はじめに
目的
本調査は、Googleが提供する無料のホームページ作成・ホスティング関連サービスについて、分かりやすく整理したものです。主に「Googleサイト」と「Google Cloud Hosting」の特徴、利用方法、メリット・デメリット、容量やセキュリティのポイントを比較・解説します。
誰のための資料か
- 初めてウェブサイトを作る個人や小規模事業者
- コストを抑えて試験的に公開したい方
- 無料サービスとクラウドの違いを知りたい方
本章で伝えたいこと
本書は専門的な用語を最小限にし、具体例を使って説明します。各章で実際の設定手順や注意点を示しますので、用途に合った選択ができるようになります。最初は簡単に作れるGoogleサイトから、より柔軟な運用が可能なGoogle Cloud Hostingまで、段階的に学べます。
読み方の目安
まず第2章でGoogleサイトの特徴を確認してください。続く章で無料利用のメリットや制限、独自ドメインの扱い、クラウド利用の利点と手順を順に説明します。実践したい方は第9章以降の登録・作成手順を参考にしてください。
Googleサイトとは何か
概要
Googleサイトは、Googleが無料で提供するWebサイト作成ツールです。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップ操作でページを作れます。Googleアカウントがあれば誰でも利用できます。複数人で同時に編集できるため、チーム作業にも向いています。
主な特徴
- 直感的な操作:画面上でブロックを追加するだけで見出しや画像、テキストを配置できます。
- テンプレート:用途別のテンプレートがあり、ページの見た目を短時間で整えられます。
- Googleサービスとの連携:Googleドライブのファイル、Googleカレンダー、Googleマップ、YouTube動画などを簡単に埋め込めます。
- レスポンシブ対応:スマートフォンやタブレットでも見やすいデザインになります。
具体例(できること)
- 個人のポートフォリオサイトや趣味の紹介ページを素早く作成できます。
- 小規模の店舗やサークルの案内ページとして情報発信できます。
- 社内資料や部署ごとの簡易サイトを作り、共有と更新を容易に行えます。
利用の流れ(簡単)
- Googleアカウントでログインします。
- テンプレートを選ぶか白紙から新規作成します。
- 文字や画像、Googleドライブのファイルを配置して公開ボタンを押します。
向いている人
手軽に見栄えのよいサイトを作りたい初心者や、共同編集で情報を整理したいチームに適しています。プログラムを書かずに短時間で公開したい場合に特に便利です。
完全無料で利用可能なメリット
費用がかからない
Googleサイトは作成も公開も無料で行えます。初期費用や月額のサーバー代、テーマ購入費が不要です。たとえば趣味のブログやサークルの連絡掲示板、簡単な会社の案内ページならほとんど費用をかけずに立ち上げられます。
更新や維持にお金がかからない
更新料や維持費が発生しないため、頻繁に情報を追加しても追加費用は発生しません。定期的にイベント情報や写真を差し替える使い方に適しています。
広告が表示されない
Googleが強制的に広告を表示しないため、訪問者にとって見やすいページを維持できます。見た目がすっきりするので、案内や資料公開に向いています。
独自ドメインの設定について
独自ドメインも無料で設定可能とされるケースがあります。独自ドメインを使えばプロらしい印象を与えられます。ドメイン取得やDNS設定は別途必要になる場合があるため、手順は別章で詳しく説明します。
利用シーンの具体例
・個人ポートフォリオや履歴書の公開
・小規模店舗の営業時間やメニュー紹介
・イベント告知ページや申込フォームの案内
費用を抑えてまずは試してみたい方に、非常に使いやすい選択肢です。
ストレージ容量と制限事項
概要
GoogleサイトのストレージはGoogleドライブと共用で、無料アカウントは合計15GBが上限です。サイトに使う画像やファイルはこの容量から差し引かれます。テキスト中心のサイトなら容量不足は起きにくいです。
容量の内訳と確認方法
- Gmailの添付ファイル、GoogleフォトやDrive内のファイルも同じ15GBを共有します。具体的にはメールの大きな添付や写真が容量を圧迫します。
- 容量はGoogleアカウントの「ストレージ」画面やGoogle Oneのページで確認できます。
実務上の注意点
- 大きな動画や高解像度の写真を直接アップロードすると短期間で容量を使い切ります。動画はYouTubeに非公開でアップロードして埋め込む方が効率的です。画像は圧縮して使ってください。
- 容量が上限に達すると、新しいファイルのアップロードやフォームの記録が止まる場合があります。サイト自体の表示が完全に止まることは稀ですが、編集に支障が出ます。
実用的な対策
- 画像をWeb用に圧縮(例:1〜2MB→200〜300KB)。
- PDFや大きなファイルは外部ストレージやファイル共有サービスを利用してリンクを貼る。
- 必要ならGoogle Oneで容量を増やす選択肢があります。
小さな目安例
