はじめに
目的
この文書は、iPhoneで対応しているNFCタグにWebサイトのURLを書き込む方法をわかりやすく説明するために作成しました。対応機種や必要なもの、実際の書き込み手順、iPhone特有の注意点、そしてWebサイト用途に合ったタグの選び方までを順を追って解説します。
対象読者
NFCを初めて使う方、名刺や告知物にURLを埋め込みたい方、店頭やイベントで簡単にWebサイトへ誘導したい方に向けています。専門知識は不要です。写真や具体例でイメージしやすく説明します。
本書の構成と読み方
全6章構成です。まず第2章でできることの全体像を示し、第3章で準備物を挙げます。第4章で具体的な書き込み手順を丁寧に説明し、第5章でiPhone利用時の注意点をまとめます。最後に第6章でWeb向けに適したタグの選び方を一覧にします。順に読めばスムーズに進められますが、既に準備が整っている方は必要な章だけ参照しても問題ありません。
注意事項（概要）
NFCタグには種類があり、書き込み可否や容量が異なります。まずは小さなテストタグで動作を確認してください。本書では安全で実用的な手順を中心に解説します。
できることの概要
対応端末と条件
iPhoneは7以降、iOS 13以降でNFCの読み取りと書き込みに対応します。Androidでも多くの端末が利用できますが、機種やOSによって差が出ます。ここではiPhoneを中心に説明します。
実際にできること（具体例）
- Webサイトを開く：NFCタグにURLを書き込めば、端末をかざすだけで指定ページを表示できます。店舗のメニューや製品ページに便利です。
- SNSやプロフィール誘導：名刺代わりにプロフィールページへ誘導できます。
- クーポンやイベント案内：その場でクーポン表示や参加受付ページに飛ばせます。
- アプリ誘導やダウンロードページへ誘導：アプリストアや説明ページへ直接リンクできます。
タグの選び方（簡単）
Webサイトを開かせる目的なら、NDEF形式でURLを書き込めるタグを選びます。代表的なのはNTAG213／215／216です。容量が小さいものから大きいものへ順に213→215→216なので、長いURLや追記を考える場合は容量に余裕のあるタイプを選んでください。
利用時のポイント
タグにURLを書き込むと端末が簡単に反応しますが、書き込み後は内容をロックすると改ざんを防げます。URLはhttpsを使うと安全性と信頼性が高まります。iPhoneで使う際の細かな手順や注意は第5章で詳しく説明します。
必要なもの
基本の必需品
- NFC対応スマホ：iPhone 7以降（iOS 13以上を推奨）。端末の設定でNFCが有効か確認してください。
- NFCタグ：NTAG213／NTAG215／NTAG216など、スマホ対応と明記されたもの。メーカーやパッケージに対応機種と容量（バイト数）が書かれています。
- アプリ：iPhoneでは「NFC Tools」などの専用アプリを使うと、URLの書き込みが簡単です。App Storeで評価の高いものを選んでください。
NFCタグの選び方（具体例）
- NTAG213：ユーザー領域約144バイト。短いURLや名刺情報なら十分です。
- NTAG215：約504バイト。長めのURLや追加データを入れたいときに向きます。
- NTAG216：約888バイト。大量データや複数のレコードを使う場合に適します。
実用品と注意点
- 形状：シール（ステッカー）・キーフォブ・カードなどがあります。使い方に合わせて選んでください。
- ロック（書き込み不可）機能：タグを読み取り専用にすることができます。ロックは元に戻せないため、テスト後に行ってください。
- 購入先：家電量販店や通販で購入できます。商品の説明に「スマホ書き込み対応」やチップ型番が書かれているか確認してください。
使い始めのおすすめ
まず1〜2枚の安価なタグを買い、NFC Toolsで読み書きを試してください。動作を確認してから本番用を用意すると安心です。
書き込みのイメージ手順
準備のひとこと
