はじめに
目的
この章では本ドキュメントの目的をわかりやすく示します。対象はWeb担当者、個人サイト運営者、初心者向けです。検索エンジンにコンテンツを正しく見つけてもらうための基本概念「クローラビリティ」を丁寧に説明します。
背景
クローラビリティとは、検索エンジンのクローラーがサイト内のページを効率よく巡回し、情報を集められる状態を指します。SEO対策の基礎であり、インデックスや表示順位に大きく影響します。例えばページが見つからない、リンクがたどれない場合、検索結果に出にくくなります。
本ドキュメントの構成と使い方
全7章で構成します。第2章で定義を明確にし、第3章で良好なサイトの特徴を紹介します。第4章でSEOとの関係を説明し、第5章で似た用語との違いを整理します。第6章では改善方法を具体的に示します。各章は実例を交えて、すぐに実践できるポイントを優先して解説します。
読むことで得られること
クローラビリティの基本理解、問題の見つけ方、改善の第一歩がわかります。専門知識がなくても取り組める手順を示しますので、順に読み進めてください。
クローラビリティとは何か
定義
クローラビリティ(Crawlability)とは、検索エンジンのクローラーがWebサイトのページを見つけ、巡回し、情報を取得しやすい状態を指します。言い換えると「機械がサイトを理解しやすいかどうか」です。具体的にはURLをたどれること、コンテンツが読み取れることが重要です。
仕組みの簡単な説明
検索エンジンはクローラーという自動プログラムでサイトを巡回します。トップページや外部リンク、サイトマップからたどり、リンク先のページを次々に読み取ります。読み取った情報は後でインデックスに登録され、検索結果に表示されます。
よくある障害と具体例
- 内部リンクが少ない:孤立したページは発見されにくいです。例)トップページからリンクがない古い記事。
- JavaScriptやフォームで生成されたリンク:クローラーが見落とすことがあります。例)ボタンを押さないと表示されるページ。
- robots.txtやnoindex:意図的にブロックするとクローラーは入れません。
- 大量のページ(クロール予算):ページ数が多いと全て回れない場合があります。
日常的に確認すべきポイント
- サイトマップ(XML)を用意する。
- 意味のある内部リンクを張る。
- robots.txtやmetaタグで不要なページを正しく制御する。
- 動的コンテンツは検索エンジンが読み取れる形で提供する。
以上がクローラビリティの基本です。次章では、クローラビリティが高いサイトの具体的な特徴を紹介します。
クローラビリティが高いサイトの特徴
はじめに
クローラビリティが高いサイトは、検索エンジンのクローラーがページを見つけやすく、効率よく巡回できる状態です。ここでは具体的な特徴を分かりやすく説明します。
明瞭なナビゲーションと階層構造
・メニューやパンくずリストでページの位置が分かることが大切です。トップ→カテゴリ→記事のように深さを抑えるとクローラーが速く巡回できます。例:トップ→製品→コーヒー豆。
理解しやすいURLとHTML
・URLは短く意味が分かるものにします(例:/products/coffee)。
・HTMLでは見出しタグ(h1/h2)やalt属性を正しく使い、構造を明示します。
内部リンクが充実している
・関連記事やカテゴリーから適切にリンクを張ると、クローラーが新しいページを発見しやすくなります。
・アンカーテキストは内容を示す言葉にします(例:「エチオピア産の特徴を見る」)。
サイトマップとrobots.txtの適切な設定
・XMLサイトマップで重要なページを一覧にします。
・robots.txtは公開すべきページを許可し、管理画面などだけを除外します。
ページ速度とモバイル対応
・表示が速いほどクローラーが多くのページを巡回できます。画像の最適化や遅延読み込みが有効です。
・スマホで問題なく表示されることも重要です。
エラーページと重複コンテンツの管理
・404は分かりやすい専用ページを用意し、移動したページは301リダイレクトで正しい場所へ誘導します。
・重複がある場合はcanonicalタグで代表ページを示します。
セキュアで安定したアクセス
・HTTPSで通信を保護し、サーバーの応答が安定していることが必要です。クローラーが繰り返しアクセスできる状態を保ちます。
SEOにおけるクローラビリティの重要性
クローラビリティが検索にどう影響するか
クローラビリティとは、検索エンジンのクローラーがサイトを見つけ、読み取れるかどうかを指します。クローラーが容易にページを辿れると、内容を速くインデックスし、検索結果に反映されやすくなります。例えば新しい記事や商品ページを素早く見つけられると、検索経由の流入が早く増えます。
クローラビリティが低いと起きる問題
クローラーがページに到達できないと、そのページはインデックスされません。結果として検索結果に表示されず、訪問者や売上機会を失います。技術的な例としては、誤ったrobots.txtの設定やnoindexタグ、壊れた内部リンクなどがあります。
ビジネスへの具体的な影響