- テキスト中心のページ100ページは数MB程度です。写真100枚(各2MB)なら約200MBを使います。これを参考に容量管理を行ってください。
ドメイン設定と独自ドメイン利用
無料のURLについて
Googleサイトを独自ドメインなしで作ると、URLは「https://sites.google.com/view/あなたのサイト名」になります。初期設定で無料で使え、すぐ公開できますが、長くて覚えにくい点がデメリットです。名刺やSNSでの案内には不向きな場合があります。
独自ドメインを使うメリット
独自ドメインは短く覚えやすく、信頼感が増します。ブランドや個人名で統一でき、メールアドレスと合わせた運用も可能です。
独自ドメイン利用の条件と手順(簡単)
- Google Workspaceへの加入が基本条件です。Workspaceに加入すると、サイトに独自ドメインを恒久的に割り当てられます。
- ドメインの所有確認を行います。ドメインレジストラで提示されるDNSレコード(TXTやCNAME)を追加します。数分から数時間で反映します。
- Workspaceの管理画面でドメインをサイトに紐付けます。手順に沿って設定すれば公開URLが独自ドメインになります。
代替案と注意点
- ドメイン転送(レジストラ側で転送設定)を使えば一時的に短いURLを案内できますが、見た目やSEOの点で劣ることがあります。
- ドメイン自体は別途購入が必要です。Google Workspaceは有料サービスです。
以上が独自ドメインを使う際の要点です。必要なら、具体的な手順やDNS設定の例もお示しします。
Google Cloud Hostingという選択肢
概要
Google Cloud HostingはGoogleが提供するクラウド型のレンタルサーバーです。新規アカウントには300ドル分の無料利用枠があり、試用期間中は比較的高機能な環境を試せます。常時無料で使える「Always Free」枠もあり、条件内であれば継続して利用できます。
主な特徴
- 無料枠:新規の300ドルクレジットで多くの機能を試せます。Always Freeでは10GBのストレージや無制限のSSL証明書が含まれます。ご利用状況によっては30GBまで無料で使える場合があります。
- WordPress対応:ワンクリックでインストールできるMarketplaceや手動構築の両方に対応します。
- スケーラビリティ:必要に応じてサーバー性能を上げられます。
メリット
- パフォーマンスと信頼性が高く、アクセス増加にも強いです。
- 無料SSLが使えるため、サイトの安全性を保てます。
注意点
- 無料クレジットは期間終了後に課金されます。したがって、費用管理は必須です。
- 初心者には設定や運用がやや難しく感じられることがあります。簡単なサイトならばGoogleサイトや共有レンタルサーバーの方が扱いやすい場合があります。
向いている人
技術的に少し学べる方や、将来的に規模を拡大したい方に向きます。個人ブログや小規模サイトを本格的に成長させたい場合に選択肢として有力です。
Google Cloud Hostingのセキュリティと性能
概要
Google Cloud Hostingは企業向けの安全対策と高い処理能力を兼ね備えます。ここでは主な機能を具体例と一緒に分かりやすく説明します。
セキュリティ機能
- DDoS対策: 大量の不正アクセスをネットワークの入り口で遮断します。急なトラフィック増加でもサービスを守ります。
- ファイアウォール: IPやポート単位で通信を許可・拒否できます。例えば管理画面は社内のIPのみ許可する設定ができます。
- アクセス制御: ユーザーごとに操作権限を細かく分けられます。担当者は編集、閲覧のみといった運用が可能です。
- SSL証明書: 無料の管理SSLを自動発行・更新できます。手動で更新する手間を減らせます。
性能面
- 高速なネットワーク: 世界中のデータセンターで応答を速くできます。ユーザーに近い拠点を使えば表示が早くなります。
- スケーラビリティ: トラフィックに応じて自動で処理能力を増減できます。キャンペーン時の急増にも対応します。
- 可用性: 冗長構成で障害時もサービスを継続します。バックアップや自動フェイルオーバーで復旧が早いです。
運用のポイント
定期的にログとモニタリングを確認し、権限やファイアウォール設定を見直してください。テスト環境で変更を試してから本番に反映すると安全です。
Google Cloud Hostingの利用対象者
概要
Google Cloud Hosting(以下GCH)は柔軟なサーバー構成とスケーラビリティを重視する方に向きます。無料枠で試せる点から、コストを抑えたい人にも人気です。
向いている人
- スタートアップや個人開発者:サービスの成長に合わせて環境を拡張できます。例:ユーザー数が増えたらサーバーを増やす。
- 学生や学習者:実際にサーバーを立てて学ぶことができます。授業や課題の実践に便利です。
- プログラミングスキルがあり環境を自由にカスタマイズしたい人:OSやミドルウェアを自分で設定できます。
- ブログ・ポートフォリオ運用者:軽いトラフィックなら無料枠や小さなインスタンスで十分運用可能です。
向かない人
- サーバー管理をしたくない初心者:設定・保守が必要なため、代行やマネージドサービスが向きます。