NFCタグへの書き込みは順を追えば簡単です。ここではiPhone向けの一般的な手順を、やさしく丁寧に説明します。
ステップ1：アプリを用意する
App StoreからNFCツール系アプリ（例：NFC Tools）をインストールして起動します。初回はアプリのアクセス許可を求められることがあるので、画面の指示に従ってください。
ステップ2：書き込み内容を設定する
アプリの「Write（書き込み）」を選び、「URL」や「Website」を選択して目的のURLを正確に入力します。https://から始まる完全なURLを入れると確実です。
ステップ3：iPhoneをタグに近づける
アプリの指示に従い、iPhone背面上部（カメラ付近）をNFCタグにゆっくり近づけます。厚いケースがあると反応しにくいので、必要なら外してください。書き込み完了のメッセージが出るまで静かに待ちます。
ステップ4：動作確認する
書き込み後、iPhoneをタグにかざしてURLが開くか試します。Safariが起動して目的のページに移動すれば成功です。うまく開かないときは、タグの種類や容量、アプリの表示を確認してください。
iPhoneで使うときの注意点
対応機種の違い
- iPhone XS以降：画面を点けた状態でタグにかざすだけで、バックグラウンドで読み取りできます。アプリを開かなくても通知や画面表示で内容を確認しやすいです。
- それ以前の機種：バックグラウンド読み取りに対応しない場合が多く、専用の読み取りアプリを起動してタグにかざす必要があります。購入前にご自身の機種を確認してください。
読み取り時のコツ
- 端末の上部（画面上側）をタグに近づけると安定して読み取れます。ケースが厚いと反応が悪くなるので、必要に応じて外して試してください。
- 画面は点けておくと読み取りが速くなります。画面がスリープ中だと反応しないことがあります。
タグの書き換えとロック
- 多くのタグは何度も書き換えできます。運用内容に応じてデータを更新してください。
- 「ロック」すると永久に読み取り専用になり、書き戻せなくなります。運用で書き換えが不要と確信できる場合のみロックしてください。
実務上の注意点
- 書き換え回数に限りがあるので、頻繁に更新する用途は検討が必要です。テスト用のタグで動作確認してから本番運用に移すことをおすすめします。
- iOSのバージョンやアプリにより挙動が変わる場合があります。重要な運用では複数機種での動作確認を行ってください。
トラブルシューティング
- 読み取れない場合はケースを外す、端末位置を少しずらす、別のアプリで試すなどを順に試してください。タグ自体がロックされていると書き込みできませんので注意してください。
Webサイト用に選ぶタグのポイント表
Webサイト用にタグを選ぶ際の重要ポイントを、用途別にわかりやすくまとめました。
チップ種類
- おすすめ: NTAG213 / NTAG215 / NTAG216
- 補足: NTAG213は名刺や小型ステッカー向け、NTAG215はイベントカードや製品タグ、NTAG216は長めの用途や余裕がほしい場合に向きます。
データ形式
- 必須: NDEF形式でURI（URL）を書き込めるものを選びます。多くのスマホはNDEFのURIを自動で開きます。
iPhone対応
- 確認方法: 製品ページやパッケージに「iPhone対応」「スマホ対応」と明記があるか確認してください。
- 補足: iPhoneはモデルによって読み取りやすさが異なるため、明記があると安心です。
容量
- 目安: WebサイトURLだけなら144バイトクラス（NTAG213相当）で十分です。長いURLや追加データがあれば215/216を選んでください。
利用開始のしやすさ
- 見るポイント: 書き込みアプリの解説やサポートがある製品は初心者でも扱いやすいです。最初は説明のあるセットを選ぶと安心です。
簡単チェックリスト
- NDEFでURI対応か？
- iPhone表記はあるか？
- 用途に合った容量か？
- 書き込み手順の案内があるか？
これらを基準に選べば、Webサイト誘導用のタグを簡単に選べます。
