はじめに
ホームページ型のネットショップは、従来のホームページの感覚で商品を紹介し、問い合わせや簡易的な販売ができる運営形態です。無料や低コストで始められることが多く、初めてネットで販売する方に向いています。
目的
この章では、ホームページ型ネットショップの基本像とメリットを分かりやすく説明します。難しい専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
誰に向いているか
小規模事業者、ハンドメイド作家、地域の店舗など、まずはネット上で存在感を出したい方に適しています。例えば、商品ページと問い合わせフォーム、簡単な決済ボタンがあれば販売を始められます。
本書の構成
以降の章で代表的なサービス、作成の基本ステップ、本格的なECカートとの違いを順に解説します。準備としては、商品の写真、説明文、価格、問い合わせ先を用意しておくとスムーズに進みます。
ホームページ型ネットショップとは
概要
ホームページ型ネットショップは、本格的なECカートを使わず、会社サイトやブログの延長で商品を紹介し、問い合わせや簡易販売を行う仕組みです。商品ページに写真と説明を載せ、問い合わせフォームや決済ボタンを置くイメージです。
主な特徴
- 機能を絞る：カートや会員機能を省略することが多く、管理が簡単です。
- 見せること重視：写真や文章で商品をじっくり伝えられます。
- 柔軟な購入手段：問い合わせ後に振込や決済リンクで対応します。
向いている人・用途
- 商品数が少ない個人作家や小規模店舗
- 予約や受注生産、講座の申し込み受付
- 既存サイトに商品情報を加えたい事業者
主な構成要素
- 商品ページ：写真、説明、価格、注意点を明記します。
- 問い合わせフォーム：注文や相談を受け取ります。
- 決済ボタン／リンク：外部サービスの決済ボタンを貼るだけで済みます。
メリットと注意点
メリットは初期費用や準備が少なく、更新が楽な点です。注意点は在庫管理や複数注文対応、決済と発送の手順を自分で整える必要がある点です。
簡単な運用イメージ
- 商品紹介ページを作成
- お客様が問い合わせフォームから連絡
- 支払い方法を案内して決済
- 発送・フォロー
具体例として、ハンドメイド作家が作品紹介と問い合わせフォーム、決済リンクを用意して販売する方法があります。
主なサービス例
ペライチ
ペライチは1ページ完結のランディングページ作成に特化したサービスです。テンプレートを選んで文字や写真を差し替えるだけで、短時間に見栄えの良いページを作れます。決済ボタンや予約フォームを簡単に設置できるため、少数商品や予約販売、ワークショップ告知などに向きます。メリットはスピードと操作の簡単さ、デメリットはページ数や拡張性が限られる点です。
ジンドゥー／Wix
両者はドラッグ＆ドロップで直感的に作るタイプです。複数ページのサイトや商品一覧を作りやすく、テンプレートも豊富です。ネットショップ機能はオプションやプランで追加する形が多く、在庫管理や注文通知など基本機能は揃います。デザイン自由度が高く、小〜中規模のショップに向きますが、高度なカスタマイズは制約が出ることがあります。
WordPress（＋プラグイン）
WordPressは自由度が高く、WooCommerceなどのプラグインで本格的なショップに拡張できます。決済や配送設定、クーポン発行など細かい運用が可能です。初期設定や保守に手間がかかりますが、長期的に機能を増やしたい場合に向きます。
選び方のポイント
用途（単発販売か継続運用か）、デザインの自由度、予算、運用スキルを基準に選んでください。まずは小さく始めて必要に応じて移行する方法が現実的です。
作成の基本ステップ
1. コンセプト・ショップ名・ターゲットを決める
何を誰に売るかを明確にします。扱う商品の特徴（例：手作り石けん、子ども服、輸入雑貨）を一言で表せるようにします。ターゲットは年齢層やライフスタイルで具体化すると伝わりやすく、ショップ名は短く覚えやすいものを選びます。
2. 商品準備と写真撮影、説明文作成
在庫や仕入れを整え、写真を用意します。自然光で複数アングルを撮り、使う場面が分かる写真（イメージショット）も用意します。説明文は「見出し→特徴→使い方→サイズ・素材→注意点」の順で書くと読みやすいです。価格は原価と利益を考えて設定します。
3. サービス登録・デザインテンプレート・商品ページ・法的表記
利用するホームページ型サービスに登録し、テンプレートを選びます。ロゴや色で雰囲気を整え、商品ごとにタイトル・価格・在庫・送料を入力します。特定商取引法に基づく表記（販売者情報、返品条件など）とプライバシーポリシーを必ず用意します。
4. 決済・配送設定と公開後の集客
クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済など主要な決済方法を設定します。配送は送料設定、発送目安、追跡や補償の有無を決めます。公開後はSNS発信、初回割引やメルマガ、購入者へのレビュー依頼で集客します。テスト注文で購入フローを確認し、運用しながら改善してください。
本格ネットショップとの違い
概要
本格的なECカートは在庫管理、クーポン、会員機能、受注処理など機能が豊富です。設定項目が多く、月額費用や初期設定の負担も大きくなりがちです。一方でホームページ型ネットショップは商品紹介と購入の流れを簡単に作れる点が強みです。
機能面の違い
- 在庫管理：本格はリアルタイムで在庫連携できます。ホームページ型は手動更新が多く小規模向けです。
- 会員・クーポン：会員ランクや複雑な割引設定は本格が得意です。簡単なクーポンならホームページ型で対応できます。
コストと運用負担
本格は月額や決済手数料以外に、設定や保守の工数も必要です。ホームページ型は初期費用が低く、テスト販売やサービス販売に向きます。
導入の手軽さ
ホームページ型はテンプレートや簡単なフォームで短期間に公開できます。運用担当者が少ない場合でも始めやすいです。導入後に運用を学びながら改善できます。
拡張性と移行の考え方
売上が増え、在庫連携や会員管理が必要になればASP型やモール型、本格ECへ移行を検討します。移行は商品データや顧客情報のエクスポート、決済・配送設定の見直しが主な作業です。ドメインやブランドを維持すると移行がスムーズになります。
選び方の目安
- 小規模やサービス販売、テスト販売：ホームページ型でまず開始
- 定期購入、大量在庫、複雑な割引：本格ECを検討
実際の運用負荷やコストを見ながら段階的に拡張する方法が現実的です。