- 単純にページを作りたいだけの人:設定の手間に対して価値を感じにくいです。
具体的な選び方のポイント
- まず目的を明確にする(学習、実運用、テスト)。
- トラフィックが少なければ無料枠や小規模インスタンスで始める。
- 将来的に拡張が必要ならGCHを選ぶと柔軟性が得られます。
Google Cloud Platformへの登録手順
概要
Google Cloud Platform(GCP)への登録は簡単です。まずGoogle Cloud Consoleにアクセスし、「無料で開始」をクリックします。利用規約に同意し、画面の指示に従って必要情報を入力するとアカウントを作成できます。
手順(簡易)
- Google Cloud Consoleにアクセスし、「無料で開始」をクリックします。
- Googleアカウントでログインします(まだなら作成してください)。
- 利用規約を読み、同意します。
- クレジットカード情報を入力します。試用期間や無料枠は自動課金されませんので安心して入力できます。
- 請求先情報(住所など)を入力します。
- アカウント作成後、コンソールで「プロジェクトを作成」を選びます。
プロジェクト名の付け方と注意点
- サイト名や用途を含めた分かりやすい名前にします(例:myblog-site、company-internal)。
- 同じ名前は複数のプロジェクトで使えますが、管理のために整理番号や日付を付けると便利です。
- 組織アカウントがある場合は組織を選択し、なければ個人アカウントで作成できます。
小さなヒント
- クレジットカード情報は本人確認のために使われます。試用終了後に自動で課金されないことを画面で確認してください。
- 登録が完了したら、まずプロジェクトのダッシュボードから必要なサービスやAPIを有効にするとスムーズです。
インスタンス作成の手順
Compute Engineでのインスタンス作成を、初めての方にも分かりやすく手順で説明します。簡単な注意点と設定例も付けます。
1) Google Cloud Consoleにログインして「Compute Engine」を選択
– 初回はAPI有効化を求められます。画面の案内に従って有効化してください。
2) 「インスタンスを作成」をクリック
– 新しい設定画面が開きます。ここでサーバーの基本を決めます。
3) 名前を設定
– 分かりやすい名前を付けます(例: my-site-01)。後で見つけやすくなります。
4) リージョンとゾーンの指定
– 無料枠を使う場合は us-central1 を選択します。リージョンにより遅延や料金が変わるので、使う場所に合わせて選んでください。
5) マシンタイプは f1-micro を選択
– 無料枠に該当する小さなタイプです。軽いWebサイトやテスト用に適しています。
6) ブートディスクとOSを選ぶ
– 例: Debian または Ubuntu の小さなディスク(10GB程度)を選択します。ソフトの互換性を考えて決めてください。
7) ファイアウォールの設定
– HTTP/HTTPSにチェックを入れるとWebアクセスが可能になります。必要なポートだけを許可してください。
8) SSHキーやアクセス設定
– ブラウザからのSSH接続を使うか、公開鍵を登録します。安全のため鍵管理を行ってください。
9) 作成して起動
– 設定を確認して「作成」を押すとインスタンスが作成されます。外部IPで接続を確認します。
10) 停止・削除の注意
– 無料枠以外の課金を避けるため、使わないときは停止または削除してください。定期的に利用状況を確認することをお勧めします。
他社無料レンタルサーバーとの比較
概要
Google Cloud Hosting(以下GCH)は、CPU共有・メモリ0.6GB・ストレージ30GBというスペックを備え、XREA、シンクラウド for Free、スターサーバーフリーなどの他社無料サービスに比べて優位点が多いです。ここでは具体的に何が違うかを分かりやすく説明します。
スペック比較
GCHはメモリやストレージが比較的余裕あります。多くの無料レンタルサーバーはメモリやディスクが制限され、同時アクセスや大きなファイルの取り扱いで苦しくなります。GCHは小規模なWebアプリや複数ページのサイトに向きます。
技術的自由度
GCHではソフトウェアの追加や設定変更がしやすく、PHPやデータベースのバージョン管理、コンテナやSSHの利用など柔軟に対応できます。対して他社の無料プランはインストール制限や管理画面だけでの操作に限られることが多く、カスタマイズ性が低いです。
可用性・性能
GCHはGoogleのインフラを利用するため、ネットワーク品質やスケールの面で有利です。無料サービスでは負荷時に速度低下や接続制限が発生しやすく、稼働率も下がることがあります。
セキュリティ
GCHは基本的なネットワーク保護やOSレベルの更新が行いやすく、運用次第で高い安全性を確保できます。他社無料プランは共有環境でのリスクや運用サポートの不足が目立ちます。
どちらを選ぶかの目安
- 手軽に静的サイトを公開したい:他社無料でも十分な場合があります。
- 将来的に拡張や独自設定を考える:GCHが向きます。
- 広告表示を避けたい、性能や安全性を重視したい:GCHを検討してください。












