地域密着型の情報発信に関心がある経営者や広報担当者、自治体関係者、大学の広報担当、そしてこれからオウンドメディアを始めたい個人やチームを想定しています。専門用語は最小限に抑え、実例中心に解説します。
調査の範囲と方法
大阪府内の企業・団体が運営するオウンドメディアを対象に、公開情報・事例紹介・インタビュー等をもとに整理しました。成功要因と課題を中心に、実践で使えるヒントを抽出しています。
本書の構成
全6章で構成します。第2章以降で具体的な成功事例（大阪ガスのプロモーションや大学のオウンドメディアなど）、支援企業の紹介、地域メディアの取り組み、製造業での活用事例を順に解説します。各章ごとに運営のポイントと学べる点を整理しています。
大阪ガス「関西おでかけ手帖」- 体験型ふるさと納税プロモーションの成功事例
背景
大阪ガスは2023年に「関西おでかけ手帖」を立ち上げ、体験型のふるさと納税を広めることを目的に情報発信を始めました。ガス事業で築いた加盟店ネットワークを活用し、地域の魅力や店舗の体験プログラムを寄附の返礼品と結びつけました。
施策の特徴
- 店舗ページと寄附ページの連動：実際に訪れる楽しさを伝える写真やレビューを掲載し、寄附につながる導線を設計しました。
- 加盟店ネットワーク活用：地域の飲食店や体験事業者と協力し、現地で使えるクーポンや体験券を返礼品に設定しました。
- コンテンツ中心の運用：イベントレポートや参加者の声を定期的に配信し、利用イメージを具体化しました。
成果
立ち上げから半年で月間10万PVを達成し、その後最大で20万PVに成長しました。閲覧数増加に伴い、体験型返礼品の認知が広がり、加盟店の来客増加にもつながりました。
課題と今後の展望
現在は複数サービスの情報整理と、地域優先での展開が課題です。今後は返礼品の分類を明確化し、地域ごとの魅力をより伝える導線改善が求められます。
大学オウンドメディアの事例 – 教育機関での活用
背景
大学は研究成果や教育内容、キャンパスの雰囲気を伝える必要があります。オウンドメディアは自校の魅力を長期的に発信し、受験生や保護者、地域とつながる有力な手段です。
代表的な事例
- 明治大学「Meiji.net」：研究紹介と学生インタビューを組み合わせ、専門性と日常性を両立しています。
- 近畿大学「Kindai Picks」：学生が企画・制作に関わることで現場感のあるコンテンツを豊富に掲載しています。
- 千葉大学「CHIBADAI NEXT」：研究成果の社会実装や連携事例を分かりやすく紹介しています。
成功のポイント
- 目的に応じた情報設計：受験生向け、研究者向け、地域向けで導線を分けると見つけやすくなります。
- 継続的な更新：定期的な企画と学生参加で新鮮さを保ちます。
- KPIの設定：閲覧数、滞在時間、問い合わせや出願数など、成果を測れる指標を置きます。
- CMS導入：非専門者でも更新できる仕組みが運用負荷を下げます。
学生参加型の効果
リアルな学生の声や日常を伝えると、受験生が入学後のイメージをつかみやすくなります。写真や動画、SNSとの連携も効果的です。
大阪のコンテンツマーケティング支援企業
概要
大阪にはオウンドメディア運営を支援する企業が多数あります。地域事情に詳しい会社や、SEOや記事制作に強い専門チームを持つ会社など、規模や得意分野が多様です。中小事業者から大手企業まで、目的に合わせた支援を受けられます。
主なサービス
- コンテンツ戦略の立案：ターゲット設定やテーマ設計を行います。
- 記事制作・編集：ライターが取材・執筆・校閲まで担います。
- SEOコンサルティング：検索で見つかりやすくする施策を提案します（専門用語を噛みくだいて説明します）。
- SNS運用・広告連携：拡散や集客の支援をします。
- 効果測定・改善：アクセス解析を基に改善案を出します。
企業のタイプ例
- 総合デジタルエージェンシー：広告から運用まで一気通貫で対応。
- コンテンツ特化型：記事品質や編集体制に強みあり。
- ローカル特化の小規模会社：大阪エリアのネットワークを活かす。
選び方のポイント
- 実績と事例：自社と近い業種の事例があるか確認します。
- 体制と分担：制作、編集、分析を誰が担当するか明確かを見ます。
- 成果の測り方：KPIと報告頻度を合意しておきます。
- コミュニケーション：相談しやすいかを重視します。
導入の流れ（一般的）
- 相談・現状把握
- 診断・戦略提案
- 試作やトライアル（短期）
- 本格運用と定期改善
費用感の目安
小規模の運用代行は月額数万円から、中〜大規模の戦略運用は月額十万円台〜が一般的です。初期費用が別途発生する場合があります。
各社で得意領域が異なります。まずは目的を整理して複数社に相談すると良いでしょう。
ローカルメディアの成功事例 – 大阪ルッチ
概要
大阪ルッチは東京ルッチ系列の大都市情報メディアで、大阪のおでかけ、観光、グルメ、ATMガイドなど、旅行者にも役立つ情報を幅広く掲載しています。とくに“珍スポット特集”のような独自の切り口で地域の魅力を発信し、地元の読者と観光客の両方に支持されています。
成功の要因
- 地域に即した企画力：大阪独自の文化や風習をテーマに据え、他にはない視点で記事を作ります。
- 実用性の高い情報提供：アクセス方法や営業時間、予算目安など実際に役立つ情報を丁寧に書きます。
- 親しみやすい表現：専門用語を避け、写真や地図を使って分かりやすく伝えます。
コンテンツの特徴
- 特集性：季節ごとの特集や、穴場スポットの連載でリピーターを増やします。
- 多様なフォーマット：記事、写真、インタビュー、動画といった形式を使い分けます。
読者への価値
読者は目的に合った情報を短時間で得られます。観光客は効率よく観光プランを立てられ、地元の人は知らなかった魅力に気づきます。地域の店舗や施設は露出が増え、集客につながります。
他地域への応用
同様の手法は他都市でも有効です。地域の独自性を掘り下げ、実用的で親しみやすい情報を継続して提供すれば、ローカルメディアは読者と地域をつなぐ強力な媒体になります。
製造業でのオウンドメディア活用 – 東海バネ工業
概要
東海バネ工業は「ばね探訪」という専門メディアを運営し、ばねの技術知識や活用事例を発信しています。専門性を前面に出すことで、業界内外の信頼を築き、問い合わせや採用につなげています。
狙いと戦略
- 技術担当者や設計者を主要読者に設定します。
- 専門的な解説と実例をバランスよく配信します。
- 長期的な検索流入（ロングテールキーワード）を重視します。
コンテンツの例
- 製造工程の写真付き解説
- 材料特性や選定ガイド
- 実際の採用事例と課題解決のプロセス
- 動画での工程紹介やインタビュー
得られる効果
- 技術力の見える化で信頼獲得につながります。
- 問い合わせの質が上がり商談につながりやすくなります。
- 採用面でも専門性をアピールできます。
導入のポイント
- 社内の技術者を記事作成に巻き込みます。
- 難しい内容は図や動画でわかりやすく示します。
- 継続的な更新と問い合わせ対応の仕組みを整えます。
注意点
- あまり専門用語だけに偏らないように配慮します。
- 機密情報は公開せず、一般的な知見や事例に留めます。