更新頻度の高いサイトやキャンペーンページでは、インデックス速度が遅いと販売機会を逃します。地域情報や在庫状況が変わるECサイトでも同様です。したがって、クローラビリティは単なる技術指標ではなく、ビジネス成果に直結します。
実務で優先するポイント(例)
- サイト構造を整理し内部リンクを充実させる(重要ページへリンク)
- sitemap.xmlを用意して検索エンジンに知らせる
- robots.txtやnoindexを点検して誤設定を防ぐ
- サーバー応答を改善してクローラーのアクセスを妨げないようにする
これらに注意すると、クローラがサイトを効率よく巡回でき、検索での発見性が高まります。
クローラビリティとインデクサビリティの違い
概念の違い
クローラビリティは検索エンジンのクローラー(ページを巡回するロボット)がウェブページやサイトを取得しやすい状態を指します。インデクサビリティは、取得したページの内容を検索エンジンのデータベースに登録(インデックス化)しやすい状態を指します。両者は連続した工程ですが、目的が異なります。
具体例で理解する
- クローラビリティが低い例:robots.txtで一部のディレクトリをブロックしている、リンクが壊れていて辿れない。クローラーがページに到達できません。
- インデクサビリティが低い例:ページに「noindex」タグが付いている、コンテンツがほとんど画像でテキストがない。クローラーはページを取得できても、登録されません。
よくある混同と注意点
サイト所有者は「クローラーが来ている=検索に載る」と誤解しやすいです。実際はクロールできてもインデックスされないことがあります。逆に、インデックス可能でもクローラーが来なければ意味がありません。
簡単な確認ポイント
- robots.txtとサイトマップを確認する(クロールの可否)。
- ページのmetaタグ(noindex)やHTTPステータスを確認する(インデックスの可否)。
- コンテンツがテキストで読み取れるか、リンク構造が分かりやすいかもチェックしてください。
クローラビリティの改善方法
1. サイト構造を整理する
トップから重要ページまでのクリック数を減らします。目安は3クリック以内です。カテゴリを適切に分け、パンくずリストを設置するとクローラーが巡回しやすくなります。例えば「トップ > 商品 > カテゴリ > 商品ページ」のように階層を分かりやすくします。
2. 内部リンクを最適化する
テキストリンクを中心に、関連ページへ自然にリンクを張ります。アンカーテキストは内容を示す語にして、”詳細はこちら”だけにならないようにします。新しいページはサイト内の関連ページからリンクを張って発見されやすくします。
3. ナビゲーションを改善する
グローバルナビやフッターに重要ページへのリンクを置きます。JavaScriptでしか遷移できないメニューは避け、通常のHTMLリンクを使うと確実です。モバイルでも同様にアクセスしやすい構成にします。
4. URL設計とHTML記述を整える
短く意味のあるURLを使い、クエリパラメータを減らします。重要な要素はHTMLで記述し、画像やスクリプトを適切に読み込めるようにします。ページごとにユニークなタイトルとmeta説明を設定します。
5. 技術的チェックとツール活用
XMLサイトマップを用意してサーチコンソールに登録します。robots.txtで重要ページをブロックしないよう確認します。クロール状況はログやサーチコンソールで定期的に確認します。
これらを順に実行すれば、クローラーがサイトを発見しやすくなり、検索エンジンに認識される確率が高まります。
まとめ
要点の再確認
クローラビリティは、検索エンジンのクローラーがサイトを迷わず巡回できるかどうかを表します。サイト構造を分かりやすくし、重要なページへクローラーが届くようにすると、インデックス化や検索順位の改善につながります。
重要なポイント(具体例付き)
- サイト構造を整理する:カテゴリや階層を明確にし、トップページやカテゴリページから重要ページへリンクを張ります。例:商品の詳細ページへはカテゴリ一覧から到達できるようにする。
- robots.txt と meta robots を確認する:誤って重要ページをブロックしないようにします。例:管理画面だけをブロックする。
- XMLサイトマップを用意する:検索エンジンにページ一覧を送ると、新しいページが見つかりやすくなります。
- 内部リンクを整える:関連ページ同士をつなげ、クローラーが深いページまで辿れるようにします。
- ページ速度とモバイル対応を改善する:読み込みが遅いとクローラーの巡回効率が下がります。例:画像を圧縮する。
- 重複コンテンツを減らす:同じ内容が複数あるとどれを評価すべきか分かりにくくなります。
すぐできるチェックリスト
- robots.txt と meta robots を確認する
- XMLサイトマップを作成して送信する
- 主要ページへ内部リンクを増やす
- ページ速度を測って改善する(画像圧縮、キャッシュ設定など)
- 重複ページや無限スクロールの扱いを見直す
- サーチコンソール等でクロール状況を定期確認する
まずは上のチェックリストを一つずつ実行してみてください。小さな改善の積み重ねが、クローラビリティの向上と検索結果の改善につながります。応援しています。












