はじめに
本書の目的
本ドキュメントは、企業が自社のホームページを作成・運用するための実践的なガイドです。初めて作る方から既存サイトを改善したい方まで、段階を追って理解できる内容を目指しています。
対象読者
・中小企業の経営者や広報担当者
・これからホームページ作成を担当するスタッフ
・外部ベンダーとやり取りする責任者
専門用語は最小限にし、具体例を交えて解説します。
本書の使い方
各章は独立して読めますが、全体を順に読むとより理解が深まります。第2章では基礎知識、第3章以降で目的や手順、SEO、運用・改善までを詳しく説明します。
期待できる効果
・目的に沿ったサイト設計ができる
・効率的な制作と運用が進む
・集客や問い合わせの改善につながる
これから安心して進められるよう、丁寧に案内します。
企業ホームページの徹底解説
概要
企業ホームページは会社の顔です。会社の情報発信、ブランド構築、顧客獲得、採用活動など目的に応じて情報を整理し、分かりやすく見せる必要があります。正確な情報と使いやすさが信頼につながります。
目的と役割
- 情報発信：会社概要、事業内容、ニュースを伝えます。
- 信頼構築：代表挨拶や実績で安心感を与えます。
- 問い合わせ促進：製品やサービスの相談につなげます。
- 採用支援：働く環境や募集要項を分かりやすく伝えます。
必要な基本要素
- 分かりやすいトップページ
- 会社概要と沿革
- 製品・サービス紹介（写真や導入事例）
- お問い合わせフォームや地図
- 採用情報と応募導線
デザインと使いやすさのポイント
視覚に頼りすぎず、情報の優先順位を決めて配置します。スマホ表示を確認し、読みやすいフォントと十分な余白を確保します。導線は短く、問い合わせまでの操作を減らします。
コンテンツの作り方（具体例）
- 製品：用途別に導入事例を載せます。
- サービス：料金例やサポート体制を明示します。
- 採用：実際の働き方や社員の声を掲載します。
運用時の注意点
情報は定期的に更新し、古い情報は削除します。アクセス解析で訪問者の行動を確認し、改善に活かします。個人情報は適切に取り扱い、SSL等で通信を保護します。
企業ホームページを作る目的
主な目的
企業ホームページは大きく分けて次の四つを目的にします。
-
信頼獲得
企業情報や代表挨拶、実績・お客様の声を公開することで、初めて訪れた人にも安心感を与えます。例えば導入事例や導入企業のロゴを載せると信頼につながります。 -
集客・販売促進
サービス説明や料金、問い合わせフォーム、EC機能を用意して、興味を持った人を実際の顧客につなげます。ランディングページやキャンペーンページで導線を明確にすると効果的です。 -
採用活動強化
募集要項だけでなく、社員の声や働く環境、教育制度を紹介して、応募意欲を高めます。エントリーフォームを用意し応募のハードルを下げましょう。 -
ブランディング
企業の理念やビジュアル、トーンを統一して伝える場です。ストーリーやミッションを分かりやすく示すと、印象が残ります。
目的を明確にするメリット
目的を決めると、ページ構成や優先して作るコンテンツが見えます。例えば信頼重視なら実績を上位に置き、集客重視なら問い合わせ導線を強化します。目標（問い合わせ数や応募数）を決めると効果測定もしやすくなります。
目的別の優先コンテンツ例
- 信頼：会社概要、実績、認証・受賞、お客様の声
- 集客：サービス詳細、料金、CTA（問い合わせ・購入ボタン）、FAQ
- 採用：募集要項、社員インタビュー、働き方紹介、応募フォーム
- ブランディング：企業ストーリー、ビジュアル、コアメッセージ
目的を最初に定めると、制作と運用がスムーズになります。
企業ホームページ作成の手順
企業ホームページを作る流れを段階ごとに分かりやすく説明します。具体例を交え、初めての方にも取り組みやすい内容にしています。
1. 目的の明確化
- 何のために作るかを決めます（採用強化、問い合わせ増加、商品販売など）。
- 目標は数値で設定すると効果が測れます（例：問い合わせを月10件にする）。
2. サーバーとドメインの準備
- ドメインは会社名やサービス名を短く分かりやすく選びます。
- レンタルサーバーは運用予算やアクセス想定で選びます（小規模なら低価格プランで可）。
3. 作成方法の選択
- 自作：HTML/CSSで自由に作れますが時間と知識が必要です。
- CMS（例：WordPress）：更新が簡単で拡張性があります。テンプレート利用で早く作れます。
- 作成ツール（ドラッグ＆ドロップ）：直感的で初心者向けです。デザインに限界がある場合もあります。
- 制作会社へ依頼：品質と安心感を重視する場合に適します。費用が高めです。
4. 必要ページの設計・作成
- 基本ページ：トップ、会社概要、サービス（商品）、採用、問い合わせ。
- 信頼性ページ：実績、導入事例、プライバシーポリシー。
- 各ページは目的を意識して導線を作り、CTA（問い合わせボタンなど）を目立たせます。
5. テストと公開
- 表示確認、リンクチェック、スマホ表示の確認を行います。
- フォーム送信やセキュリティ設定（SSL）を必ず確認します。
6. 公開後の運用
- 定期的に内容を更新し、アクセス解析で改善点を見つけます。
- バックアップと保守体制を整え、トラブル時に備えます。
SEO対策と集客のポイント
概要
SEO対策は見つけてもらうための工夫です。ターゲットを明確にし、ホームページの基本情報とコンテンツを整えることが重要です。
ターゲットキーワードの選定
誰に何を伝えたいかを先に決めます。例：『東京 税理士 法人向け』のように地域・職種・用途を組み合わせます。キーワードツールや検索候補を見て、検索数と競合のバランスを確認します。
ホームページ名・説明文の工夫
タイトル（ホームページ名）は主要キーワードを自然に入れます。説明文（meta description）は一文で何が得られるかを書き、行動を促す言葉を入れます。例：『中小企業向けの税務サポート。初回相談無料』。
コンテンツの充実
訪問者の疑問に答える記事や事例、FAQを用意します。具体例や図を使うと分かりやすくなります。定期的に更新して情報を新しく保ちます。
内部対策
見出し（H1〜H3）で構造化し、分かりやすいURL、画像のalt属性を設定します。ページ速度やスマホ表示も整えます。
外部対策
関連するサイトからの紹介（被リンク）は信頼性を高めます。地域ビジネスなら店舗情報や口コミを整備します。
ロングテールキーワードの活用
検索数は少なくても成約につながる言葉（例：「渋谷 税理士 起業支援」）を狙います。競合が少なく効率的に集客できます。
計測と改善
Google AnalyticsやSearch Consoleで流入やクリック率、成約数を定期的に確認します。数値に基づきページを改善していきます。
日々の小さな改善が集客につながります。まずは狙うキーワードを絞り、コンテンツを一つずつ充実させてください。
ホームページ作成・運用時の注意点
会社情報は正確で最新に保つ
住所、電話番号、営業時間、代表者名などは必ず実物と一致させてください。例：電話番号や地図が古いと顧客が来店できないことがあります。更新は社内の担当者を決めて定期的に確認してください。
問い合わせ対応体制を整える
問い合わせフォームは受信後の自動返信と担当者の対応期限（例：24時間以内）を明記します。よくある質問はFAQにまとめると対応負荷を下げられます。担当者の代替フローも用意しましょう。
セキュリティ対策を怠らない
必ずSSL（https）を導入し、CMSやプラグインは定期的に更新してください。定期バックアップ、強力なパスワード管理、二段階認証を推奨します。外部に顧客情報を預ける場合は契約内容を確認してください。
スマートフォン対応（レスポンシブ）
スマホ画面で見やすいデザインにし、クリックできる電話リンクや大きめのボタンを使います。実機で表示確認し、読みやすさと操作しやすさをチェックしてください。
運用の監視と改善
アクセス解析やエラーログを定期的に確認し、想定外の挙動は早めに対処します。更新履歴と担当者が分かる運用ドキュメントを作成すると引き継ぎが楽になります。
法令・プライバシーの遵守
個人情報保護や表示義務（特定商取引法など）を確認し、プライバシーポリシーを明示してください。必要に応じて弁護士や専門家に相談すると安心です。
企業ホームページの運用・改善
アクセス解析で現状を把握
まず解析ツールを導入します。例：Google Analytics（GA4）とSearch Console。PV、ユーザー数、直帰率、コンバージョン率（CVR）などを定期的に確認します。ヒートマップ（Hotjarなど）でユーザーの行動も可視化すると改善点が分かりやすくなります。目標（お問い合わせ数や資料DL数）を設定してください。
定期的な情報更新
会社情報、製品・サービス、事例、お知らせを定期的に更新します。目安はお知らせは週1回〜月1回、事例や製品情報は数ヶ月に1回の見直しです。古い情報はアーカイブするか、更新履歴を明記して信頼性を保ちます。
SEO分析と改修
検索キーワードの順位や流入経路を確認し、タイトル・メタ説明・見出しを改善します。画像のALTや内部リンクも見直します。ページ速度はユーザー体験に直結するので、画像圧縮やキャッシュ設定、不要なスクリプトの整理を行ってください。
PDCAで改善を回す
仮説を立て（例：ボタン文言の変更でCVが上がる）、A/Bテストやアクセス解析で効果を測定し、改善策を定着させます。小さな改善を積み重ねることが重要です。
保守・セキュリティ・運用体制
SSLやバックアップ、CMS・プラグインの更新は必須です。担当者と更新スケジュール、緊急時の対応フローを整備してください。
外部施策との連携
SNS、メールマガジン、広告と連携して流入経路を増やします。キャンペーン用のランディングページを作り、UTMで効果測定すると改善がしやすくなります。
まとめ
本書の振り返り
企業ホームページは、信頼獲得・集客・採用・ブランディングといった複数の役割を果たします。目的を明確にし、ターゲットに合わせた情報設計と運用を行うことが成功の鍵です。
成功のためのポイント
- 目的を最優先に決める：採用重視なら社員の声、集客重視ならブログやFAQを充実させます。
- 必要なページを優先する：会社概要・お問い合わせ・サービス紹介は最低限整えます。
- 継続的な更新と分析：アクセス解析で課題を見つけ、改善を繰り返します。
予算と方法の選び方
- 小規模ならテンプレートやCMSを使い、低コストで始めます。
- 専門性が高ければ制作会社に依頼して品質を優先します。
運用の小さな習慣
週に1回の情報更新、月に1回の効果測定を習慣にすると改善が早まります。したがって、小さく始めて検証しながら拡張することをお勧めします。
最後に
ホームページは作って終わりではありません。継続して育てることで、信頼や成果が積み重なります。まずは目的を明確にし、段階的に取り組んでください。
